印刷用紙:A4縦 1ページの行数:55 1行の文字数(半角文字で):94 −− 以下 指導案 本文 −−        理 科 学 習 指 導 案 作成者 柿崎 肇 所属  遠野市立青笹中学校 1 単元名「天気の変化」 2 単元の設定理由 (1) 教材観  従来の気象の学習は、ともすると断熱膨張などの原理の理解や大気圧の測定、湿度の計算などの内容 にかたよる傾向にあったが、風や霧、空の様子など自然をありのままに観測し、その結果をもとに考え たり、観察・実験を大切にしながら気象や天気の変化の理解を図ることをねらいとしていた。 身近な天気や気象現象をあつかうことによって、小学校での学習をさらに発展させ、気象観測を通し て観測の仕方、機器の扱い方を習得し、観察・実験の結果や資料をもとに天気の変化の規則性、霧や雲 の発生、前線による天気の変化、日本の天気、天気の予測を学習することができる。天気は日常生活と 深くかかわり合う自然現象であり、これを科学的にみる見方や考え方を養うための有効な教材である。 (2) 生徒観  事前の理科に対する意識調査によれば、対象の生徒の理科に関する興味・関心は低くはなく、プラス 傾向に答えている生徒は半数以上に及んでいる。しかし、気象に関する語彙については、知識の量が少 なく、科学的に気象をとらえようとする生徒は少ない。したがって、理科の学習が日常の生活の中に生 きていたり、役だっていると考えている生徒は少なく自然科学が身近なもので、探求する価値を感じ取 っていないと考えられる。このことは、生徒の生活経験が非常に乏しく学習の深まりを追求していくこ とがないためであり、さらにそれを補う指導の手だてが十分なされていない結果である。そのため、レ ディネスの欠如を補いながら自然科学の不思議さやすばらしさに触れさせ、日常生活の中で自然現象を 科学的に見る目を養いたい。 (3) 指導観    この単元では、観察の対象や実験教材に苦労することが多く、それだけ工夫が要求される。少なくと も結論や言葉だけを鵜呑みにさせる学習だけは避けたい。知識の記憶量や原理・原則の正確な暗記を大 切にすることで観察・実験が省略される実態がある。しかし、例えば教科書のグラフを利用するにして も、実際の観察によって得られた結果と比較することで、学習の深まりと質に大きな差が出るのはいう までもない。特にこの単元では視聴覚機器の利用が有効と考えられる。スケールが地球規模であると同 時に自然の変化が大地の変化に比べると非常に短いが、生徒が自ら観測し観察を行うには観察する視点 やねらいを明確にしてやることが必要であり生徒にとっても技術が必要である。特に、前半の中単元「 天気の変化」の学習においては気象現象の仕組みや原理の習得にあって法則の発見を追体験的な手法で 理解させることは困難である。そこで視聴覚的手法を用い観察、実験実習等を行う際に目的意識をしっ かり持たせ、確実に気象に関する理解を深めさせたい。これらの活動を繰り返し行いながら、自然の事 物・現象に直接触れる体験をさせたい。そして、観察・実験を行うこと自体を学習の目標の一つとした い。 3 単元の指導目標 (1) 身近な気象と日常生活とのかかわりについて関心をもち、実際の観察・観測を通して探求しようと する意欲を高めながら天気の変化や気象を科学的に考える態度を養う。また、気象災害や環境の変化 についても関心をもち、防災や環境保全など日常生活に天気予報などの気象情報を生かそうとする。                               (自然現象への関心・意欲・態度) (2) 身近な気象の観測や観察・実験を通して、天気の変化の規則性や大気中の水蒸気の変化の様子、霧 や雲の発生のしくみについてその原因や条件などを総合的に考察し天気図や気象衛星画像などをもと に日本の四季の変化や天気の変化の特徴を分析し、日本付近の気団の盛衰と関連させながらこれを動 的にとらえて説明できる。                (科学的な思考) (3) 身近な気象の観測を行うことで、観測の方法や機器の取扱い方を習得するとともに、気象を科学的 に調べる方法を身につける。また、霧や雲を作る実験や天気図と気象衛星画像との、対比・分析など を通して、観察・実験を行う能力を高め、それらの結果を記録としてまとめ、発表することができる。                             (観察・実験の技能・表現) (4) 身近な気象の観測や観察・実験で得た情報や資料をもとにして、大気の流れ、大気の水蒸気の変化、 霧や雲の様子や発生のしくみをなどを理解し、天気、気温、風、気圧、湿度に関する知識や天気図な どの読み取り、標記についての知識をもとに、日本の天気の特徴を説明できる。また、それらを総合 して天気予報の方法を理解し、日常生活に生かすことができる。   (自然に対する知識・理解) 4 単元の教材構造(略) 5 単元の指導計画(略) 6 本時の学習指導(第9時 前線の存在) (1) 主題 天気はどのように変わるか (2) 指導目標   前線を生じさせる性質の異なる4つの気団があることを見つけさせ、前線の構造に関するモデル実 験を視聴させることで気団の強さにより前線の構造がどのように違うのかを冷水と温水を用いた実験 意欲的に行わせ、理解を深めさせる。 (3) 目標行動   前線の存在を気象観測データから読み取り、地理的条件からその発生理由について説明できる。 (4) 下位目標行動 (注:Rはレディネス)  A 寒気と暖気の性質から寒冷前線と温暖前線の構造を説明できる。  B 勢力のほぼ等しい暖気と寒気が接するとき、ほとんど移動しない前線(停滞前線)ができること     を説明できる。  C 4つの気団の特徴を大陸と海洋や緯度の地理的条件から説明ができる。  D 気象衛星ひまわりの画像を見て4つの気団を指摘できる。  E 日本付近には、それぞれ性質の違う大きな大気の固まりがあり、これを気団としてとらえること     ができる。 RF 気象衛星ひまわりの雲が少なく大気が吹き出しているところを高気圧ということができる。 RG 暖気と寒気の地上での境目を前線ということができる。 H 寒気が暖気に流れ込んだとき暖気は急激に上昇し、暖気が寒気に流れ込んだとき暖気は穏やかに     上昇することを指摘できる。  I 暖水と冷水のモデル実験を前線の構造と関連づけて実験を行うことができる。  