印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):84   −−以下 指導案本文−−                 第3学年 音楽科学習指導案                       日 時 平成8年10月17日(木)1校時                       学 級 第3学年(男子19名、女子14名、計33名)                       指導者 吉田由香里 1 題材名 「豊かな混声合唱の響きをつくろう」   教材曲 混声四部合唱 「名づけられた葉」                         作詞者  新川和江                         作曲者  加賀清孝2  題材について (1)題材の指導について     3学年の混声合唱の指導は、四部合唱を中心におこなってきている。1・2年生で学習した    混声三部合唱の響きから、より幅のあ る四部の響きを経験させることで生徒たちの意欲を高    めさせてきた。しかし限られた学習時間と十分に成長していない生徒の状態から、歌い合わせ    ることが中心であった。ここでは、生徒の内面からでた豊かな響きを創り・味わわせることに    よって、表現の仕方や味わい方を深めさせ、一層意欲的な活 動に結びつけさせたいと考え本    題材を設定した。そのために、場面構成をとらえさせ、その場面にあった響きでの表現の工夫    をさせることでより感性を磨き、主体的・創造的な表現の楽しさを味わわせることをねらいと    したい。教材曲「名づけられた葉」は、出だしからインパクトの強い和音で始まり、重厚なハ    −モニ−をもち充実した響きを体験させるの に適している。また、曲の構成はわかりやすく、    場面ごとにふさわしい表現の工夫ができる。さらに、繰り返される言葉の歌い分け を工夫す    ることによって、感情表現が深められる曲である。音域的には困難な部分もあるが、挑戦する    意欲を喚起させる面からは普 段味わえない和音に触れることができる教材だと思われる。歌    詞は、生徒自身の生きる姿勢を考えさせ共感させることのできるものと考える。 (2)生徒の実態     生徒たちはどちらかというと、思いきった表現を不安に思う意識がある。それは、恥ずかし    さが先行し合唱の楽しみを十分に体得 していないからだと思われる。以前は、男子の方が人    数の割りには声量が弱かったが、変声期が終了した生徒や、他の分野での活躍 が自信につな    がっている生徒が増えつつあり、男女の声量が逆転してきた。女子は、日常の生活場面で発言    が少なく自己表現力が弱 いためか、口の開きが小さく声量が不足で、高音域の声の伸びや響    きが不十分である。全体的に見て、豊かな表情で歌う生徒は少な い。本題材に関わり『豊か    な響き』について、生徒たちにアンケ−トを事前に取ってみた。生徒たちは『豊かな響き』を    「四声が十分 に響き合う」「心が満たされる響き」「歌詞にある言葉だけでなく、その言葉    と何か違うものが加わって声に表れること」「頭の中 で想像していることが言葉だけでなく    表情で表されること」「聴いている人を気持ちよくすること」「みんなが楽しく歌うこと」な    どと考えている。     恥ずかしさを取り除くために、十分に発声練習をさせ、各パ−トの旋律を自信を持って歌え    るようにさせたい。そして歌詞を深く 味わわせ、場面ごとの気持ちの変化を考えながら歌い    合わせた時の響きを感じ取り、一人一人の感動をより豊かな響きに表現できる よう支援して    いきたい。 3 指導目標 (1)混声合唱の豊かな響きを感じ取らせ、歌い合わせる喜びを味わわせる (2)詩や曲の構成を考えた歌い方を工夫し、表情豊かに歌えるようにする (3)表現を工夫する活動を通して、主体的な学習態度を育てる 4 指導計画(6時間) (1)オリエンテ−ション………………………0.5 時間 (2)各パ−トの音取り…………………………2.5 時間 (3)場面ごとの表現の工夫……………………2 時間(本時2時間目) (4)全体を通して豊かな響きの表現の工夫…1 時間 5 本時の学習 (1)主題     グル−プ学習を通してVの部分の表現を工夫し、豊かな響きをつくる (2)本時の目標     @グル−プ学習のとき、歌い方を積極的に考えることができる     Aグル−プ発表も含めて、気持ちを込めながら表現することができる     Bグル−プ発表を聴き、表現の工夫を感じ取ることができる (3)具体行動目標     @歌おうとする意欲を持って授業にのぞむことができる     A音楽的な用語が理解できている     B歌詞と旋律が一体になっていることがわかる     C繰り返されているBの部分の、気持ちの高まりを感じ取ることができる     Dグル−プで歌い方を考え、気持ちの高まりを発表することができる     E他のグル−プの発表を聴き、気持ちの込め方や響きを感じ取ることができる     Fみんなで考えた工夫を全体の合唱に生かそうとする (4)本時の展開 +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |段| | 学 習 活 動 |目| | | | | 学 習 内 容 +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | 教 師 の 支 援 |資料・教材| |階| | 教師の働きかけ | 予想される生徒の活動 |標| | | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | |1 発声練習 |〇 学習する雰囲気作りをし、|・少し固くなっている | |・脱力させる |「こんにちは | | |発声練習をさせる |・視線が下向きになりやすい | |・明るい表情を意識させて| こんにちは」 | | |「明るい顔をして声を出そう」|・顔の表情が暗くなる |@|声を出させる | | | | |○『名づけられた葉』を歌わせ|・前半は曲想を工夫して歌おう| |〔歌う 気持ちになって いるか 〕 名づけられ | | |る |とする | |〔気持ちを込めて歌っているか 〕 た葉の楽譜 |導| |「前の時間に学習したことを思|・Vの部分がうまく歌えない | |・TとUの評価は簡単にす| | | | |い出しながら歌おう」 | | |る | | | | | | | | | | | |2 ビデオ視聴 |○範唱ビデオをみてVの部分を|・迫力感を感じる | | |範唱ビデオ| | | |中心に豊かな響きを感じ取らせ|・もっと思いきり歌おうとする| |・やる気を持って歌わせた| | | | |る | | |い | | | | |「どうすれば豊かな響きをつく|・すぐには答えられない |C|・自分たちの合唱と何が違| | | | |れるだろう?」 | | |うのか考えさせたい | | | | |「どんな気持ちで歌っているだ| | |・どんな気持ちで歌ったら| | | | |ろう?」 | | |良いか、自分で考えてきた| | | | | | | |ことをグル−プ学習につな| | |入| | | | |げたい | | | | | | | | | | | |3 学習課題の確認 |○今日の学習課題を確認する |・Vの部分のグル−プ学習をす| |・Vの部分を曲作りをして| | | | |「今日の学習は何をする?」 |ることはわかっている |@|いくよう意欲づける | | | | | | | |〔プリントに 記入してきているか 〕 学習シ−ト | | | | | |・学習シ−トで確認させる| | |10| +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−+ | | +−+−−−−−+Vの部分をどんな気持ちで歌ったら良いか工夫しよう +−+−−−−−+ | | +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−+ | | | |4 Vの部分のAの |○VのAの部分はどのように歌| | | |名づけられ| | | 表現の工夫 |えばいいのか考えさせる | | | |た葉の楽譜| | | |「『だから・わたし』の休符は|・「考えている間だと思う」 | |・ただの休符ではないこと| | | | |どんな休みだろう?」 |・「語るように歌えればいいと|B|に気づかせたい | | | | | |思う」 | |・繰り返しが出てきた時は| | | | |「『だから・わたし』の繰り返|・「作曲者の強調したい部分だ| |強調部分であることはわか| | |展| |しがあるのは?」 | から」 | |っているが、どう歌えばい| | | | |「『ア〜』はどういう気持ちな|・「言葉にならない想い」 |A|いかを考えさせたい | | | | |のだろう?」 | | |・間の部分、繰り返される| | | | |○Aの部分を全体で合わせてみ|・気持ちを込めて歌う |A|部分、「ア〜」 の部分を意識| | | | |る | |B|して歌わせる | | | | | | | |〔気持ちを込めて歌っているか 〕 | | | | | | | | | | | | | | | | | | |5 Vの部分のBの |「Bは歌詞の最後の部分なのに|・すぐには答えられない | |・この部分をAの部分と比| | | | 表現の工夫 |なぜppなのだろう?」 | | |較させてグル−プ学習で歌| | | | |「『考えなければならない』か|・「強く歌えばいいと思う」 | |い方を工夫させる | | | | |ら再び繰り返されるところはど| |A|・繰り返されている部分が| | | | |う歌ったらいいだろう?」 | | |四声になっていること、音| | | | |「どのような気持ちで強く歌え|・考える | |程が上がっている部分を気| | | | |ばいいのだろう?」 | | |づかせたい | | | | |○Vの全体の部分を見ながら、|・グル−プに分かれて表現工夫| |・グル−プごとの考えが違|学習シ−ト| | | |Bの部分はどう歌えばいいかグ|をする | |っても良いことを前もって| | | | |ル−プで話し合わせる |・考えてきたことを出し合い歌|B|話しておく | | | | |「どう歌ったら良いか?理由も|ってみる |C|・音楽的用語が出てきたら| | | | |出し合い、グル−プで歌い方を| |D|なぜそう歌いたいのか考え| | | | |工夫をしてみよう」 | | |させる | | | | | | | | | | | | |○グル−プで考えた歌い方を発|・工夫した歌い方を話し、その| |・各グル−プの発表を認め| | | | |表してもらう |あとグル−プ全員で歌う。 | |てあげたい | | | | |「発表は、どう歌いたいのかわ|・他のグル−プの発表を聴いて|C|・良さを評価する | | |開| |かるような歌い方をし、聴く側|感じ取る |E|・聴く側には聴く視点を与| | | | |は、どう工夫されているか聴き| | |える | | | | |とろう」 | | |〔グル-プで 気持ちを込めて歌えたか | | | | | | |〔グル-プの 工夫が 感じとれるか 〕 | | |7 全体での表現の工夫|○全体でVの部分を表現する |・グル−プで考えた工夫をその| |・各グル−プで考えた工夫| | | | | |まま全体で合わせて歌う |C|をそのまま全体で歌い合わ| | | | | | |F|せ、一人ひとりの感じた表| | | | | | | |現で歌ってかまわない | | |37| | | | |〔気持ちを込めて歌えたか 〕 | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |終|8 学習のまとめ | 自己評価をさせながら本時の|・Vの部分の表現工夫ができた| |・良かった部分を取り上げ|自己評価 | | | |学習を振り返らせる |かを考える | |評価する | シ−ト| |末| | | |F|・次の練習に意欲を持たせ| | | 3| | | | |るようにする | | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ (5) 評価   @ グル−プ学習に積極的に取り組み、歌い方を工夫していたか   A グル−プ発表で、自分たちが考えた歌い方を表現することができたか   B グル−プ発表を聴き、他のグル−プの気持ちの込め方を感じ取ることができたか