印刷用紙:B4縦 1ページの行数:63 1行の文字数(半角で):122   −−以下 指導案本文−−   第1学年道徳指導案 日時  平成8年10月30日(水)5校時 学級  一年(男子 15名 女子 12名 計27名) 指導者 教諭 畑山 典子 1,主題名    広い心で(2−D 広い心) 2,資料名 雪合戦 (道徳の学習1 秀学社) 3,主題設定の理由 人間は、ともすれば自己本位の考えで行動することがままある。特に、中学生は一般に自我意識の目覚める時期だけに、自己主張や 自己顕示が強く、相手の気持ちや立場を考えずに、自分の考えのみで行動してしまいがちである。そのことで、相手を傷つけたり、感  情や意見が対立したりと、人間関係を壊し、自分や相手を孤立させてしまうことがある。また、相手の気持ちを考えることを面倒がり  、自分は自分、他人は他人という無関心に陥る場合もある。人は一人では生きていけない。人との関わりの中で生きる意味や価値を見  いだしていくものである。そうした中で、相手の立場を尊重する態度をもって人と接する時、お互いを理解し合える関係が生まれ、そ  のことが、人生を豊かで、明るいものにしていく。つまり、自分とは異なる立場や考え方を尊重し、色々なものの見方や捕らえ方があ  ることを理解し、広い心で人と接することが、人間関係を円滑にし、自分の生活を豊かにするのである。人の多様性を理解し、よりよ  い 関係を築こうとする意欲と、他の人と共に生きようとする姿勢をもつことを願い、この主題を設定した。 4,資料について この資料は、雪合戦をしていて、過失で老人の目に雪の玉をあててしまったガロッフィに対する人々の態度が描かれている。ガロッ  フィの過ちのみを責める町の人々、厳しさの中に、友を思う温かさを持って過ちを正すよう励ますガルロ−ネ、ガロッフィの過ちを許  しつつ、償いを促す校長先生、そして責めることもせず、ガロッフィの心を慮り、ただ静かに許すおじいさん、それぞれの立場に立っ  て考えることによって、他人の過失に対する一方的な言動を謹み、事態を冷静に把握し、広い心で人に接し、その上に立って、援助や 励ましをおくる態度を育成する上で適した資料と思われる。 5,生徒について 明るく、元気で、何事に対しても前向きに対処しようとする意欲と素直さが特徴的な生徒である。給食の持ち運びの手伝いなどよく  やる反面、粘り強さにやや欠ける面があり、自分に甘く、物事がうまくいかないと他のせいにする傾向がある。また、自分にできるこ  とは、他人もできると思っており、一方的に責めたりする場合がある。 事前アンケ−トの結果をみると 「人の過ちを責めたり、笑ったりしたことはあるか。」という問いに対して、全員があると答え、「任せた仕事ができない、発言など  で言い間違えた、テストの点数が悪い、自分ができることをできない」などの場合が多かった。この時、「なぜ、できないのか。」と  いう気持ちが大多数であった。逆に「自分の過ちを責められたり、笑われたりしたことはあるか。」という問いに対しても、全員があ  ると答え、上記にあげられた場合と一致していた。この時の気持ちは、「くやしかった、かなしかった、恥ずかしかった、そんなに責  めなくても、自分だってやっているくせに」など、自分の非は認めながらも、傷ついたという回答がでた。このように、自分がされれ  ば嫌だと思いながら、逆の立場に立ったとき、相手の立場や気持ちを考えられない傾向にある。また、「相手のことを考え、何かをし  て、お互いに喜び合えた経験はあるか。」という問いに対して、ほぼ全員があると答え、具体的には、「けやき荘訪問、体育のマット  運動など、家庭科作品作り、足の不自由な人やお年寄りの手助け、班での共同作業」などがあげられた。その時の気持ちは、「役に立  ちたい、できるようになってほしい、喜んでほしい、大変そうだな。」など、相手を慮る思いにあふれていた。ここから、相手のため  に何かしたいという優しさをもっていること、その思いを発揮できる場があれば、思いやりを示すことができる生徒であることがうか  がえる。 日常生活や、全校体制のボランティア活動の場での、相手の心や立場を考えた言動の大切さを知り、このような言動をしようとする  意欲を持とうとする機会としたい。 6,本時の指導 (1)本時のねらい  @多様な考え方や立場があることを理解し、その上にたって相手を尊重し、広い心で接しようとする態度を持とうとする意欲を持   たせる。 (2)本時の展開 +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |段|時| 学習活動 | 予想される生徒の反応 | 指導上の留意点| |階|間| | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |導| |1,人の過ちを責めたり、また逆の立場にな|1,事前アンケ−トの結果をもとに、どのような体験|・指名する。 | | |10| った体験を確認する。 |かを確認する。 |・みんな同じ体験を| |入|分|(1)人の過ちを責めたり、笑ったりした体|・任せた仕事をしてこない時、「なぜ、してこない」|しているという理解| | | | 験はあるか。