印刷用紙:B4縦 1ページの行数:52 1行の文字数(半角で):110   −−以下 指導案本文−−   第 3 学 年   理 科 学 習 指 導 案 日 時 平成8年10月30日(水) 5校時 学 級 第3学年(男子11名、女子17名、計28名) 指導者 教 諭   市 原 和 子 1 単元名 地球と人間 −− 自然界の水の汚れ −−− 2 単元について 現在、地球規模の環境破壊が大きな課題となってわれわれ人類にのしかかってきている。地球は、太陽系の中の他の   天体に比べて生物の生存に適した独特の天体であり、特に、水が三態の形で存在する天体である。この地球の豊富な水   を母体として生物が生まれ、植物の光合成による酸素の増加と、オゾン層の生成による紫外線からの保護が生物を海か   ら地上に進出させ、生物界の発展の究極の結果として人類が誕生した。人類は、他の生物や自然の脅威を防ぐ手段を次   々に開発し、人口は着実に増え続け、特に最近の100年間には加速度的に増加してきた。しかし、人口が増えるに連   れて、それまでは自然の一員として自然の中で調和して生きていた人間たちは、自然を汚染し、自然を破壊する存在と   なってきたのである。資源やエネルギーの枯渇の問題ばかりではなく、水や空気の汚染、人間自身が作り出した物質に   よるオゾン層の破壊、大量に消費する化学燃料から出る二酸化炭素による地表の温暖化など、人間自身の手によって自   らの存在も危うくされかかっているのである。    こういう状況のなかにあって、人類は環境の改善のために、また、いったんは破壊された環境を修復するためにどの   ような努力をしつつあるか、いくつかの成功例を学習する。3年の「5生物のつながり」のところで、自然のつりあい   について学んだが、ここではその学習を基礎に、あらためて人間が自然の中で環境と調和して生きていくにはどうすれ   ばよいかということについて考えさせる。自然と調和する豊かな心をもち、環境の保護に積極的に取り組もうとする生   徒の育成を目指したい。 環境を守ることは、住みよい環境を守ることであり、福祉・ボランティアの一つである。工場廃水や肥料などによる 水の汚染によって、水に住む生物が大量に死んだり奇形児が生まれたりした。食物連鎖による化学物質の濃縮によって それらを食べた人類までもが、苦しみながら死んでいったり、今も健康を害している人がたくさんいる。これらは環境 汚染の大きな犠牲者である。このようなことのない安心して住める環境、 − 害のないおいしい水が飲めて、子供はす くすく育ち、病める人は回復を早め、老いた人は長生きできるような環境−−を守ることは、今や、とても大切な道徳   である。海は、大事な食糧源であると同時に、生命の源であり、景観を味わったり水のスポーツで楽しんだり水と戯れ   ることは我々の心のふるさとに触れることでもある。障害のある人でもさわやかな水に触れることは心地よい。そんな   海や湖、川の水をきれいに保つことは豊かな心を育むことにつながるのである。 この自然の荒廃を回復させ、自然を守り、次の世代の地球の生物たちへゆずり渡していくには、我々はこれからいか   に生きるべきか、今後ますます発展していくであろう環境問題を解析し、問題解決の方途を探り、対応する力を養って   いきたい。。 《 −−−−単元及び研究主題とのつながり》 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |+−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−+ || 1年 | | 2年 || 3年 | | 3年 | || 地球と太陽系 | | 天気とその変化 ||化学変化とイオン | | 運動とエネルギー | || ・太陽・月・地球 | | ・天気の変化 ||・酸・アルカリ・塩 | | | || +−+ ||○酸性雨について学習| | | || ・太陽系 | | ・日本の天気 || 。 | | ○エネルギーの概念の | ||○地球は生物にとって| |○天気は地球規模で|+−−−−+−−−−−+ | 学習。 | || 特別な天体である。| | 変化している。 | | +−−−−−+−−−−−−+ |+−−−−+−−−−−+ +−−−+−−−−−+ | | | | | | | | +−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | | 3年 地球と人間 | | | ・ 地球にだけなぜ ・人類の出現と ・自然界のつりあいと人間生活の関わり ・地球環境を守る | | | 生物が生きて 地球の資源 自然界の水の汚れ ために | | | けるのか。 ◇毎月の資源回収 オゾン層の破壊 | | | ◇2年時の野外研修の 地球の温暖化 ◇道路清掃 | | | 青年の家〜岩手山神 | | | 社の缶拾い ◇委員会による水質検査 | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | | | |+−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−++−−−−+−−−−+ +−−−−−+−−−−−+ || 1年 || 2年 || 3年 | | 3年 | || 植物の世界 || 動物の世界 ||生物のつながり | | 大地の変化と地球 | || ・植物の子孫づくり || ・動物の生活 ||・生物と細胞 | | | || ・植物のからだづくり || ・動物のからだ ||・生物の生殖と遺伝| |○地下資源のできかた | || ・植物のなかま ++○ホニュウ類のすぐ ++・生物界のつながり| +−−−−−−−−−−−+ ||○植物は光合成により酸||れた機能について。 ||・生物の進化 | ||素と有機養分を作り出 ||◇キャップハンディ ||○受精卵からの発生| ○は関連内容 ||している。 || ||○分解者のはたらき| ◇は特活との関連 ||◇樹木の蒸散速度の実験|| || | |+−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 3 生徒について 生徒は生徒会活動の一環として、できるところから環境問題に取り組もうと、資源の回収を毎月一回回収日を設けて   行っている。また、今年の文化祭のリサイクル作品には、夏休みに点字を学習したことを生かして、アルミ缶を切り開い   てそれに点字を打ったものを作ったりしている。しかし、電気の消し忘れをしたり、ゴミにしてしまったり、まだ実践   する力は弱いので、これからさらに積極的に環境問題に取り組める力を養いたい。 生徒の家で使用している水は、井戸から引いているところが5軒ほどあるが、ほとんどは市の中屋敷浄水場から得て   いる。しかし、調査したときには自分の家で使用している水がどこから得ているか知らない生徒が3分の1ほどいた。   また、家庭での水の使い道としては、主に台所、お風呂、洗濯、洗面、掃除などにである。それらに使われた水は、多   くは下水道に流されている。排水は土淵地区の場合、都南下水処理場に送られ浄化されて北上川に流されている。しか   し、自分の家から下水道がその後どうなっているのか分からない生徒が多かった。生徒達は小学校の4年生のとき市内   の米内浄水場や中川原下水処理場を見学しているので浄化についてはいくらか知識があるが、具体的に自分の家の水処   理についてはよく把握していないことが分かった。 下水道が完備して大腸菌などはほぼ完全に殺菌されて川に流されても、汚れが100%とれるわけではない。ここでは川 や海の水が汚れるのは、自分達の生活排水も大きい原因となっていることを理解させ、これからどのように心がけてい   ったらいいか考えさせたい。 水を大切にすることや排水の処理を適確にする方法を心得ておくことは、水汚染の防止者として主体的な実践者にな れることである。この学習により、自然界の水をきれいに保とうとする豊かな情操を育まれることを願うものである。 4 指導のねらい 環境問題の原因と結果の構造を探ることにより、生徒たち自身の生活との関連を考えさせ、問題解決への意欲と関 心を高める。 5 指導の計画 地球と人間 8時間 (1) 地球にだけなぜ生物が生きていけるのか。−−−−−−−− 1時間 (2) 人類の出現と地球の資源。−−−−−−−−−−−−−−− 2時間 (3) 自然界のつりあいと人間生活との関わり。−−−−−−−− 3時間   @ 自然界の水の汚れ 2時間 (本時2時間目) A オゾン層の破壊と地球の温暖化 1時間 (4) 地球環境を守るために。−−−−−−−−−−−−−−−− 2 時間 6 本時の展開 (1) ねらい 前時までは、工場廃水や肥料などの化学物質による自然界の水の汚染について学習した。 本時ではの水の汚染の原因が家庭からの排水も大きいことを理解し、これからできるだけ汚水を流さないよう にするなど生活を改善しようとする意識を高める。   (2) 展 開 +−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |展|時|  学 習 内 容 | 学  習  活  動 | 留  意  点 | |開|間| | | | +−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |1 家庭での水の使い道 |@ 家庭での水の使い道とその行方に |・生活排水が、ほとんど下水道か、直 | |導| | | ついて話し合う。 |接川へ流れていることを確認する。 | | | | | ・台所 ・洗濯 ・川 | | | |5| | ・お風呂 ・トイレ  ・下水道 | | |入| | | ・花 ・地面 |・生活排水が環境に及ぼしている影響を調| | | |2 課題把握 |A 課題を把握する。 |べる | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | +−+−+−−−−+ 家庭の排水は周囲の環境にどれだけ影響を及ぼしているか。 +−−−−−−−−+ | | | +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | | | | | | | | |3 排水調べ |B 各家庭から持ち寄った排水を調べ |・排水を入れた器を倒してこぼしたり | | | | | る。 |器をこわしたりしないよう気をつけさせる| | | | | ・台所、お風呂、洗濯の排水。 |。 | |展| | | ・濁り、臭い、手触り、pH、アン|・各家庭の排水によって仲間をけなすこと| | | | | モニアを検査する。 |のないよう配慮する。 | | | | | ・個人実験とする。 |・そのための手立てとして個人実験とする| | | | | |フィルムケースなどをたくさん用意し、生| | | | | ・班毎にまとめる。 |徒が準備しやすいようにする。 | | | | | ・検査の仕方 |・検査の仕方を分かりやすいように説明す| | | | | ア 臭い 臭いをあおいでかぐ。 | る。 | | | | | イ 濁り 懸濁液を用いて濁りを比 |・懸濁液を前もって基準を合わせておく。| | | | | 較する。 | | | | | | ウ 手触り 手で触ってみる。 |・手触りは、一種類毎に手をきれいにして| | |35| | エ pH 万能指示薬で測定する。 |から調べる。 | | | | | オ アンモニア  ネスラー試薬で |・アンモニアの検査は時間がかかるので少| | | | | 検査する。 |し暖める。 | | | | | | | | | |4 結果報告 |C 各班毎に結果を発表する。 |・自分たちの班の実験内容をしっかり発表| | | | | |させる。他の班の汚れ調べの結果もあわせ| | | | | |て次の考察につなげる。 | |開| |5 考察 |D 川をきれいにするにはどうすれば | | | | | | よいか考える。 | | | | | | ・排水の汚れを少なくする。 |・下水道の浄化の様子を知らせる。 | | | | | ・浄化をする。 | 完全に浄化できないことを知らせ、自分| | | | | ・うすめる。 |たちが排水の汚れを少なくすることが水の| | | | | |汚染防止につながることを理解させる。 | | | |6 排水うすめ |E 排水をうすめて、魚が住めるくら |・自分たちが泳げるくらいの水を想定させ| | | | | いの水にして、どのくらい水を使っ |る。うすめてみたときの水の量を、実際の| | | | | たか調べる。 |生活の場の量に換算してみる。 | | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |終| |7 浄化の現状 |F 浄化の現状について話を聞く。 |・インタビュウのテープを用意する。 | | | | | | | | |10|8 まとめ |G 感想を発表し合う。 |・自分たちができることは何か具体的に行| |末| | | |動の内容が言えるようにする。 | | | |9 後始末 |H 後始末をする。 | | | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ (3) 評 価 ・ 自然界の水の汚れの原因が自分たちの生活から出る排水がとてもかかわっていることが分かったか。 ・ これからの生活の中で、できるだけ汚水をながさないようにしようとする意識が高まったか。 ・ 後始末がきちんとできたか。 地球と人間 −−−自然界の水の汚れ −−− 番 氏名 −−−−−−−−−−− 学習課題 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 実験 ( ) 準備する物 排水、懸濁液、万能指示薬、ネスラー試薬、試験管、ガラス棒、 ペトリ皿、ふきん 実験の仕方 (1) 各自で次の実験をする。 @臭い −−− ふたを開け、あおいでかぐ。 A手触り −− ペトリ皿に少し取り、手でさわってみる。 B濁り −−− 懸濁液の入っている試験管と同じ種類の試験管に排水をと           り、懸濁液と比べて濁りぐあいを決める。 CpH −−− ガラス棒につけてとり、万能指示薬で色を見てpHを決める。 Dアンモニア 試験管に排水をとり、ネスラー試薬をスポイトで2〜3滴入 れ、10分位おく。 色を見て判定する。 (2) 各班で割り当ての分をまとめる。 結果 +−−−+−−−+−−−−+−−+−−−+−−−−−+−−−−−−−−−+ |種 類 |臭 い |手触り |濁り|pH |アンモニア| 他・気付いたこと | +−−−+−−−+−−−−+−−+−−−+−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | | | | | +−−−+−−−+−−−−+−−+−−−+−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | | | | | +−−−+−−−+−−−−+−−+−−−+−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | | | | | +−−−+−−−+−−−−+−−+−−−+−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | | | | | +−−−+−−−+−−−−+−−+−−−+−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | | | | | +−−−+−−−+−−−−+−−+−−−+−−−−−+−−−−−−−−−+ +班のまとめ ( )について −−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +他の班の報告を聞いて−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 考察 ※ 川をきれいにするにはどうすればよいか。 ※ 魚が住めるくらいの水にしたとき、どのくらい水を使ったか。 ( )mlの( )は、水を(      )使った。 実際はどのくらい水が必要か。 感想(これから具体的に何をしていけばよいかも考えて) −−−−−−−−−+ | | | | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+