印刷用紙:A4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):90 中学校 第3学年 理科/選択理科 選択理科の教材と展開(その3) 選択課題パッケージ3 豆腐の凝固                 岩手県立総合教育センター 理科教育室 川 村 庸 子 +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−+ | 選 択 課 題 | 豆腐はどのようにして固めるのだろ|関連単元|1 電流が流れる水溶液 | | |う。 | | (イオン) | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−+ | 課題のねらい | 豆乳にいろいろな電解質水溶液を加えて凝固させ豆腐作りをする。 | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 学習目標 | 豆腐の材料や作り方を調べ、豆乳を使って実際に豆腐を作ってみる。タン| | |パク質と電解質水溶液とのかかわりをさぐる。 | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−+ |【実験1】タンパク質であることを調べる。 |所要時間| 20分 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−+ | |[準備] |(4) コロイド溶液の性質を調べる。 | | |・市販の無調製豆乳 |  | | |・濃硝酸 | 豆乳を水で薄め、電圧をかけて変化を観察| | |・NaCl水溶液(2mol) |する。 | | |・CuSO4水溶液(0.5〜1%) | フロッピィーディスクのケースを加工し、| | |・HCl(2mol) |向かい合う辺にステンレス線を渡して電極に| |教|・試験管 |にした。写真は、12Vで20分かけた。 | | |・試験管たて | | |師|・駒込ピペット | | | | | | |予|[操作] | | | |(1) キサントプロテイン反応  | | |備|  豆乳 2〜3ml を試験管にとり、これに | | | | 濃硫酸 0.5mlを加え、煮沸すると黄色に着 | | |実| 色する。 | | | | | | |験|(2) ビウレット反応 | 負極 正極 | | | 豆乳 2〜3ml を試験管にとり、これに | | |用| 2mol NaOH水溶液を2ml加えアルカリ |両性電解質であるタンパク分子は、等電点 | | | 性にし、0.5〜1%CuSO4水溶液1〜2 |より酸性側では正に、アルカリ性側では負に | | | 滴加えると赤紫色になる。 |荷電している。したがって、電圧をかけると | | | |豆乳中のタンパク質は正極側に引かれ、負極| | |(3) 豆乳 2〜3mlを試験管にとり、1molの |側の濃度は薄くなる。 | | | HClを1滴ずつ加えて酸によるタンパク | | | | 質の凝固をみる。 | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−【PACK-3-B】−+ |原理|(1)キサントプロテイン反応:この反応は芳香族核を持っているアミノ酸によるもの | +−−−−+芳香族核がニトロ化されるためである。(2)ビウレット反応:この反応はペプチド結 | |合が銅イオンと錯塩を形成するものと考えられている。※他にタンパク質の呈色反応としてニヒ | |ドリン反応、坂口反応等がある。(『増訂 化学実験事典』講談社より) | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+    【PACK-3-A】 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−+ |【実験2】豆乳を使った塩析の実験を行い、豆腐を作る。 |所要時間| 50分 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−+ | |(1) 豆乳を使った塩析の実験 | | | |[準備] | | | |・市販の無調製豆乳 | | | |・NaCl水溶液 (0.1mol) | +−−−−−−−−−−−−−+ | | |・MgCl2水溶液(0.1mol) | | | | | |・CaCl2水溶液(0.1mol) | |    写真1 | | | |・AlCl3水溶液(0.1mol) | | | | | |・試験管 ・試験管たて ・駒込ピペット | | | | | |[操作] | +−−−−−−−−−−−−−+ | | | 豆乳を4本の試験管に5mlずつとり、それ | | | |ぞれにNaCl、MgCl2、CaCl2、 | 豆乳が80℃になったら凝固剤を加える | | |AlCl3の1mol水溶液を少しずつ加え、タン | | | |パク質が凝固するまでに必要な体積を比べる。 | | |教|(2) 豆腐作り | +−−−−−−−−−−−−−+ | | |[準備] | | | | |師|・豆乳 200ml入りパック1個 | |    写真2 | | | |・CaSO4 10g | | | | |予|・ビーカー(500cc、300cc)各1個 | | | | | |・メスシリンダー ・温度計 | +−−−−−−−−−−−−−+ | |備|・ガラス棒 ・ガスバーナーor電熱器 | | | |・木綿の布(30×30cm) | | |実|・豆腐が入っていた空パック2個 | 分離したら布を敷いた型に流し込む | | |(1個には千枚通しなどで穴を開けておく) | | |験|[操作] | | | |1. 