印刷用紙:B4縦 1ページの行数:67 1行の文字数(半角文字で):110 国語科学習指導案                                            指導者 菊池 敏宏 1 日 時  平成7年7月7日(金)第2校時 2 学 級  2年1組  男子15名  女子21名  南校舎3階 3 主 題  五 生活を科学する 教材名 「トレーニングの適量」 4 主題について  本教材は、体育学者正木健雄の執筆による説明文である。題名から推察されるように、トレーニングには適量があり、く たくたになるまですれば効果が上がるというものではなく、目的に応じて最適の方法を考えなければならないと説いている 。そして、そのことを読者に納得させるために、科学的な観点からトレーニングの原理と効果的なトレーニングの方法を述 べている。すなわち、その原理とは、1.オーバーロード(日常生活で働かせている以上に体を働かせること)、2.繰り返す 、3.少しずつ程度を高める、4.一人一人の条件を考える、5.意識的に自分のトレーニングを振り返る、というものである。 また、筋力トレーニングの場合の具体的な方法として、トレーニングの強度と時間に触れ、効果が上がる時間だけあるトレ ーニングをしたら、別のトレーニングに移行する方が有効であると説いている。さらに、筆者はこのトレーニングの原理や 条件の考え方を、生活にまで応用させてほしいと述べて全体の結びとしている。文章全体は、問題提起、説明・例示、まと めの三つの部分に分けられ、構成の面ではわかりやすいといえる。また、問いかけの形で、話題が投げかけられており、文 章の筋道も比較的とらえやすい。ただし、図表を読み取る際、本文と正確に対応させなければならず、困難が予想される。 そういう点はあるにしても、文章の構成をとらえ、筆者のものの見方や考え方を読み取るという点では適切な教材であると 考える。 日常の授業は、男女とも発言が多い方で、活発な雰囲気である。が、時には一部の生徒だけに発言が偏ってしま うことがある。一読後に調査を行い、概略をつかんだかどうかを尋ねたところ、約7割の生徒がおおよその内容がわかった という反応を示していた。しかし、具体的な読み取りをみると、要点・接続関係・話題の把握の点で、不十分であった。ま た、興味の程度を尋ねたところ、半数以上の生徒が「あまり興味がない・全く興味がない」という反応を示しており、文章 に対して抵抗を感じているらしい。どちらかというと、文学的文章の方が好きな生徒が多いようである。 そこで、学習課 題を作って、それをみんなで解決していくということを学習の中心に据えた。それによって、自分たちが授業の主役なのだ という意識づけとともに、学ぼうという意欲づけを図るためである。また、全体で学習課題を設定していく過程で、課題と しての妥当性を討論することになり、それがひいては説明的文章教材を学習する場合の着眼点(話題の把握、中心的部分と 付加的部分の見分け、結論の予想、題名の持つ意味等)を見つけることになる。具体的には、まず最初に、学習課題になり うるものを個人ごとに考えさせる。それをグループで討議させて発表する中から、共通課題を設定したい。そこでは、題名 「トレーニングの適量」と筆者の主張「効果的なトレーニングの原理と条件の考え方を日常生活にいかそう」に着目したも のになればいいと考える。さらに、文章中の問題提起をもとに、「トレーニングの原理とはどのようなものか」、「どうす れば効果的なトレーニングができるのか」というような小課題を設定し、それを解決していく過程で、生徒たちのさまざま な疑問を解決することにもなると考える。学習の最後には、読み取ったことをさらに深め、視野を広げるような作文に取り 組ませたい。 5 指導計画  (1) 事前調査。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.5時間  (2) 話題を確認し、文章全体の構成の概略をまとめることができる。・・・・・・・・・・・・・・ 1時間  (3) 各自の学習課題を書くことができる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.5時間  (4) 共通課題を設定し、学習の計画を立てることができる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1時間(本時)  (5) 小課題を解決しながら、全体課題を解決することができる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2時間  (6) まとめの作文を書くことができる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1時間 6 本時の達成目標 (1) 題名「トレーニングの適量」と、筆者の主張「効果的なトレーニングの原理や条件の考え方を日常生活にいかそう」   に着目して共通課題を設定できる。  (2) グループで共通課題を話し合い、文の形でまとめることができる。  (3) 文章を手がかりにするとともに、級友の発言もよく聞き、最後まで粘り強く学習に取り組もうとしている。 7 本時の下位行動目標                                   (観点別評価項目) a 題名と筆者の主張に着目して、次のような形で共通課題を設定できる。               (表・理)     「トレーニングの原理や条件の考え方が日常の生活にどのようにいかせるのか」     「トレーニングの適量の考え方をどのように生活に応用できるのか」 など  b 共通課題として採用されなかったものも、共通課題を解決するうえで必要であることを確認しながら、 学習の計画を立てることができる。                                (関・理) c 級友の考えを参考にしながら、自分の考えを述べることができる。                 (関・表) d 出されたグループ課題に対して、自分の立場を明確にして考えを述べることができる。        (表・理) e 理由を明確にして、自分たちのグループ課題を説明することができる。               (表・理) f 話し合いをもとに、グループの意見を一文にまとめることができる。                (表・理) g 課題づくりの観点をもとに、グループ内で互いの意見を述べたり、聞き合ったりできる。       (表・言) h 本時は、個人課題・グループ課題をもとに共通課題を設定していくということを確認できる。     (関・理) 8 本時の評価の観点  (1) 題名と筆者の主張をもとにして共通課題が設定できたか。  (2) グループ内で協力して話し合い、文の形でまとめることができたか。  (3) 最後まで粘り強く学習に取り組もうとしていたか。 9 本時の展開   <個に配慮する視点>  <A>達成度    <B>学習速度  <C>取り組み方  <D>見方・考え方 <E>興味・関心 <F>生活経験 +−+−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ |段|過|時| | 個人差に対する配慮 | | | | | | 学習活動 +−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+資料・教具等| |階|程|間| | 評価の観点・方法 | 配慮事項 | | +−+−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | | |1 学習内容が確認できる| |※1<D>みんなで考える価|課題づくりの| | | | |+−−−−−−−−−−+| | 値のあるものを見つけてい|ためのプリント | |導|課| || 個人課題をもとにグ|| | くのだということを強調す| | | |題| ||ループ課題をつくり、|| | る。 | | | |確| ||そこから共通課題を設|| | | | | |認| ||定する || | | | | | | |+−−−−−−−−−−+| | |個人課題集計| | | | | | | |プリント | |入| | |2 話し合いの観点を確認| |※2<D>以前の学習を振り| | | | |7| できる。 | | 返り、観点を確認する。 | | | | |分| | | ・ 題名 | | | | | | | | ・ 日常生活とのかかわり| | +−+−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | | |3 グループ内で互いの案|3−−−−−−−−−−−+|3<C>相手の意見を聞いた|模造紙 | | |課| | を発表し合い、意見をま|| 協力して話し合い、文|| うえで自分の意見を述べる|マジック | | | | | とめることができる。 ||の形でまとめることがで|| のだということを強調する|マグネットク| | | | | ||きたか。 || <B>早く終わったグルー|リップ | | | | | |+−−−−−−−−−−−+| プには、自分たちの意見に| | | | | | |机間巡視による観察 | ついて考えを明確にして説| | | |題| | | | 明できるようにし、さら | | | | | | | | に、他のグループの意見の| | | | | | |  | 弱点を見つけるように指示| | |展| | | |  | する。 | | | | | | | | | | | |追| | | | | | | | | | |  | | | | | | | | | | | | | | | |  | | | | | | | | | | | | |究| | | | | | | | | |4 出された意見を整理で| |※4<D>討論しやすくする| | | | | | きる。 | | ため、教師が二つに分類 | | | | |15| | | し、それに同意できるか確| | | |分| | | 認する。 | | | | | | | | | | | | | |5 理由を明確にして、自| |※5<C>他のグループの意| | | |課| | 分たちの意見を説明でき| | 見をしっかり聞き、自分た| | | | | | る。 | | ちの意見と比べるように指| | | | | | | | 示する。 | | | | | | | | | | | | | |6 討論によって、共通課|6−−−−−−−−−−−+|6<D>意見を二つに絞って| | |開|題| | 題を設定できる。 || 級友の意見を参考にし|| いくことによって、討論し| | | | | | ||ながら、理由を明確に述|| やすくする。そのため、理| | | | | | ||べ合うことによって、共|| 由を明確にしながら、不適| | | | | | ||通課題をつくることがで|| 切なものを指摘させていく| | | | | | ||きたか。 || <D>題名と結論との関係| | | |解| | |+−−−−−−−−−−−+| について考えさせる。題名| | | | | | |挙手・指名発表 | は結論ではなく、前提条件| | | | | | | | であることに気づかせる。| | | | | | | | <C>いずれかの意見に賛| | | | | | | | 成することによって、全員| | | |決| | |  | を学習に参加させるように| | | | | | | | する。 | | | | |23| |  | | | | |分| | | | | +−+−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | | |7 課題を解決するために| |※7<D>問題提起とその答| | |終|ま| | は、どういうところに気| | え、具体例の内容を読み取| | | |と| | をつけていけばいいか確| | っていくことなどが、共通| | |め| | 認できる。 | | 課題の解決につながってい| | | | |5| | | くのだということを確認す| | |末| |分| | | る。 | | | | | |8 次時の学習内容を確認| | |道しるべ | | | | | することができる。 | | | 6〜11 | +−+−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+