印刷用紙:B4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):80   −−以下 指導案本文−−   第2学年  理 科 学 習 指 導 案         日 時  平成8年11月14日(木)5校時      学 級  2年4組(男子20名、女子16名、計36名) 場 所  第2理科室              授業者  橋本 剛行              1.単元名     3 電流  第1章 回路を流れる電流 2.単元について  (1)教材観について 小学校での学習は豆電球の明るさやモーターの回り方などの事象を定性的にとらえさせて 、学習への興味・関心を持続させようとしている。しかし、中学校での学習は定量的な扱 いに移行していくことが望ましい。従って、電流回路、回路によるオームの法則、回路に おける電流、電圧の規則性、電流の発熱作用、磁気作用、さらに電流と電子の流れを、定 量的な扱いを中心に学習を進めることをねらいとする。  (2)生徒の実態について 本単元について、生徒の多くは、学習内容に興味関心を示しており、実験が多く楽しいと する反面、学習内容については、難しい、分からないという反応がある。従って、電流の 学習に意欲的に取り組み、学習内容が定着するためには、生徒が実験に興味を持つことを 手がかりとして、生徒が主体的に学習に取り組めるようにしたい。そのために、回路の組 み立て、電流計、電圧計の取り扱いの部分に十分時間をさき、生徒が器具の扱いに自信を 持てるようにすることが重要である。 生徒の授業に対する姿勢は男女とも意欲的で活発に行動するが、男子の一部には落ち着き を欠き本能的な行動をとる生徒がいる。また、実験・観察は好むが、じっくりと思考する 態度は十分に身についていない。従って、実験操作に意欲を持たせ活動させながら、その 意欲を理解を図る場面にも持続させていく工夫が必要である。 今年4月におこなわれたNRTの理科の結果を見ると、学級の偏差値は47.5で男女の差は ほとんどない。偏差値が低い原因は、『5』の段階が1人に対して、『1』の段階が5人 と、下位の生徒が多いためと思われる。また、理科についてのアンダーアチーバーは、7 人おり、特にこれらの生徒に興味・関心を持たせながら、基礎・基本の定着を図っていく 必要がある。  (3)指導観について @生徒の電流概念について、事前調査を実施し、必要に応じて小学校の復習的な内容につ いても学習し直させたい。 A電流の流れは直接観察することができず、計器を通して捉えることになるが、この思考 過程はかなり高度であり、実験を多く設定し、実験を通して、生徒が探求的に学習を進め ることができるようにしたい。 Bすべての生徒が自分の手で実験ができるように、器具をそろえるようにしたい。 3.単元の目標  (1)自然現象への関心・意欲・態度 電流のはたらきに対して興味・関心を持ち、自ら進んで観察・実験をおこない、その基本 的概念や規則性を調べようとするとともに、電流に関する事象を、日常生活と関連づけて 調べようとする。  (2)科学的な思考 観察や実験などから得た結果から、電流や磁界に関する事象について科学的に考え、その 基礎的概念や規則性を見いだすことができる。また、それらの事象の生じる要因やしくみ を分析的、総合的に説明できる。  (3)観察・実験の技能・表現 電流に関するさまざまな現象を調べる観察・実験をおこなうための、回路のつくり方や電 流計、電圧計の使い方などの基礎的な操作を習得するとともに、実験の計画、実験の実施 、結果の記録、グラフ化、処理など、事象を科学的に調べる方法を学び、それらを通して 事象の基礎的概念や規則性を見いだすことができる。  (4)自然現象についての知識・理解 観察・実験を通して、電流や磁界に関するさまざまな事象の基礎的概念や規則性を説明で き、その量的関係を式などを用いて説明できる。 4.指導計画と観点別評価計画 +−−−+−−−−−+−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+ |時 数 |学習内容 |関心・意欲・態|科学的な|技能・表現 |知識・理解 | | | |度 |思考 | | | +−−−+−−−−−+−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+ |1 |事前テスト|演示を通して、| | |電流が流れる条| | |電流回路の|電流回路につい| | |件、電流の流れ| | |基礎 |て関心を持ち、| | |る向きについて| | | |自ら進んで電流| | |説明できる。 | | | |回路について調| | | | | | |べようとする。| | | | +−−−+−−−−−+−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+ |2 |回路図と電|回路を組み立て| |回路図に従って| | | |気用図記号|ることに喜びを| |、回路を組み立| | | |回路の組み|もち、電流回路| |てることができ| | | |立て方 |に対する興味・| |る。 | | | | |関心を深める。| | | | +−−−+−−−−−+−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+ | 3 |電圧の意味| | |電流計・電圧計|電圧の単位をい| | |・単位  | | |を正しく接続で|える。 電圧の | | |電流計・電| | |き、めもりを読|役割を説明でき| | |圧計の使い| | |むことができる|る。(直列につ| |   |方    |       |    |       |なぐ)乾電池の| | | | | | |数と、豆電球の| | | | | | |明るさの関係を| | | | | | |説明できる。 | +−−−+−−−−−+−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+ |4 5 |電流回路の|自分たちで自由| |自分たちで自由| | |(本時)|きまりを見|に回路を組み立| |に回路を組み立| | | |つけよう |てることを通し| |てることを通し| | | | |て、電流回路に| |て、回路の組み| | | | |親しみ、探求す| |立てや計器の扱| | | | |る意欲を高める| |いに慣れる。電| | | |電流回路の|。 | |圧計を正しく扱| | | |きまりを見| | |い、回路の電圧| | | |つけよう(| | |を測定できる。| | | |2) | | | | | +−−−+−−−−−+−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+ |6 7 |オームの法|電流と電圧の間|実験を通|測定値を正しく|オームの法則に| | |則 |の規則性に、興|して、電|グラフ化できる|ついて、式やこ| | | |味を持ち、進ん|圧の変化|。 |とばで説明でき| | | |で調べようとす|による電| |る。 | | | |る。 |流の変化| | | | | | |が、比例| | | | | | |関係にあ| | | | | | |ることを| | | | | | |導くこと| | | | | | |ができる| | | | | | |。 | | | +−−−+−−−−−+−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+ | 8 |電気抵抗 | | | |電気抵抗の意味| | | | | | |を理解でき、単| | | | | | |位をつけて大き| | | | | | |さを表すことが| | | | | | |できる。 | +−−−+−−−−−+−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+ |9 10|直列回路・|直列、並列回路|直列、並|各点の電流と電|実験の結果から| | |並列回路で|の各点の電流や|列回路の|圧を正しく測定|、直列、並列回| | |の電流・電|電圧について関|各点の電|し、表などにま|路の電流・電圧| | |圧のきまり|心を持ち、進ん|流や電圧|とめることがで|の規則性をまと| | | |で調べようとす|について|きる。 |めることができ| | | |る。 |予想でき| |る。 | | | | |る。 | | | +−−−+−−−−−+−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+ |11 |電流・電圧| | | |電流・電圧・抵| | |・抵抗のモ| | | |抗について総合| | |デルと練習| | | |的に理解できる| | |問題 | | | |。 | +−−−+−−−−−+−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+ 5.本時の指導 (5/11)  (1)題材       電流回路のきまりをみつけよう  (2)本時の目標    ◯乾電池と豆電球、電流計・電圧計を用い、回路の法則を発見することを目標に、   自分たち(グループ)で自由に回路を組み立てることを通して、電流回路に親しみ、   探求する意欲を高める。(関心・意欲・態度)    ◯それと同時に、回路の組み立てや計器の扱いに慣れる。(実験・観察の技能)  (3)学ぼうとする力を育てるための工夫    @生徒一人一人に学習の責任を持たせる工夫      ア グループの人数を2〜4人の少数にし、傍観的立場の生徒をなくする。      イ 自学の成果を発表する機会を持つ。あるいはレポートを作成させる。    A課題を生徒のものにし、自学タイムの到達目標を明確にする工夫      ア 学習シートやレポートのまとめかたを例示する。    