印刷用紙:B4縦 1ページの行数:54 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−              第2学年道徳学習指導案                                           日 時 平成8年11月19日(火)2校時                      学 級 2年A組(男子15名女子14名計29名)                      場 所 2年A組教室                      指導者 教諭 中村聡子 1 主題名 生きることについて 2 資料名 「虔十公園林」宮沢賢治作(出典:宮沢賢治童話集) 3 主題設定の理由 (1) 価値について  学習指導要領には、1−(5)についての内容項目を「自らを振り返り自己の向上を図るととも に、個性を伸ばして充実した生き方を求めるようにする。」とある。      よりよい人生をつくっていくには、常に自分の在り方を振り返り、ありのままの自己を受容し理 解することが基点となる。とかく目先のことだけにとらわれて生活しがちになるが、もっと広い視 野にたち、心を大きく開き、人間関係や自分の生き方を考えることが大切である。そこで、それぞ れが自分という人間を深く見つめ、考え、よりよい生き方を見つけてもらいたいと願う。 (2) 生徒の実態  中学生という時期は、自我が芽ばえ、自分の考え方が次第に確立されてくる頃である。しかし、 思春期の真っ只中にあり、心身ともに急成長し心が大きく揺れ動き悩みを抱えている。また、学級 では、一学期は落ち着かない生活が見られたり、望ましくない人間関係があったりしたが、徐々に よい人間関係が生まれ思いやりの場面も見られようになってきた。何か学級の中で問題が起きたと きは、真正面から向かっていこうとする姿勢にはやや欠けるが、堂々と友達の前で発言し、お互い の考え方を理解できるようになってきている。  そこで、この作品を読み自分なりの意見を持って発表させたり、お互いの意見を聞いたりし、 虔 十の生き方と関わらせて、自分の生き方を考えさせたい。          (3) 資料について                                    虔十は杉苗を植え、子供達がモズのように喜ぶ杉林を作っただけであるが、アメリカ帰りの大学 教授は「ああ、全くだれが賢くないかわかりません。ただどこまでも、十力の作用は、不思議です 。」と言っている。人は見た目で分からない。そして、人それぞれの生き方があることを述べてい る。心身障害者である虔十が、無償の行為によって現世に喜びをもたらした。この宮沢賢治の「虔 十公園林」という作品を通して、いろいろな考え方や生き方を知り、自らの学校生活や生き方を探 究していくことを学んでほしい。 4 研究主題との関連  本単元「虔十公園林」では、生徒それぞれが、いろいろな感じ方がある事をお互い理解し、 その 中で無償の行為によって、現世に喜びをもたらした事に気づいてもらいたい。  そこで、前時にはこの作品を読み、虔十の生き方について感想を持って、本時に臨むようにする。  また、生徒指導の機能を生かす道徳授業を目指して、次のような点に配慮しながら、授業を行う。 (1) 生徒が安心して、自分の思いが言えるように、一人一人の発言を大切に受けとめて、話し    合いの中に組み込んでいく。 (2) 生徒が自己のよさを自覚したり、他の人のよさに気がつき、認め合う事ができるように授    業を通して学んだ事を記述させたり発表させたりする。 (3) 生徒一人一人の感じ方や考え方を把握し、補助発問なども工夫しながら授業を展開する。 5 ねらい  自己の特性を考えながら、自己を生かして充実した生き方を求めて努力していく態度を育てる。 6 展開の大要 +−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−+ |展開|教師の働きかけ |期待する生徒の反応 |指導上の留意点 |資料| +−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−+ |導 |1 資料を読む。 |・虔十の生き方について考えな|・生徒がどんな感想| | |入 | | がら、資料を読む。 | をもっているかを| | | |2 感想を発表する。 | | しっかりとらえる| | |10分|3 学習課題の確認をする| | 。 | | | | 。 | | | | | | +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+| | +−−+−−+虔十の生き方について考えよう。 ++−−+ | | +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+| | | |4 虔十の生き方について| | | | | | 考える。 | | | | | | | | | | | |@ 虔十はどんな人だろう|・ちょっと変な人 |・いろいろな感じ方| | |展 | か。 |・優しい人 | があることに気づ| | | | |・自然が大好きな人 | かせる。 | | | | |・人の嫌がる仕事を一生懸命に| | | | | | する人 | | | | | | | | | | | | | | | | |A 虔十の生き方をどんな|・何も自分の得にならないよう|・さまざまな生き方| | | | ふうに思うか。 | なことはしたくない。 | があることをとら| | | | |・ばからしい生き方だ。 | えさせる。 | | | | |・何でもまじめに仕事をし、自|・クラスの人たちの| | | | | 分のためにというよりも人の| 意見を聞いて、い| | | | | ために頑張る姿がいい。 | ろいろな意見があ| | | | |・すばらしい生き方だ。 | ることを理解させ| | | | | | る。 | | |開 | | |・補助発問を工夫し| | | | | | ながらたくさんの| | | |B 博士はどんなことを考|・人それぞれの考え方や生き方| 意見を引き出す。 | | | | えてつぶやいたのだろう| があるんだな。 |・博士のつぶやきの| | | | か。 |・人は外見で判断できない。 | 意味を考え、博士| | | | |・無償の行為によってみんなを| の気持ちに共感さ| | | | | 喜ばせてくれるなんてすばら| せる。 | | |35分| | しい人だ。 | | | +−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−+ |終 |5 今日の授業でどんなこ|・虔十の生き方と自分の生き方|・プリントに記入さ|プリ| | | とを学んだか。 | と関わらせて感想を述べる。| せる。 |ント| |結 | | | | | |5分| | | | | +−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−+ 7 評価 (1)人生には、さまざまな生き方があることを理解することができたか。       (2)クラスの人の考えをしっかり聞き、それに対して意見を持つことができたか。  『資料分析図』 主題名 生きることについて 資料名 宮沢賢治作 『虔十公園林』 +−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ +−+ |・虔十が杉の苗を700本| |・杉の林が大きくなり、| |・虔十が平二に杉の木が| |・虔十が亡くなって、20| |場| | を親から買ってもらって+−−−+ 子供達が自然と集まる+−−−+ 邪魔だから切るように+−−+ 年近くたってから、村| |面| | 硬い粘土に植える場面 | | ようになった場面 | | 言われる場面 | | 出身の大学教授が杉の| | | | | | | | | | 林を訪れる場面 | +−+ +−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ | | | | +−−+ +−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ |登気| |・こらえ切れないくらいに| |・虔十は嬉しくてたまらな| |・虔十は、杉の木を絶対に| |・昔のままの杉の林を見| |場持| | ニコニコ笑って嬉しかっ| | かった。 | | 切りたくなかった。 | | て懐かしく思った。 | |人ち| | た。 | |・子供達は喜んで杉の林を| | | |・無償の行為によって世| |物 | |・まわりのみんなは虔十を| | 歩いた。 | | | | に喜びをもたらした虔| |の | | 馬鹿なやつだと思った。| | | | | | 十の生き方に感心した。 | | +−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ +−−+ | | | | +−+ +−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ |基| |・虔十はどんな人だろうか。 | | |・博士はどんなことを考| |本| | +−−−+ ・虔十の生き方についてどう思うか。 +−+ えてつぶやいたのだろ| |発| | | | | | うか。 | |問| | | | | | | +−+ +−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ | | | | +−−+ +−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ |期る| |・ちょっと変な人。 | |・自分の得にならないようなことはしたくない。 | |・人は外見じゃない。 | |待反| |・優しい人。 +−−−+・とても馬鹿らしい生き方だ。 +−+・人それぞれの考え方が| |さ応| |・自然が大好きな人。 | |・何でも仕事をまじめにし、自分のためよりも人のために頑張| | あるんだな。 | |れ | |・人の嫌がる仕事を一生懸| | る姿がいい。 | |・無償の行為によって、| +−−+ | 命にする人。 | |・すばらしい生き方だ。 | | みんなを喜ばせすばら| +−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | しい人だ。 | +−−−−−+−−−−−+ |                                                          生き方を学ぶ