印刷用紙:A4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):90 中学校 第3学年 理科/選択理科 選択理科の教材と展開(その2) 選択課題パッケージ2 大きな結晶                 岩手県立総合教育センター 理科教育室 川 村 庸 子 +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−+ | 選 択 課 題 |大きな結晶をつくるにはどうするか?|関連単元|3 物質はどれだけ水に | | | | | とけるか(1年) | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−+ | 課題のねらい | ミョウバンの大きく美しい結晶をつくるにはどんな条件や操作が必要かを| | |調べる。 | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 学習目標 | 資料集でミョウバンの溶解度を調べて飽和溶液をつくり、ゆっくりと冷却| | |すると美しい結晶ができることを確認する。溶質と溶媒の量、温度、冷却の| | |仕方など大きな結晶をつくるための条件をさぐる。 | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−+ |【実験】飽和濃度と過飽和濃度の溶液をそれぞれ冷却したときにできる|所要時間| 1日 | |   結晶の大きさを比べる。 | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−+ | |[準備] | | |・ミョウバン 500g | | |・ビーカー 2000cc 2個 | | |・温度計 | |教|・ガラス棒 | | |・ガスバーナー、金網 | |師|・テグス糸 | | |・割箸   A 過飽和濃度の水溶液の場合 | |予|[操作] | | |1 種結晶をつくる。 | |備|(1) ミョウバン24.8gを水100gに溶か | | | し、62℃まで加熱する。(60℃で飽和) | |実|(2) 形のよい2つのミョウバンの結晶を一粒ず | | | つテグスに結び付け同時に (1)に吊す。 | |験|(3) 同温度の水槽の水に入れ約1日放置する。 B 飽和濃度の水溶液の場合 | | | | |用|2 過飽和濃度と飽和濃度の結晶を比べる。  +−−−−−+−−−−−+| | | A 過飽和濃度の水溶液の場合  |  A |   B || | |(1) ミョウバン250.0gをはかりとり、水 +−−−−+−−−−−+−−−−−+| | | 1000gに加えて加熱しながら溶かす。 |ア 種結晶| g| g|| | |(2) 完全に溶けたら68℃まで温度を上げ、テ +−−−−+−−−−−+−−−−−+| | | グスで結んだ種結晶を吊しゆっくり冷却する。 |イ 結 晶| g| g|| | | B 飽和濃度の水溶液の場合  +−−−−+−−−−−+−−−−−+| | |(1) ミョウバン247.5gを水1000gに  | イ - ア | g| g|| | | 加え加熱しながら溶かす。 +−−−−+−−−−−+−−−−−+| | |(2) 60℃の水溶液に種結晶を吊し、ゆっくり |結晶の形| | || | | 冷却する。 | | | || | |* 1日放置し、できた結晶の重さをはかる。種  | | | || | |結晶の重さを差し引き、A・Bを比較する。 +−−−−+−−−−−+−−−−−+ | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+      【PACK-2-C】 +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |資料 |『最新中学理科資料集』岩手県版 福武書店 p96より抜粋 | +−−−−+ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 【PACK-2-B】 +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |原理 | 熱が伝わる場合に温度差が必要なように、溶液から新しい核が発生したり結晶が成| +−−−−+長するためにも、それを押し進める力が必要である。晶析の場合、この推進力は濃度| |差である。このため、溶解と反対の現象である晶析は、飽和濃度より少し高い濃度でないと起こ| |らない。このときの濃度を飽和を過ぎた濃度という意味で過飽和濃度という。この過飽和濃度と| |飽和濃度との差が晶析現象を起こす推進力となる濃度差であり一般に過飽和度と呼ばれている。