B自由度のある活動の保障      ア 調べる回路を規制せず、時間内であれば、何種類でもやってよいことに        する。      イ 自分たちで見つけだしたきまりであれば、どんなささいなものでもよいこ        とにする。    C次時以降の学ぼうとする力の育成      ア 学習シートに、自己評価項目を設け、充足感をもたせて本時の学習を終え        る。  (4)本時の展開 +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−+ | |学習内容 |生徒の活動 |教師のはたらきかけ | 資料 | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−+ | |前時 | | |・豆電球| | |1.演習 (計 |◯回路図に従って、回路| |・乾電池| | |器の使い方復習|を組み立て、指定部分の| |・導線 | |導|) |電流・電圧を測定し、記| |・電流計| | | |録する | |・電圧計| |入| | | |・学習シ| | | | | | ート | |30|2.課題の発見|◯測定結果から、きまり| | | | | (回路のきま |と言えそうなことを文章| | | |分|りの例) |化し、学習シートにまと|   | | | | |める。 | | | | | | | | | | | | | | | | |3.課題の設定|◯グループごとの活動と|◯回路や計器に慣れる| | | | |いうことで、挑戦してみ|ことを強調しながら、| | | | |ようという意欲を持つ |課題を提示する | | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−+ | |4.見通す | |◯いくつかの回路と調|・電流計| | | (探求活動の | |べ方の例を示す。 |・電圧計| |展| 観点、まとめ| | |・豆電球| | | 方) | | |2.5V2個| | | | | |3.8V1個| | |5.課題追求 | |◯少人数のグループな|・乾電池| | |(実験操作) | |ので、理科のリーダー|2個 | |開| | |がいないグループを中|・導線 | | | | |心に、机間巡視し、活| | | | | |動を支援する | | | | | |◯電流計を振り切れさ| | | | | |せたり、ショートさせ| | | | | |たりしないよう、必要| | | | | |があれば全体に指導す| | | | | |る | | | | | | | | | |本時 | |◯前時の記録の中から| | | | | |、全体の参考になりそ| | | | | |うなものを、2〜3点| | |65| | |発表させる。 | | | |6.課題解決 |◯同じきまりを発見でき|◯ひとつひとつの事実| | |分|(発表) |たグループを確認し、評|には深入りせず、次時| | | | |価する |以降の課題としての含| | | | | |みを持たせながら、発| | | | | |表を進めさせる | | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−+ |終|7.まとめ |◯次の探求活動に、意欲|◯できれば、生徒のレ| | | |(次時以降の見|をもつ |ポートの中から、次の| | |結|通しと自己評価|◯自己評価をする |課題を引き出すように| | | |) | |する | | |5| | |◯全体的な本時の評価| | |分| | |をする | | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−+  (5)評価の観点    @グループごとに協力して、意欲的に実験操作ができたか。    A回路の組み立て方、計器の使い方がわかり、慣れることができたか。 自学テーマ        回路の電流や電圧のきまりをたくさん発見しよう 自学タイム ◯グループごとに、試行錯誤しながら、  回路を組み立て、電流・電圧を測定し、記録していく。 ◯きまりらしきものを発見したら、文章化する。 ◯第2時(本時)の始めに、2〜3の発見を発表し、それを参考に探求を続ける。 ◯予想される発見 ・電流が強いほど豆電球は明るい ・電池2個の方が電流が強い ・電池を2個にすると、電圧は2倍 ・直列回路では、どの点でも電流は同じ ・並列につないだ電球にかかる電圧は同じ ・並列部分の電流の和は、分かれる前の電流と同じ ・導線にかかる電圧は0V ◯実物提示装置を併用して、発表する ◯自分たちの結果と照らし合わせたり、新しい事実に気づく  指示  まだまだ 見つかりそうだね。  実験を続けよう。  指示   回路図に従って、回路を組み立て、   電流と電圧を測定しなさい。  指示   測定結果から、きまりを見つけ、   文章に表現しなさい。  指示   相談しながらでもよいので、   一人一発見を目標に。   できるだけ多くのきまりを見つけよう。