印刷用紙:A4縦 1ページの行数:41 1行の文字数(半角で):84   −−以下 指導案本文−−            国 語 科 学 習 指 導 案                        日 時:平成8年9月27日(金) 1校時                        学 級:第1学年(男子2名 女子3名 計5名)                        授業者:教諭 辻村順子 1 単元名    七、「わたし」をこえて     (光村図書1年)                「少年の日の思い出」ヘルマン・ヘッセ                          高橋健二 訳 2 単元・教材について    <「わたし」をこえて>という単元は、「足どり」(詩)「少年の日の思い出」(小説)「わたしの周りには、いつもあなたがいる」 (随筆)から成り、心身ともに成長し自我意識の目覚めつつある生徒たちに、今までの自分を見つめ直し、さらに磨きをかけて欲しいと いう趣旨で設定されている。    同時に本単元は、これまでの国語学習の中で培われてきた力や技能を復習し、定着を図るための総合単元として位置づけられている。 そのため、詩・小説・随筆と多様な文種の教材からなっており、多彩な視点からの理解活動を行うことが可能である。生徒たちが主体 的に取り組み、互いに学び合える場面を設定しやすい単元でもある。小学校から6年半同じ5名の仲間で学習してきた生徒たちにとっ て、他の考え方を聞き、自己の考えを主張する中で、自分をあらためて発見し、さらに豊かに高める機会としたい。 3 生徒の実態    生徒達は昨年度小学校6年時に、理解教材の物語文として「赤い実はじけた」(名木田恵子)「石うすの歌」(壷井栄)「風の強い 日」(山下明生)「やまなし」(宮沢賢治)を通して、「優れた描写や叙述を味わいながら読むこと」(指導書)を学習している。中 学1年時に入ってからは、「スカイハイツ・オーケストラ」(岡田淳)「おいのり」(三木卓)「大人になれなかった弟たちに……」 (米倉斉加年)「命ということ」(中澤晶子)を学習済みである。    物語教材に対する生徒の反応はよく、「情景や心情の描かれているところを読み味わい、自分の感想を持つこと」(指導書)には積 極的に取り組んでいる。しかし、考えたことをまとめて書いたり発表したりする力、直接経験していない内容について深く考えたりす る力が不足する傾向が見られる。授業中、その時はわかったつもりでいても、学習内容を整理して理解していないため、次時には忘れ ていたりわからなくなったりしていることもある。学習内容の定着を図るため、学習計画・学習課題の把握を意識的に行わせている。 4 単元の目標    ・ 場面ごとに、優れた情景描写や心情の表現を味わえるようにする。(理解)    ・ 登場人物の心情や行動の表現を通して、作品の主題を感じ取ったり、考えたりしながら、自分の意見をまとめる。(表現)    ・ 語句の意味と用法に注意し、表現を読み味わう。(言語事項) 5 指導の構想 (1)個々の興味・関心を生かした学習過程の工夫    ・ 一人一人の初発の感想を全員で読み合い、それを生かして学習課題を作成させる。    ・ 課題解決や理解の達成感を味わわせる。    ・ 生徒の主体的な「読み」を生かし、選択しながら読み進める活動を取り入れる。 (2)個々のよさが発揮される学習過程の工夫    ・ 「個」で考えさせる場面と「全体」で確かめ合う場面とを設定する。    ・ 一人一人の読みや発想を生かし、表現活動を取り入れることによって、個々のよさを発揮させる。 (3)よさを認め合える場の設定の工夫    ・ 少人数のよさを生かし、学級の全員が認められる場の設定を行う。    ・ 友達の読みや発想を聞いて、感想や意見を交流させる。 6 指導計画 (全10時間)   <第1次>    第1時 ・範読を聞き、語句の読みを確認する。        ・初発の感想を書く。        ・語句の意味を辞書で調べる。    第2時 ・生徒よみ        ・初発の感想をもとに学習課題を意識する。        ・語句の意味を辞書で調べる。    第3時 ・作品の構成をとらえる。        ・前半部を読み、客が思い出を語るようになるきっかけを考える。   <第2次>    第4時 「回想一」の場面を読んで、ちょう集めに対する「僕」の熱情を読み取る。    第5時 「回想二」の場面を読んで、先生の息子に対する「僕」の感情を読み取る。    第6時 「回想三」の場面を読んで、「僕」が盗みを犯すまでの心情を読み取る。    第7時 「回想四」の場面を読んで、「僕」がちょうを戻しにいき、つぶしてしまうまでの心情の変化を読み取る。    第8時 「回想五」の場面を読んで、エーミールの態度と「僕」の反応と心情を読み取る。(本時)    第9時 「回想六」の場面を読んで、自ら収集したちょうをつぶしてしまう「僕」の心情を読み取る。   <第3次>    第10時・作品の主題について考える。        ・「僕」への手紙作文を書き、主人公の行為や心情を客観的に考える。 7 本時の指導 (1)主題名    「少年の日の思い出」 (2)本時の目標   ◎ 「僕」とエーミールの言葉や行動から心情を読み取る。   ○ 読み取ったことから感じたことや考えたことを発表する。   ○ 語句の意味と用法に注意し、表現を読み味わう。 (3)本時の視点   ・ 吹き出しなどの紙板書や名前のマークを用いて「読み」の個別化を図り、個々のよさを発揮させる。   ・ 生徒自身が作成した学習課題を主体的に読み解けるように、授業への意欲化を図る。 (4)本時の展開 (5)本時の評価   ◎ 「僕」やエーミールの言葉や行動から心情を読み取ることができたか。   ○ 読み取ったことから感じたことや考えたことを発表することができたか。   ○ 語句の意味と用法に注意し、表現を読み味わうことができたか。 8 座席表   国語科アンケート(1年)    月   日(  )   校時                         氏名   いよいよ2学期に入りました。皆さんと国語の学習を始めてから5カ月がたち、中学校の国語の学習にも慣れてきたと思います。   これからますます皆さんと「楽しくてためになる国語の授業」を作っていくために、今日は皆さんの意見や考えを聞かせて欲しいと 思います。そして「楽しくてためになる授業づくり」のことを一緒に考えてください。   どんな意見でも参考になるので、自由に書いてください。 1 国語の授業は楽しいですか? 2 「物語文」で、登場人物の気持ちや情景などを読み取ることは難しいと思いますか? 3 「物語文」を読んで、自分の感想や考えを持つことは、難しいと思いますか? 4 授業で、「今日の課題」が決められると、それを解決しようと努力しますか?  あるいは、がんばろうという気持ちになりますか? 5 黒板で、自分の意見に「名前マーク」がついたり、自分の「課題」が授業の目標になった  りすることを、どう思いますか?