| | 大きな結晶をつくるには・・・・・・ | | 図で溶解度曲線(AB)の上にほぼ平行に描かれ   +−−−−−−−−−−−−−+  | |ている線が過飽和溶解度曲線(CD)である。ただ |過飽和溶解度曲線 D | | |し、過飽和溶解度曲線は温度や濃度などの変化速度 | | | |条件で変わり、厳密に定義できるものではない。そ 濃| B| | |して、溶解度曲線と過飽和溶解度曲線とに挟まれた | | | |比較的狭い範囲(斜線部分)では、結晶核がすでに 度| | | |存在する場合は新たな結晶核の自然発生は少なく、 |C | | |主に結晶成長のみが支配的であり、また、過飽和溶 | | | |解度曲線を超えると急激に著しい結晶核の自然発生 | A 飽和溶解度曲線 | | |が起こる。つまり、大きい結晶をつくるには、図中 +−−−−−−−−−−−−−+ | |の斜線部分でうまく結晶核を成長させればよい。    温 度 | |『心を揺する楽しい授業話題源化学』 とうほう | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 【PACK-2-D】 +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−+ |展開例 |選択課題   大きな結晶をつくるにはどうするか? | 時数 |  6時間 | +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−+ |+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| ||【科学の| 【 生 徒 の 活 動 】 |    【 教 師 の 支 援 】 || ||方法等】|*予想される活動、YES「できた」|◆資料提示 ■情報(知識)提供 || || |・NO「できない」という自己評価|○技術指導 ◎教材・教具開発 || |+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| |☆第1時 +−−−−−−−−−−−−−+ | | |・課題を選択する。 → ◆資:教科書1分野上(東京書籍)P15、16 | | 課題選択 |*結晶はどうすればできるか?NO   結晶、水にとける物質の量 | | 情報収集 |*ミョウバンの結晶はどんな | ◆資:教科書1分野上(東京書籍)カラー6の | | 問題設定 | 形をしているか? |   美しい結晶の写真 | | 予想 |・大枠の予想のもとに予備実|   | |  | 験の計画を立てる。 |   | | +−−−−−YES −−−−−−+   +−−−−−+ | |☆第2時 +−−−−−↓−−−−−−−+ | | |*資料集の溶解度のデータを | | | | | 予備実験 | 用いて大きな結晶をつくる | +−−−−−+ | | | ための条件を予想する。 | | | |*できるだけ大きなビーカー NO ◆資:ミョウバンの溶解度のデータ | | | でたくさんのミョウバンを → ○技:ガスバーナーで加熱するのに時間がかる | | | 溶かし、冷やしてみる。 | ので、事前に湯を準備しておく。 | | +−−−−−YES −−−−−−+ また、溶液に入れる前の種結晶の重さ | |☆第3時 +−−−−−↓−−−−−−−+ はかっておくことを忘れないようにさせ | | |*ミョウバンは、水の温度が | る。 | | 仮説設定 | 高くなるとたくさん溶ける | | | | という性質を持っているか NO | | 実験計画 | ら、1.水の量を多くしミョ → ○技:溶解度のデータをもとにして必要な量を | | | ウバンをたくさん溶かす、 | 計算し、実際に実験で用いた量や冷却を | | 実験 | 2.飽和の温度を高くしゆっ | 始めた温度などを記録しておくように指 | | | くり冷やす、という条件を | する。また、ゆっくり冷却するための方 | | | 満たせば、大きな結晶がで | 法を工夫させる。 | | | きるだろう。 | | | +−−−−−YES −−−−−−+ | |☆第4・5時+−−−−−↓−−−−−−−+ | | 考察 |・報告書(論文)をまとめ NO | | 論文作成 |る。    → ○技:表やグラフの効果的な表し方を工夫させ | | +−−−−−YES −−−−−−+ る。 | |☆第6時 +−−−−−↓−−−−−−−+ | | 発表 |・発表する。 → ○技:予想したようにできなかったときは、失 | | 質疑 |・質問・意見を出す。 NO    敗の原因を考察し課題を示させる。 | | 反省 |・研究を振り返る | | | +−−−−−−−−−−−−−+ | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+