印刷用紙:A4縦 1ページの行数:36 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−                   音 楽 科 学 習 指 導 案                                日時   平成8年10月7日(月)5校時                         学級   1年2組(男子15名、女子17名)                         授業者  阿 部 清 子 1、題材名 「合唱の喜び」 教材「夢は大空を駆ける」 (館 蓬莱 作詞 渡部 節保 作曲) 2、題材について   元気一杯に歌って自己表現してきた一年生も、校内合唱コンクールを前に本格的に混声三部合唱に 取り組む。学級の活動を通して、混声三部合唱の美しさや楽しさを味わいながら、合唱する能力を伸ば していきたい。また、生徒個々人が自分の力を出しきり、さらに、人とのかかわりの中で歌い合わせる 喜びや全員で音楽をつくる感動などを身をもって体験させたいと考えた。この曲はたいへん歌いやすく 、とても大らかな、力強い曲である。詩に込められた若者の夢や希望に満ちた気持ちは、一年生にも十 分共感できるものを持っている。また、いろいろな要素が含まれている曲でもある。力強い歌だし、男 声のメロディー、ソプラノのメロディー、メロディーに対するオブリガートの軽快な歌い方。女声二部 合唱の落ち着いた静けさを。アルトのメロディーから始まるカノン風な(線的な複雑な動き)歌い方。 フェルマータがついた「空に」の頂点の歌い方。コーダの歌い方など、いろいろな合唱体験をさせるこ とができる。音程や細やかな表現技巧の点で、一年生の教材としては、やや難しい曲とも考えられるが 、各部分についてさまざまな表現のしかたを工夫することができ、また言葉を大切にした表現の工夫ま で深めることができる曲として取り上げた。 3,指導目標   1、合唱活動を通して、音楽に主体的に取り組む態度を養う。   2、楽曲を特徴づけている音楽の諸要素のはたらきを感じとり表現を工夫する。   3、夢や希望に満ちた曲想を感じとり、表情豊かに混声三部合唱をする。 4、指導計画   第一次 2時間   曲への興味関心を持たせる。CDによる鑑賞             歌詞の内容を理解し、音程やリズムに気をつけて、各声部の音取りをする。             他声部と合わせ、混声三部合唱をする   第二次 3時間   楽曲の特徴を感じとり、表現の工夫をする。             表現工夫を生かした歌い方を工夫し練習する。お互いに聴き合い表現効果を             高める。(本時3/3)   第三次 1時間   曲想を感じとって、表情豊かに混声三部合唱する。学級全員で合唱する楽し             さを味わう。             指揮、伴奏に合わせて歌う。 5、生徒の実態 生徒達は歌うこと、リコーダーを奏すること、鑑賞すること、どの分野にも興味関心を示し意欲的に授 業に臨んでいる。元気に声を出し、表現する1年生の中にあって、口の開き、顔の表情や声、話し合い など、おとなしい表現をする学級である。明るく素直で、男女の仲もよく、チームワークを必要とする 合唱では抵抗なく取り組んでいる。一学期に全校合唱した「マイバラード」の曲では、小学校時代に伴 奏をしたことがある男子生徒を誘い、男女生徒4〜5人がリーダーシップを取って、自主的に学級全員 が昼休みや放課後の時間を使って練習しながらコーラスを楽しんだ。現在は変声中の男子が多く、和音 の響きも不安定になりがちなため歌い合わせる喜びや、全員で音楽をつくる楽しみなど精神的な面を切 にしている。張り切りすぎて地声で歌うときもあるので、声のだし方や姿勢など少しずつ配慮している 。また、アカペラでパートを合わせ、自分達の耳で音を確かめ響きを感じさせるようにしている。指揮 者・伴奏者(バイエル終了程度)は,学級の話し合いの中で立候補した生徒である。 6、本時の指導構想 本時は、話し合いによる表現工夫をもとに、それを生かした歌い方をパートごとに工夫し練習する。そ の成果を発表し合い、さらに合唱を練り上げるために、新たに気付いた表現上の改善点を発見し、次の 活動目標につなげていくことをねらいとしている。パートの練習では、一人一人が聴き役になり、表現 工夫が歌い方に生かされているかどうかを確かめながら工夫させたい。聴き役になった生徒も歌いなが ら聴き、前より何が変わっているか発表させ、練習を積み上げていけるようにする。例えば、工夫点( 観点)が3ケ所だとすれば、聴き役を3人としてそれぞれ異なる観点を分担して聴くようにする。また 、パートリーダーによるハンドサインも活用させたい。