印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):94   −−以下 指導案本文−−                 3学年国語科学習指導案                        日 時 平成8年11月7日(木) 5校時                        学 級 3学年B組(男子15名 女子10名 計25名)                        場 所 3学年B組教室                        授業者 柏木 朋子 1 単元名 六 古典を味わう (東下り「伊勢物語」から) 2 単元について   古典は、時代を超えて、日本民族の伝統的な思考・生活感情・生活様式などを受け継いでいるもので  ある。そこには、時代を超えた普遍的な人間性の真実が含まれており、読む人に多くの感動・生きていく  ための知恵を与えてくれる。それを遺産として継承し、新しい文化を創造していくためには、古典を古典  として理解し享受するにとどめず、積極的・主体的に受け止めていく姿勢が必要である。それぞれの時代  の人々の生き方や考え方・感じ方に触れ、自分の現在の生き方に思いをめぐらせ、再び古人の心に至ると  いった接し方・味わい方を指導したい。   日本人は古くから自分の心を表現するのに和歌を詠む習慣を持つ。和歌は日本文学の源流として後世の  文学にさまざまに影響を与えてきた。教材「君待つと」は和歌そのものを取り上げたが、「東下り」は和  歌を中心に構成された物語ー歌物語ーであり、韻文と、単に事実だけを記すだけでなく、虚構の要素が加  えられた散文との、融合の世界を味わわせてくれる。和歌が当時の人の生活の一部であることを、散文の  中の和歌として、散文と重ねた形の和歌として読み味わっていこうとするものである。「伊勢物語」は、  歌物語の頂点とも言うべき作品で、在原業平と思われる男の一代を、和歌を中心とした短い物語で綴った  ものである。   本教材は、一人の男の生涯における苦難と試練とも言うべき「旅立ち」の場面が取り上げられているが、  それは、中学生がそろそろ考え始める「自立」ということとも、また、「旅」という視点ともかかわって、  現代と切り結ぶことができると考える。   古典教材の学習には、どうしても堅苦しいイメージがある。現に、古典についてどの程度の意識や関心  を持っているかを調査したところ、大部分の生徒が古典の学習を「難しいもの」としてとらえている。そ  の理由は「言葉の意味が分からない」というのが一番多くあげられた。そして、難しいと答えた大部分の  生徒が「わかるようにしたい」と強く考えている。   そこで、擬古文のよる作文書きを行い、古典特有の言い回しを生徒自身が自ら表現するという形で、主  体的な生徒の活動を通じ、堅苦しいイメージから抜け出させようと考えた。そしてそのことを「自分の声  」で相手に伝えることができるようになれば、次への意欲にもつながるのではないかと考える。「読む」  「書く」「話す」の三段階の学習を通して遠い存在としてとらえていた古典を、より身近なものとして学  習させたいと考えている。 3 単元目標 (1) 歴史的かなづかいを現代かなづかいに直して、正しく音読することができる。(関心・意欲・態度) (2) 古文や漢文の朗読を通して、その文体になれ、表現の美しさを味わうことができる。(表現) (3) 昔の人の生き方や考え方について、感想を話し合ったり、文章にまとめたりすることができる。(表現) (4) 文体の特徴に注意してイメージや情感の表現をたどりながら、人生や自然に対する作者のものの見方・感   じ方をとらえることができる。(理解) (5) 古文や漢文特有の表現や語彙、慣用句の知識を得ることができる。(言語についての知識・知識・技能) 4 指導計画 (1) 君待つとー万葉・古今・新古今 …………………………………………6時間 (2) 東下り「伊勢物語」から ……………………………………………………5時間(本時2/5) (3) 夏草「おくのほそ道」から …………………………………………………5時間 (4) 学びて時にこれを習ふ「論語」から…………………………………………3時間 6 本時の指導   (1)目標・文語の意味に関心を持ち、現代語との違いに興味を持つことができる。        ・文末表現に注意しながら自分の文章を擬古文に直すことができる。        ・擬古文に直した文章を音読により発表することができる。   (2)展開 +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段階 学習過程 | 学 習 活 動 | 支 援 | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | |1 「東下り」第九段を一斉音読する。 |・教師も一緒に読みながら、読| | | | | みのあやふやな生徒も何とか| | | |2 前時の確認をする。 | 最後まで参加できるようにす| |導| | ・文末表現 | る。 (机間巡視) | | | | ・助詞の省略 | | | | | | | |入| | 学習課題−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |課 題 把 握| | 古文をまねてある日のできごとを| | | |10| | |日記風に書いてみよう。 | | | |分| | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | |3 自分がまねしたい古文表現を発表する。 |・現代と異なる文末表現として| | | | | の助動詞を四つほど取り上げ| | |課 題 追 究|4 ある日の出来事を擬古文に直す。 | それらに注意しながら自分の| | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| 文章を擬古文に直していくよ| | | ||・一昨日はクラブがあった。 || うにさせる。その際、歴史的| |展| ||→一昨日、クラブありけり。 || かなづかいや「いと」等の生| | | ||・体力作りの10分間ランニングは、 || 徒が使用できる範囲の古語も| | | || 大変疲れる。|| 使って書くように指導する。| | | ||→体力作りの10分間ランニング、 || 一斉→個別指導 | | | || いと疲れけり。|| (机間巡視) | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+|・作業の終わった生徒は、音読| | | |文末表現 @けり(〜た) | 練習に取り組ませ、音読を滑| |開| | Aなり(〜だ・〜です) | らかにすることにより、古文| | | | Bたり(〜た・〜ている) | への抵抗感をなくさせる。 | | | | Cず(〜ない) | | | | | | | | |課 題 解 決|5 できた文章を音読により発表する。 |・ここでのねらいは、正確に解| | | | ・擬古文のみの発表 | 釈するための文法や、文法の| | | | | | ための文法ではなく、基本は| | | | +−−作品を聞いた生徒の感想 | 「古典に親しむための親しむ| | | | ・意味が分かったか | 範囲を超えない文法」である| |30| | ・古文らしかったか | ので、生徒が意欲や自信を失| |分| | ・読みのうまさなど | わないように配慮する。 | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |課 題 発 展|6 次時の予告を聞く。 |・本時の擬古文の学習と同じよ| |終| | ・東下り「伊勢物語」からの学習について | うに、古文はまったく別世界| | | | | のものではないということに| |結| | | 触れ、次時の学習につなげら| | 5| | | れるようにする。 | |分| | | | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+  (3)評 価     ・文語の意味に関心を持ち、現代語との違いに興味がもてたか。     ・文末表現に注意しながら自分の文章を擬古文に直すことができたか。     ・擬古文に直した文章を音読により発表することができたか。 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+三年 組 |擬古文(古文をまねて書いた文章)で |氏名 −−−−−−−−+ | || | | ある日の出来事を日記風に書いてみよう。|| | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−−+ ◎ある日の出来事を事実を中心に、一五0字程度で書いてみよう。+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+− −+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ ◎右の現代文を擬古文に直してみよう。 ※文末表現は、次のような点に注意して書いてみよう。 @ けり(〜た) A なり(〜だ、〜です) B たり(〜た、〜ている) C ず (〜ない) なお、古文らしくするために、歴史的かなづか いにも注意してみて下さい。現代語でカタカナのものは、そのままでもかまいませんが、わたし→われ、として、あとは教科 書の古典をもとに、直してみましょう。+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+− −+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+−−+ 3学年 国語 目標分析表   単元名 六 古典を味わう 18時間扱い +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | 学 習 目 標 | 学 習 内 容 |時| 到 達 目 標 | 国語への | 表 現 | 理 解 | 言語についての | | | |数| | 関心・意欲・態度| | | 知識・理解・技能 | +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |《国語への関心・意欲・ |君待つと |6|・歴史的かなづかい|・教師の範読にしたが|・かなづかいに気をつ|・体言止め、係り結びな|・文中で歴史的かなづか| |態度》 | ー万葉・古今・| |や区切り方に気をつ|って、区切り方に気を|けながら自分の力で正|どの表現技法が説明でき|いが使われている語句を| | | 新古今| |けながら正しく音読|つけながら正しく音読|しく音読できる。 |る。 |指摘し、現代かなづかい| | 歴史的かなづかいを現代|・音読 | |することができる。|することができる。 | |・歌の形式が指摘できる|に直すことができる。 | |かなづかいに直し、正しく|・内容把握 | | | | | | | |音読することができる。 | (季節) | | | |・疑問点や考えてみた|・歌に込められた作者の| | | | (区切れ) | |・各歌を読んで情景|・「万葉集」「古今集」いことなどを含む20|心情が説明できる。 |・省略されている助詞を| | | (表現技法) | |と作者の心情を説明|「新古今集」の他の歌|0字程度の感想文を書| |指摘することができる | | | (語句意) | |することができる。|を読むことができる。|くことができる | | | | | (心情) | | | | |・「万葉集」「古今集」|・枕詞、序詞について指| |《表現》 | (係り結び) | | | | |「新古今集」について時|摘し説明することができ| | | (表記) | |・出典について基本| | |代、文学史上の特徴など|る。 | | 昔の人の生き方や考え方|・作品について | |的事項を指摘し、説| | |をあげることができる。| | |について、感想を話し合っ| (出典) | |明することができる| | | | | |たり、文章にまとめたりす| (時代) | | | | | | | |ることができる。 | (作品の特徴) | | | | | | | | 古文や漢文の朗読を通し| | | | | | | | |てその文体に慣れ、表現の|東下り「伊勢物語」|4|・歴史的かなづかい|・教師の範読にしたが|・かなづかいに気をつ|・「八橋」「すみだ河」|・「唐衣…」の歌で、「| |美しさを味わうことができ|・音読 | |を現代かなづかいに|って、区切り方に気を|けながら自分の力で正|の部分を現代語訳し、内|かきつばた」の五文字が| |る。 |・内容把握 | |直し、正しく音読す|つけながら正しく音読|しく音読できる。 |容を捕らえることができ|どこに置かれているかを| | | (語句意) | |ることができる。 |することができる。 | |る。 |指摘することができる。| | | (背景) | | | | | | | | | (人物) | |・現代語訳し、内容| |・疑問点や考えてみた| |・「なきにしもあらずと| | | (折句) | |を捕らえることがで| |いことなどを含む20| |は、「必ずしもないわけ| |《理解》 | (心情) | |きる。 | |0字程度の感想文を書|・「伊勢物語」のように|ではない」という、二重| | |・作品について | |・「伊勢物語」につ| |くことができる |和歌を中心に構成された|否定の表現であると説明| | 文体の特徴に注意してイ| (出典) | |いて基本的事項を指| | |物語のことを「歌物語」|できる。 | |メージや情感の表現をたど| (時代) | |摘し、説明すること| | |ということを指摘できる| | |りながら、人生や自然に対| (作品の特徴) | |ができる。 | | | | | |する作者のものの見方・感| | | | | | | | |じ方をとらえることができ|夏草「おくのほそ道」5|・芭蕉の旅に対する|・教師の範読にしたが|・かなづかいに気をつ|・1の部分から、芭蕉が|・文章中で歴史的かなづ| |る。 |・音読 | |思いをまとめること|って、区切り方に気を|けながら自分の力で正|旅に出るまでのいきさつ|かいが使われている語句| | |・内容把握 | |ができる。 |つけながら正しく音読|しく音読できる。 |を説明することができる|を指摘し、現代かなづか| | | (情景、心情) | |・「夏草」について|することができる。 | | |いに直すことができる。| | |・作品について | |基本的事項を指摘す| | |・2の部分から、平泉を| | | | | |ることができる | |・疑問点や考えてみた|訪れた芭蕉の感慨につい|・俳句の「季語」と「季| |《言語についての知識・ |学びて時にこれを習|3|・正確に音読するこ| |いことなどを含む20|て説明することができる|節」を説明することがで| |理解・技能》 |ふ「論語」から | |とができる。 | |0字程度の感想文を書| |きる。 | | |・音読 | |・文章を読んで大意| |くことができる。 | | | | 古文や漢文特有の表現や|・内容把握 | |を説明することがで| | | | | |語彙、慣用句の知識を得る| (指示語) | |きる。 |・教科書に出てくる「|・大意を説明すること|・「子曰く」の「子」と|・訓読文を書き下し文を| |ことができる。 | (反語表現) | |・「論語」について|論語」の文章をすべて|ができる。 |は「孔子」を指すと指摘|参考にしながら正しく音| | | (人物関係) | |基本的事項を説明す|暗唱することができる| |できる。 |読することができる。 | | |・作品について | |ることができる | | | | | +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+                                                           ・「なかれ」とは、「                                                            するな」という「禁                                                            止」の意味であると                                                            説明できる。