印刷用紙:B5縦 1ページの行数:60 1行の文字数:40           第2学年 理科学習指導案                  日 時 平成6年11月25日(金) 第4校時                  学 級 2年2組(男13名 女11名 計24名)                  指導者 今野光晴 1.研究主題         一人一人を生かす授業どう組み立てるか             〜 基礎基本の定着を中心に 〜 2.理科の研究主題     一人一人を生かしながら,科学的な思考力を育てる指導のあり方 3.理科の研究主題への迫り方  理科の学習の中では,実験により現象面の変化を定性的には捉えるのだが,それが科 学的な裏付けと結びついていないため,理解定着が不十分になってしまう傾向が少なか らず見られる。今回の授業では,生徒が自らの手で実験ができるようにして,探究的な 学習活動を通して思考が深められるようにしていき,基礎基本を定着させていきたい。 4.単元名   電流      「電流のはたらき」 5.単元の目標  〔関心・意欲・態度〕     電流や磁界のはたらきに対して興味・関心を持ち,自ら進んで観察や実験を行     い,その基礎的概念や規則性を調べようとする。     電流や磁界に関する事象を,日常生活と関連付けて調べようとする。  〔科学的な思考〕     実験観察の結果から,電流や磁界に関する事象について科学的に考え,その基     礎的概念や規則性を見いだすことができる。  〔実験・観察の技能〕     回路の作り方や電流計,電圧計の使い方などの基礎的な操作を習得する。     実験の実施,結果の記録,グラフ化,処理など事象を科学的に調べる方法を理     解する。                                 〔知識・理解〕     電流や磁界に関する事象の基礎的概念や規則性を説明でき,その量的関係を式     などを用いて説明できる。                            電流や磁界に関して,日常生活に関係のある基礎的な問題を解決したり,現象     を説明することができる。 6.本単元の指導の意図 ● 単元および教材観について   生徒は,小学校において,閉回路のとき豆電球が点灯することや,乾電池のつなぎ  かたによって豆電球の明るさやモーターの回りかたが違うこと,光電池,さらに電流  の働きとして,電磁石・電流による発熱を学習している。   本単元においては,まず電流計や電圧計,電源装置などの操作技能を習得させなが  ら電流回路の作成について習熟させる。閉じた回路を実験させた上で,電流・電圧の  性質や,電流と電圧の関係および電流の発熱量と電力の関係について理解させる。ま  た,磁石を使って磁界の概念を導入し,電流によってできる磁界や磁界と電流との相  互作用について観察や実験を通して理解させる。また,電流には直流と交流とがある  ことやそれらが性質に応じて日常生活に利用されていることを観察や実験を通して理  解させる。さらに,電流は電子の流れであることを考察させ,電流の本質を認識させ  ることをねらいとしている。電流や磁界を直接観察することはできず,測定機器など  を用いて得られる情報を様々な形で処理しながら思考していくという過程が必要とな  ってくる。このことは,基礎的な概念を形成する上で大変難しいものとなる。また,  電流と磁界について定性的な扱いだったものを定量的に扱い,発展させていかなくて  はならない。それゆえ指導においては,実験を多く設定し,実験を通して生徒が探究  的に学習を進めることができるようにし,定着を図っていきたいと考える。 ● 生徒について   理科の学習に関するアンケートを取り(11月2日実施),その中で,理科の学習  は好きですかという問いに対して,23名中好き13名,どちらでもない9名,嫌い  1名という結果が出た。学習に関しては理科を好む生徒が比較的多いのではないかと  思われる。また,学習内容について項目別に調査したものを見ると関心のある(好き  な)ものとして,実験・観察に関わるものが非常に多かった。実際の操作やデータの  整理などは自ら進んで行いたいものである反面,実験結果をもとに考察し,筋道を立  てて考え,自分なりの結論  を導き出すといった事柄にはやや抵抗を感じる生徒も  いるようである。   本単元との関連で見ると,生徒は日常生活の中で様々な形で電流や磁界に接してい  るが,それを身近に感ずることは少ないのではないかと思われる。意欲的であり,実  験に興味を持ち課題に取り組むのではないかと考えられるが,事象を定量的に捉える  際の処理には時間的余裕を持たせる必要がある。   そこで,本単元の学習を展開するに当たっては,できるだけ多くの実験・観察を経  験させ,基礎的な技能を向上させ,実験を通して探究的に現象や規則性を理解させ,  日常に関わりの深い電流や磁界に関して自ら調べる能力・態度,科学的な見方や考え  方を養っていきたい。 ● 理科の研究主題に迫るための具体的方法   ● 個を生かすための手だて     ○ 生徒の実態把握を元に,よさを生かせる場面を設定する。     ○ 課題に対する個々の予想(仮説)を明確に持たせ,全体で取り上げること       で意欲の向上を図る。     ○ 学習プリントを活用し,一人一人が発表できる場を設定する。     ○ 学習プリントにより,科学的な思考の援助をする。   ● 基礎基本の定着のための手だて     ○ 学習プリント・確認問題を活用し,個人の能力に応じた学習事項の定着を       図る。     ○ 少人数による実験を行うことによって理解を深める。     ○ 授業のなかに形成的評価を取り入れた指導を行う。 7.