印刷用紙: A4縦 1ページ行数:54行 1行の文字数(半角で):94         国  語  科  学  習  指  導  案  1 指導期日   平成6年9月5日(月) 3校時 2 指導学級   盛岡市立下橋中学校 2年1組(男子17名,女子19名,計36名) 3 指導者 尾  澤  厚  子 4 教科書   光村図書『国語』2 5 単元名    六 古典に親しむ 6 教材名    「思いをつづる」(『枕草子』『徒然草』から) 7 単元設定の理由 (1) 教材観 本単元は古典の学習として位置づけられており,どの学年も古文と漢文で構成されている。第一学年  では,「古典との出会い」という単元で古文や漢文のリズムに慣れ親しむことを,第三学年では,「古  典を味わう」という単元で,古典のおもしろさや現在まで多くの人々に読まれ,親しまれてきた古典の  世界の奥深さに触れることを目標としている。そこで,第二学年での「古典に親しむ」という単元は,  第一学年での入門期の学習の上に立ち,第三学年での古典を味わう学習への橋渡しをするための大事な  位置にあるので,本単元の学習をとおして,古文や漢文を読み味わうための基礎・基本を身につけさせ  ることが肝要であると考える。   本単元は,古文と現代文とを対比しながら学習する「扇の的」(『平家物語』から)と,語注をもと  にしながら内容を理解していく「思いをつづる」(『枕草子』『徒然草』から)と「漢詩の風景」の三  つで構成されている。   本教材は,中学校での古文の学習において,本格的に語注をもとにして内容を理解していく最初の学  習である。「枕草子」の第一段,「徒然草」の第十一段と第五十二段の三つの文章で構成されており,  「枕草子」には,清少納言の鋭い目でとらえられた季節観が,「徒然草」には,昔の人々の暮らしぶり  や、兼好法師の人間や自然を見る目の深さが描かれている。どの段も語注が比較的豊富であり,  文章の長さも200〜350字程度であることから,読みやすく昔の人のものの見方や考え方にまでも  興味を示す生徒もいるのではないかと思われる。  (2) 生徒観   生徒は,一年生では「むかしむかし,うらしまは」と「蓬莱の玉の枝」を,二年生では「扇の的」を  今と昔の言葉の違いに触れながら,古文独特のリズムに慣れることを目標に,音読や朗読を中心として  学習してきている。ここまでの学習では,歴史的仮名遣にはかっこ書きで現代仮名遣いが,下段には現  代語訳が示されており,どの生徒もだいたいの内容は理解することができるようになっていた。しかし  それでも,なじみのない古語への抵抗は大きく,内容のおもしろさを味わうところまで至っている生徒  は多くはない。  (3) 指導観   「思いをつづる」という教材は,生徒が本格的に語注をもとにして内容を理解する学習,つまり,現  代語訳を自分でしながら内容をとらえていく最初の学習である。今までは,どちらかといえば音読や朗  読を中心に耳から親しんできているので,現代の言葉に直すことには抵抗があると思われる。そこで,  教材文をもとにして古文の特徴を整理したうえで,一人一人に現代の言葉に直すという作業を体験させ  ることにより,内容だけではなく,古文の学習の手順や方法をも身につけてさせていきたいと考える。 また,教材文は,どれも 200〜 350字程度の短い文章であり,今と昔の共通点や相違点,自分と作者の  考え方などの比較がしやすいので,内容面でも生徒の興味を引きつけていきたいと考える。さらに,語  注が比較的詳しく示されているので,古文の特徴をとらえさせるうえで十分に利用していきたいと考え  る。  8 指導目標  ・わからないところの解決に意欲的に取り組むことができる。〈関心・意欲・態度〉 ・歴史的仮名遣いや古語に注意して,正確に音読をすることができる。〈表現〉 ・語注をもとにして,場面の情景,人物の心情や行動,作者の感想,昔の人の生き方や考え方などを読   み取ることができる。〈理解〉 ・歴史的仮名遣いや古語の意味や用法をとらえることができる。〈言語事項〉 9 指導計画 +−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |  項| | | 評価の観点 | | 目| | +−+−+−+−+ |時  | 教 材 名  |      主 な 学 習 内 容  |関|表|理|言| |間 | | |意|現|解|語| +−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−+ |第1時|春はあけぼの・ |学習計画の確認・古文の特徴の把握 (本時) |○| |○|○| +−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |第2時|春はあけぼの・ |音読・大体の内容・内容把握・まとめ |○|○|○| | +−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |第3時|神無月のころ |大体の内容・グループ学習による内容把握と話し合い|○|○|○|○| +−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |第4時|仁和寺にある法師|大体の内容・グループ学習による内容把握と話し合い|○|○|○|○| +−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |第5時|筑紫に、なにがし|個人学習による内容把握・内容の確認・まとめ |○| |○| | +−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ 10 本時の授業の構想   本時の授業は,「整理する一次の段階」の1時間目であり,「春はあけぼの」という教材文をもとに, 古文と現代文を比較しながら,古文の特徴を明らかにし,整理していく学習である。   