印刷用紙:B4縦 1ページの行数:65 1行の文字数(半角で):80               第三学年 道徳学習指導案                               指導者 杉 本  勉 1 日 時   平成3年7月5日(金) 第1校時 2 学 級   3年5組 男子21名 女子17名 計38名 南校舎2階 3 主題名   反省と向上  資料名 「足袋の季節」(東書) 4 主題について    内容項目1−(5) には、「自らを振り返り自己の向上を図るとともに、個性を伸ば   して充実した生き方を求めるようにする」とある。具体的には「自己受容・自己理解   を深めさせ」、「級友や仲間相互の信頼関係を基盤として互いに指摘し合い、高め合   う人間関係を作っていく」なかで、人間らしい生き方を探求している青年前期の生徒   に、「自分自身の伸ばすべきよさや個性を見出だしていく」姿勢をつくっていくこと   を目指している。    青年前期になると、自己理解がいっそう深まる。自己の生き方についての関心が高   まってくる時期である。人間形成においてたいへんたいせつな時期である。自分の欠   点や短所は他人との比較において容易に知る。しかし自分の優れている面は自分では   わからないでいることが多い。自分を振り返り、自己の不完全さを自覚すると同時に   自分の良さ・個性をの発見に努め、さらに伸ばしていくように指導していくことは極   めて重要に思われる。    本校生徒の道徳性の各種調査を総合すると、本主題の「反省と向上」についての生   徒の道徳性は比較的優れているようである。しかし、生徒の中には問題にぶちあたっ   た時、自分を合理化してその場を逃れたり、自己主張が強くなり他人の助言や忠告を   素直に聞かず、独善的言動をとる者も少なからずいる。                資料は、40年ほど前小樽の郵便局で働いていた主人公は、構内に餅を売りにきてい   たおばあさんから餅を買う。10銭玉をはらったが、おばあさんは「50銭玉だったね」   と聞いた。その時、北海道の厳しい寒さの中で暮らしていた主人公は、足袋を買いた   さのあまりうなずき、おばあさんから激励のことばとともに40銭受け取る。その後、   作者は自責の念にかられる。はじめての月給をもらい、おばあさんをたずねると、お   ばあさんはすでに死んでいた、という話である。話の前半では、足袋ほしさに思わず  40銭受け取った主人公を共感的に批判させ、後半では「ふんばりなさいよ」というこ   とばを励ましとして合理化することから自分の過ちに気づき、おばあさんの暖かい心   を感じとっていく主人公の心情に迫っていきたい。                5 本時のねらい              他人の助言や忠告を謙虚に聞き、過ちは素直に反省して自己の向上に役立てようと   する意欲を高める。 印刷用紙:B4縦 1ページの行数:65 1行の文字数(半角で):108 6 本時の展開 +---------------------------+-------------------------------------------------+------------------+ ・ |  教 師 の 働 き か け|  期  待  す  る  生  徒  の  反  応|  指導上の留意点・| ・ +---------------------------+-------------------------------------------------+------------------+ ・ | あらすじを確認する。・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・紙板書を有効に使| ・ | ・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・| う・・・・・・・・| ・ | 感想を求める。・・・・・・・| ・主人公が欲望に負け、貧しいおばあさんから釣銭をごま| ・見方、考え方の違| ・ | *主人公のとった行動について|  かした主人公は悪い。      ・・・・・・・・・| いを明確にし、課題| ・ | とった行動や考え方についてど| ・厳しい寒さのなか足袋を買う金もない主人公が、釣銭を| 意識を高める。・・| ・ | う思いますか。・・・・・・・| ・ごまかしたのは無理もない。・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・| ・ | ・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・| ・ | 1・釣銭をもらうとき、思わず| ・冬が来ても足袋を買う余裕もない主人公だから、やむを| ・欲望に負ける人間| ・ | ・「うん」とうなずいてしまっ|  得ない。                     | の弱さに気づかせ、| ・ |  た主人公のことをどう思いま| ・釣銭でほしかった足袋が買えるという打算的考えはよく| その打算的考え方を| ・ |  すか。・・・・・・・・・・|  ない。                      | 共感的に批判させた| ・ | ・・・・・・・・・・・・・・| ・弱い心に負けてしまった主人公の気持ちはわかるが、お| い。・・・・・・・| ・ | ・・・・・・・・・・・・・・|  ばあさんが寒さの中で売っているのだから、もっとおば| ・・・・・・・・・| ・ | ・・・・・・・・・・・・・・|  あさんのことも考えるべきだった。・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・| ・ | ・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・| ・ | 2・それ以後、おばあさんの前| ・釣銭をごまかしたことがおばあさんにわかられていたと| ・悔恨と自責の気持| ・ |  には立つことができず、もち|  思ったから。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ちをもちはじめた主| ・ |  を買いにやらせるときは、必| ・おばあさんのことはぜんぜん考えず、自分の欲望のまま| 人公に気づかせたい| ・ |  ず同僚にたのんで行ってもら|  足袋買いたさだけしか頭になかった自分自身に気づいた| ・・・・・・・・・| ・ |  ったのはなぜですか。・・・|  から。                      | ・・・・・・・・・| ・ | ・・・・・・・・・・・・・・|                      ・・・・・| ・・・・・・・・・| ・ | ・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・| ・ | 3・おばあさんの「ふんばりな| ・「これで足袋を買ってがんばりなさいよ」というはげま| ・おばあさんの「ふ| ・ |  さいよ」ということばを主人|  しのことばとして。・・・・・・・・・・・・・・・・| んばりなさいよ」の| ・ |  公はどのように心の支えにし| ・主人公の周囲の人は冷たいが、おばあさんだけが暖かい| ことばで反省を深め| ・ |  てきたのだろうか。・・・・| ・目で自分を見てくれた。そのおばあさんを裏切ってしま| ていった主人公のえ| ・ | ・・・・・・・・・・・・・・|  ったという自責の念として。・・・・・・・・・・・・| らさに気づかせたい| ・ | ・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・| 話し合いの深まりに| ・ |               |                           | よってはこの発問は| ・ |               |                 ・・・・・・・・・・| 省略する。・・・・| ・ |               |                           | ・・・・・・・・・| ・ | 4 おばあさんがくれた心を今| ・もはやおばあさんにわびることができない今、その心を| ・おばあさんの死の| ・ |  度はだれかに差し上げたいと|  だれかにやることがおばあさんの死へのつぐないになる| つぐないだけでなく| ・ |  思ったのはなぜだろうか。 |  と考えたから。・・・・・・・・・・・・・・・・・・| その後の生きる支え| ・ |               | ・おばあさんのくれた暖かい心は、これからの人生におい| にしていることに価| ・ |   ・・・・・・・・・・・・|  て、だれかに差し上げていくことによって生かされるか| 値があることに気づ| ・ | ・・・・・・・・・・・・・・|  ら。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・| かせたい。・・・・| ・ | 5・本時のまとめをする。・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・打算的考えから相| ・ | ・・教師や生徒の体験を紹介し| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・| 手の理解にいった例| ・ |  て本時の学習をしめくくる。| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・| を紹介する。・・・| ・ +---------------------------+-------------------------------------------------+------------------+ ・