印刷用紙:B4縦 1ページの行数:63 1行の文字数(半角で):126   −−以下 指導案本文−−   音 楽 科 学 習 指 導 案 日 時:平成8年10月23日(水) 2校時 場 所:音 楽 室 学 級:2年A組(男14名、女15名、計29名) 授業者:教 諭   村 上 郁 子 1 題材名    詩の心を生かした合唱表現の工夫 混声3部合唱「 未 来 」                  谷 川 俊太郎  作詞 高 嶋 みどり 作曲 2 題材について 歌唱表現において、歌詞の内容を理解したり、それをもとにして表現の仕方を工夫することは、音楽教科の中でも重要な学習内容で あり、生徒の発達段階に応じ、系統的かつスパイラルに取り扱う必要がある。  2年生も2学期に入ると、男子の多くは変声期が終わり、心身の著しい成長と共に声量が増し、音程が安定して、学習内容がより一 層深まる時期である。単に楽しく歌うだけの学習から、詩の内容や記号の意味を理解しながら曲想を工夫するなど、合唱の新の楽しみ 方に触れることができるようになる。一人ひとりの生徒が詩から受ける印象や情熱、更には作曲者の豊かな感性や音楽性をもとに、自 らがその思いを音楽として表現していくことは、音楽の本質に迫る重要な学習活動である。   しかし、本校の場合、特定の楽曲を歌うことが中心となっており、「教材主義」の傾向を打破したいと考えている。この学級の生徒 は女子は歌うことが好きで意欲的に取り組むが、男子は個人差が大きい。一人ひとりの生徒を見ると、曲に対する思いはあるが、それ を音楽として表現していく方法や構想について見通しがなかったり、音譜の記号レベルでの工夫しか思い浮かばない生徒が多い。「こ んな気持ちを表すために、こんな音楽上の表現を工夫したい」という、歌詞への思いや音楽表現へのこだわりを意識させ、追求させる ことにより、生徒自身に意欲的に表現させていきたいと考える。  本教材「未来」は、中学2年生が持つ不安・悩み・夢・注意等の内容が包含され、どの生徒も自分自身の体験や思いを同化し、共感 して歌い、更に表現の工夫に反映させることができる曲である。谷川俊太郎の明るく伸びやかな詩が、自然にしかも情感豊かに音楽と なっており、題材の目標に向かって一人ひとりの生徒が意欲を持って取り組んでいける曲であると考える。 3 題材の目標  (1) 詩の内容を理解させ、歌詞の詩情を生かした表現を工夫させる。  (2) 音楽の諸要素の働きを理解させ、楽曲にふさわしい表現を工夫させる。 (3) 表現を工夫する活動を通して、主体的な学習態度を育てる。 4 評価基準  <意欲・関心・態度>    歌詞の思いに気をつけ、意欲的に合唱表現に取り組むことができる。  <表現の工夫>    詩の内容や曲の構成を理解し、曲想を工夫して表現できる。  <表現の技能>    歌詞を生かし、豊かで美しい響きの歌声や明瞭で美しい発音で合唱できる。  <鑑賞の能力>    詩を生かすような、音色・抑揚・テンポ等に配慮して聴くことができる。 5 指導計画・・・・・・・・・・・・・・8時間  (1) 詩の心を生かした合唱表現の工夫についてイメージを持つ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・  0.5時間 (2) 正しい音程で歌う ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.5時間  (3) アカペラで歌う ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 時間  (4) 詩の内容をとらえ、言葉の響きを生かした表現を工夫する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 時間(本時2時間目) 6 本時の目標  (1) 観点別目標   <意欲・関心・態度>  合唱や話し合いに積極的に参加する。   <表現の工夫>     詩の内容を理解し、曲にふさわしい表現を工夫する。   <鑑賞の能力>     より豊かな表現をめざして、音色・抑揚・テンポ等に配慮して聞くことができる。 (2) 思考力・判断力・表現力を高めるために     合唱活動の場合、学習課題設定の場において、学習のねらいに沿って学習内容や課題解決の方法を考え、練習に取り組み、その成果   を評価をすることが検証になるという一連の流れによって「思考力・判断力・表現力の育成」を図りたいと考えている。特に課題設定   の場で、自分たちの演奏を客観的に鑑賞し、互いに意見交換をしながら課題解決に有効な方法を練り上げていく過程を「思考力・判断   力・表現力」の重要な育成の場面ととらえて研究を進めてきた。  本時は、今まで学習したことの発展として、小グループに分かれてテーマを設定し、生徒たちが試行錯誤しながら表現を工夫すると   いう方法で研究主題に迫ってみたい。  (3) 展 開 ★・・・思考力  ●・・・判断力  ■・・・表現力 を主として育成したい場面 +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |段 階| 学 習 内 容 と 生 徒 の 活 動 | 教 師 の 働 き か け 備 考 +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | | |1 指揮者から指示されたことに留意し、混声|・ 必要に応じて指揮者からの課題を生徒が理 | | | 3部合唱「未来」の合唱をする。 | 解するよう確認する。    ・ 合唱体型で録音 | | | ・ 生徒の合唱を聴きながら、教師自身が実態 | | |   | を把握する。 | | |   | |導| 2 前時に話し合いをしたグループごとの学習 ★ ● ■ | |課| 課題・目標・練習方法を発表する。 ◆ 学習課題や目標・練習方法を一人ひとりが   ・ 拡大した楽譜 | | | | 理解しているか。 | | | ・ 必要に応じ生徒たちの発表を絞り込み、学 | |題| | 習課題等を明確にする。 |入| | ・ 予想されるテーマ | | |  | @ 前半と後半の「青空に向かって〜」の歌 | 把 |  | い分け | | |  | A 中間部のテヌートとアクセントの表現の | | |  | 違い | 握 |  | B 「dolce」の響き | | | | C 最後の盛り上がりの工夫 |7| |  | |分| |  +−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | 学習課題   | | | | | より豊かな表現にするため、グループごとにテーマを決めて  | | | | | 表現を工夫してみよう。   | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | | |3 グループごとに別れて、テーマに沿って意|★ ● | 課 | 見交換しながら、練習を行う。   |◆ 自分たちのテーマに基づいて意欲的に表現 ・ テープレコーダーや伴奏 | | |   | の工夫をしているか。    テープの準備 | 題 |  | | | |  |・ 練習の中心となる部分を焦点化して練習さ | 追 |  | せ、工夫したことを拡大楽譜に書き込ませる |展| | ・ 技術的な部分は要求に応じて援助する。 | |求| | | | |   | | | |  | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | | 4 グループごとに発表する。   |■ | | |   |◆ 自分たちが練習した成果を自信を持って発  ・ 評 価 | | |   | 表できるか。 |開| |    | | 課 |   |・ 他のグループの発表を聴きながら、良かっ | | |  | た所を中心にメモをさせる。 | 題 |  |・ 自分たちの発表の良かった点や課題をまと | | |  | めてプリントに書かせる。 | 解 |  | |35| | | | 決 5 互いの向上点を発表し、学び合いのできる ・ 互いの良かった点を学び合い、全体合唱の  ・ 拡大楽譜に書き込む。 |分| | ところを考える。   | 中で生かすことを意識できるように助言する | | | | | | | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | | 6 全体としてどのように表現力が高まったの ■ |終| | かを、全員で合唱して確認する。 ・ 全体合唱を通して学び合ったものを共有で |結|ま| | きるように援助する。 | と|   | |8|め|7 学級での練習課題と次時の学習内容を確認|・ 次時までの学級での練習課題と次時の学習 |分| | する。   | 内容を整理し、明確にする。 | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 6 目標分析表 +−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−− | | 学 習 内 容 |時間|意 欲・関 心・態 度| 表 現 の 工 夫 | 表 現 の 技 能 鑑 賞 の 能 力 +−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−− | ・ 詩の心を生かし 3 ・ 学習内容と目標を理|   | | | た合唱表現の工夫|  | 解する。 |   | | | についてイメージ|  | |   | | | を持つ。 | ・ 声を出して詩を読む ・ 抑揚やテンポを工夫 |    ・ 詩や範唱から、明る | | | | | して読む。 |   く伸びやかな曲の雰囲 | | | ・ 範唱を聴いて、曲の |   |   気を感じとる。 | | | | 良さや好きなところを |   | | | | | 発表する。 | | | | | | | | |混|・ 正しい音程で歌| ・ 合唱リーダーの指示 ・ パートごとに音を取 ・ 出だしの部分を跳躍 ・ 自分の声と範唱テー | | う。 | | に従い、範唱テープに | りながら、曲の雰囲気 | 音程やアフタクト、リ プとパート全体の音程 | | | | 合わせて進んで歌う。 | や音楽の流れを身体全 | ズム、休符に気をつけ を聴き取り、正しいか |声| | | | 体でとらえて歌う。  | て正しい音程で歌う。 どうかチェックできる | | | ・ リーダーは練習のメ |  | | | | | ニューを具体的に指示 |  |・ 中間部の転調による |三| | | し、焦点化して取り組| | 旋律や雰囲気の変化を | | | | む。 | | 感じとり、音譜の長さ | | | | | | 休符、リズムをチェッ |部| | | |  | クしながら正しく歌う | | | | | | | | | | | ・ 出だしと同じ所と違 |合| | | |  | う所をチェックしなが | | | |   | | ら、最後の部分を正し | | | |  | | く歌う。 |唱| | | |  | | | | |  | ・ 最初から最後まで合 ・ 録音テープを聴いて | | | |  | | わせて歌う。   正しい所と違う所を指 |・| | | |   |   摘できる。 | | | |  | | | +−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−− |未|・ アカペラで歌う|2|・ 意欲的に声を出す。|・ ハーモニーの美しさ|・ 正しい音程で、全体 ・ 録音テープを聴いて | |   | |  | を表現できる。 | の響きと調和させなが 正しい所と違う所を指 | |   | |   | | ら歌う。   摘できる。 |来| | | |   | | +−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−− | ・ 詩の内容をとら 3 ・ 言葉の響きを生かし ・ 言葉の意味が語りか ・ 音読し(聴き)なが | | え、言葉の響きを | | 明るく、語りかけるよ| けの中でイメージでき| ら、詩の内容のイメー | | 生かした表現を工 | | うに音読する。 | るように工夫できる。 | ジを広げる。 | | 夫する。 | | | | | | | ・ 自分が一番表現を工 ・ どこをどのように表 ・ 工夫したい箇所を自 ・ 違いを感得できる。 | | | | 夫したいところを見つ | 現するか、テーマを決 | 分の思うように表現で | | | | けて、同じテーマの者 | めて練習に取り組む。 | きる。 | | | | 同士グループに分かれ | | | | | | 練習する。 | | | | | | | | | | | ・ 互いに発表し合い、 ・ 他のグループの良か |     ・ 表現が工夫されて良 | | | | 良いところを学び合う ったところを取り入れ |    くなった所を聞き分け | | | | | より豊かな表現で合唱|    ることができる。 | | | | | する。 | | | | | | | +−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−