印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):96 第2学年理科(国際理解教育)学習指導案 対 象 北上市立上野中学校 2年B組 男子19名 女子16名 計35名 日 時 平成6年11月17日(木) 授業者 畠山茂雄 1 単元名 生物界のつながり 2 小単元名 生物界のつりあいはどのように保たれているか 3 主題名  植物社会のつりあいがくずれること 4 主題設定の理由 生物界は、生産者・消費者・分解者の三つのグル−プに分けられ、これらは相互にかかわりをもちなが ら、お互いに数量的な関係を保って、生物社会を形成している。もし人為的な影響を受けることがない限 り、これらの関係は半永久的に維持されることになる。この生態系保存に関する基本的な学習は、今日環 境教育の土台を形成するものとして、積極的な取り組みが期待されている。 生徒の最も身近にある、校地の植物とその植生の観察に基づいて、在来植生の乱れについて、理解と関 心を深める学習は、現在地球的規模で進行しつつある環境破壊の問題等に関しても、基礎的な学習体験の 糸口になると考えられる。 有史以前から日本の表土を覆っていた在来種が、かなりの割合で帰化植物にとって代わられ、地域的に はほとんど在来種を見いだせない現状もある今日、生徒にこの問題を身近なものとして理解させるために は、これまで景観的にとらえてきた校地の植生を具体的な構成種レベルでとらえさせる観察が有効である と考えられる。 校地や民家周辺は、人為的影響を強く受けて、土壌が汚染され、そのことと並行して在来植生の破壊と 帰化植物の増加が急速に進行し、植物社会のつりあいが著しくくずれ始めている実態を理解させたい。そ して、この学習は、今後、生徒が国際理解の視点から自然環境が直面している問題を考えていくうえで、 極めて大切な問題であると考えられる。    5 指導計画 生物界のつながり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4時限 生物どうしにはどのようなつながりがあるか・・・・・・・・・・・・・・1時限 生物界のつりあいはどのように保たれているか・・・・・・・・・・・・1時限(本時) 自然界を掃除するのはだれか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時限 自然界で物質はどのように循環するか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時限 6 小単元指導目標 (1) 生物の数量は、食物連鎖によって支配されていることを理解させる。 (2) 自然界のつりあいのくずれには、必ず因果関係があることを理解させる。   (3) 自然環境の保護の大切さについて、基礎的な関心をもたせる。 7 国際理解教育の指導構想 (1) 本時国際理解教育の主題 植物社会の国際化 (2) 本時国際理解教育のねらい 帰化植物の渡来によって、在来植物の植生のつりあいがくずれているありさまを理解させる。 8 本時の展開   (1) 本時のねらい    1. 校地の在来植生に帰化植物が混生していることを確かめさせる。   2. 帰化植物の増加は、植物社会のつりあいのくずれであることを理解させ、それが人為的な自然への    はたらきかけと深くかかわりをもっていることに気付かせる。 (2) 本時の展開 +−−+−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |段階|   学習内容 |時間|  生徒の活動 |  指導の留意点 |  準備等 | +−−+−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |・校地にはどんな植物| |・校地で採集した植物|・各自に5点を採集さ|・野外観察手引| | | が生育しているか | | を発表し合う | せ、学習プリントに| 書 | |導入|・帰化植物とはなにか|20|・帰化植物を取り上げ| したがって、同定さ|・同定用簡易図| | | | 分 | 調べる植物を決める| せる | 鑑・ル−ぺ | +−−+−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |・渡来経路などについ| |・生葉標本と野外観察|・2・3人1組男女別|・野外観察手引| | | て、調べた結果を発| | 手引書により観察を| 12班編成で観察 | 書 ・MCー1| | | 表させる | | 行う | | 「帰化植物の| | |・帰化率の算出 | |・帰化率を算出する | | 渡来経路」 | | |・帰化植物が生える以| |・自然への人為的はた|・在来種について補説| | | | 前の植生を考えさせ| | らきかけと帰化植物| する |・MCー2 | | | る | | の生育状況の関係に| 帰化率の求め方につ| 「帰化植物の| |展開| |20| ついて話し合う | いて補説する | 増え方」 | | |・帰化植物はなぜ増え| |・帰化植物の増え方に|・県平均や他の地域と|・スライド・同| | | たか | | ついてスライドによ| のデ−タの比較を行| 同プロジェク| | |・スライドの上映 | | り学習する | わせる | タ− | +−−+−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |・帰化植物が生育して| |・つりあいがくずれる|・海外においては逆転|・授業実践記録| | | いることは植生のつ| | 原因をまとめる | の問題が発生してい| 用VTR一式| | | り合いがくずれた状| |・植生が貧しいことは| ることにもふれる | | | | 態である | | 他の生物にどんな影|・汚染のない植生の価 | | |終結|・今後に向けてどんな|10| 響を及ぼすことにな| 値について補説する | | | | ことに気を付けたら| | るかを考え発表する| | | | | よいか | | | | | +−−+−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−+   *MC:マグネット付紙板書 9 評価 【興味関心】・校地の植物観察をとおして、生物社会のつりあいについて興味や関心が深まったか。  【知識理解】・生物社会のつりあいのくずれについて、理解できたか。   【国際理解】・植物社会の国際化の現状と問題点について意識が喚起され関心が深まったか。