印刷用紙:B4縦 1ページの行数:56 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−   第2学年保健体育科学習指導案                      日 時  平成8年11月19日(火)2校時                     学 級  2年BC組男子(B組16名、C組16名)                      場 所  順道館(柔剣道場)                                 指導者  教諭 岩 渕  進 1 単元名  武 道 ( 柔 道 ) 2 単元について武道領域の大きな特徴は、「格闘」という要素を持つ対人競技であるということであ  る。そこで「格闘する」ということをどのように生徒に教えるかということであるが、ただ単に「競  う」ということだけではなく、「不当な暴力や、危険な動物から身を守る必要が生じた場合、それに  対処できる気構えと、身のこなしが必要である。」という教え方をしたいと基本的には考えている。  ただ、授業において「本気で格闘する」というレベルまで高めるには、柔道の基本的な技能である受  け身を完全に体得させなければ危険が伴う。そこで、2年生の指導においても「さまざまな投げ技に  対応して、正確で安全な受け身をとることが出来る」ことを第一に考えている。「投げられるのが怖  くない」という受け身に対しての自信ができて、初めて生徒は「柔道は怖くない」ことを実感できる  と考えるので、3年間の授業の中で、特に受け身に重点をおいた指導を積み重ねていくことにより、  生徒に自信をつけさせたい。また、武道領域の精神面の重要な特徴の一つに「礼儀」がある。武道は  「礼に始まって、礼に終わる」と言われているが、「礼」という相手を尊重する気持ちや、公正な態  度を学ぶことは現代の生徒にとって、大変意義あることだと考えている。 3 生徒の実態身体を動かすことが大好きな生徒が多く、声も大きく元気がよいため、積極的な授業の  雰囲気の学級である。反面、運動を苦手にしている生徒も何人かいて、他の生徒に比べて運動を体得  するまでの授業においても、無理をしないこと、正確にかけること、ゆっくり投げることを指導して  安全に柔道の学習ができるように指導していきたい。 4 単元の目標及び指導計画 +−−−+−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−−+−−+ |単 元| 指導内容 | 指導目標 |運動や健康・安全へ|運動や健康・安全| 運動の技能 |運動や健康・安全|時間| | | | |の関心・意欲・態度|への思考・判断 | |への知識・理解 | | +−−−+−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−−+−−+ | |柔道の知識 |柔道の基本的な知識|相手の身体と心を大|柔道の危険性につ|技能について理|安全への理解を深|1 | | | |を理解できる。 |切にしようとする態|いて十分に考えさ|解を深める |める。 | | | | | |度を育てる。 |せる。 | | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−−+−−+ | |受け身 |安全に受け身をとる|自他の安全に留意す|危険な投げ方につ|・後受け身 |正しい受け身の技|4 | | | |ことができる。 |る態度を育てる。 |いて考えさせる。|・横受け身 |能について理解す| | | | | | | |・前回り受け身|る。 | | | 柔 | | | | |・投げられての| | | | | | | | | 受け身 | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−−+−−+ | |抑え技 |抑え技の技能を正し|意欲的に技の修得に|技のポイントにつ|・袈裟固め |正しい抑え技の技|2 | | | |く体得できる。 |努めさせる。 |いて考えさせる。|・縦四方固め |能について理解す| | | | | | | |・横四方固め |る。 | | | +−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−−+−−+ | |投げ技 |正確な投げ技が身に|意欲的に技の修得に|技の手順、正しい|・大腰 |正しい投げ、安全|5 | | 道 | |付くように練習し、|努めさせる。 |動作について考え|・釣り込み腰 |な投げについての| | | | |その中から得意技を| |させるとともに安|・背負い投げ |知識を身に付けさ|本時| | | |見つけることができ| |全な態勢で投げる|・一本背負い |せる。 |5 | | | |る。 | |ことができるよう|・出足払い | |−−| | | | | |にする。 |・大外刈り | |5 | | | | | | |・大内刈り | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−−+−−+ | |総合試合 |自由練習(乱取り)|安全に留意しながら|動きの中で相手の|上記の技を使う|相手のバランスの|3 | | | |ができる。 |意欲的に練習する態|バランスを崩すこ| |崩し方を理解する| | | | | |度を育てる。 |とを考えて行う。| | | | +−−−+−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−−+−−+ 5 研究主題との関連「生徒指導の三機能(自己決定の機会・自己存在感・共感的人間関係)を生かし  た生徒指導と、三機能が生かされない生徒指導とはどう違うのか?」と考えてみると、「生徒の存在  や人間性を大切に考えた生徒指導か、そうでないか」という違いだと考えられる。