印刷用紙:B4縦 1ページの行数:65 1行の文字数(半角で):80            音楽科学習指導案                                指導者 佐々木 裕 1.日 時 平成3年7月5日(金)第2校時 2.学 級 3年3組 男子21名 女子17名 北校舎2階 第1音楽室 3.題 材 民謡の味わい        使用する教材(本時)岩手県民謡 万鶴亀節                  岩手県民謡 南部牛追い歌                   秋田県民謡 秋田荷方節 4.題材について  世界各地の音楽や文化に対して開かれた価値観を養うことが音楽教育の中で求められて いる。生徒の実態をみると、多様な音楽にかこまれ、その中から自分の好きな音楽を自由 に選択して聴いたり、演奏したりすることを楽しんでおり、一見恵まれた状況にあるよう に見える。しかし、その中で自分の住んでいる郷土や日本の民謡に興味・関心を持ってい る生徒はごくわずかに過ぎない。民謡と聴いただけで拒否反応を示して耳も心も閉ざして しまう生徒が多いというのが実態である。  これまでの学習の中で、日本の音楽としては箏曲や長唄、雅楽について学習してきてい る。また民謡については『管弦楽のための木挽歌』の中で学習してきている。3年間の音 楽の学習の中で日本の音楽を扱うのはこの題材と尺八の音楽で最後となる。        本題材では、このような状況にある日本と郷土の民謡をとりあげ、民謡の持つ魅力や味 わいに触れることによってこれらの音楽を普段、自分たちが接している音楽と同じレベル でとらえることのできる生徒の育成を願って設定したものである。      地球上のあらゆる地域の民族的な色彩を持つ音楽が、あらゆるメディアに乗ってエスニ ックミュージックとして、あるいはエスノポップやワールドミュージックと姿を変えて生 徒たち取り巻いてきており、これらの音楽に興味を持ち始めている生徒が現れてきている 。また民謡を現代に生かそうとしている試みもさまざま見られる。これらも糸口としなが ら本題材のねらいにせまりたいと考える。 5.指導計画   (1)『南部牛追い歌』を使った節回しの工夫            0.5時間       (2)工夫した節回しの表現                    0.5時間       (3)日本の民謡の特徴と味わい                  1時間(本時) 6.本時の達成目標   (1)日本の民謡に対して興味と関心を持つことができる。   (2)日本の民謡の特徴を感じ取ることができる。 印刷用紙:B4縦 1ページの行数:65 1行の文字数(半角で):122 7.本時の展開  〈個に対する配慮〉 〈A〉達成度   〈B〉学習速度 〈C〉取り組み方(意欲・態度) 〈D〉見方・考え方            〈E〉興味・関心 〈F〉生活経験 〈S〉学習形態 +---+---+---+---------------------------+----------------------------------------------------------+-------------+ | 段| 過| 時| ・・・・・・・・・・・・・・| ・・  個人差に対する配慮               ・・・| ・・・・・・| |  |  |  |   学  習  活  動・・+-----------------------+-----------------------------------+ 資料・教具等| | 階| 程| 間| ・・・・・・・・・・・・・・|   評価の観点・方法  |    配慮事項        ・・・| ・・・・・・| +---+---+---+---------------------------+-----------------------+----------------------------------+-------------+ | 導| 課| ・| 1.前時までに作った、節回し| ・・・・・・・・・・・・| 1.〈A〉書いた楽譜をもとに自分で表| 〈S〉1〜3| | 入| 題| ・|  を工夫した『南部牛追い歌』| ・・・・・・・・・・・・|  現できることが望ましいが。困難な場| 人の任意のグ| | ・| の| ・|  の表現を練習する。・・・・| ・・・・・・・・・・・・|  合はそれをもとに教師が歌ってやって| ループ・・・| | ・| 設| ・| ・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・|  表現の意図をくみとってやる。・・・| ・・・・・・| | ・| 定| ・| 2.節回しを工夫した『南部牛| ・・・・・・・・・・・・| 2.〈C〉曲の一部分でも良い。音の動| ・・・・・・| | ・| ・| ・|  追い歌』を声や身近な楽器を| ・・・・・・・・・・・・|  かし方の工夫に着目し、わずかな工夫| ・・・・・・| | ・| ・| ・|  使って表現する。・・・・・| ・・・・・・・・・・・・|  も認める。・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・| 3.もとになる節は同じでも人| ・・・・・・・・・・・・| 3.〈D〉節回しの工夫をすることが歌| ・・・・・・| | ・| ・| ・|  によって違った表現になって| ・・・・・・・・・・・・|  うことそのものであり、民謡ではとて| ・・・・・・| | ・| ・| ・|  いることを理解する。・・・| ・・・・・・・・・・・・|  も重要である。本時の学習の中心にな| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・|  る重要なことがらであるからきちんと| ・・・・・・| | ・| ・| ・| 4.学習課題を確認する。・・| ・・・・・・・・・・・・| ・押さえさせる。・・・・・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・本時の学習課題・・・・・| ・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・日本の民謡にはどんな特 | ・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・|  徴があるかを表現や鑑賞を・| ・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| 20| ・とおして感じとろう。・・・| ・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| 分| ・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・| +---+---+---+---------------------------+-----------------------+----------------------------------+-------------+ | 展| 課| ・| 5.民謡はどんな時、どんなと| ・・・・・・・・・・・・| 5.〈F〉生徒の経験は、のど自慢や民| 学習シート・| | 開| 題| ・|  ころで歌われるか、または聞| ・・・・・・・・・・・・|  謡ショーなどのテレビ番組がほとんど| ・・・・・・| | ・| の| ・|  くことができるか、いままで| ・・・・・・・・・・・・|  であろう。結婚式などの祝いの席や生| ・・・・・・| | ・| 追| ・|  の自分の経験をもとに発表す| ・・・・・・・・・・・・|  活や仕事の中で歌われるという認識は| ・・・・・・| | ・| 及| ・|  る。・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・|  あまりないと思われるので具体的場面| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・|  を補説する。・・・・・・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・| 6.民謡はもともと仕事や祝い| ・・・・・・・・・・・・| 6.〈D〉民謡というと三味線や太鼓の| ・・・・・・| | ・| ・| ・|  ごとなどの、生活に密着した| ・・・・・・・・・・・・|  はいった座敷歌的なものを連想すると| ・・・・・・| | ・| ・| ・|  歌であったことを理解する。