それはどのような体験で、ど | と怒った。 |にとどめる。 | | | | んな気持ちだったか。 |・発言して言い間違えたのを、笑った。 |・どんな気持ちだっ| | | | | |たかを特に確認する| | | |(2)自分の過ちを責められたり、笑われた|・仕事をしてこないと責められた。そんなに責めなく| | | | | りした体験はあるか。それはどのような体 | ても、と思った。 | | | | | 験で、どんな気持ちだったか。 |・発言して言い間違えたのを笑われ、恥ずかしかった| | | | | | | | | | |2,粗筋を確認する。 |2,粗筋を聞く。 |・登場人物と事件を| | | |(1)主な登場人物はだれか。 |・ガロッフィ、ガルロ−ネ、町の人々、校長先生、 |確認する。 | | | | |おじいさん |・提示する。 | | | |(2)だれがどんな事件を起こしたのか。 |・ガロッフィが誤って、おじいさんの目に、雪玉をあ| | | | | |てた。 | | | | |3,感想を発表させる。 |3,感想を発表する。 | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | |4,課題を設定する。 |4,課題を設定する。 | | | | | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | |校長先生とおじいさんは、なぜ、ガロッフィを許したのか。| | | |展| | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |30|5,責めるだけの町の人々の心理について考|5,過ちを責める行為は、だれにでもあることなので|・「広い心」で接す| | |分| える。 |、批判とともに、同調意見も出させる。とともに集団|るということは、頭| | | | |心理であることも理解させる。 |ではわかっていても| | | |(1)町の人々の態度をどう思うか。 |・間違ってしたのだから、こんなに責めなくてもいい|、思わずしてしまう| | | | |と思う。 |行為であることに気| | | | |・ただ、責めるだけでひどいと思う。 |づかせる。 | | | | |・怪我をさせたのだから当然だ。 | | | | | | | | | | |6,大騒ぎになり、おびえるガロッフィの心|6,悪いことをしたと思いながら、大騒ぎの中、心か|・ガロッフィが、心| | | | 理を理解する。 |らおびえているガロッフィの心理を理解させる。 |から反省し、おびえ| | | |(1)ガロッフィはどんな気持ちだろうか。|・出て行ったら、何をされるかわからないので、おび|ていることを押さえ| | | | |えている。 |させる。 | | | | |・心から反省しているが、出て行く勇気がない。 | | | | | | | | | | |7,校長先生とおじいさんが、ガロッフィを|7,校長先生とおじいさんは、ガロッフィが充分反省|・相手の立場や状況| | | |許した心理を理解する。 |し悔いていることを理解し、これ以上苦しめる必要は|を理解し、そのうえ| | | | |ないと判断し、許したことに気づかせ、正しい判断に|にたっての言動の大| | | | |基づき、相手の立場や気持ちを尊重する、寛容の精神|切さに気づかせたい| | | | |の大切さに気づかせる。 |。 | | | |(1)校長先生とおじいさんはなぜ、ガロッ|・ガロッフィが心から反省していることを、わかって|・ガルロ−ネの存在| | | |フィを許したのか。 |許したと思う。 |にも触れたい。 | | | | |・反省しているのだから、これ以上責めてはいけない| | | | | |と思ったと思う。 | | |開| | | | | | | |8,相手の立場にたって行動し、共に喜び合|8,事前アンケ−トの結果をもとに、どのような体験|・指名する。 | | | | えた体験を確認する。 |かを確認する。 |・どんな気持ちだっ| | | |(1)相手のことを考え行動し、共に喜び合|・足の不自由な人が階段を上がるのを手助けをした。|たかを特に確認する| | | | えた体験はあるか。どんな気持ちだったか | 大変だろうなあと思ったから。 |。 | | | | |・けやき荘訪問で楽しんでもらおうと一生懸命踊った| | | | | | ら、喜んでもらえた。 | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |終| |9,これからの生活やボランティア活動への|9,これからの生活やボランティア活動で、相手の立| ・具体的に出させる| | | |、意欲を喚起する。 |場や気持ちを考え、行動しようとする意欲をもたせる|ようにする。 | | |10|(1)これから障害をもった人やお年寄り、|・ボランティア活動で、相手に喜んでもらえることを| | |末|分|身近な人で立場の弱い人たちにどんな気持ち| したい。    | | | | |で接したらよいか。 |・みんなで仕事をするときには、一人一人できるよう| | | | | |援助したり、協力したい。 | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ (3)評価の観点  @多様な考え方や立場があることを理解し、広い心で接する態度をもとうとする意欲をもったか。 道徳事前アンケ−ト 番氏名 −−−−−−−−−−−−−−−−− 1,他の人が失敗したり、間違ってしてしまった事を、一方的に責めたり、笑ったりし た事はありますか。それは、どんなときで、どのような態度をとり、どんな気持ちだ ったのかを書きなさい。 ◆どんな時 ・間違いをしたとき(言い間違い、読み間違い) −−−−−−−−−−−−−16 ・自分の役割をしないとき(割り当てを書いて来ない、へた) −−−−−−− 8 ・テストの点数−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2 ◆どのような態度 ・笑った−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−16 ・責めた−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−10 ・見下した−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 3 ◆どんな気持ち ・なぜ、できない −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−13 ・おもしろい、おかしい −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−10 ・相手が悪い −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 ・すっきりしなかった −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 6 ・後悔した −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 2,1と逆に、責められたり、笑われたりしたことはありますか。それはどんなときで  どのような態度をとられ、どんな気持ちだったか書きなさい。 ◆どんな時 ・間違いをしてしまったとき(言い間違い、読み間違い)−−−−−−−−−−19 ・自分の役割をしないとき(割り当てを書いて来ない、へた) −−−−−−− 2 ・失敗したとき(クラブ、分担、合唱) −−−−−−−−−−−−−−−−− 7 ◆どのような態度 ・笑われた −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−15 ・強く責められた −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−11 ・見下された −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2 ◆どんな気持ち ・恥ずかしい −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−22 ・自分だってやっているくせに−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 6 ・くやしかった−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−12 ・しかたない−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 3,だれかのことを考え、その人のために何かをしてあげて、お互いに喜び合えた体験 はありますか。それは、どんなときで、どんな気持ちで、どのような態度でやったこ とですか。書きなさい。 ◆どんな時 ◆どのような態度 ◆どんな気持ち 4,人から何かをやってもらって、お互いに喜び合えた体験はありますか。それはどん な時で、相手はどのような態度で、されたときどんな気持ちでしたか。書きなさい。 ◆どんな時 ◆どのような態度 ◆どんな気持ち 道徳ワ−クシ−ト PART1 番氏名 −−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1,主な登場人物を書きなさい。 2,どんな事件が起こったか書きなさい。(いつ、だれが、何を、どうしたか) 3,登場人物がガロッフィにとった態度の中で、一番自分に近いのはだれの態度か。 それはどうしてか。書きなさい。 ◆だれ( ) ◆理由 4,感想を書きなさい。 道徳ワ−クシ−ト PRAT2 番氏名 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 1,なぜ、校長先生やおじいさんは、ガロッフィを許したのだろう。 2,これから障害をもった人や、お年寄りなどの立場の弱い人や、身近な人たちに、ど  のような態度で接したらよいか。