この考え方を授業  にあてはめてみると、「生徒の存在や、人間性を大切に考えた授業」を研究、実践いていくことが、  研究主題につながっていく授業であると思う。柔道の授業において、生徒を大切にした授業とはどう  いう授業かというと、まず第一に、一人一人の生徒の学習スピ−ドを考慮しながら、どの生徒にもし  っかりとした受け身の技能を身に付けさせることが必要であると考える。(受け身ができれば、投げ  られるのが怖くない。怖くなければ、いろいな練習や試合をすることができて、柔道のおもしろさを  体得できる。)また、柔道の技能レベルの高い生徒が、低い生徒に「礼」の気持ち(相手を大切にす  る気持ち)を持って練習や試合ができるような、よい人間関係の成立した授業であるということが重  要なポイントだと思うので、特にこの二点を意識して指導していきたい。 6 本時の目標  1 既習の投げ技の中から、自分の好きな技を選び、いろいろと工夫しながら練習することによって   、その技の「くずし・つくり・投げ」の三要素を理解し体得できる。  2 投げられた技に対応して、安全に受け身をとることができる。  3 よい人間関係の中で授業ができる。(教師と生徒、生徒と生徒、の両方において) 7 指導過程 +−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+ | | | | 個への配慮 |資料| |過 程| 学習内容 | 生徒の活動 +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+教具| | | | | 指導上の留意点 | 評価の観点 |等 | +−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−+ | |1 着替え |・手際よく着替え|・体調や心理状態の|・しっかり観察で| | | | | た物を整理整頓| 観察をする。 | きたか。 | | | 導 |2 整列 |・正座して班毎に|・同上 | | | | | | 整列する。 |・人員の確認 |・人員の確認が正| | | |3 あいさつ |・座礼 | | 確にできたか。| | | |4 健康観察 |・自己の体調を自|・体調が悪いと答え|・体調が悪いと答| | | 入 | | 覚する。 | た生徒の様子を聞| えた生徒の状況| | | |5 準備運動 |・一斉に準備運動| く。 | 把握ができたか| | | | | をする。 |・特に運動を苦手に|・観察がしっかり| | | |6 受け身の練習|・後受け身 | している生徒の様| できたか。 | | | | | 前受け身 | 子を観察する。 |・適切な助言がで| | |10分| | 前回り受け身 |・受け身が完成して| きたか。 | | | |7 本時のねらい| | いない生徒に適切| | | | | と確認 | | な助言をする。 | | | | |+−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−++ | +−−−++今まで習ってきた投げ技の中から自分の好きな技を選び自分の得意技にしよう。+−+ | |+−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−++ | | |8 既習の技の復|・背負い投げ |・スピ−ドをつけず|・安全に、正確に| | | | 習 | 一本背負い | に安全に練習させ| 技の復習をさせ| | | | | 大腰 | る。(くずし・つ| ることができた| | | | | 釣り込み腰 | くり・かけ)を区| か。 | | | 展 | | 出足払い | 切ってやらせる。| | | | | | 大外刈り | | | | | | | 大内刈り | | | | | |9 自分の好きな|・技を決める。 |・挙手により確認す|・全員が自己決定| | | 開 | 技を選ぶ。 | | る。 | できたか。 | | | |10自分の決めた|・打ち込み、投げ|・「くずし」「つく|・うまくいかない|ビデ| | | 技を練習する| 約束練習等を自| り」「かけ」のど| 部分を自覚させ|オ | | | | 分で選択して練| こができないのか| て練習させてい| | |35分| | 習する。 | を考えさせる。 | るか。 | | | |11練習の成果の|・全員で技の研究|・よくできていると|・生徒のよいとこ| | | | 発表 | をする。 | ころを賞賛する。| ろを正しく認め| | | | | | | ているか。 | | +−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−+ | |12感想発表 |・自分の感想を発|・技能レベルの上位|・うまく言えない| | | | | 表する。 | ・中位・下位、そ| 生徒への適切な| | | 終 | | | れぞれの生徒の感| 対応ができたか| | | | | | 想を聞く。 | | | | |13整理運動 |・一斉に整理運動|・怪我の有無の確認|・確認ができたか| | | |14整列 |・正座して整列 |・生徒の様子をよく|・観察ができたか| | | 結 | | | 観察する。 | | | | |15次時の内容確|・次時の内容確認|・全員に理解させる|・理解できるよう| | | | 認 | | | に話せたか。 | | |5 分|16あいさつ |・座礼 |・丁寧な礼の仕方 |・丁寧に礼ができ| | | | | | | たか。 | | +−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−+ 8 評価の観点  1 自分の選んだ技の「くずし・つくり・かけ」が一連の流れの中でスム−ズにできていたか。  2 投げられた技に対して、安全に受け身がとれていたか。  3 よい人間関係(共感的理解・自己存在感)の中で授業ができていたか。