印刷用紙:B4縦 1ページの行数:57 1行の文字数(半角で):100   −−以下 指導案本文−−   第2学年国語科学習指導案 日 時 平成8年10月11日(金)第1校時 対 象 2年A組 (男子19名 女17名 計37名) 場 所 2年A組教室 指導者 教 諭 瀧 野 澤 徹 1 単元名 「表現1」 2 単元について 教材観 第二学年の目標は、「ものの見方や考え方を広くし、自分の立場を明らかにして、適切に表現する能力 を高めるとともに、表現を工夫しようとする態度を育てる」、「話や文章の内容を正確に理解する能力を 高めるとともに、積極的に話を聞き、読書に親しんで自己を豊かにする態度を育てる」となっている。 一学年のときの表現学習は、教材「自分を知らせる」で、材料を選び順序を考えながら文章化し発表す る、という内容を取り扱ってきた。さらに「伝える」では、夏休みの体験をはっきりわかるように「伝え る」学習を、「私の○大ニュース」では、「事実と意見を区別して」表現する学習を扱ってきている。 二学年では、上記の目標を受けて「問題追求のため」に立場を明らかにして的確に話したり聞いたりす る学習や、「作る−−想像をふくらませて」で想像をふくらませて物語を書く、という学習を取り扱って きた。 当教材「生活を見直す−−事実を踏まえて」[光村図書2年]は、自分のある一日の生活を細かく記録 することで、自分を見つめ直す機会をつくるというものである。そして、そのときどきの自分の考え方、 感じ方を作文することによって深めていくという教材である。生活を記録することは、積極的に取材しよ うとする態度の育成につなががっていく。また、書きながら考えを整理していくことは、「自分の考えを 深め、立場を明らかにして、主題や要旨がはっきり分かるように表現する」力の育成につながっていくで あろう。そのためには、文章を構成し文章化する活動を通して、「事実と意見、中心の部分と付加的な部 分などの関係が、はっきり分かるように全体の構成を工夫して表現する」力の育成が必要であろう。 今回の学習は、「表現2」の「私の名画観賞−−構成と描写」の事実と意見を書き分ける学習や三学年 「表現1」「出会いを生かす−−考えを明確に」で意見を明確に叙述する学習につながっていくものであ る。 生徒の実態 男子が19名、女子が18名、計37名の学級である。下位の生徒が比較的多い学級であり、個別指導 の必要な生徒が多い。作文に関しても、意欲面、技能面のどちらも個人差が大きい。 二学年に入り、「問題追求のための話し合い」の学習をへて、根拠をもって説明する力や、三段構成の 短い意見文を書く力がついてきている。さらに「作る−−想像をふくらませて」の学習では、物語文を書 くことを通して起承転結の構成や、表現の工夫を学習した。日常的には、日記や各行事後の感想文など、 作文を書く機会は多い。 しかし、作文指導において、取材や選材を扱う学習は少なく、中心と付加的な部分がわかるように全体 の構成を工夫する経験や、事実、意見、説明を区別して書く力はまだ十分とはいえない。 今回、作文に関するアンケートを取ったところ、次のような結果となった。「作文を書くことは好きで すか。」の質問に対しては、「好き」0名、「どちらかというと好き」9名、「どちらかというと嫌い」 21名、「嫌い」7名という結果であった。「作文を書くことは得意ですか。」の質問に対しては、「得 意」1名、「どちらかというと得意」7名、「どちらかというと苦手」10名、「苦手」19名という結 果であった。得意な作文は、多い順に、「日記(12名)」、「手紙(8名)」、「感想文(6名)」と なった。対して、苦手な作文は「説明文(11名)」、「感想文(8名)」、「意見文(3名)」となっ た。日記が得意な理由は、「書きやすい(6名)」、「そのまま書けばいい(6名)」があげられた。逆 に、説明文が苦手な理由は「うまく説明できない(6名)」、「途中で意味がわからなくなる(2名)」 などがあげられた。 これらの結果から、当学級の生徒は一般的に作文に苦手意識をもっていることがわかる。それから、日 記や手紙など書く経験が多いものは比較的得意としているが、意見文など、経験の少ないものは苦手とし ている。それに、文章の構成を考えたり論理的な文章を書いたりすることにも抵抗があることがわかる。 したがって、2年年が生活文から意見文への移行を図る大切な学年であることや、こうした実態からも 当教材により日常生活を取材し生活を見直す生活文を書かせることは、生徒にとって意義があると考えら れる。 指導観 自我に目覚める大切な時期を過ごす中学生にとって、文章を書きながら考えをまとめていくという経験 は重要な意味をもつ。しかし、自己がしっかり確立していなかったり考えをまとめることが苦手だったり する生徒にとって作文はともすれば苦痛となる可能性がある。アンケートの結果からもそのことが十分う かがえる。 それを解決するためには、意欲、関心を大切にする工夫が必要であろう。 また、書かせるためには、目的に応じてどのような準備をしてどんな手順でどう書くかを教えていくこ とが大切だと考えている。作文における基本的な技能を教えることを、第一の目的と考えて授業していき たい。 ところで、作文は題材が大切といわれる。今回は、共通の題材として「空き缶拾い」を取り上げること にした。これは、生徒会主催で金田一地区の空き缶を拾うというものであるが、集会などで何度も話し合 われているものなので、比較的書きやすいのではないかと考えて設定した。しかし、あくまで生徒の希望 を大切にし、書きたいものがあればこれにこだわらないようにしたい。 取材に関しては、取材表を用意しできるだけ丁寧に取り組ませたい。そして、取材・選材する力を伸ば したい。しかし、時間をかけすぎて意欲を失わせないように気をつける必要がある。 文章構成に関しては、「トレーニングの適量」と「シンデレラの時計」のふたつの説明文での学習を生 かしたい。いわゆる三分法の構成である。それから、接続詞の使い方も参考としていきたい。さらに、付 箋紙を活用させ、事実と意見を明確に区別させたり段落意識を持たせたりしていきたい。 評価に関しては、自己評価・相互評価を毎時間取り入れて意欲の喚起を図っていきたい。 3 環境教育との関連 生徒たちは、これまで「空き缶拾い」や「牛乳パック集め」などの環境に関する活動を行ってきた。