中学校1年 技術・家庭(金属の種類と特徴を調べてみよう)指導案 上田中学校 用紙は B4 縦  1行 114字(半角) 1ページ 114行に設定してください。   技 術・家 庭 科 学 習 指 導 案                           指導者  高 橋 昭 三  1.日  時  平成元年7月7日(金)    第2校時    2.学  級  1年1組 男子21名 女子17名 北校舎1階 技術1   3.主  題  『金属の種類と特徴を調べてみよう』(4、金属とわたしたちの生活) 4.主題について   金属の使用は,紀元前4000年の新石器時代にさかのぼるといわれる.金属の歴史は,  人類の生活と密接にかかわりながら,青銅器時代.鉄器時代.アルミ合金時代と変遷し  てきた.これは,材料の革新の歴史でもある.ところで,鉄を中心とした金属加工技術  は,相変わらず現代工業の重要な位置を占め,本教科で学習する意味もここにある.    金属加工1では,薄板金による作品の製作を通して金属材料の性質,加工法,工具の  使用等について学習することになる.題材としてフライ返し・連絡ボードを取りあげた  のは、2種類の題材により,加工経験の少なさを補い、金属の様々な性質を体験的につ  かまえさせ、加工の基礎から自主題材へと生徒の創意工夫の能力を引き出したいからで  ある。   さて,金属製品は生徒達の周囲に多岐にわたって使用されているのにもかかわらず金  属材料に対する知識・関心は非常に薄いといわざるをえない。細長い物は全て針金であ  り、トタン板とアルミを区別できない状況にある。まして、鉄は炭素との合金であり炭  素量の違いにより硬さや熱処理に対する性質の違いが有るなどと思ってもいないのであ  る。そこで、生徒にみじかな金属製品を持ち寄らせ、材料標本を作る中で、材質の見分  け方を考え、実験しながら金属の一般的性質、各種金属の固有の性質を体験的にとらえ  させたいと考える。この学習は次の『金属材料の種類と性質』につながり金属に対する  興味・関心を高める意味もある。 5.指導計画  (指導構想表 参照)  4、金属とわたしたちの生活    ・・・・・・・・・・・  3時間(本時1/3 )  5、金属材料の種類と性質     ・・・・・・・・・・・  7時間        6、加工技能を高めよう      ・・・・・・・・・・・  3時間 6.本時の達成目標   金属材料標本を作る中で金属の一般的性質がわかり鉄金属・非鉄金属の区別ができ、  鉄にも軟鋼・硬鋼・鋳鉄があるといえる。 7.本時の展開                                                                                                            段 過 時                         個 人 差 に 対 す る 配 慮                    学   習   活   動                           資料教具等  階 程 間                        評価の視点・方法    留 意 事 項                                                                        1.各自「金属標本」を作るために、どんな金             学習シートに班で集 学習シート    課    属製品を集めて来たか確認する。                  まった金属製品を記        導                           2           入する。               題   2.身の回りで活躍している金属材料の種類は                                     どんな物があるか名前を上げることができる  鉄・銅・金・銀・鉛                     把                          アルミ・亜鉛・ステ                         3、本時の学習課題は金属材料の種類選別の方  ンレスなどをあげる                   入 握    法がわかり、金属材料標本を作ることである  ことができたか                         5  といえる。                                                 分                        指名発表(B)                     ・ ・ ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4                                                                    4,予想がつかない              4、各自が持ってきた金属製品がはたして金属  丈夫である・光沢が  場合は教科書59頁よ 教科書    展 課    であるかどうか確める方法を金属の一般的特  ある・熱に強い・電  りあげさせる。                 徴よりあげることができる。         気や熱を良く伝える                                                といえたか                             5、持寄った金属製品が金属材料であるかどう              教師製作の金属標 電池・豆電         か電流を流して確めることができる。    指名発表(I、B)   本も電流実験する。 球                                                        金属標本                                                                                                                           6、鉄と非鉄金属を区別する方法がわかり、そ                       釘             れぞれの金属製品で確めることができる。                        ステン釘     題                                               黄銅釘                                                                   7、金属製品の多くが鉄でできていることがわ 7           ・ほとんど鉄製品で アルニコ          かる。                              あることから鉄の細    磁石                               磁石によりほとんど  かい分類の必要性に                                     が鉄製品であること  気付かせる                                         がわかったか。                                                                                                          机間巡視                           の   8、鉄をさらに細かく区別する方法をあげるこ                                     とができる。                                                                                    ・金切りばさみでト ヤスリ          9、たたく、やすりで傷付けて見たりして硬さ             タン板を切ることで ハンマー          を確めることができる                       鉄の硬さの違いに気 金敷き                                            付かせる。                  10、鉄材料には、軟鋼・硬鋼・鋳鉄がありそれ                       釘・コンク         ぞれ硬さなどに違いがあるといえる。                          リ釘                                                                                          11                     針金・ピア    追   11, 鉄材料は炭素との合金であることを鋳鉄の             ・鋳鉄の顕微鏡写真 ノ線            金属顕微鏡写真より考えることができる。   各自の鉄製品を軟鋼  より「もろさ」を考                                     硬鋼・鋳鉄と区別で  えさせ炭素の存在に                                     きたか        きづかせる。                                                                          12、火花試験より炭素の含有量を推定すること 机間巡視        ・試験片による火花 グラインダ         ができることを知る。                       試験を観察させる。                                                                                                                          開 求   13、硬さの違いは炭素の含有量の違いであるこ                                  35  とがわかる。                                                分                                                                                                             ・ ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・                                                            14                            終 ま   14、各自が持寄った金属製品のうち鉄金属を区                                     別しまとめておくことができる。       