指導計画・・・・23時間  第1次 回路を流れる電流             (11時間)      ○ 電流はどうして流れるか     ・・・・4時間      ○ 電圧と電流にはどんな関係があるか・・・・3時間      ○ 回路によって電流や電圧は              どのようにちがうか ・・・・4時間  第2次 電流のはたらき              (10時間)      ○ 電流による発熱量        ・・・・3時間(本時1/3)      ○ モーターはなぜ回るか      ・・・・5時間      ○ 交流と直流はどのようにちがうか ・・・・2時間  第3次 電流は空間を流れるか           (2時間)      ○ 電流は空間を流れるか      ・・・・1時間      ○ 金属中を流れる電流の正体    ・・・・1時間 8.本時の指導 ● ねらい    電流による発熱量は,電流を流す時間,電流の強さ,電圧の大きさに比例するこ   とを理解する。 ● 基礎的・基本的事項   [関心・態度]          ○ 自分なりの予想を立てようとする。          ○ 電流と発熱量の関係に関心を持ち,進んで調べようとする。   [実験・観察]          ○ 電流による発熱量を調べ,結果をまとめることができる。   [科学的な思考]          ○ 電流による発熱量は,電流を流す時間,電流の強さ,電圧の大            きさに比例することを見いだすことができる。   [知識・理解]          ○ 発熱量が時間,電流,電圧に比例することを説明できる。 ● 本時の展開 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−|−−−−−−−−−−−−− |段|  学習内容   | 学 習 活 動     |  支援上の留意点 | |階|         |             |  ○個を生かす ◎評価| |−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |1問題の提示   |1本時の問題を把握する  |電流・電圧を一定にすると| |導|         |             |いう条件を確認する | | |2学習課題の設定 |2学習課題を把握する。  |            | |入|   +−−−−−−−−−−−−−−+ |学習課題をプリントに書か| | | |電流による発熱量の大きさは | |せ、把握させる | | | | 何に関係しているのか。| | | | |   +−−−−−+−−−−−−−−+ | | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | |3発熱量に関係す |3各自で予想を立てる。  |◎自分なりの予想を立てら| | |るものについて予想| | れたか | | |を立てさせる | 予想を学習プリントに書き| | |展|    | 込む |○予想を確認、発表させ | | |         | 考えを発表しあう。   | 個々の考えを認め合わせ| | | | (予想) | る(挙手・意図的指名)| |開|         | 抵抗が長い方が多く発熱す|       | | | | る | | | | 熱量について再確 | 電流・電圧が同じなら発熱|熱量とその求め方につい | | |認する | も同じ |て既習事項を確認する | | | | | | | |4.実験     |4実験を行う。 |班ごとに用いるニクロム線| | | | |の電気抵抗が異なることを| | | | |知らせる | | |         | 班ごとに実験を行う   |          | | |         | 各班ごとに役割を決める |実験操作について机間巡視| | | | 電気抵抗の大きさを選択 |しながら支援する | | | | する | | | | | | | | | | 実験結果を学習プリントに|○役割を明確にし,班全体| | | | 記録する  | で実験が行われるように| | | | | する | | |  | 熱量を各班ごとに計算し求|◎結果を正確に記録できた| | | | | か | | | | 実験結果を発表しあい,一|○行った実験の結果を発表| | | | つにまとめてグラフをかく| し互いの実験結果と方法| | | | | についての妥当性を検討| | | | | する | | | | | | | | | |電源,放熱など測定値の | | | | |誤差について触れておく | | |5考察      |5結果をもとに考察をする | | | | | | | | | | 発熱量と電流,電圧,時間|◎自分なりの考えをプリン| | | | の関係について話し合う | に書くことができたか | | | | | | | | | 考えを発表する |○結果から導き出される事| | | | | 柄を全体で検討し,個々| | | | | の考察内容を認める場を| | | | | つくる | | | | | | | | | | | | |6まとめ     |6まとめ |グラフから,電流・電圧と| | | | |発熱量の関係についてまと| | | |電流一定の場合,電圧に比例|める | | | |電圧一定の場合,電流に比例| | | | |電流電圧一定の場合,時間に|実験結果から,発熱量と通| | | |比例 |電時間との関係について考| | | | |えることができるよう支援| | | | |する | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |7評価問題 |7評価問題を解く |◎まとめた事柄についての| |終| | | 確認問題を解くことがで| | | | | きたか | |結|8自己評価 |8自己評価をする |◎学習に積極的に取り組む| | | | |ことができたか | | | | |(自己評価・感想) | | |9次時の予告 |9次時の課題について考える| | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ 9.評価の観点  ● 自分なりの予想を立てることができたか。  ● 実験に意欲的に取り組むことができたか。  ● 正しく測定することができたか。  ● 発熱量と電流・電圧・時間との関係を見いだすことができたか。  ● 発熱量と電流・電圧との関係について説明できたか。