| ・・・・・・・・・・・・|  思われるが、もともとは素朴な歌であ| ・・・・・・| | ・| ・| ・|               | ・・・・・・・・・・・・|  ったことに気づかせる。・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・| 7.素朴に歌われている民謡の| ・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ビデオの提示| | ・| ・| ・|  例として、岩手県遠野地方民| ・・・・・・・・・・・・| 7.〈E〉この歌は結婚式などで歌われ| ・・・・・@| | ・| ・| ・|  謡の万鶴亀(まがき)節をど| ・・・・・・・・・・・・|  る祝い歌である。遠野市氷口では謡曲| 歌詞プリント| | ・| ・| ・|  んな歌い方の特徴があるかに| ・・・・・・・・・・・・|  と一緒に歌われる非常にめずらしい異| ・・・・・・| | ・| ・| ・|  気をつけて鑑賞する。   | ・・・・・・・・・・・・|  曲同時唱がおこなわれている。歌って| ・・・・・・| | ・| ・| ・|               | ・・・・・・・・・・・・|  いるおばあさんはとてもはりのある声| ・・・・・・| | ・| ・| ・| 8.歌い方で気づいたことを発| 8         ・・|  の持ち主であり、とても80歳とは思| ・・・・・・| | ・| ・| ・|  表する。        ・| ・この民謡の歌い方には |  えない。歌詞カードを渡しておき、ひ| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・|  どんな特徴があるかあ |  とつの音が長く伸ばされて音程が変化| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・|  げることができたか。・|  していることに気づかせたい。・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・| ・      ・・・・・| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・|  挙手発言・・・・・・・| 8.〈フィードバック〉歌い方に着目さ| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・| 〈チェック項目〉・・・・|  せ再度聞かせる。民謡らしさを出すた| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・| G 伸ばしている音や長い|  めに、もとになる節に節回しの工夫を| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・| ・音に微妙な音のゆれ『節|  したことを想起させ、本時のポイント| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・|  回し』があることが言え|  を意識させる。          | ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・|  る。         |                   | ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・| M 発声が独特であること| 9.〈D〉どんな節回しで歌うかが、歌| ・・・・・・| | ・| ・| ・| 9.民謡では『節回し』が表現|  が言える。      |  う人の持つ味わいになることを理解さ| ・・・・・・| | ・| ・| ・|  の重要なポイントであること| P テンポが非常にゆっく|  せる。3.の活動を想起させる。・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・|  を理解する。・・・・・・・|  りしていることが言える| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・|             | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・| 10.節回しに着目しながら岩手|             | 10.〈E〉沿岸と内陸を結んで荷物を運| ビデオの提示| | ・| ・| ・|  県の代表的民謡である『南部|            ・|  んだ牛方によって歌われた歌であるこ| ・・・・・A| | ・| ・| 20| ・牛追い歌』を視聴する。・・| ・・・・・・・・・・・・|  とを補説する。伝統的で素朴な歌い方| 歌詞プリント| | ・| ・| 分| ・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・・・・・・・|  の中から民謡の良さを味わわせたい。| ・・・・・・| +---+---+---+---------------------------+-----------------------+----------------------------------+-------------+ | 終| ま| ・| 11.『秋田荷方節』を鑑賞する| ・・・・・・・・・・・・| 11.〈E〉追分調の民謡に現代的なリズ| CD・・・・| | 結| と| ・|  なかから民謡を新しい視点か| ・・・・・・・・・・・・|  ムのバッキングがついた演奏である。| 歌詞プリント| | ・| め| ・|  ら現代に生きる音楽にしよう| ・・・・・・・・・・・・| ・歌唱そのものは伝統的な民謡の唱法で| ・・・・・・| | ・| ・| ・|  としていることを理解する。| ・・・・・・・・・・・・| ・あることに気づかせる。・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・| 12           | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・| ・・・・・・| | ・| ・| ・| 12.本時の学習をとおして理解|  日本の民謡にはどんな |                   | ・・・・・・| | ・| ・| ・|  した民謡の特徴を確認する。|  特徴があるかあげるこ | 12.〈補説〉民謡には節回しなど歌う人| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・|  とができたか。    |  の持ち味が大きく生かされる。西洋音| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・|             |  楽とは違う表現方法であるが、深い味| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・|  指名発表       |  わいを持つことに気づかせる。   | ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・| 〈チェック項目〉    |   日本の民謡に対しても、世界の音楽| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・| G 節回しが表現や味わい|  の一つとしてとらえ、普段接している| ・・・・・・| | ・| ・| ・| ・・・・・・・・・・・・・・|  に重要な役割を持ち、民|  音楽と同じレベルとらえていこうとい| ・・・・・・| | ・| ・| 10| ・・・・・・・・・・・・・・|  謡の魅力になっているこ|  う考えを持ってほしいことを話し、題| ・・・・・・| | ・| ・| 分| ・・・・・・・・・・・・・・|  とが言える。・・・・・|  材のまとめとする。        | ・・・・・・| +---+---+---+---------------------------+-----------------------+----------------------------------+-------------+