印刷用紙:B4縦 1ページの行数:56 1行の文字数(半角で):100   −−以下 指導案本文−−                 第1学年道徳学習指導案                                日  時 平成8年10月2日(木)5校時                                指導学級 水沢市立水沢中学校 1年A組                                     男17名,女17名,計34名                                指 導 者 千葉 和之 1.主題名  社会への奉仕    4−(4)勤労・社会奉仕        資料名「雪の朝」(出典:文教社) 2.主題設定の理由 (1)価値観  学習指導要領では、4−(4)についての目標を「勤労の尊さを理解するとともに、社会への        奉仕の気持ちを深め、すすんで公共の福祉と社会の発展のために尽くすように努める」と押さえ        ている。中学生の時期には、勤労の精神を重んじる生き方を基に、社会への奉仕の気持ちを深め        それを実践しようとする態度を培うことが必要である。         ここでは、社会への奉仕に伴う喜びが自らの充実感になるということに気づかせ、個人の立場        を越えた社会全体の利益を大切にして働こうとする気持ちを育てたい。 (2)生徒観  自分に与えられた係活動等については実直に取り組む生徒がほとんどであり、親しい仲間との        共同作業も好んで行う傾向がある。しかし、清掃活動のようにより大きな集団の中で行う仕事に        ついては人任せにしたり、消極的な態度をとる生徒が多くなる。         事前に「あなたは、『働く』とはどういうことだと思いますか」という内容でアンケートをと        ったところ、結果は次の通りであった。 +−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+ |人のために行|満足感を味わ|自分のために|生活・金銭の |人としてやる|その他   |        |うこと   |うために  |行うこと  |ため行うこと|べきこと  |      | +−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+ | 12 % | 9 % | 40 % | 33 % | 6 % | 0 % | +−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+         「自分のため」、「生活・金銭のため」という答えが多かったが、女子は前者が多く、男子は        後者が多いという傾向がはっきり表れた。         このような実態から、自己の生き方に対する関心が高まり始めるこの時期に勤労や社会への奉        仕に伴う喜びに気づかせることは意義があると思われる。 (3)資料観  主人公「武」は、自分の団地の前の道だけ雪が残っていたことをきっかけに、だれが雪かきを        するのかを考える。このままでは困ると思いながら、自分でやろうとはしない武だが、雪かきや        道路掃除をしてくれるおじいさんと話すうちに手伝うと言ってしまう。数週間後、同じように手        伝うと言っていたおじさんとおじいさんが枯れ葉を掃き集めている姿を見て逃げ出したい気持ち        になるという内容である。人々のために働こうという気持ちはあるが、利害・損得にとらわれ、        行動に移せないという心情に対して、主人公「武」を通して、社会への奉仕に伴う喜びについて        着目させ、進んで公共のために働こうとする心情、人間として充実した生き方を実現しようとす        る心情を培いたい。 (4)指導観  事前・・・・・・資料を読み聞かせ、感想、イメージを持たせる。アンケートを実施する。         導入・・・・・・一昨日の草取り活動の様子や感想を聞き、奉仕活動への意識づけをする。         展開の前段・・・武の心情に共感させることによって、価値を追求、把握させる。         展開の後段・・・生徒の今までの生活経験を振り返らせ、価値の内面的自覚を図らせる。         終末・・・・・・ボランティア活動の資料を提示し、本時の価値に対する理解を深めさせる。 3.指導計画 +−−−−+−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |領 域 | 項目・内容 |時期| ね     ら     い | +−−−−+−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |学級活動|夏休みの生活を振り返ろ|8月| 夏休みの生活を反省する中で生徒としてという視点と| | |う | |ともに地域社会、家族の一員としてどのような態度で過| | | |4週|ごしてきたかを振り返らせる。(校外班奉仕活動、家庭|    |    |           |  |での自分の仕事の反省) | +−−−−+−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |道 徳 |「雪の朝」 |本時| 別 記 | +−−−−+−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |学校行事|文化祭 |10月| 企画、展示、準備を協力して行う中で、自分の役割を| | | | |自覚し、自主的に仕事に取り組ませる。(制作活動とそ|    |    |           |  |の話し合い) | +−−−−+−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 4.本時の学習指導  (1)ねらい  社会への奉仕に伴う喜びに気づき、進んで公共のために働こうとする心情を育てる。  (2)展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | 教 師 の 働 き か け | 生 徒 の 反 応 | 指 導 上 の 留 意 点 | 評価・準備 | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |導| 1、一昨日行われたクリーン |・頑張ってやったので良かった。| 奉仕活動に対して、自分がどの | | | |  活動の様子や感想を聞く。 |・参加はしたが、あまりまじめに| ような姿勢で臨んだかを想起さ | | |入| | はできなかった。 | せる。 | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | |2、資料「雪の朝」のあらすじ| | 登場人物、場面を確認させる。 |紙板書 | | | を確認した後、話し合う。 | | | | | | | | | | | |(1)姉に「・・・あんたがや|・姉さんは勝手なことを言ってい| 姉を勝手だと思いながら、武自 |発問、紙板書 | | | ればいいじゃない。」と言| る。 |身も面倒なことは避けて自分から| | | | われたときの武の気持ちは|・僕だって早朝練習があるんだ |雪かきをしようとはしないことを| | | | どんなだったろうか。 | ぞ。             |押さえる。    | | | | |・だれかがやればいいのに。 |  | | | | |・おじいさんも大変だったろう | | | | | | な。 | | | | |(2)駅に向かうおじいさんの|・おじいさんもああ言っているし| 武には、おじいさんを手伝って |発問、紙板書 | |展| 姿をじっと見つめていたと| 時間があったら手伝おう。 |雪かきをするべきだという気持ち| | | | きの武の気持ちは、どんな|・手伝う自信がないなあ。 |と自分も含めてだれも雪かきをし| | | | だったろうか。 |・自分もおじさんと同じか。 |ないだろうという気持ちがある。| | | | |・おじいさん、無理しなくていい|そんな武の気持ちに共感させたい| | |開| | のに。 |。 | | | | |・だれか助けてあげればいいのに| | | | | |・おじいさんは、何であんなにし| | | | | | てまで雪かきをするんだろう。| | | |前| | | | | | |(3)その場から逃げ出したく|・口だけの自分が恥ずかしい。 | 武の自分のいたらなさに気づい |発問、紙板書 | | | なったときの武の気持ちは|・奉仕の心がないと思っていたお|た気持ちを感じとらせる。 | | | | どんなだったろうか。 | じさんが手伝っていたので反省| | | |段| | している。 | | | | | |・奉仕の心が足りない自分が情け| | | | | | なくなった。 | | | | | | | | | | | ○ 生き生きと枯れ葉をは |・みんなのために役に立ってうれ| 人のため、社会のために働くこ |発問、紙板書 | | | いているときのおじいさ | しい。 |とに生きがいを感じ、だれに言わ| | | | んの気持ちはどんなだっ |・やりがいがある。 |れなくとも仕事を続ける人間とし|○価値を把握する| | | たろうか。 |・おじさんも一緒にやってくれて|ての心を感じとらせる。 |ことができたか。| | | | うれしい。 | | | | | ・必要だと感じていることを実行| | | | | | に移すことができて気持ちがい| | | | | | い。 | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | |3、本時の価値について、自分|・地域のごみ拾い活動をした後、| 奉仕活動の体験を想起させ、そ | | |展| の生活経験を想起させる。 | きれいになった光景を見て、す|れに伴う喜びや充実感に気づかせ| | | | | がすがしい気持ちになった。 |たい。 | 学習プリント | |開|(1)今までにどんな奉仕活動|・校外班の奉仕活動の際、地域の| |◎本時の価値を、| | | をしたことがありますか(| 人から感謝されてとてもうれし| |今までの自分の体| |後| または、社会のために働い| かった。 | |験に照らし合わせ| | | ている人を見たことがあり|・近所のおばあさんがいつもゴミ| |て、自分を見つめ| |段| ますか)。そのときどんな| 置き場の掃除をしてくれている| |ることができたか| | | 気持ちになりましたか。 | のでとても助かっている。 | |。     | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |終|4、ボランティア活動の資料を| | 本時の学習を強く印象づける。 |資料 | |末| 提示する。 | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+  (3)評価      ・社会への奉仕に伴う喜びに気づくことができたか。 (資料分析表は別ファイル) 板 書 計 画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 雪の朝 | |雪の日 | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |姉「あんたがやればいいじゃない」| | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | ・姉さんは勝手だ | | ・僕だって早朝練習があるんだぞ | | ・だれかがやればいいのに | | 一週間後 | | +−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |「 手 伝 い ま す よ 」| | | +−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 近所のおじさん   ぼく | | | | | | | +−−−−+−−−−−+ | | | |駅に向かうおじいさん| | | | +−−−−−−−−−−+ | | | ・手伝うべきなのだろうな | | | ・手伝う自信がないなあ | | | ・自分もおじさんと同じか | | | | | | | |数週間後 | | | | +−−−−−−−+ | | | |逃げ出したい!