まず,最初の段落を短冊に書き,現代文と同じところを指摘させる。次に,「やうやう白くなりゆく」 のところを取り上げ,「ようよう白くなりゆく」「次第に白くなってゆく」という別の2枚の短冊を提示 し,比較させることにより,この三つの違いは何かを考えさせ,「歴史的仮名遣いで書いてあるもの」, 「歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直してあるもの」,そして,「現代語訳をしてあるもの」という三つ の違いをとらえさせる。   次に,    ア,歴史的仮名遣いを指摘する,    イ,歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す,    ウ,歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すときの法則性を明らかにする,    エ,古文に使われている言葉を現代の言葉と比較しながら三つに分類する, というア〜エの順序で授業を進め,古文の特徴を明らかにし,それを整理させる。 最後に,「学習達成 状況把握カード」を配り,診断テストの結果とコメントを読ませ,達成できている部分とできていない部 分を確かめさせ,どのような点に注意して学習していけばよいのかという課題をもたせ,これからの個々 のつまずきを克服させる学習への意識を高めさせる。  11 本時の目標  ・古文と現代文の共通点と相違点を進んで発表し,意欲的に授業に参加することができる。  ・歴史的仮名遣いで書いてあるものと,歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直してあるものと現代語訳を   してあるものとの三つの違いに気づき,古文の特徴をとらえることができる。   ・歴史的仮名遣いを指摘し,それを現代仮名遣いに直すことができる。  12 本時の展開案(第1時:「整理する一次の段階」)  +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |段| |時| |学習形態 | | | | 指導内容 | |   学  習  活  動 +−+−+−+  指導上の留意点 | |階| |間| |個|グ|全| | +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−−−−−−−−−−−+ | |1学習計画の| |1これからの古文の学習についての| | |○|・三年間の学習について| |導| 確認 | | 計画を確認する。 | | | | 触れ,今回の学習のも| |入| 5| | | | | つ意味をとらえさせる| | | |分| | | | | | +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−−−−−−−−−−−+ | |2古文の特徴| |2 古文の特徴をとらえる。 | | |○|・第一段落を短冊に書い| | | の把握 | | ア 第一段落の言葉の中から,現| | | | ておいたものを,黒板| | | | |  代文と共通しているものを指摘| | | | に示し,教科書はまだ| | | | |  する。 | | | | 使わない。 | | | | | | | | |<評価>進んで発表する| | | | | | | | |ことができたか。 | | | | | イ 「やうやう白くなりゆく」の| | |○|・「歴史仮名遣いで書い| |展| | |  部分を取り上げ,「ようよう白| | | | てあるもの」「現代仮| | | | |  くなりゆく」と「次第に白くな| | | | 名遣いに直したもの」| | | | |  ってゆく」との三つの違いを比| | | | 「現代語訳をしてある| | | | |  較する。 | | | | もの」とを区別させる| | | | |  | | | |<評価>三つの違いをと| | | | | | | | |らえることができたか。| | | | | ウ 歴史的仮名遣いを指摘する。| | |○|・「春はあけぼの」のす| | | | | | | | | べての歴史的仮名遣い| | | | | エ 歴史的仮名遣いを現代仮名遣|○| |○| を短冊に書いておく。| | | | |  いに直す。 | | | | | | | | | オ 歴史的仮名遣いの法則性を理| | |○|・直した現代仮名遣いを| |開| | |  解する。  | | | | 参考に,短冊をいくつ| | | | | カ 古文に使われている言葉を三| | |○| かのグループに分け,| | | | |  つに分類する。  | | | | 法則性があることに気| | | | | | | | | づかせる。 | | | | | | | | |<評価>歴史的仮名遣い| | | | | | | | |を現代仮名遣いに直すこ| | | | | | | | |とができたか。 | | |3古文の特徴|38|3授業をとおして明らかになった古| | |○|<評価>古文の特徴をと| | | の整理 |分| 文の特徴を整理する。 | | | |らえることができたか。| +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−−−−−−−−−−−+ | |4既習内容の| |4診断テストの結果から,既習内容|○| | |・「学習達成状況把握カ| | | 定着状況に| | の定着状況からみた個々のつまず| | | | ード」を配布し,つま| |終| よる個々の| | きを確認する。 | | | | ずきを確認させ,わか| | | つまずきの| | | | | | らないときには裏表紙| | | 確認 | | | | | | も参考にするように指| |末| | | | | | | 示する。 | | | |7| | | | |<評価>意欲的に授業に| | | |分| | | | |参加することができたか| +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−−−−−−−−−−−+ (注)個:個人学習,グ:グループ学習,全:全体学習 11 本時の目標 ・自己の役割を果たし,意欲をもって話し合いに参加することができる。 ・古文を歴史的仮名遣いや古語に注意して正確に読むことができる。 ・現代の言葉に直しながら,話のおもしろさと兼好法師の感想をとらえることができる。  ・古語の意味や用法,係り結びの法則をとらえることができる。 12 本時の展開案(第4時:「解決する二次の段階」) +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |段| |時| |学習形態 | | | | 指導内容 | |   学  習  活  動 +−+−+−+  指導上の留意点 | |階| |間| |個|グ|全| | +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−−−−−−−−−−−+ | |1個々のつま| |1黙読後に,本時のつまずきを「学|○| | |・「学習達成状況把握カ| | | ずきの確認| | 習達成状況把握カード」で確認す| | | | ード」を開かせ,わか| |導| | | るとともに,歴史的仮名遣いを現| | | | ったところに蛍光ペン| | | | | 代仮名遣いに直す。 | | | | で線を引かせる。歴史| |入|   | | | | | | 的仮名遣いについては| | | |5| | | | | 数を記入させる。 | | | |分| | | | | | +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−−−−−−−−−−−+ | |2登場人物の| |2登場人物を確認する。 | | |○|・登場人物は,主語にな| | | 確認 | | ア 仁和寺にある法師 | | | | り得る人物と考えて指| | | | | イ かたへの人 | | | | 摘させる。 | | | | | ウ 参りたる人ごと | | | |・紙板書の人物の表情を| | | | | エ 兼好法師 | | | | 大体の内容をとらえる| |展| | | | | | | ための手がかりとして| | | | | | | | | 与える。ここでは,前| | | | | | | | | 時に用いた兼好法師の| | | | | | | | | 2枚の表情を用い,ど| | | | | | | | | ちらの顔が適当かを考| | | | | | | | | えさせる。 | | |3大体の内容| |3大体の内容を予想した後に,その|○| |○|・自立語に注意すること| | | の予想 | | 結果を発表する。 | | | | 5W1Hを意識してま| | | | | | | | | とめることを指示する| | |4グループ学| |4内容の確認をする。 | | | |・役割分担表により役割| | | 習による内| | ア 役割分担を確認してから,個|○|○| | と仕事内容を明確にさ| | | 容把握と話| |  人学習を行う。 | | | | せる。 | |開| し合い | | イ 学習結果をグループで確認し| |○| |・解決できなかった部分| | | | |  合い,発表内容をまとめる。 | | | | も発表させる。 | | | | | ウ 学習結果を発表する。 | |○|○|・黒板に書かせる。 | | | | | | | | |<評価>係り結びの法則| | | | | エ 相違点の指摘d「よさ」の指| | |○|や古語の意味や用法をと| | | |40| 摘d根拠の発表d修正点の確認 | | | |らえることができたか。| | | |分| オ 各自の学習結果を修正する。|○| | |<評価>作者の感想をと| | | | | | | | |らえることができたか。