印刷用紙:B4縦 1ページの行数:36 1行の文字数(本時の展開部:半角文字で102字) (その他 :半角文字で 80字) −− 以下 指導案 本文 −− 国語科学習指導案 1 指導期間 平成7年11月9日〜15日,平成8年2月16〜19日 2 指導学級 花巻市立湯本中学校2年1組(男子14名,女子17名,計31名) 3 授 業 者 T1:佐々木 篤 T2:永田 豊 4 教 科 書 光村図書出版「国語2」 5 単 元 名 『古典に親しむ』 6 教 材 名 「漢詩の風景」 7 単元設定の理由 ア 教材観  本出版社の古典学習における「漢文」の扱いは,1年次の「故事から生まれた言葉」に より,日本文化に位置づいた漢語を学ぶことにより,漢文に対する興味や関心を抱く学 習を経て,2年次の本教材「漢詩の風景」により,漢文のもつ芸術性や日本文化に与え た影響に気づき,3年次の「学びて時にこれを習う」(論語)により,漢文のもつ思想 性を学ぶという教材構成となっている。 本教材「漢詩の風景」は,生徒にとって初めて触れる漢文といえる。よって,漢文表記 に対する抵抗感をできるだけ持たせないために,教材提示にあたっては,書き下し文と 訓読文が併記され,無理なく漢詩の世界に入り込めるよう配慮がなされている。 ここで取り上げる四編の漢詩は,数多い漢詩の中でも,現代性があり,特徴的な表現が とられ,生徒の心情に触れ共感を呼ぶものと思われる。その中の三編は唐詩であり,そ れぞれの詩の持つ主題はもとより,次のような点において優れた教材性を有しているも のと考える。第一教材「春暁」は,五言絶句の特徴とも言える「起承転結」の様式を学 ぶうえで格好の教材であるものと考える。第二教材「絶句」は第一教材の知識をもとに, 色彩や心情の「対比」の妙を学ぶうえで適切な教材であるものと考える。第三教材「黄 鶴楼−」は,七言絶句の基本的様式を学ぶうえで適切な教材であるものと考える。また 第四教材「桂林荘雑詠」は唯一の日本漢詩であるが,その形式や内容を読み取ることに より,中国で生じた漢詩が日本文化に融合した様子を学ぶうえで,格好の教材であると 考える。 イ 生徒観 中学校2年生の2学期は,学校生活にも慣れ,自分の生活のリズムも確立し,落ち着 いた生活が営まれる時期であるとされている。また,この時期は,外側に向かっていた 興味・関心が内面に向かう時期であるともいわれ,この時期に価値ある古典に触れるこ とは,生徒の成長過程から考えても,意義のあることであると考える。 生徒は1年で「故事成語」を学習しているが,漢詩に触れるのは事実上本教材が初め てなので,大きな期待をもって教材に向かう反面,果たして自分がこの学習についてい けるものかとの不安も抱くものと考えられる。指導にあたっては,日本における漢詩の 発達過程をたどりながら,段階的に内容理解が図られるよう配慮し,できるだけ苦手意 識を持たせないようにする必要があるものと考える。 また,この時期の生徒は,とりわけ他者の目を気にする時期であり,人前で失敗するこ とを回避する傾向が強いものと考えられる。指導にあたっては,失敗を許容する学級の 雰囲気づくりに配慮する必要があるものと考える。 ウ 指導観 本教材の指導にあたっては,次の4つの項目に配慮して指導にあたるものとする。 @ 音読活動の位置付け 中学校における古典指導は,古典としての古文や漢文を理解する基礎を養い,古典に親 しむ態度を育てることを目的としている。そのために指導にあたっては,学習の前後に 充分な音読活動を位置付け,読むことに対する抵抗を取り除くとともに, 学習の成果を 生徒自らが感得する場面を設定する必要があるものと考える。 A 自力学習の位置付け 本教材は,訓点の施された漢詩と書き下し文が提示され,その後に,漢詩についての基 本的事項や解釈の仕方が,過不足なく説明されている。本指導にあたってはその説明部 分を生徒に書きまとめる学習を取り入れ,情報を取捨選択し分かり易い情報として再構 成する学習を取り入れるものとする。この学習によって,生徒は学習の進めかたを理解 することができるとともに,より主体的に教材に取り組んでいくものと考える。 B 選択学習の位置付け 学習活動の後半場面においては,生徒個々の興味・関心に応じて,教材を選択し,これま での学習方法を生かしての活動場面を設定することとする。この学習により,より選択し た教材に対する愛着が生まれるとともに,他の生徒のもののとらえかたに,客観的に触 れさせることができ,知識を画一的に習得するという意識から解放することができるも のと考える。 C 基礎・基本の習得 上述の@Aの学習段階を経た後に,各教材ごとに,基礎・基本事項の解説場面を設ける ものとする。中学校における古典指導は古典に親しむ態度を育てるとともに,理解の基礎 力を養う必要がある。よって,教材の概要がとらえられた段階に,個々の教材のもつ特 徴的事柄についての解説を行い,それぞれの教材のもつ特殊性に気付かせる必要がある ものと考える。 8 単元の指導目標 ア 古典(漢詩)という文学形態に慣れ,関心をもつ。 イ それぞれの詩を読解し,その特徴を理解する。 ウ それぞれの詩の解説文を,要領よくメモとしてまとめる。 エ それぞれの詩に用いられている語句に対する理解を深める。 9 単元の指導計画 +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ |時 間| 指 導 内 容 | 学 習 段 階 | 備 考 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ |第1時|漢文学習の導入 | 興味・関心の喚起 |1995.11. 9| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ |第2時|「春暁」読解・五言絶句の特徴把握| 学習方法が分かる | 11.10| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ |第3時|「絶句」読解・特徴把握 | その方法を試みる | 11.13| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ |第4時|「黄鶴楼−」「桂林荘−」読解 | その方法でできる | 11.14| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ |第5時|「黄鶴楼−」「桂林荘−」特徴把握| その方法でできる | 11.15| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ |第6時|「鹿柴」「王倫に贈る」読解 | その方法でできる |1996. 2.16| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ |第7時|「鹿柴」「王倫に贈る」特徴把握 | その方法でできる | 2.19| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ 10 本時の構想(第6時) 本時はT・Tの機能を生かし,次頁にかかげた3〜6の指導内容については,生徒それ ぞれが選択した教材について学習する内容とする。これは,生徒個々がもつ興味・関心 に働きかけた指導であり,この学習を経験することにより,自分の選択した教材に対す る関心が高まり,より主体的な学習が展開されると考えるからである。学習指導過程に は2回発表場面が設けられ,その時点までの学習の進度を調整する機能を持たせてある。 とかく,個に応じた学習活動の設定においては,個人差が大きく時間確保に問題が生じ るとの指摘があるが,この場面の設定により,個別指導を必要とする生徒とそのつまず きの内容が明確にすることができるものと考える。 また,教師側の評価の視点としては,担当していない教材を選択した生徒の発表のよ さを強調することにより,他者から学ぶ姿勢の函養に努める必要があるものと考える。 11 本時の目標(第6時) 「鹿柴」及び「「王倫に贈る」の一方を選択し正しく音読することができる。 選択した漢詩について訳文をつくることができる。 漢詩学習の方法を身につけようとする態度を育てる。 12 本時の展開(第6時) +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | | | 教師の対応 | | |段階| 学習内容 | 学 習 活 動 +−−−−−−+−−−−−−+ 留意点 | | | | | T 1 | T 2 | | +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+ | |1 学習課題把握|1 本時の学習課題を確認する | 発 問 | 実態観察 |T2は座席表を| | 導 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+| | |用いた評価評| | | |「鹿柴」及び「王倫に贈る」の一方を選択して音読し|| | |に記入 | | 入 | |訳文をつくることができる || | | | | | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+| ↓ | | +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+ | |2 教材選択 |2 本時の学習教材を選択する | 発 問 | 班員の確認 |感覚的なもの| | | | | |指導班の決定|でも理由を述| | | | | | |べさせる | | 展 |3 訓読法の確認|3 訓読文を「書き下し文」に直| 机間指導 | 机間指導 | | | | | す | | | | | | | | | | | | |4 音読練習 |4 訓読文による音読練習 |「鹿 柴」|「王倫に贈る」|「不」の解説 | | | | | 机間指導 | 机間指導 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | ↓ | ↓ | | | | | 指名による発表(訓読文で)| | 指 名 | | | | | | | | | | |5 訳文づくり |5 解説文の音読 | 机間指導 | 机間指導 | | | | | 対応する訳文への側線 | | | | | | | | | 訳文の転記(視写) | | | | | | | | | 意訳文づくり | ↓ | ↓ | | | 開 | | | | | | | |6 訳文の発表 |6 指名による発表 | 指 名 | 指 名 |意訳文は無理| | | | 訳文・意訳文 | 評 価 | 評 価 |をせず | +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+ | 終 |7 まとめ |7 本時学習状況を想起する | 評 価 | 評 価 | | | | | | | | | | 末 |8 次時予告 |8 次時の学習内容を確認する | 解 説 | | | +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+