印刷用紙:B4縦 1ページの行数:72 1行の文字数(半角で):134   −−以下 指導案本文−−   第3学年道徳学習指導案                                        日  時 平成8年10月2日(水) 5校時                                        指導学級 水沢市立水沢中学校 3年D組                                       男子16名 女子18名 計34名                                        指導者 伊 藤 嘉 祐        1 主題名 自主・自律  1ー(3)自主・自律 資料名 「知らない町」(出典 学研「わたしたちの道徳」3年) 2 主題設定の理由 (1)価値観  学習指導要領では、1ー(3)の目標を「自律の精神を重んじ、自主的に考え、誠実に実行してその結果に責任をも         つようにする。」とおさえている。 中学生の時期は、ある程度自主的に考え、行動することができるようになってきている反面、自分の判断に自信がも         てず、周囲の思惑を気にして、他人の言動に左右されてしまうことが少なくない。ましてや、生き方とか将来の進路に         関わることについては、徐々に考え始めているとはいえ、他に依存するところが大きい。 ここでは、自らの生き方を、自分の価値観に基づいて考え決定し、自分の人生を切り開いていくことの大切さについ         て考えさせたい。 (2)生徒観 学級活動等での話し合いの場面では、自分の意見をもち、話し合いをリードする生徒が何人かいる。また、授業では         積極的に発言しようという生徒もいる。そういう生徒が学級全体の活動の雰囲気を盛り上げている。しかし、その反面         話し合いの場面では、安易に誰かと同じ意見であると答えたり、周りの様子を見ながら自分の考えを決めたりする傾向         が見られる。また、その他の日常生活の場面では、人に言われてから行動することも少なくない。          進路についても、人に言われてから考えることが多く、まだ、自分のこととして受け止められない生徒が多く見られ         る。 昨年度に実施した「道徳教育に関するアンケート」の中で、1ー(3)自主・自律の項目についての学年の集計結果         は次のとおりであった。               ア よい   イ 大体よい  ウ あまりよくない  エ よくない  (%) +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−+ |対 象|         内         容 |ア|イ|ウ|エ| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−+ |生 徒|楽な方へと流されず、人に言われなくてもやるべきことはきちんとやる|3|38|50|9| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−+ |保護者|楽な方へと流されず、人に言われなくてもやるべきことはきちんとやる|13|37|42|8| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−+          これを見ると、生徒も保護者も、自ら進んで物事に取り組むということがあまりできていないととらえていることが         わかる。上述のように、学級としてもこの学年の集計結果と同じような傾向が見られ、自ら進んで物事に取り組むとい         う点が落ち込んでいる。 このような実態から、本資料を通して、自分の価値観や自分の判断に基づいて物事を考え決定し、その実現に向けて         行動していくことが、自分の人生を切り開いていく上で大切であるということに気づかせたい。 (3)資料観 業界ではトップクラスの中堅企業の経営者が、自分の息子を後継者にしようと一流の大学を受験させるが、息子は3         回目の受験にも失敗する。その直後、息子は家を出るが、会社の下請け工場で工員として働いていることを後で知る。         経営者は、息子を訪ねていき、その成長ぶりに驚く。そして、息子の生き方を理解し始め、その生き方を認めていくと         いう内容である。  息子の考え方を徐々に理解し、その生き方を認めていく父親の心情をとおしながら、自分の人生を自分の手で切り開         いていくことの大切さを考えさせたい。 (4)指導観 事 前−−−−−アンケート調査を行う。資料を読み聞かせ、本時への意識づけをさせる。 導 入−−−−−アンケートの結果から、本時の価値内容を意識させる。 展開の前段−−−父親の心情を読み取らせながら、価値を追求・把握させる。   展開の後段−−−生徒のこれまでの生活経験を振り返らせ、価値の内面化を図らせる。 終 末−−−−−本時の価値内容に関わる他の例を紹介し、価値の理解を深めさせる。 3 指導計画 +−−−−+−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |領 域 |項目・内容 |時  期|         ね      ら      い | +−−−−+−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |学級活動|進路先の調査|9月3週|各自の進路希望を把握し、進路指導に生かす。