印刷用紙:B4縦 1ページの行数:68 1行の文字数(半角で):112   −−以下 指導案本文−−   第3学年 国語科学習指導案 日 時 平成8年11月14日(木)5校時 学 級 3年5組(男子18名、女子16名、計34名) 場 所 3年5組教室 授業者 川村 良幸 1.単元名 六 古典を味わう 君待つと−−−万葉・古今・新古今 2.単元について 1 教材観について 「第六単元−−−古典を味わう」では、和歌・歌物語・俳文・漢文の4教材が収められており、これらは1・2年の古   典学習を発展させたものである。その学習の内容は、基本的には音読を中心に、文語のリズムに慣れること、表現の仕方   を味わうことにある。読むことによって古人心に触れ、自分自身の生き方に思いを巡らし、古典への世界への興味がわき   、読書意欲が喚起されるように指導したい。 また、本時取り扱う和歌は日本文学の源流として、他のジャンルの文学にもさまざまな影響をもつ。それは、日本人の   自然観や美意識、さらには人生観などを育み、優れた言語感覚や表現技法を培ってきたからである。それぞれの歌を知識   として理解するだけでなく、昔の人の心(ものの見方・感じ方)を考えさせたい。 2 生徒の実態について 短歌については、2学年時に「短歌・その心」という教材を通して、形式など基礎的なことについては学習済みである   が、古典教材としてとらえた場合、歴史的仮名遣いや文語的表現に対して抵抗を感じる生徒が多い。 教科全般を通した生徒の実態は、発問に対して反応がよく、考えようとする姿勢、発表しようとする姿勢が感じられる   。机間指導をする際にも、積極的に質問する生徒も多く見受けられる。 標準学力検査からの結果からは、表現の能力が標準程度であり、その中でも適切な言葉で話す力に優れている。理解の   能力については、標準より劣るものの要点・要旨・主題を把握する力には優れているが、論理的な構成や展開を理解する   力については著しく劣っている。言語事項については、漢字や語句についての知識・理解は標準程度であるが、文法では   単語の活用の理解が劣っている。 3 指導観について 古典を理解するうえで欠かすことのできない事項については、生徒の実態を考えると細部にわたることなく、教材に即   して必要な範囲で適切に指導したい。そして、生徒の古典に対する抵抗感をやわらげ、古典に親しむ態度を育てるととも   に、今後の古典学習への意欲を喚起したい。   3.単元の目標 1 関心・意欲・態度  ・古典に対する興味や関心を深める。     ・進んで古典を読もうとする態度を育てる。  2 社会的思考・判断  ・内容や表現に即して効果的に朗読できる。  3 資料活用の技能・表現  ・人物の行動や心情、作者の感想など、内容を正しく読み取ることができる。    ・昔の人のものの見方、感じ方ゃ生き方をとらえることができる。   4 知識・理解 ・古文特有の表現や語彙の知識を習得する。 4.指導計画と観点別評価計画 『君待つと−−−万葉・古今・新古今』 +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |時数| 学 習 内 容 | 関心・意欲・態度 | 表 現 | 理 解 | 言 語 | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |・学習目標をつか |・進んで音読しようと |・句切れ、仮名遣いに注|・「万葉集」の特徴や古 |・正確に視写するこ | | 1 |み、学習計画を立 |する。 |意して音読ができる。 |語の語調、定型のリズ |とができる。 | | |てる。    | | |ムを理解することがで| | | |・短歌の基本的な | | |きる | | | |ことについて | | | | | | |復習する。 | |    | | | | |・範読を聴き、各自| | | | | | |で微音読する。 | | | | | | |・「万葉集」9首を視| | | | | | |写する。 | | | | | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |   |4首目までを読み |・意欲的に鑑賞に取り |・内容や表現に即して |・内容を正しく読み取 | | | 2 |味わう。 |組もうとする。 |朗読できる。 |ることができる。 | | +−−+−−−−−−−−+・進んで発表しようと |    |・意味、用法、表現につ | | | |・9首目までを読み|する。 | |いて理解することが | | | 3 |味わう。 | | |できる。 | | | | ・「万葉集」の特徴|  | | | | | |を確認する | | | | | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | 4 |短歌3首を読み味 |・意欲的に取り組もう |・内容や理由を文章に |・歌風や作者に関する | | | |わい、作者を予想 |とする。 |まとめることができる|知識と関連づけ、作者 | | |本時|する。 | | |を予想できる。 | | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | 「古今和歌集」の |・進んで音読しようと |・句切れ、仮名遣いに注| |・正確に視写するこ | | 5 |4首の範読を聴き、|する。 |意して音読ができる。 | |とができる。 | | |各自で微音読する| | | | | | |・「古今和歌集」4首| | | | | | |を視写する。 | | | | | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |・4首を読み味わう|・意欲的に鑑賞に取り |・内容や表現に即して |・内容を正しく読み取 | | | 6 |・「古今和歌集」の |組もうとする。 |朗読できる。 |ることができる。 | | | |特徴を確認する。 |・進んで発表しようと | |・意味、用法、表現につ | | | | |する。 | |いて理解することが | | | | | | |できる。 | | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |・「新古今和歌集」 |・進んで音読しようと |・句切れ、仮名遣いに注| |・正確に視写するこ | | 7 |の4首の範読を聴 |する。 |意して音読ができる。 | |とができる。 | | |き、各自で微音読 |    | | | | | |する。 | | | | | | |・「新古今和歌集」 | | | | | | |4首を視写する。 | | | | | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |・4首を読み味わう|・意欲的に鑑賞に取り |・内容や表現に即して |・内容を正しく読み取 |・意味、用法、表現に | | 8 | |組もうとする。 |朗読できる。 |ることができる。 |ついて理解すること| | |・「新古今和歌集」 |・進んで発表しようと | | |ができる。 | | |の特徴を確認する|する。 | | | | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ 5.本時の指導(4/8) (1)題材 「万葉集」 (2)本時の目標 ・万葉集の特徴や歌風をとらえようとする。(関心・態度・意欲)    ・それぞれの短歌の歌風や特徴をとらえ朗読できる。    ・人物の心情や内容を読み取り、作者と結び付けることができる。(理解) (3)学ぼうとする力を育てるための工夫 ・作者を予想するという動機づけをすることによって、内容を考えたり作者の心情理解に興味・関心を高めさせる。  (4)本時の展開 +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | 学 習 内 容 | 生 徒 の 活 動 | 教 師 の 働 き か け | 資 料 | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+ | |1.前時の想起 |・シートや教科書で確|・短歌に作者の生き方や考え方が反映されることを確認|・作者の| |導|(「万葉集」の作者|認する。 |させる。 |特徴を紙| | | を想起する。) | | |板書で確| |入| | | |認する。| | | | +−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |10|2.課題の設定 | | 課題学習「3首の短歌の作者を予想してみよう」 || | |分| | |@「金も銀も何せむに勝れる宝子にしかめやも」 || | +−+−−−−−−−−−+−−+ ++−−−−+ | | | |A「父母が頭かき撫で幸くあれて言ひし言葉ぜわすれかねつる」 ||・学習課| | | | |B「うらうらに照れる春日にひばり上がり情悲しもひとりし思へば」 ||題を紙板| | | | +−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+|書で示す| | | | | | | | | |・短歌を朗読する。 |・短歌を範読する。 |・紙板書| | | | | |で短歌を| | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+示す。 | | | ・@の作者を予想する。| 指示1 | | | | | || @の短歌の作者を予想しなさい。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |・予想した作者と理由を確認する。 |・大意を| | | | | (山上憶良) |紙板書で| | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+示す。 | |展|3.解決方法の見通し|・@の短歌を予想した||発問 | | | | |方法をもとに考える || 作者を予想するにはどんな方法があるだろうか。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |・方法の確認 | | | | | | (大意・心情・情景・作者の境遇・言葉) | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | 指示2 | | | | | || 残り2首で意味の分からない言葉を挙げなさい。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |A 「 幸くあれて」→「無事であれ」 |・予想さ| | | | | 「忘れかねつる」→「忘れることができなかった」 |れるもの| | | | |B「うらうらに」→「うららかに」 |は紙板書| | | | | 「情」→「心」 |で提示す| | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+る | | |4.課題の追求 | || 指示3 | | | | | || 2首の大意をまとめなさい。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |A父と母が私の頭を撫でて、「無事であれ。」と言った| | | | | | 言葉が忘れられなかった。 | | | | | |Bうららかに照っている春の日に雲雀が飛び上がってさ| | | | | | えずり心は悲しいことだ。独りで物思いをしていると| | | | | | 。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | +−−自学タイム−−−+| 指示4 | | | | |上記の方法をもとに、|| 今考えた方法をもとに残り2首の作者を予想しなさ | | | | |作者を予想する。 || い。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |情景を考える |A情景…父母との別れの場面 | | | | |心情を考える | 心情…子を想う父母の情 | | | | |境遇を考える | 境遇…防人として家族と離れている | | | | |言葉をとらえる | 言葉…「父母」「幸くあれ」 | | | | +−−−−−−−−−−+ | | |開| | |B情景…うららかな春の日と物思いに耽る作者の姿 | | | | | | 心情…不遇な境遇に想いを巡らせる | | | | | | 境遇…大貴族大伴氏が藤原氏の台頭により勢力を失い| | | | | | つつある | | | | | | 言葉…「情悲しも」「独りし想へば」 | | | | | | | | | | | |◇机間指導 | | | | | |・生徒の作業の進み具合を確認し、援助する。 | | | | | |・Aでつまずいているものには、言葉に注目させ予想さ| | | | | | せる。 | | |35| | |・Bでつまずいているものには、下の句を中心に作者の| | |分| | | 心情や境遇を考えさせる。 | | | | | | | | | |5.課題の解決 ・作者の予想と理由を発|○机間指導をもとに指名する。 | | | | |表する。 | | | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+ |終|6.まとめと評価 ・作者の心情や境遇を意|・和歌には作者の生き方が反映されるということを確認| | |末| |識して朗読する。 | する。 | | |5| ・自己評価する。 | | | |分| | | | | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+  (5)評価の観点 @進んで作者を予想しようと取り組むことができたか。 A短歌を読み味わい、内容や理由を文章にまとめ発表することができたか。 B人物の心情や内容を読み取り、作者と結び付けることができたか。