J 寒冷前線、温暖前線の記号が書ける。  K 寒気と暖気の接触面を前線面ということができる。 RL 暖気は寒気よりも密度が小さく暖気は上昇することがいえる。 RM 暖水も冷水も寒気と暖気と同様に混じりにくいことがわかる。 (6) 本時の展開課程 +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ |時間| 主な学習内容 | 展開の流れ | 教材教具と留意事項 | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | +−−−−−−−−−+| | | |・前時の学習内容| | START  | |・学習プリントを用いて、前時の| | | の想起 | +−−−−−−−−−+| 学習内容を確認する。 | | | | | | | | |・疑問に気づく | +−−−−−−−−−+|・新聞の切り抜きを準備させ、前| | | | | 課題意識の高揚 || 線と天気の関係に気づかせ前線| |5分| | +−−−−−−−−−+ | の学習への意欲を高める。 | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | +−−−−−−−−−+|・VTR教材 | | |・学習課題の把握| |  課題の確認   || 視聴する視点を与え、気団がど| | |  RF・RG・D| +−−−−−−−−−+| のような特徴をもっているかと | | | | | いう課題を明確にとらえること| | | | | | ができるようにする。 | | |・話し合い活動 | +−−−−−−−−−+ |・試聴したVTRをもとに、自分| | | (課題の追求)| | 気団の特徴 || の考えを学習プリントに記入さ| | | C・E | | (話し合い) | | せ、それを発表させ、意見を交| | | | +−−−−−−−−−+ | わすことができるようにする。| | | | | | | | | | +−−−−−−−−−+ |・VTR教材 | | |・学習課題の解決| |気団の名称と特徴の| | 既習した学習内容を想起させ、| | | B | |まとめ || 解説を加えながら、考え方を確| | | | +−−−−−−−−−+ | かめるように指示し、学習内容| |15分| | | | の定着を図る。 | | [評価 2] | +−−−−−−−−| | | | | C |+−+−+ +−−−−−−−−−+ |・調べたり、VTRを視聴したこ| | | ||教師が| |4つの気団の特徴を| | とで気づいたことをまとめ発表| | | ||補充す|−|地理的条件から説明| | させる。 | | | ||る  | |できたか | |・資料集や教科書を用い気団の特| | | |+−−−+ +−−−−−−−−−+ | 徴を学習プリントにまとめさせ| | | | | | る。 | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |・VTR教材 | | | | +−−−−−−−−−+ | VTR教材によって、次に行う| | |・学習課題の把握| | 課題の確認 | | 暖水と冷水のモデル実験の視点| | |  RL・RM | +−−−−−−−−−+ | を明確にとらえることができる| | | | | | ようにする。また、特に注意の| | | | | | 必要な個所は説明を加え、課題| | | | | | の確認をする。 | |23分| | +−−−−−−−−−+ | | | |・実験 | |暖水と冷水の交わる| |・各班に実験の水槽とお湯を準備| | | (課題の追求)| |様子を見る(実験)| | し下方に広がる冷水と上方に広| | | I | +−−−−−−−−−+ | がる暖水の様子を見るように実| | | | | | 験への視点を与える。 | | | | +−−−−−−−−−+ |・器具や薬品の取り扱いに対して| | |・学習課題の解決| |前線の構造をまとめ| | 注意を与え安全に実験ができる| | | H・I・J | |る        | | ようにする。 | | | | +−−−−−−−−−+ |・VTR教材 | | | | | | 実験から得た学習内容を確かめ| | | [評価 1] | +−−−−−−−−| | させ自分の考えを検証しながら | | |   A  |+−+−+ +−−−−−−−−−+ | 視聴するように指示し、学習内 | | | ||教師が| |暖気と寒気を関連づ| | 容をまとめさせる。 | | | ||補充す|−|けて前線の構造を説| | | | | ||る  | |明できる ||・実験やVTRからわっかたこと | | | |+−−−+ +−−−−−−−−−+ | をまとめさせ発表させる。 | | | | | |・資料集なども用いて確かめさせ | | | | | | 理解を深める。 | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | +−−−−−−−−−+ | | | |・本時のまとめ | | 本時のまとめ ||・学習を振り返り、前線の構造に | | |  A | +−−−−−−−−−+ | ついて質問しながらまとめるこ | | | | | | とができるようにする。 | | | | +−−−−−−−−−+ |・実験や考察を行う際に視点を明 | |7分|・自己評価 | | 自己評価 || 確にし主体的に探求活動を行う | | | | +−−−−−−−−−+ | ことができたかどうかの自己評 | | | | | | 価をさせ、知識や考え方が確実 | | | | | | に身についたことを確かめさせ | | |・次時の予告 | +−−−−−−−−−+ | る。 | | | | | 次時の予告 | | | | | | +−−−−−−−−−+ |・本時の学習内容をもとに、次時 | | | | | の学習内容を主体的な活動をと | | | | +−−−−−−−−−+ | おして解決していくことを予告 | | | | | END | | し、学習意欲を高めるようにす| | | | +−−−−−−−−−+ | る。 | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+