炭素の含有量が多い                     と 10                        ほど硬くもろくなる                       分                        ことがわかったか                    末 め   15、次時は非鉄金属を識別し標本を作ることで                                     あるといえる。              指名発表(A、B)                                                                                                                                     ・                                                 金属標本を作ろう 1、金属を集める          一人4点以上  4人で15点       2、金属かどうか確めよう (一般的性質)  検討方法の選択?・・ 方法課題                                            ・熱・電気をよく通す         電気を通して見よう    ・                    ・                      導通テスター    ・                      ヤスリ・・・塗装に注意    ・                    ・                    ・                    ・                                      3、金属の個々の種類選別方法は?                                            色    重さ(比重)  硬さ  手触り                                                              4、最も使用されている金属は    8割は鉄だ                                           鉄   アルミ   銅    鉛  ずず 亜鉛 青銅・黄銅・                                                      アルミ合金                 磁石につく       磁石につかない                                              鋳鉄・軟鋼・硬鋼                                                                              金とこの上でハンマーでたたく 鋳鉄は砕ける                                                        針金  軟鋼        針・ピアノ線 硬鋼                         曲げる・たたく・やすりで傷付ける・焼入れをする  鉄でも性質が違うのは原因は何か                     金属顕微鏡写真       鋳鉄 炭素   %                 軟鋼      %                 硬鋼      %  鉄は炭素との合金であった       火花試験    炭素爆発                            ステンレス鋼は火花が出るか      でない  磁石につくが火花が出ない                          (鉄・クロム)                          磁石にもつかない、火花でない                          (鉄・ニッケル・クロム)                              18    8 鋼 高級 5、非鉄金属の区別    色        アルミ             銅    黄銅(弾性あり) 金属加工学習シート           T金属とわたくしたちの生活(教科書59頁)                                         [身近かな金属製品で金属材料の標本を作ってみよう]                                                        自分の知っている金属の名前をたくさんあげてみよう。                                                                                                                                       どんな実験     金属材料を見分けるための実験結果         材質名  をすると金                                   属どうしを 実験 A   実験 B    実験 C               区別できる                                   のだろうか                                                                           金属製品名                                                                           例 画鋲    O     O   つぶれる  よくかかる      軟 鋼 金属加工学習資料 1)金属と合金   金属元素は70余種あるが、工業上よく使われるのは、鉄、銅、亜鉛、すず、アルミ  ニウム、ニッケル、マグネシウム、タングステン、クロムなどである。2種類以上の金  属がとけあって性質の違う金属の性質を示すものを合金という。   鉄は金属総生産の大部分を占め、鉄と炭素を主成分とする合金として使用される。  元素としての鉄(純鉄)はほとんど使われない。 2)鋳鉄   鋳鉄は炭素の他にけい素、マンガン、りん、いおうなどもわずかに含む。1140  度で溶けるが、さらさらしているほうが鋳造しやすい。1.7 〜6.67%の炭素を含む鉄が  鋳鉄である。鋳造しやすいものは4.3 %付近のものである。ストーブ、自動車のシリン  ダ・ブロック(エンジンの主要部分)鉄びんなど砂型に流しこんで作る。   鋳鉄は割れやすい。われ口はレンガを割ったように凸凹している。鋳鉄は全部が均質  ではなく、炭素がかたまりになっている部分があり、硬い部分もあるが、軟らかい部分  もあって、ヤスリがよくかかり全体としては鋼鉄より軟らかい。   3)鋼鉄   鋳鉄の材料(銑鉄)を平炉、電気炉などでとかし、不純物をとりさる。かたまりにな  って入っていた炭素も1.7 %以下になる。このようにして取出した鋼塊は、ねばりがあ  って溶けてしまう前の温度で、たたいたり、のばしたりして形をかえることができる。  あついうちにローラでのばして鋼材に作られる。次のような物がある。                                               炭素の量                                                                             〜 0.10     トタン、ブリキ板、クギ、ドラム缶                                                     0.10  〜 0.20     鉄筋、橋梁                                                                0.20  〜 0.30     ボルト、ナット、自動車の台                                                        0.30  〜 0.40     傘の柄 、スパナ                                                             0.40  〜 0.50     スコップ 錠                                                               0.50  〜 0.65     レール  丸のこ 鉄道車輪  ハンマ   ドライバ                                            0.60  〜 0.90     のこぎり ナイフ                                                             0.90  〜 1.00     キリ かなづち                                                              1.00  〜 1.10     タップ ダイス  ナンナの刃                                                       1.10  〜 1.30     センタポンチ  ヤスリ  ドリル                                                     1.30  〜 1.50     カミソリ カターナイフの刃                                                        1.7  〜 6.67      鋳鉄                                                                                                                        釘                                                                               針金                                                                              コンクリ釘                                                                           ピアノ線