印刷用紙:B4縦 1ページの行数:75 1行の文字数(半角文字で):100 国 語 科 学 習 指 導 案 日 時 平成7年11月17日(金)1校時 場 所 和賀東中学校 3年C組教室 指導学級 3年C組 (男子17名 女子13名 計30名) 指 導 者 教諭 中館 秀行 1、教材名 六、古典を味わう 君待つと──万葉・古今・新古今── 2、教材設定の理由 (1)教材について 古典は、現代社会にも通じる日本人の伝統的な思考・生活感情・生活様式などを内に含んだも のであり、時代を越えて普遍的な価値をもっているものである。そして、今を生きている中学生 にとって、自分のものの見方や考え方が、けっして自分だけで生み出したものではないというこ と、千年以上も昔の人々の考え方が自分にも息づいているのだということを認識するのは、意義 あることといえる。 3学年古典の第1教材として、万葉集・古今集・新古今集がとりあげられている。この三つの 和歌集を読み味わうことによって、古人の自然観や美意識、人生観を感じ取ることができると同 時に、各時代ごとの考え方や表現の変遷もうかがい知ることができる。中学校時の古典学習は古 典入門期ととらえることができるが、古典入門の総合をはかる教材の一つとして重要なものと思 われる。したがって、古典文学の源流である万葉集から新古今和歌集までの流れの中から、自然 美、人間への愛情、生活の折々の感動などを読み味わうと同時に、古人と現代人の感じ方、考え 方の共通点と相違点を探りたい。また、万葉の「ますらおぶり」、古今の「たおやめぶり」、新 古今の「幽玄」についてもふれ、日本人のたどってきた価値観の流れにもふれさせたい。 (2)生徒について 1学期実施した「国語に関する意識調査」によると、国語という教科に関しては、6割ほどが 「好き」あるいは「得意」という意識をもっており、残り4割が「苦手」あるいは「嫌い」とい う意識をもっている。作業学習などにはおおむね真剣に取り組み努力しているが、発言は固定化 しがちである。言語感覚の乏しさ、もっている語彙の少なさから「理解」や「表現」の領域で学 習に支障をきたす生徒も多く、個人差に応じた支援も必要と思われる。 古典は、意識調査の結果「苦手なジャンル」で文法についであげた生徒が多かった項目である。 主な理由は言葉が現代語と異なり、音読しにくい、意味を理解しにくいということであり、この 点を意欲的に学習できるようにしながら、作品自体のもっている内容への関心を盛り上げていか なければならない。 今回は課題選択学習を通じた中で、古典学習への関心・意欲を喚起しようというものである。 課題選択学習は以前にも行ったが、課題選択にあたって、安易に課題を選択する生徒やどの課題 を選択したらよいか迷ってしまう生徒もいたので十分に配慮した支援を計画しなければならない。 3、教材の目標 (1)国語への関心・意欲・態度 和歌に歌い込まれている自然観、美意識、人生観などを感じ取り、自分なりの形式で表現しよ うとする。 (2)表現の能力 &情景や心情を読み取り、資料を活用しながら豊かに想像し表現することができる。 &自分の選択した作品を、工夫しながら音読することができる。 (3)理解の能力 &語注や資料、ワークシートをもとに、歌の大意をとらえることができる。 &音読練習により和歌の情景や心情をとらえたり、リズムや表現の美しさに気がつくことがで きる。 &作品鑑賞を通じ、各歌集の特色をとらえることができる。 (4)言語についての知識・理解・技能 &仮名遣い、いいまわしに慣れ音読することができる。 &作品に使われている表現技巧を理解し、優れた言語感覚を味わいながら鑑賞できる。 4、学習計画(9時間計画) (1)古典学習の導入として1、2年生のとき学習した古典 ──┐ とその知識について概要をまとめる。 ├── 1時間 (2)2年生で学習した短歌について思い出し、これからの ──┘ 学習のめあてをもつ。 (3)万葉集の歌9首を読み、表現に注意して読み味わう。 ──── 2時間 (4)古今集の歌4首を読み、表現に注意して読み味わう。 ──── 1時間 (5)新古今集の歌4首を読み、表現に注意して読み味わう。──── 1時間 (6)読み取った情景や心情をふくらませて自分なりの表現 ──── 2時間 方法で表現する。 (本時1/2) (7)作った作品を持ち寄り、相互評価しながら和歌を味わう。──┬─ 1時間 (8)三大和歌集の特色と古人の感じ方、考え方について理解する。┘ 5、本時の目標 読み取った情景や心情に即した表現形式を選択し、自分なりに作品世界をふくらまして 表現す る。 