印刷用紙:B4 縦置き 連続用紙 1行文字数(半角で):114 1ページ行数:57 選 択 国 語 学 習 指 導 案                                    日 時 平成6年11月16日(水)2校時 生 徒 3年 男子5名、女子5名 計10名                                    指導者 斎 藤 奈津子 1 講座名 「Let’s Enjoy ことば Battle!」 2 題材名 ディベートマッチ 3 指導にあたって (1) 題材観 新教育課程の中学校国語科においては「改善の具体的事項」にも示されているとおり、表現活動を十分行うことと、考 えを理論的に話したり書いたりする能力を高めることが重視されている。実際、日常生活における生徒の話し方・書き表し方を 見ても、論理的に筋道を立てて考える力が不足していることが感じられる。そこで、選択国語では、生徒が楽しみながらできる 表現活動によって、論理的な思考力を身につけさせたいと考えた。そのような力を伸ばす手だての一つとして、ディベートが考 えられる。最近一層注目されるようになり、教科書にも教材として取り上げられている。ディベートは、ある1つの論題をめぐ って、形式的に肯定側と否定側に別れて意見を戦わせる討論のゲームである。立論・反対尋問・最終弁論で構成され、最終的に 審査員によって勝敗を決定する。自分の意見とは無関係に討論の立場を決定するので、「反対意見を言えば、あとで気まずいの ではないか」というような心配をせず、自由に意見を戦わせることができる。また、前期の授業でも行ったせいか、9月の事前 調査でもディベートを希望した生徒が多かった。こうした理由から、題材としてディベートを選んだ。     第1時オリエンテーションにおいて、ディベートの方法について説明し、これからの授業の中で、何でも気軽に話せる 雰囲気を作ること、積極的に話す態度を身につけることを目標に設定した。第2時には、ディベートで扱ってみたいテーマにつ いて話し合った。ディベートにふさわしいテーマとはどんなものなのかを考えながら、テーマを選定していき、第1回のディベ ートマッチに向けて立論原稿を書くなどの準備をした。     「表現活動」といえば敬遠しがちであったり、「論理的」といえば堅苦しく考えがちな生徒にとっても、ディべートは、 気楽に取り組むことがいえる題材といえる。テーマの選定の仕方によっては、生徒がかなり関心を持ち、意欲的にディベート を行いながら、論理的方法を充分身につけていけるからだ。ディベートをとおして、情報収集能力と分析力を養いながら、同時 に論理的思考力や討論する力も身につけさせたいと考えた。  (2) 生徒の実態 本コースは、9月のガイダンス・個別面談を経て、男子5名、女子5名が履修している。国語をあまり得意としていな い生徒が多く、特に人前で話すことには抵抗を感じているようである。     この選択授業では、はじめは消極的であったが、自分たちで決めたテーマで行うということもあり、1回目のディベー ト・マッチには、真剣に取り組んでいた。相手の意見に正々堂々と意見をぶつけることに楽しみを感じ始めているようである。 また、自己評価を見ても、少しずつ、積極性が出て、充実感も感じるようになってきている。     本時は、2回目のディベート・マッチであるが、司会を生徒が行うというのは初めてである。前時までの周到な準備に 基づき、本時では、活発な意見の交換が見られるディベート・マッチを、生徒自身お手で行う授業を目指したい。  (3) 指導観 この講座では、ディベートの方法を知り、ディベート・マッチを繰り返すことによって、論理的な思考力を身につけ、 人前で憶せずに話せるようになること、話し合いを楽しめるようになることを主なねらいとしている。     しかし、慣れない題材であること、また、拠り所となる資料もあまりなく、創造的な活動であること、さらに、ディベ ート・マッチ前の準備が、紙面に向かって行う地道な作業であることなどから、生徒にとっては抵抗が大きいことが予想される。 そこで、原稿の書き方を簡単な型で様式化し、定着させることによって抵抗力を取り除いていきたい。また、テーマも、取り 組みやすいものを生徒と共に慎重に選定し、生徒達の意欲を喚起していきたい。     本時は、2回目のディベート・マッチである。前時に行った「立論原稿」、「相手への反対尋問・相手からの反対尋問 に対する応答」、「最終弁論」の準備をもとに、ディベートマッチを行う。ディベート・マッチの最中は直接指導を行えないの で、前時の準備段階の指導が大変重要になってくる。前時の準備を丁寧に行わせたい。また、評価については、課題解決に対す る意欲を重視して、自己評価・相互評価・教師による評価によって総合的に見ていきたい。その他に、課題解決に迫る力、自分 の考えを効果的に表現する力などを評価していきたい。 4 指導目標 (1) ディベートのおもしろさを知ることができる。 (2) ディベートの方法について知ることができる。 (3) ディベートに必要な情報を集め、論理を組み立てることができる。 (4) 準備したことをもとに、積極的にディベートに参加することができる。 (5) ディベートの反省をしながら、その意義を見出すことができる。 