| | | | +−−−−−−−+ | | | | | | +−−+−−−−−−−+ | | | |手伝っているおじさん| |・口だけの自分が | | +−−−−−−−−−−+ | | | | 恥ずかしい | | +−−−−−−−−+ | | | |生き生きと見える| |・奉仕の心が足りない | | +−−−−−−+ +−−−+ | | | |おじいさん| | 自分が情けない | | +−+ +−−−−−+ | | | |び| ・みんなの役に立って |・奉仕の心がないと思って| | |喜| うれしい| いたおじさんが手伝って| | |る| ・充実感がある | いるので反省している | | |す| ・必要だと思っていること| | | |仕| ができて気持ちがいい | | | |奉| ・やりがいがある | | | +−+ | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |道徳学習プリント | | 一年A組 番 氏名 | | | |今までにどんな奉仕活動をしたことがありますか。そのときの気持ち | |を書いてみましょう。(または、奉仕活動をしてみたいと思ったとき | |のことを書いてみましょう。) | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ (座席表は別ファイル) 資料分析  資料名「雪の朝」  (出典 文教社1) +−−−−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−−−−−+ | 主 要 場 面 || 主 人 公 の 意 識 || 学 習 者 の 意 識 ||意識の焦点化(支援、指導上の留意点) 発 問 案 | +−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−+ | | | | | | | | | | +−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−+ | 雪道の不便さを感じながら、||・姉さんは、勝手なことを言っ||・姉は、勝手なことを言ってい|| 姉を勝手だと思いながら、武||・姉に「・・・・・あんたがや| |互いに人に雪かきを押しつけよ|| ている。 || る。 ||自身も自分でやろうとはしてい|| ればいいじゃない。」と言わ| |うとする場面。 ||・僕だって、早朝練習があるん||・困るなら自分がやればいいの||ないことに気づかせる。 || れたときの武の気持ちはどん| | || だぞ。 || に。 || || なだったろうか。 | | ++・だれかできる人がやればいい++・武自身がやるべきだ。 ++ ++ | | || のに。 ||・もっとおじいさんに感謝すれ|| || | | ||・おじいさんは大丈夫かな。 || ばいいのに。 || || | | ||・おじいさんも大変だったろう|| || || | | || な。 || || || | +−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−+ | | | | | | | | | | +−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−+ | 武は、おじさんを白々しく思||・おじいさんもああ言ってるし||・結局、武もおじさんと同じで|| 武は、自分を含めてだれも雪||・駅に向かうおじいさんの姿を| |うが、「この前の雪の日は、み|| 時間があったら手伝おう。 || 調子のいいことを言っている。 |かきをしないだろうという気持|| じっと見つめていたときの武| |んなに迷惑をかけてしまってす||・自分は手伝う自信がない。 ||・本当に武は手伝う気があるの||ちと自分もおじいさんを手伝っ|| の気持ちは、どんなだったろ| |まないね」とおじいさんに言わ||・結局、自分もおじさんと同じ|| かもしれない。 ||て雪かきをしようという気持ち|| うか。 | |れ、自分も「手伝いますよ」と|| なのか ||・おじいさんは偉いなあ。 ||がある。そんな武の気持ちに共|| | |言わざるをえない。 ++・おじいさん無理しなくていい++・武もおじさんも薄情だ。 ++感させたい。 ++ | | || のに。 || || || | | ||・だれか助けてあげればいいな。 | || || | | ||・おじいさんは、なぜあんなに|| || || | | || までして雪かきをするんだろ|| || || | | || う。 || || || | +−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−+ | | | | | | | | | | +−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−++−−−−−−−+−−−−−−+ | どうせ口だけだと思っていた||・口だけの自分が恥ずかしい。||・どうしていきいきと見えたん|| おじいさん、おじさんの姿か||・その場から逃げ出したくなっ| |おじさんが手伝っている。おじ||・奉仕の心がないと思っていた|| だろう。 ||ら、奉仕に伴う喜びと自分のい|| たときの武の気持ちは、どん| |いさんもいきいきと見える。 || おじさんが手伝っていたので||・本当に手伝ってくれたんだ。||たらなさ気づいたときの武の気|| なだったろうか。 | | || 反省している。 ||・おじいさんもうれしいだろう。 |持ちに共感させたい。 || | | ++ ++ ++ ++ | | ||・奉仕の心が足りない自分が情||・おじさんもおじいさんも立派|| || | | || けなくなった。 || だ。 || || | | || ||・武は本当に手伝う気にはなっ|| || | | || || ていなかったんじゃないか。|| || | +−−−−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−−−−−+