(進路希望調査) | +−−−−+−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |道  徳|知らない町 |10月1週|   別  記 | +−−−−+−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |学級活動|進路の選択に|10月4週| 各高校について調べさせ、それぞれの高校についての理解を深め、よりよい選択が| | |備えて | |できるようにする。(進学先の選択についての話し合い) | +−−−−+−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |学校行事|三者面談 |12月4週| 卒業後の進路について、保護者、本人、学級担任とで話し合い、就職先や進学先に| | | | |ついての希望をまとめる。(進路についての話し合い) | +−−−−+−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 4 本時の学習指導 (1) ねらい  自分の生き方を主体的に考え、自分の手で自分の人生を切り開こうとする態度を養う。 (2) 展 開 +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | | 教 師 の 働 き か け |   生 徒 の 反 応 | 指 導 上 の 留 意 点 |  評 価・準 備 | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | |1 「希望する進路」のアンケ|・さまざまな希望の進路がある| どのような理由で考えている| 事前にアンケートをと| |導| ート結果を発表し、価値への| な。 |のかを、他律型、自律型、その|り、表にまとめておく | | | 方向づけをする。 |・一応自分の進路を決めてはい|他に分類し把握する。 | | |入| | るけれど,しっかりとした理| | | | | | 由のある人は少ないな。 | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | |2 資料「知らない町」のあら| | 父親の目を通しながら、成長|紙板書 | | | すじを確認後、話し合いに入| |していく息子の行動や考え方を| | | | る。 | |とらえさせる。 | | | | | | | | | | | | | | |展|(1) 父親はどんな思いで息|・一生懸命勉強して、ぜひ会社| 息子に大きな期待を寄せる父|発問、紙板書 | | |   子を励ましてきたのだろ| を継いでもらいたい。 |親の気持ちを考えさせる。 | | | |   うか。 |・一流の大学に入ってほしい。| | | | | | | | | |開|     |  | | | | | | | | | | |(2) 息子が家を出たとき父|・頭が冷えたら帰ってくるさ。| 父親が、息子の行動をわがま|発問、紙板書 | | |   親はどう思っただろうか|・出来の悪い息子をもって悔し|ま・甘えからくるものと思い込| | |前|    | い。 |み,息子の真意を理解していな| | | |   |・息子の気持ちがどうしてもわ|いことに気づかせる。 | | | |       | からない。 | | | | | | | | | | |(3) 父親は、息子の姿から|・息子には息子の人生があると| 父親が認めた息子の生き方を|発問、紙板書 | |段|   何を感じ、「がんばれ」| 考えたと思う。 |考えさせる。 | | | |   と言ったのだろうか。 |・息子の気持ちがやっとわかっ| | | | |    | た。 | | | | | |・今までの自分の考え方を改め| | | | | | ようと思ったのではないか。| | | | |    |・自分の人生を、多少の苦労に| | | | | | も負けず精一杯自分の手で切| | | | | | り開こうとする生き方に感動| | | | |  | した。 | | | | |   | | |○ 本時の価値を把握で| | |    | | | きたか。 | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | |3 本時の価値と照らし合わせ| | | | |展| て自分の生活経験を想起させ| | | | | | る。 | | | | | | | | |プリント記入 | |開|・今まで自分で決めて自分で行|・部活動に関わること | 自分で目標を決め、その実現|◎ 本時の価値を今まで| | | 動したことはあるか。 |・学習に関わること |に向けて自ら行動することの大| の体験に照らし合わせ| | | |・進路に関わること |切さに気づかせる。 | 自分を見つめることが| |後| | | | できたか。 | | |  | | | | | | |  |  | | |段| | |  | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |終|4 講師の説話で締めくくる。| | 自分の人生を自分で切り開い|プリント記入 | | | | |ていこうとすることの大切さを| | | | | |印象づける。 | | |末| |  | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ (3) 評 価  自分の生き方を主体的に考え、自分の手で自分の人生を切り開こうとする態度を養うことができたか。 資 料 分 析 表 1 資料名   知らない町 2 価値項目 自主・自律 3 ねらい   自分の生き方を主体的に考え、自分の手で自分の人生を切り開こうとする態度を養う。 