印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):102   −−以下 指導案本文−−               第3学年  国語科学習指導案                              日 時  平成8年10月17日(木)                              学 級  第3学年 男子19名 女子14名                              授業者  大堀 武宏 1、単元名   五、現代社会を考える   「金星大気の教えるもの」 2、単元について   1 単元の指導について      中学3年生になり、生徒は社会への関心が高まってくる時期である。情報化・国際化に伴い、それらに関     する情報が氾濫しているが、必ずしも生徒は正しく理解し、広い視野に立って物事を考えることはできてい     ない状況である。発達段階から考えると、自分の接する情報を整理し、分析し、その真偽を判断する力を求     められる。さらには、分析した情報から、社会や人生について能動的に考える態度も育てなければいけない     時期である。本教材は、「金星」と「地球」を対比しながら、二酸化炭素の増加による温暖化現象の危険性     を訴えている。地球環境破壊への警告ともいえる内容である。生徒の多くは、環境破壊について、学校教育     以外でも、テレビなどを通してふれる機会は多い。しかし、主体的に自分たちの生活と結びつけて考えるこ     とまでには至っていない状況である。その点で、この単元では地球のおかれた危機的状況を、詳細なデータ     をもとに正面から、切り込む手法で論説しており、この時期の生徒にとっては有意義な教材といえる。      さて、この教材は、感覚的なとらえかただけでは、本質に迫ることはできないであろう。科学的データを     もとに、説明の要点をとらえ、要点と要点のつながりに注意しながら読み進める必要がある。書かれている     事柄を、文章構成を把握し、論理的思考を駆使しながらとらえることが肝要である。論理的文章読解のまと     めの単元として、「文章の展開に即して内容をとらえる」ことを身につけることを大きな目標において指導     したい。      発展として、環境問題に関わるいくつかの話題に関わって、自分たちの考えを話し合いの中で深化させ、     文章を書く作業を通して、効果的な文章表現指導まで進めたいものである。   2 生徒の実態      生徒たちは、集中して課題に取り組み、要旨をとらえる力も育ってきている。しかし、説明的文章は文学     的文章よりも読む意欲に欠け、論理的思考を展開する力に劣る。説明文の、問題提示から例示、そして結論     までの道筋を的確に整理することが苦手である。また、筆者の主張に対しての、自分の意見をもっていても     論理的な文章に構成するまでには至っていない。      授業においては、概して発言が男子に偏りがちだが、女子も文章の読み取りは深い。話し合い活動では、     活発な意見交流に欠ける面がみられるが、時間をかけると高度な発表も期待できる。 3、単元指導目標   @国語への関心・意欲・態度     「金星」と「地球」の環境を対比することを通して、地球環境破壊の現状に目を向け、自分が住む社会     を大きな視点で考えさせる態度をもたせる。   A表現の能力     地球環境に関わる素材の中から選んだ話題について、自分の考えを深め、効果的な展開を工夫しながら     文章にし、発表させる。   B理解の能力     文章の論理展開に注目しながら、「金星」の現状を把握し、さらに地球環境の危機に結びつけた筆者の     主張を読み取らせる。   C言語についての知識・理解・技能     科学用語に注目し、本文での意味を的確にとらえさせる。 4、指導計画   第1時・・・単元全体の見通しをもち、読解と表現学習を結びつけることができる。         全文通読後、初読の感想文を書くことができる。   第2時・・・意味段落1の文脈を把握(人々に親しまれてきた金星)し、表現の特徴をとらえることができ        る。   第3時・・・意味段落2の文脈を把握(金星の本当の姿)し、表現の特徴をとらえることができる。   第4時・・・意味段落3の文脈を把握(金星と地球の違いとその原因)し、表現の特徴をとらえることがで        きる。   第5時・・・意味段落4の文脈を把握(地球環境の危機の現状と予想・筆者の提言)し、表現の特徴をとら えることができる。−−−−−(本時)   第6時・・・文章全体の要旨をまとめ、文章構成の型を理解できる。さらに、地球環境レポート作りの際に        文章構成を工夫することができる。   <表現の広場>   第7時・・・地球環境レポートのテーマをグループで決め、文章構成に注意しながら、作業に取り組むこと        ができる。   第8時・・・地球環境レポートを完成させ、発表することができる。 5、本時の学習  1 主題 意味段落4の要約と表現の特徴  2 本時の目標       @ 意味段落4の要点をまとめ、要約することができる。       A 意味段落4の表現の特徴をまとめることができる。  