500ccビーカーに豆乳200cm3を入れ加熱。| | |用|2. CaSO4(10g)に 60〜70℃の水200 | | | | cm3を加えよくかき混ぜた懸濁液を作る。 | +−−−−−−−−−−−−−+ | | |3. 1.が 80℃になったら2.をよくかき混ぜて | | | | | |  20cm3加え、静かにかき混ぜ放置する。 | |    写真3 | | | |4. タンパク質が凝固し分離してきたら、穴を | | | | | | 開けた豆腐パックに布を敷き、この中に流 | | | | | | し込む。(おぼんやバットの上で行う。) | +−−−−−−−−−−−−−+ | | |5. 布でおおい上に水を入れた豆腐パックでお | | | | もしをする。 | | | |6. 10分ぐらいしたら豆腐を水に移し15分ほど | 豆腐を水に移し流水で薬品を除く | | | 流水の中でさらし、薬品を除く。 | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−【PACK-3-B】+ |原理 | 親水コロイドに電解質水溶液を加えるとコロイド粒子は水を失い沈殿する。この現象が塩| +−−−−+析である。塩析の能力はコロイドの帯電と反対の価電数の大きいイオンほど大きい。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+  【PACK-3-D】 +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−+ |展開例 |選択課題   豆腐はどのようにして固めるのだろう?| 時数 |  6時間 | +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−+ |+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| ||【科学の| 【 生 徒 の 活 動 】 |    【 教 師 の 支 援 】 || ||方法等】|*予想される活動、YES「できた」|◆資料提示 ■情報(知識)提供 || || |・NO「できない」(自己評価) |○技術指導 || |+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| |☆第1時 +−−−−−−−−−−−−−+ | | |・課題を選択する。 → ◆資:『生活科学ハンドブック』朝倉書店 | | 課題選択 |* 豆腐のでき方を知る。  NO    『新編日本食品事典』医歯薬出版 など| | 情報収集 |・興味・関心にもとづいて自| ■情:市販の豆乳1個(200cc)に対する | | 問題設定 | 分の問題を設定する。 | 凝固剤の分量や豆腐箱、布などの用具につ | | 予想 |・大枠の予想のもとに予備実|   いて相談にのる。            | |  | 験の計画を立てる。 |                      | | +−−−−−YES −−−−−−+                      | |☆第2時 +−−−−−↓−−−−−−−+                   | | |* 予備調査にもとづいて豆腐→ ○技:失敗の原因 | | 予備実験 | を作ってみる。     NO ・豆乳の温度が十分上がっていない。 | | ・条件統一|* 豆腐が固まる温度と凝固剤| ・硫酸カルシウム水溶液をよくかき混ぜない | | | の量を確認する。  | で加える。 | | |  | ・分離する前に型に入れてしまう。 | | +−−−−−YES −−−−−−+ | |☆第3時 +−−−−−↓−−−−−−−+ | | |* 凝固に関係しているのは、| | | 仮説設定 | 豆乳のタンパク質と凝固剤| | | | のカルシウムイオン、マグ| | | 実験計画 | ネシウムイオンではないか| | | | と考えらえる。これらをは→ ■情:どのイオンが関係するかを考えさせる。| | 実験 | っきりさせるために上記のNO +−−−−−−−−+ | | | 凝固剤の他に塩化ナトリウ| | Cl- SO42-| | | | ム、豆乳の代わりにジュー| +−−−−+−−−−−−−−+ | | | スを使って実験する。 | |Ca2+ | ◎ ◎ |◎凝固する | | +−−−−−YES −−−−−−+ |Mg2+ | ◎ |×凝固しない| |☆第4・5時+−−−−−↓−−−−−−−+ |Na+ | × | | | 考察 |・報告書(論文)をまとめるNO +−−−−+−−−−−−−−+ | | 論文作成 | → ○技:豆腐ができるまでを写真に撮っておき論| | +−−−−−YES −−−−−−+ 文に使えるようにする。 | |☆第6時 +−−−−−↓−−−−−−−+ | | 発表 |・発表する。 → ○技:豆乳が凝固する理由について実験で確認 | | 質疑 |・質問・意見を出す。 NO   できたことできなかったことを説明する。 | | 反省 |・研究を振り返る | ○技:大豆以外でもタンパク質がふくまれるも | | +−−−−−−−−−−−−−+ のは凝固するかなど質問を準備させる。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+