パートの発表では、他のパートが聴き役になり 、鑑賞カードに感想や新たに気付いたことなどを記入させ、聴き取る力をつけるとともに、表現力の向 上につなげたい。 (本時の展開と観点別評価目標は別ファイル)    合唱が完成するまでの学習活動のパターン    年  組 氏名 資料 1、新しい合唱曲に取り組むときの完成までのパターン  1、詩を読む  2、曲を聴く(範唱がない時は、主旋律を先生と一緒に口ずさんでみる。)  3、パート練習に入る  4、合唱する………合わせる  5、部分の確かめをする  6、再度パート練習をし、合唱する  7、表現を工夫する  8、表現工夫を生かすための練習をする (重唱・グループ合唱を取り入れる……表現の工夫で気付いたことを出し合う)  9、合唱する………指揮・伴奏に合わせる 10、録音する 11、再生して聴く………再度表現の工夫で気付いたことを出し合う 12、完成………歌い込みをして、よりよい演奏にする 2、予習で、個人・パート・全体で練習する時のパターン    ☆、新しく合唱曲に入る段階   1、縦書きに歌詞を書いてくる   2、歌詞を朗読してくる   3、語句を調べ、詩の内容をつかんでくる   4、作詞者、作曲者について調べてくる   5、速度記号や発想記号を調べてくる  ☆、各パートで旋律を覚え始める段階   1、曲の速さはどれくらいか手で打ってくる   2、リズム打ちしてくる   3、階名読みをしてくる   4、発音しにくい所に印を付け、ローマ字で書いてくる   5、発音練習をしてくる   6、楽器などを使って旋律を覚えてくる   ★、トレーナーは、旋律を弾けるようにしてくる   ★、パートリーダーは、フレーズを考えパート練習の方法を工夫してくる   ★、指揮者は拍子に合わせて、基本的な振り方ができるように練習しておく  ☆、パートを覚えて合わせる段階   1、学習した部分を歌い、確かめてくる   2、口形に注意し、歌詞唱をしてくる   3、フレーズを考え、ブレスの取り方を練習してくる   4、どんな声がこの曲に合うか考え、発声練習や腹筋練習をしてくる   5、自分のパートに主旋律がきている部分はどこか、調べてくる   ★、伴奏者は、前奏、間奏、後奏を練習してくる  ☆、完成の段階   1、詩のイメージから、どんな気持ちで歌ったらよいか考えてくる   2、その気持ちを表現するには、どんな歌い方(表情・発声・強弱・テンポ    など)をすればよいか考えてくる   3、自分のパートの旋律を一人で歌えるように練習してくる   4、重唱の練習をしてくる   ★、指揮者はテンポや強弱の指示ができるようにしてくる   ★、伴奏者は、合唱に合わせて伴奏ができるようにしてくる  ★は、パートリーダー、トレーナー、指揮者、伴奏者にあたる人が対象です。 今、自分や自分達のクラスが、どの段階にいるのか、確かめながら学習を進めま しょう! 7、本時の達成目標  1、自分達で工夫した曲想を生かして、パートごとに歌い方を工夫し練習することができる。  2、練習成果を発表できる。  3、各パートの歌い方の工夫を感じとることができる。  4、主体的に、パート活動に取り組むことができる。  5、工夫した点を生かして、混声三部合唱ができる。 8、本時の展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段| 学 習 内 容 |目 |方 |形 |指 導 上 の 留 意 点〜○ | |階| |的 |法 |態 |評価〜★ | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |導|1、既習曲を合唱する。 | | | |○発声練習をかねて歌わせる。 | | | 「輪唱曲」 | | | |○音の重なりを感じて歌わせる。 | |入| 「小さな木の実」 | | | |○主旋律の動きや、掛け合いの楽しさ、| | | | | | | オブリガートの旋律を感じて、歌わせ| | | | | | | る。フォームに気をつけさせる。 | | |2、学習課題をつかむ〜音楽係の司会による。 | | | |○前時にひき続き、曲の後半を学習する| | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | |自分達の表現工夫を生かした歌い方を練習しよう。| | | | | ことをつかませる。 | +−+−−−+ |−+−−+−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |お互いに聴き合い、歌い方を工夫しよう。  | |表現|練習|パー| | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |工夫|聴く|トに| | | | |を生|工夫|よる| | | | ・音楽係が具体的に「曲のどの部分のどの点」を練習するか |かし| |グル|★工夫したい点を指摘し発表できる。 | |展| を発表し確認をする。 |た歌| |ープ| | | | |い方| | | | | |3、パートごとのグループで練習をする。 |を工| | |★積極的に活動していたか。 | | | ・今日の聴き役と聴くところを確認する。 |夫す| | |○パートを巡視し、生徒の思いが技術的| | | ・パートリーダーの司会で練習を進める。 |る。| | | に達成できていない時は助言指導する| | | ・聴き役の発表をもとに、お互いに意見を出し合って練習する|   | | |○他の意見をきき、自分の思いと比較し| | | ・音符を伸ばすところ・フェルマータ・<>・ff・mpなど| | | | ながら、さらに思いを深め表現に生か| | | 表わしやすいところはハンドサインを試みる。 | | | | せるようにする。 | | | (強弱やテンポの変化・多声的な旋律など) | | | | | | |4、パートごとに発表する。 | |発表|パー|★工夫点が表現に生かされていたか。 | | | ・他のグループの発表を聴き、鑑賞カードに気付いたことや感| | |ト |★真剣に発表していたか。 | | | 想を記入する。 | |相互|個人|○記入したことを何人かの生徒に発表さ| | | | |評価| | せる。新しい改善点もあったら出させ| |開| | | | | るようにし、次の課題とする。 | | |5、練習した部分を三つのパートで合わせる。 | | | |○練習の成果を生かして合唱させる。 | | | ・各パート二人ずつの代表者で重唱をし、全体で聴く。 | | | |★真剣に表現していたか。 | | | ・指揮者によって学級全員で合唱する。 | | | | | | | ・音楽係が聴き役となり感想を発表する。 | | | |★工夫点を生かして合唱していたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |終|6、全曲を通して、まとめの合唱をする。 | | | |○★表現意欲を持たせる評価をし、次時| |結| | | | | の課題を明らかにする。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+    9、本時の評価の観点                    1、表現工夫を生かした歌い方が工夫できたか。  2、各パートの発表を集中して聴き、感想や気付いたことを記入できたか。  3、主体的にパート活動に取り組むことができたか。  4、工夫した点を生かして、表情豊かに合唱することができたか。 10、観点別評価目標 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 題 材 の 観 点 別 評 価 目 標 | +−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ |音楽への関心・意欲・態度 |音楽的な感受や表現の工夫 | 表現の技術 | 鑑賞の能力 | +−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ |・表現活動に積極的に取り組|・歌詞の内容を理解し、詩の |・音程やリズムに気をつけて |・範唱を聴いて、曲の感じをつか| |もうとしている。 | 気持ちを生かした歌い方を | 自分のパートを歌うことが | むことができる。 | |・音楽の特徴に関心を持ち、| 工夫することができる。 | ができる。 |・お互いに聴き合うことにより、| |すすんでその特徴を感じと |・曲を特徴づけているリズム |・曲想に合った速さで表現で | 良い点や改善点に気づくことが| |って表現を工夫したり、歌 | やテンポの変化を感じとり | きる。 | できる。 | |い方を工夫しようとする。 | その変化を工夫することが |・強弱の変化によって、曲の |・パートの発表や重唱を聴くこと| |意欲的に合唱しようとして | できる。 | 表情が変化することを理解 | により、工夫点の効果に気づく| |いる。 |・強弱の変化を感じとり、工 | しながら表現できる。 | ことができる。 | | | 夫することができる。 |・音量のバランスに注意しな | | | |・旋律の特徴を感じとり、歌 | がら、それぞれの旋律の役 | | | | い方を工夫することができ | 割を表現できる。 | | | | る。 |・発音・発声に気をつけ、正 | | | | | 確なリズムや音程で合唱で | | | | | きる。 | | +−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+