印刷用紙:A4縦 1ページの行数:38 1行の文字数(半角文字で):82             第二学年 道徳学習指導案 指導者 菊池 敏宏 1 日 時   平成7年7月7日(金) 1校時 2 学 級   2年5組 男子16名 女子21名  北校舎3階 3 主題名   やりぬく心  資料名 「百キロ歩いて子供の日」 4 主題について    内容項目1−(2)は、「より高い目標を目指し、希望と勇気をもって着実にやり抜く 強い意志をもつようにする」ことを目指している。本時では特に、困難を乗り越え、自 己の目標に向かってものごとを最後までやり通そうとする心情を育てることをねらいと  する。   困難に直面したとき、容易に挫折してしまうことが少なくない。しかし、これからの社  会の変化に対応していくためにも、たくましく生き抜く強靭な意志力が必要になってく  る。そのためには、より高い目標に向かって、限界状況をくぐりながらの希望と勇気をも  った努力が必要になってくる。 「やってみよう」「がんばってみよう」と向上を目指す気持ちはあっても、現実的な  場面において障壁が出てくると、つい自己弁護して安易な方向に向いてしまう。難儀なこ  とにあえて立ち向かうことなく、「だってこういう状況だったから」と理由づけをして、  自己を肯定的に包みこんでしまうことは、かえって自己否定につながる危険性を含んでい  る。せっかく抱いた向上心を大切に育て、成就感を味わわせるためにも、強い意志力を育  てることは必要不可欠であると考えた。 5 資料について 資料「百キロ歩いて子どもの日」は、宮古市から盛岡市まで2泊3日で歩くという行事  に参加した主人公が、途中で挫折しかけたにもかかわらず、最後まで歩き通すことができ たという葛藤資料である。前半部で主人公は、肉体的な苦痛のあまり、参加したことを後  悔したり、先に行く仲間に恨みがましいことを心の中でつぶやいてみたりし、とうとう棄 権するとまで言い出す。これは、困難に直面した場合、人間が誰しももつところの弱さで  ある。しかし、主人公は苦しい病気にも負けず歩いている仲間を見て、この行事のねらい をいまさらながらに実感する。そのねらいとは、単に肉体的なトレーニングではなく、自  分の弱い心に勝つことであった。そうして、自分の成長に結びつけていった主人公の姿を 共感的にとらえさせることによって、本時のねらいに迫りたいと考える。 6 生徒について 2年5組は、普段の授業の様子を見ていると、活発な男子が多くて発言は多いほうであ  る。女子も、積極的に授業に参加し、要所要所を占める役割を果たしている。生活の場面  では強力なリーダーはいるものの、全体としてやや目的意識に欠けるところが見られ、よ  り高い目標に向かって、粘り強く取り組むという点で弱いと思われる。 7 本時のねらい    困難に屈することなく、自分の目標に向かって粘り強くやり通そうとする心情を育てる。 8 展開                          +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | 学 習 内 容|  期待する生徒の反応 | 留意点 | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ |○資料を読んであ|(主人公は既に80キロ近く歩き通しているこ|短絡的に「苦| |らすじを確認する|と、途中しゃがみこんだのは一休みではなく棄|しくてもがん| | |権しようとしたことをおさえてあらすじを確認|ばる」で終わ| | |する) |らせないため| |○感想を求める |・これだけ歩いて、もう歩けないところまでき|に、いかに大| |*途中で棄権しよ| たのだから棄権しようと思うのは無理もない|変な行事であ| | うとした高野を|・みんなも苦しくてもがんばっているのだから|るかわからせ| | どう思うか。 | ここでくじけるのは、弱気すぎる。 |ておく。 | | | | | |1 つかれて歩け|・すでに80キロも歩いてくたくたになってい|共感的な意見| | ないものは歩け| るし、動きたくない気持ちになればやめよう|を先に出させ| | ないと主張する| と考えるのは当然である。 |生徒の弱さを| | 高野の言い分を|・つかれているのは自分だけではないはずだ。|吐かせたい。| | どう思うか。 | みんなも頑張っているのだから、そんな弱音| | | | を吐くべきではない。 | | | |・疲れてくれば止めたくなる気持ちになるのも| | | | 無理はないが、もう少しでゴールできるのだ| | | | からここで止めるべきではない。 | | | | | | |2 がんばろうと|・高野さんのためにみんなが迷惑するかもしれ|「自分のため| | してもどんどん| ないので、抜けてしまったほうがよいかもし|に」という意| | みんなに遅れて| れない。 |見は出させた| | くれば、みんな|・まだまだ後からくる人だっているのだし、こ|い。 | | に悪いから抜け| の行事はみんなのためよりも自分のために歩| | | ようとするのは| き通すことが大切なのだから、遅れても棄権| | | 許されるのでは| するべきではない。 | | | ないか。 | | | | | | | |3 一度は棄権し|・他にも頑張っている人がいるから自分も頑張|規範的に「こ| | ようとした高野| ろうと考え直したのだろう。 |れではだめだ| | さんが、再び歩|・この行事で棄権をした人は一人もいないこと|から」でおわ| | きだそうと心を| に気づき、自分だってできると思い直したの|らせず、「何| | うごかしたもの| ではないか。 |が」「なぜ」| | はどんな考えだ|・このままやめてしまえば、自分は何時までも|だめなのかま| +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | ったのだろう。| 弱い心のままでいてしまうと思ったからでは|で追求させた| | | ないか。 |い。 | | | | | |4 高野さんの心|・弱い心を克服して、やり抜こうとする強い心| | | の中に生まれた| が生まれたことではないか。 | | | 「新しい財産」|・百キロのみちのりを歩き通した自信ではない| | | とは何だろう。| か。 | | | |・出来ないと思っていたことがやり遂げられた| | | | 満足感ではないか。 | | | | | | |5 学習のまとめ| | | | をする。 | | | |教師の感想とこれ|(苦しくてもやりぬいた実践を引用し、一つ一| | |からの生活への意|つの苦しさを乗り越えていくことが自分の成長| | |欲づけをおこない|につながることをわからせたい。あわせて、こ| | |まとめとする。 |れからの生活においても自分たちが自分の力で| | | |道を切り拓いていくことを励まし意欲づける)| | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+