そ の結果、環境に対する意識が高まり、、一見きれいに見える金田一地区もゴミの投げ捨てや汚水などによ り汚染されていることを知ることができた。そして、貴重な自然を大切にしよう、環境を守ろうという行 動に結びつき始めている。 今回は、日常生活の中から取材して、感じたり考えたりしたことを自分なりの言葉でまとめるという学 習である。これを通して、改めて日常生活の環境問題に目を向けさせ、問題を再発見させたり再確認させ たりできるものと考えている。そして、環境に対する自分自身の感じ方、考え方を確認させ、文章化する ことによって考えを豊かにしていきたい。さらに、環境をさらによくしていこうという態度を育成してい きたい。 4 指導目標 日常生活の中から多くの題材を求め、適切に取材・選材できるようにする。 自分の「生活の記録」をもとに、文章全体を見通して構成を工夫できるようにする。 自分の「生活の記録」と「文章構成表」をもとに、自分の感想や意見を表現できるようにする。 5 指導計画 一次 ○「ある日の記録」を読み、学習の進め方を把握する。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間 ○「生活の記録」の書き方を知り、視点にしたがって項目ごとに書きまとめる。・・・・・・・・・・1時間 ○「生活の記録」の中から話題を見つけ、主題や文章のあらましを決定する。・・・・・・・・・・・・1時間 二次 ○「生活の記録」の中から、主題につながる場面を選び文章構成を考える。・・・・・・・・・・・・・・1時間 三次 ○「書き出し」を工夫して「文章構成表」に基づき「初め」「中」の部分を書く。・・・・・・・・1時間(本時) ○表現の工夫をして、「終わり」の部分を書き、推敲する。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間 ○グループで発表し、評価し合う。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間 6 本時の指導 教材名 「生活を見直す −− 事実を踏まえて」 指導目標 さまざまな例文から、「書き出し」の表現を工夫できるようにする。 意欲的に「初め」と「中」の部分を書こうとする。 展開 ◎留意点 ○教材、教具 □環境教育の視点 +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |展開| 学習内容 | 予想される生徒の活動 | 指導上の留意点 +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |1、前時の学習内容を想起|1、「プリント3」をもとに文章構成を確認する|◯文章構成表 | |導| する。 | |◎紙板書を用い、短| | | | | 時間で想起できる| |入|2、本時の学習課題をつか|2、本時の学習課題を把握する。 | ようにする。 | | | む。 |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |5分| ||「書き出し」の表現の工夫をして、「初め」|| +−+−−−−−−−−−−−−++「中」の部分を書こう。 ++−−−−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |3、「書き出し」の表現上|3、これまで学習した文章を読み、「書き出し」|○作文例の紙板書 | | | の工夫を確かめる。 | の表現についていろいろな工夫があることを確|◎教材文以外からも| | | | かめる。 | 広く取り上げる。| | | | ・思ったことから書き出す。 |◎それぞれの違いや| |展| | ・会話から書き出す。 | 長所を考えさせる| | | | ・周りの様子から書き出す。 | | | | | ・詩的に書き出す。 | | | | | ・五感を使って書き出す。 | | | | | ・状況から書き出す。 | | | | | ・人物の説明から書き出す。 | | | | | ・引用から書き出す。 | | |開| | | | | |4、どういう表現の工夫を|4、使いたい表現の工夫を決定する。 |◎主題を意識して書| | | するかを決定する。 | ・主題文を読み、主題に合う自分なりの表現| くことができるよ| | | | を工夫する。 | うにする。 | | | | ・表現の工夫を構成表に書き、下書きの準備|◎記述の手順を確か| | | | をする。 | める。 | | | | |◎不明な漢字は平仮| | | | | 名で書かせる。 | | |5、工夫を生かして、「初|5、表現の工夫をし文章構成表にそって「初め」|◎長さは自由とする| | | め」、「中」の部分を書| 「中」の部分を書く。 |○原稿用紙 | |35| く。 | ・原稿用紙に付箋紙を貼りながら書き進む。|○取材表 | |分| | ・「中」を書き終えたら、読み返す。 |○文章構成表 | | | | |◎個別指導によって| | | | | 生徒の記述を支援| | | | | する。 | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |6、本時の学習を振り返る|6、作文を読みあって、相互評価、自己評価をし|○ビデオ・テレビ | | | | 本時の学習を振り返る。 |◎チェックリスト | | | | ・「書き出し」の表現の工夫を発表する。 |◎文章構成を説明で| | | | ・文章の構成を説明する。 | きるようにする。| |終| | ・発表をきいて優れている表現を指摘する。|◎良さを具体的に説| | | | ・感想を発表する。 | 明できるようにす| | | | ・チェックリストに記入し、自己評価をする| る。 | |末| | |□環境に関する事項| | | | | を取り上げる。 | | |7、次時の予告を聞く。 |7、次時の学習課題を確かめる。 |◎学習意欲が高まる| |10| | | ように、良さを認| |分| | 「表現の工夫をして、『終わり』の部分を書こ| め励ます。 | | | | う。」 | | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ 評価 表現を工夫して、文章構成表にそって「初め」、「中」の部分を書くことができたか。 書こうとする事柄を、自分なりに工夫して意欲的に表現しようとしたか。