印刷用紙:A4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):90 中学校 第3学年 理科/選択理科 選択理科の教材と展開(その5) 選択課題パッケージ5 植物性色素                 岩手県立総合教育センター 理科教育室 川 村 庸 子 +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−+ | 選 択 課 題 | 本当に植物性色素を使っているの?|関連単元|2 酸・アルカリ・塩 | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−+ | ね ら い |  果汁100%とか植物性色素使用などと表示されたジュースやゼリー、| | | 漬け物などの色素は本当に植物性なのかどうかを見分ける。 | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 目   的 |  植物の色素が酸や塩基によって変化する(指示薬になりうる)ことを | | | 応用して食品に使用されている色素が植物性か合成着色料かを調べる。 | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−+ |【実験1】植物の色素が酸・塩基の指示薬になりうることを確認する。|所要時間| 30分 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−+ | |[準備] | | |・50%のエタノール水溶液  50ml ・ポリエチレン袋       1 | | |・pHの異なる水溶液(各5ml) ・試験管           7 | | | 1.希塩酸(0.1mol/l、pH1) ・試験管立て       1 | | | 2.希塩酸(0.01mol/l、pH2) ・ビーカー(100ml)   1  | | | 3.酢酸水溶液(1%、pH3) ・駒込ピペット(1ml)   1 | | | 4.純水 ・メスシリンダー(20ml) 1 | | | 5.リン酸緩衝溶液(pH8) ・紫キャベツ、赤ジソ、赤カブ等 | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |リン酸二水素カリウム水溶液 | +−−−−−−−−−+ | |教| |(1/30mol/l)  1ml | | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ |   写真1 | | |師|   + | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+ | |予| |リン酸水素二ナトリウム水溶液 | | | | |(1/30mol/l) 16ml |  赤カブから抽出した色素 | |備| +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 6.炭酸ナトリウム水溶液(0.1mol/l、pH11) | |実| 7.水酸化ナトリウム水溶液(0.1mol/l、pH13) | | | | |験|[操作] +−−−−−−−−−−−−−+ | | | (1)1.〜7.の水溶液を5mlずつ試験管にいれ、 | | | |用| pHの順に試験管立てに並べる。 | | | | | (2)赤カブ(大1)の場合、皮をポリエチレンの | | | | | 袋に入れエタノール水溶液20mlを加える。 |    写真2 | | | | 袋の空気を追い出して口を結び、手でよくもん | | | | | で色素を抽出する。袋のすみに小さな穴を開け | | | | | て液だけをビーカーにとる。 | | | | | (3)色素を抽出した液を1mlずつ (1)の試験管 +−−−−−−−−−−−−−−+ | | | に加えて、pHによる植物性色素の変化を確か | | | める。 pHによる赤カブの色素の変化をみる | | | (参考文献:『 化学を楽しくする5分間』日本化学会編、化学同人出版) | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+      【PACK-5-A】 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−+ |【実験2】植物性色素使用などと表示された果汁グミやゼリー、ジュー| 所要時間 | 30分 | |     ス等に本当に使用されているのかどうかを見分ける。 | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−+ | |[準備] +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | 100mlビーカー |◆酸・アルカリによる色素の変化 || |教| 5ml駒込ピペット | フラボノイド || | | 10%アンモニア水 | 無色 −−−−−−−−−−黄褐色 || |師| * 果汁グミ(ブドウ)|(酸性) (中性)  (アルカリ性)|| | | * 紅しょうが  | 赤 −−−−−−−−−−青、緑、紫 || |予| | アントシアン || | |[操作] +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| |備|(1) 果汁グミあるいはドロップなどは | | | 水5mlを加え湯煎加熱で溶かす。 +−−−−−−−−−−−−−−+ | |実|(2) 紅しょうがの汁を5ml袋から出 | | | | | す。 | 写真3 | | |験|(3) 10%アンモニア水1mlを加え | | | | | 変化をみる。緑、赤紫、深色などに | | | |用| 変われば植物性(天然)色素がふく +−−−−−−−−−−−−−−+ | | | まれているといえる。 | | | 右端2本の紅ショウガの色素に変化がみられない | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+      【PACK-5-B】 +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |原理 | アントシアンは、植物の花や果実で赤、紫、青などの色を示す色素の総称である。| +−−−−+天然では糖と結合しているので、加水分解すると図のような構造の色素(アントシア| |ニジン)が得られる。この色素は酸性とアルカリ性では構造が少し変わり、酸性では赤色、アル| |カリ性では青色を示す。(アルカリ性では不安定で変色しやすく、種類によっては青色にならな| |いものもある。) | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | | | | | | | | | 図:色素の構造の変化 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 【PACK-5-D】 +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−+ |展開例 |選択課題    本当に植物性色素を使っているの? | 時数 |  6時間 | +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−+ |+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | ||【科学の |【 生 徒 の 活 動 】 |    【 教 師 の 支 援 】 | | ||方法等】 |*予想される活動、自己評価(YES|  ◆資料提示 △演示実験 ■情報提供 | | || |「できた」・NO「できない」) |  ○技術指導 | | |+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| |☆第1時 +−−−−−−−−−−−−−+ | | ・課題を選択する。 → ◆資:教科書1分野下(東京書籍)のカラー2 | | 課題選択 |・資料で調べる。質問する。NO を見せ、ムラサキキャベツの葉の汁の色が | | 情報収集 |・興味・関心にもとづいて自 | 変化した原因に気づかせる。 | | 問題設定 | 分の問題を設定する。 | △演:あるいは本資料【実験1】を演示する。| | 予想 |・大枠の予想のもとに予備実 | | |  | 験の計画を立てる。 | | | +−−−−−YES −−−−−−+ ○技:色素の抽出の仕方、酸性・アルカリ性標| |☆第2時 +−−−−−↓−−−−−−−+   準溶液の作り方、駒込ピペットの使い方な | | |* いろいろな植物色素の抽出→ どを指導する。 | | 予備実験 | 液に酸やアルカリを入れてNO                       | | ・条件統一| 変化を調べる。 |1.0.1molの塩酸の調製 2.0.01molの塩酸の調製| | |* 合成着色料の場合の変化を | 乾いた試験管に0.1mol| | | 調べる。 |  のHClを1mlとり純水9mlを | | |* 調べ方を先生に相談する。 |         加える。 | | +−−−−−YES −−−−−−+ | |☆第3時 +−−−−−↓−−−−−−−+ | | |* 植物色素は酸性・アルカリ | | | 仮説設定 | 性で色が変化するが着色料 | | | | は変化しないことを利用し | | | 実験計画 | て食品に含まれる色素を調→ ■情:花の色素の分子構造を見せ、「色のちが | | | べられるだろう。 NO いは分子のちがい」であること、酸・アル | | 実験 |* 食品は酸性〜中性なのでア カリによる色の変化は「化学変化」である| | | ルカリ性の液を加えて変化 |   ことに気づかせる。 | | | を見る。 | ■情:食品の中でも、つけものに着色料が使わ| | +−−−−−YES −−−−−−+  れていることが多い。 | |☆第4・5時+−−−−−↓−−−−−−−+   | | 実験の補足|・報告書(論文)をまとめる→ ○技:カラー写真を論文に使えるように事前に | | 考察 | NO カメラを準備しておく。 | | 論文作成 | | ○技:食品の表示を切り取って活用させる。 | | +−−−−−YES −−−−−−+ | |☆第6時 +−−−−−↓−−−−−−−+ ○技:色が変化するようすを実演するなどプ | | 発表 |・発表する。 →    レゼンテーションを工夫させる。 | | 質疑 |・質問・意見を出す。 NO ○技:「アジサイの花の色はどうして違うか」 | | 反省 |・研究を振り返る。 |    など質問を準備させる。 | | +−−−−−−−−−−−−−+ | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+