| +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−−−−−−−−−−−+ | |5個々の達成| |5全員で音読した後に,本時の学習|○| | |・わかったところには | |終| 状況の確認| | 内容をまとめ,「学習達成状況把| | | | 別の色の蛍光ペンで | | |  | | 握カード」に,確認テストの結果| | | | 線を引かせる。   | | | | | と達成状況を記入し,本時の学習| | | |<評価>正確に音読する| | | | | の成果を確認する。 | | | |ことができたか。 | | | | | | | | |<評価>意欲をもって話| |末| |5| | | | |し合いに参加することが| | | |分| | | | |できたか。 | +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−−−−−−−−−−−+ 11 本時の目標 ・教科書以外の古文を興味をもって読むことができる。 ・語注をもとにして,自力で古文の内容をとらえることができる。 12 本時の展開案(第5時:「活用する三次の段階」) +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |段| |時| |学習形態 | | | | 指導内容 | |   学  習  活  動 +−+−+−+  指導上の留意点 | |階| |間| |個|グ|全| | +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−−−−−−−−−−−+ | |1個々のつま| |1黙読後に,本時のつまずきを「学|○| | |・補助資料を配る。 | | | ずきの確認| | 習達成状況把握カード」で確認す| | | |・「学習達成状況把握 | |導| | | るとともに,歴史的仮名遣いを現| | | | カード」を開かせ,わ| | | | | 代仮名遣いに直す。 | | | | かったところに蛍光ペ| | | | | | | | | ンで線を引かせる。歴| |入|   |5| | | | | 史的仮名遣いについて| | | |分| | | | | は,数を記入させる。| +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−−−−−−−−−−−+ | |2個人学習に| |2今まで学習してきたことをもとに|○| | |・わからない部分につい| | | よる内容把| | して,個人学習をする。 | | | | ては,印をつけさせて| | | 握 | | ア 大体の内容をとらえる。 | | | | 他と区別させるととも| | | | | イ 語注をもとにして,省略され| | | | に,個人学習の後半に| |展| | |  た言葉を適宜補い,主語と述語| | | | は,自由に教え合う時| | | | |  の関係をとらえながら内容をと| | | | 間を設ける。また,学| | | | |  らえる。 | | | | 習の手順は個々に任せ| | | | | ウ一文を選んで現代語訳をする。| | | | る。 | | |3内容の確認| |3読み取った内容を確認する。 | | |○|・登場人物は,主語にな| |開| (全 体)| | ア 登場人物を発表する。 | | | | りうる人物ととらえて| | | | | イ 大体の内容を発表する。 | | | | 指摘させる。また,紙| | |      | |ウ 疑問点を発表し,それを解決 | | |   板書は内容の確認を効| | | |35|  する。 | | | | 果的に行うために用い| | | |分| | | | | る。 | +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−−−−−−−−−−−+ | |4個々の達成| |4学習のまとめをするとともに,確|○| | |・わかったところを別の| | | 状況の確認| | 認テストの結果と達成状況を「学| | | | 色の蛍光ペンで線を引| | | 及び学習の| | 習達成状況把握カード」に記入す| | |○| かせる。 | | | 成果と課題| | る。 | | | | | |終| の確認 | | 今回の古文の学習をとおしての成| | | |・今回の授業での成果と| | | | | 果と課題を明確にし,個々の今後| | | | 課題を明確にし,未解| | | | | の学習の方向性を確認する。 | | | | 決のままになってしま| | | | | | | | | ったことについて,今| | | | | | | | | 後どのように学習を進| | | | | | | | | めていけばよいのかを| | | | | | | | | 生徒の成功体験を発表| |末| | | | | | | させたりしながら,ア| | | | | | | | | ドバイスをする。 | | | | | | | | |<評価>興味をもって読| | | | | | | | |むことができたか。 | | | |10| | | | |<評価>古文の内容を読| | | |分| | | | |み取ることができたか。| +−+−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−+−+−−−−−−−−−−−+