3 具体目標行動       @ 意味段落3での、金星と地球の違いを想起することができる。       A 意味段落4の形式段落ごとの中心文をとらえることができる。       B 意味段落4を要約することができる。       C 意味段落4の小見出しを考えることができる。       D 形式段落ごとの表現の特徴を把握することができる。       E 2人組で、協力して課題に取り組むことができる。       F 進んで発表できる。 4本時の展開(指導過程) +−+−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−+−−−−+ | | | 学  習  内  容 |具体 | | |段階 学習内容+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+目標 教師の支援 | 資料・教材 | | | 教師のはたらきかけ | 予想される生徒の活動 | | | | +−+−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−+−−−−+ | |1、漢字小テスト ・ 前時の学習範囲の漢字テストを行なう。 ・漢字テストに取り組み、自己採点を行なう。 | | |2、前時の復習 ◎ 前の時間は、地球と金星の違いをまとめましたが ・「地球には二酸化炭素が少ない」 @ ・すぐに答えられない場合は、 | | | どんな違いがありましたか。 ・「地球には海が存在している」 F ノートを開かせ、想起させる。 | | | |・「地球には生命が誕生した」 | | | |導入 |◎ 地球の二酸化炭素はどうして少ないのですか。 ・「海ができ、そこに二酸化炭素が溶け込んだから」 | | |◎ 金星になぜ海が誕生しなかったのですか。 ・「太陽に近かったので、水がすべて蒸発したから」 | | |・ 金星の二酸化炭素の増加が、生命の存在を許さな | | | | | | | かったことを確認する。 | | | | | | |3、学習課題の確認 ・ 学習課題の確認 | | | | | |5分 |+−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | |短冊黒板| +−+−−−−−++ 地球環境について、筆者はどうとらえ、何を主張しているのか?−−−−−−+−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | | | | | |・ 生徒3名を指名し、意味段落4を音読させる。 | | | | |展開 4、形式段落ごとの中 ◎意味段落4の要点をまとめます。では、いつものよ ・形式段落12の中心文 A | | | 心文の把握 うに形式段落ごとに中心文を指摘して、傍線を引いて 「地球の環境は、まさにすばらしい偶然の産物だった ・机間巡視をしながら、中心文 | | |下さい。 |ということができよう」 | |をみつけられない生徒に、ポイ | | | |・形式段落13の中心文 | |ントを指導する。 | | | | | |「その地球の上に最も新しい生物として生まれた人類 | | | | |が、盛んな活動によって、今、地球の環境を壊しつつ | | | | |ある」 | |・個に応じた指導として、 | | | |○形式段落14については、大事な文が二つあります ・形式段落14の中心文 <中心文を指摘する> | | |二つの文に傍線を引いてみましょう。 「だから今、地球が温暖化するのをこれ以上進めない| (基礎コース) | | | |ため、世界の国々が知恵を出し合うことが求められて <中心文を指摘し、さらに重要 | | | |いる」 | |語句もおさえる> | | | | |「温室効果による極限の状況が、金星というすぐ隣の (発展コース) | | | |惑星にあるという事実は、地球への大きな警告と受け ↓| | | | |止めねばなるまい」 | |2コースの選択をさせる。 | | | |◎それでは、形式段落ごとに発表してもらいます。 | | | | | | |12段落の中心文はどこですか。 ・「地球の環境は、まさにすばらしい偶然の産物だっ | | | | |たということができよう」 | | | | | | |○「偶然の産物」とありますが、どういう点が偶然の ・「地球の位置が、あと一割ほど太陽に近かったり、 | | |産物だったのですか。 |遠かったりしたら、きっと現在の地球の豊かな環境は | | | | |生まれなかったにちがいない。」| | | | | | |・「地球がもっと小さくて月や水星のようであったな ・水星・金星・火星などの気温 | | | |ら、その重力で大気を引きつけておくことができず、 などを補足説明し、地球環境の | | | |ほとんど真空の状態になっていたにちがいない。」 すばらしさを確認させる。 | | |○太陽に近すぎるとどうなると思いますか。 ・水が蒸発してしまう。 | | | | |○太陽から遠すぎるとどうなると思いますか。 ・凍結する。 | | | | | |◎13段落の中心文はどこですか。 ・「その地球の上に最も新しい生物として生まれた人 | | | | |類が、盛んな活動によって、今、地球の環境を壊しつ | | | | |つある」 | | | | | | |○人類が環境を壊すということですが、どういう例が ・化石燃料の大量消費による二酸化炭素の増加 | | |あげられていますか。 | | | | | | | |○教科書にはあげられていませんが、他にどのような ・オゾン層の破壊 ・酸性雨|・森林伐採 ・レポートのテーマにつながる | | |環境破壊の例があると思いますか。 ・水質汚染 ・砂漠化 ・野性動物の絶滅 ので、きちんとおさえる。 | | |◎14段落の中心文はどこですか。 「だから今、地球が温暖化するのをこれ以上進めない | | | | |ため、世界の国々が知恵を出し合うことが求められて | | | | |いる」 | | | | | | | |「温室効果による極限の状況が、金星というすぐ隣の | | | | |惑星にあるという事実は、地球への大きな警告と受け | | | | |止めねばなるまい」 | | | | | |5、意味段落4の要約 ◎中心文を把握したので、意味段落4の要約ができま ・すばらしい偶然の産物だった地球の環境を、人類の B | | |すね。百字前後でまとめて下さい。 手によって壊しつつある。今、地球の温暖化を防ぐた | | | | |め、世界の国々が知恵を出し合わなければならない。 | | | |・途中から2人組編成にさせて、要約文の吟味をさせ 金星の極限の状況は、地球への大きな警告である。 ・机間巡視をして、まとめかた ・短冊黒板 | | |る。 | | |の指導をする。 | | | | |○要約文を2人に発表してもらいます。自分の要約文 ・生徒2人が板書する。 F | | | | |と比較してみて下さい。 | | | | | | | |・生徒2人の発表を評価する。 | | | | | |6、意味段落4の小見 ◎意味段落4の小見出しを2人で考えて、発表して下 ・「地球の温暖化を防ぐために」 C ・多くの生徒の発表をさせて、 | | 出し |さい。 |・「地球への大きな警告」 | |評価する。 | | | |7、形式段落13・ ◎形式段落13か14のどちらかの段落を選んで、表 ・形式段落13の特徴 D | | | | 14の表現の特徴の 現の特徴を考えて下さい。2人組で考えましょう。 結論が先にきて、それについての事実や原因、予想を | | 把握 | |述べている。 | | | | | | | |・形式段落14の特徴 | |・形式段落12も、仮定法が使| | | | |<まさか〜としても、〜だろう> |われていることを補足説明する | | | |<もしかしたら〜かもしれない>| | | |44| | |<そうしなければ、〜であろう> という仮定法の多| | |分| | |用。 | | | | +−+−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−+−−−−+ |終末 8 次時の予告 ◎次の時間は、全体の要旨をまとめ、文章構成につい ・指示を聞く。 | | | | |ても学習したいと思います。そして、いよいよレポー | | | | |1| |ト作りに入りますので、テーマを何にするのか考えて | | | | |分| |おいて下さい。 | | | | | +−+−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−+−−−−+ 5 評価     @ 意味段落4の要点をまとめ、要約することができたか。     A 意味段落4の表現の特徴をまとめることができたか。 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |地球環境レポート テーマ ( ) ( )班 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | <温暖化現象> | |事 実 (例 最近三十年の間に、二酸化炭素の濃度が12パーセントも増えてしまった    ) | | ・ | | ( ) | |具体例 | | ( ) | | | | ( ) | | | | ( ) | | | | ( ) | | | | ( ) | | | | ( ) | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |原 因 (例 石油や石炭のような化石燃料が大量に消費されたこと ) | | | | ( ) | | | | ( ) | | | | ( ) | | | | ( ) | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 温室効果によって地球の気温がぐんぐん上がっていくにちがいない | |予 想 (例 気候の変化による植物の生育状況や分布・人間の生活・生存に影響が及ぶかもしれない ) | | | | ( ) | | | | ( ) | | | | ( ) | | | | ( ) | | | | ( ) | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 例 温暖化の防止のため、世界の国々が知恵を出し合う。 | |結 論 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+