6、本時の評価 【理解の能力】 選んだ和歌の着眼が適切で、その着眼を生かした課題選択ができるか。 【関心・意欲・態度】 自分なりに選択した課題に主体的に取り組もうとすることができたか。 7、展開 ┌──┬───────────────┬──────────────┬─────────────┐ │ │ 学 習 活 動 │ 主 な 支 援 │ 評価の方法および留意点 │ ├──┼───────────────┼──────────────┼─────────────┤ │ │ │ │ │ │ 導 │ 1、前時の想起と確認をする │ 周囲の席どうしで練習させる │ │ │ 入 │ 2、自分の選んだ和歌を暗唱 │ 読み方がわからない生徒には │ │ │ 3 │ できるよう練習する │ 助言する │ │ │ 分 │ ┌──────┴──────────────┴──┐ ├──┼────────┤ 自分の選んだ和歌の世界を広げよう ├──────────┤ │ │ └──────┬──────────────┬──┘ │ │ │ 3、自分の選んだ和歌につい │ キーワードが的を射ていない │ キーワードのことについて │ │ │ て暗唱し、選んだ理由と │ ものについては、後の机間指 │ は前時に予告し課題として │ │ │ キーワードをつけて発表 │ 導の中で、助言する │ おく │ │ │ する │ │┌──【理解の能力】──┐│ │ │ (1)百人一首のようなゲー │ キーワードが考えられなかっ ││選んだ和歌の着眼点が適││ │ │ ムを取り入れながら17 │ た生徒もいると予想されるが ││切であるか ││ │ │ 首中10首程度の朗読を │ そのときは、前時までのワー ││ 《発言および観察》 ││ │ │ する │ クシートを参照させ、和歌に │└───────────┘│ │ │ (2)読み手は選んだ理由と │ 歌い込まれている題材を答え │ 音読については本時の評価 │ │ │ キーワードを発表する │ させる │ の中心項目とはしないが、 │ │ 展 │ (3)全員のキーワードを黒 │ │ 優れた音読に対しては教師 │ │ │ 板に掲示する │ │ からの評価をする │ │ │ │ │ │ │ │ 4、教師の説明を聞き、各自 │ 課題の選択にあたっては、作 │ 課題選択学習については前 │ │ │ の課題を選択する │ 品例を示し、自分がいちばん│ 時までに概略を話しておき │ │ │ (1)絵画にしてみる │ 和歌のイメージを表現できる │ 必要な用具があれば準備さ │ │ │ (2)詩に作りかえる │ 方法を選択させる │ せておく │ │ │ (3)作者にかわって心情を │ 選択ができない生徒には机間 │ │ │ │ 手紙にする │ 指導の中で、日常の生徒の個 │ │ │ │ (4)パンフレットを作る │ 性から判断し助言を与えたり │ │ │ 開 │ (5)その他の表現形式 │ 最も取り組みやすいものを判 │ │ │ │ │ 断させる │ │ │ │ │ 「その他の表現形式」を選択 │ │ │ 40 │ │ したい生徒からは、内容を聞 │ 時代考証、情景描写、心情 │ │ 分 │ │ いたうえで助言する │ 描写にかかわる資料をそろ │ │ │ 5、資料の紹介を聞き、活用 │ │ え活用できるようにしてお │ │ │ の必要があれば資料を使 │ 資料が選べない生徒へは教 │ く │ │ │ って 作品の製作に取り組 │ 師から、資料を与える │┌─【関心・意欲・態度】┐│ │ │ む │ ││課題選択に主体的に取り││ │ │ │ ││組もうとしているか ││ │ │ │ ││ 《観察》 ││ │ │ │ │└───────────┘│ ├──┼───────────────┼──────────────┼─────────────┤ │ │ 6、自己評価をし、学習する │ │┌─【関心・意欲・態度】┐│ │ 終 │ うえでの自分の課題を明 │ ││本時の取り組みへの評価││ │ 末 │ らかにする │ 作業の進行状況について確認 ││ができ、次時へのめあて││ │ 7 │ 7、次時予告を聞き、準備に │ し、作業が遅れている生徒へ ││がもてたか ││ │ 分 │ ついての確認をする │ の助言をする。 ││ 《自己評価》 ││ │ │ │ │└───────────┘│ │ │ │ │ │ └──┴───────────────┴──────────────┴─────────────┘