4 資料分析 +−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ |  主 要 場 面  | |主 人 公 の 意 識| |学 習 者 の 意 識| |意 識 の 焦 点 化| |    発 問 案 | +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ | | | | | | | | | | +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ |息子を鼓舞し続けた場面| |・息子を会社の後継者に| |・一生懸命勉強して会社| | 息子に大きな期待を寄| | 父親はどんな思いで息| | | | することが先代に報い| | を継いでほしいと考え| |せる父親の気持ちを考え| |子を励ましてきたのだろ| | | | ることになる。 | | ていたと思う。 | |させる。 | |うか。 | | + +・一流の大学に入ってほ+ +・父親は勝手だと思う。+ + + + | | | | しい | |・父親の考え方は古いと| | | | | | | | | | 思う。 | | | | | | | | | |・親とすれば当然の考え| | | | | | | | | | かもしれない。 | | | | | +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ | | | | | +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ |息子が家を出た場面 | |・頭が冷えたら帰ってく| |・せっかく期待していた| | 父親が、息子の行動を| | 息子が家を出たとき父| | | | るさ。 | | のに裏切られたようで| |わがまま・甘えからくる| |親はどう思っただろうか| | + +・出来の悪い息子をもっ+ + 父親はかわいそうだ。+ +ものと思い込み、息子の+ + | | | | て悔しい。 | |・父親は息子の気持ちを| |真意を理解していないこ| | | | | |・先代に申し訳ない。 | | 十分理解していないの| |とに気づかせる。 | | | | | | | | ではないかと思う。 | | | | | +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ | | | | | +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ |息子と食堂で話をする場| |・息子は、自分の考えで| |・息子には息子の人生が| | 父親が理解し、認めた| | 父親は、息子の姿から| |面 | | がんばっているな。 | | あると考えたと思う。| |息子の生き方について考| |何を感じ、「がんばれ」| | | |・成長したな。 | |・息子の気持ちがやっと| |えさせる。 | |と言ったのだろうか。 | | | |・苦労したんだろうな。| | わかったのだろう。 | | | | | | + +・自分の考えを押しつけ+ +・今までの自分の考え方+ + + + | | | | ようとした私が間違っ| | を改めようと思ったの| | | | | | | | ていたかもしれない。| | ではないか。 | | | | | | | | | | | | | | | +−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ 板書計画   道徳学習プリント +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |知らない町 | 組  番 氏名 | | |+−−−−+ +−−−−+ | || 父 親 +−−−−−−−−+ 息 子 | | ※ 今まで、自分で決めて自分で行動したことはありますか。 |+−−−−+ +−−−−+ |   (じっくりと考え具体的に書きましょう。) | ・一流の大学に入ってほしい ・父親の期待に応えようと | | ・会社を継いでほしい    頑張った | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | | |+−−−−+ +−−−−+ | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− || 父 親 | | 家 出 | | |+−−−−+ +−−−−+ | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |  ・頭が冷えたら帰ってくるさ | |  ・先代に申し訳ない | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |  ・出来の悪い息子をもって悔しい | | | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |+−−−−−+ | || がんばれ | | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |+−−−−−+ | | ・成長した息子の姿 | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | ・自分の考えでがんばっている | |  ・自分の考えを息子に押しつけていたのは間違い |  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | | | | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 自分の手で自分の人生を切り開いていきたい | | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | | | | −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+