5 指導計画  (13時間扱い) ・ オリエンテーション・学習計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 第  1  時 ・ ディベートに適したテーマについて・テーマ設定・チーム編成 ・・ 第  2  時 ・ テーマに関する情報収集・論理の組み立て ・・・・・・・・・・・ 第  3  時 ・ ディベート・マッチ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第  4  時 ・ 実践事例との比較・反省 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第  5  時 ・ テーマに関する情報収集・論理の組み立て ・・・・・・・・・・・ 第6、8、10、11時 ・ ディベート・マッチ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第7、9、12時 (本時第7時) ・ 反省・まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第 13 時 6 本時の指導目標  準備したことをもとに、積極的にディベート・マッチに参加することができる。 ・ 学んだこと・準備したことを生かして、ディベート・マッチを行うことができる。 ・ 審査の観点に基づき、互いの立場を評価することができる。 7 本時の展開 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ |過程|  教 師 の 働 き か け  |  生  徒  の  活  動  |支 援 ・ 援 助 と 評 価| +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | み |1 前時の学習内容を想起させる。 |1 前時の学習内容はディベート・マ|・前時の様子を話しながら本時の| | つ |                 | ッチの準備であったことを想起する| 意欲づけとしたい。     | | け |2 本時の学習内容を把握させる。 |2 本時は「死期を知っていたほうが|           | | る |      | 有意義に生きられる」をテーマとし| | |   | | て行うことを確認する。 | | | | |                 | | |   | |         | | |(5)|+− 本時の学習課題 −−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+| | +−−++前回を越えるようなディベート・マッチを繰り広げよう。 ++−−−−−−−−−−−−−−−+ |   |+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | し |3 前回準備した事を確認させたり、|3 2つの立場、司会者、審査員ごと|・机間指導し、役割分担などがう| | ら | 役割分担させたりする。     | にディベート・マッチの打ち合わせ| まくいくように助言したい。 | | べ |    | をする。 |       | | る | | | | |   |                 |                |               | | た |4 ディベート・マッチをさせる。 |4 ディベート・マッチを行う。 |・方法については、注意事項を話| | し |                 | ・前時に準備した原稿をもとに発表| したり、進め方や両派のメンバ| | か | |  する。        | ーなどを、事前に板書したりし| | め |                | ・メモをとりながら発表し、反対尋| て、ディベート・マッチがスム| | る | |  問の材料とする。 | ーズに進行するように配慮した| |   | | | い。     | | |                |                 | | | ふ |5 審査表に従って審査させる。  |5 審査表に従い審査員が審査する。|・審査の観点に従い、適切な審査| | か | | ・ディベーターも自己評価する。 | ができているかを評価したい。| | め |                |                 |・教師側からの評価も行いたい。| | る | |           |・評価の観点についてわかりやす| |(40)|6 次回のテーマを確認させる。 |6 次回のテーマを確認する。 | く説明したい。 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | ま |7 本時の取り組みについて自己評価|7 本時の取り組みについて、自己評|・意欲的にディベート・マッチに| | と | させる。            | 価をする。        | 参加していたかどうかを評価し| | め | | | たい。 | | る |8 次時はディベートのための準備を|8 次時の学習内容が、ディベートの|               | |(5)| することを確認させる。 | ための準備であることを確認する。|               | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ 8 評価  準備したことをもとに、積極的にディベート・マッチに参加することができたか。 ・ 積極的にディベートマッチに参加しようとすることができたか。 ・ 学んだこと・準備したことを生かして、ディベート・マッチを行うことができたか。 ・ 審査の観点に基づき、互いの立場を評価することができたか。