印刷用紙:B4縦 1ページの行数:68 1行の文字数(半角で):100   −−以下 指導案本文−−                      第1学年理科学習指導案             日 時 平成8年10月1日(火)1校時   対 象 第1学年(男子1名、女子3名、計4名) 授業者 太田直利 1,単元名 第4章  熱と物質の世界 2,単元について (1)教材観 本単元は、中学校で最初に学習する内容の「身近な自然現象を探求してみよう」の第4章である。導入と   して自然界の水の姿(状態)を取り上げ、物質の状態変化へと導き、熱と温度の関係へと展開している。 本教材は、身近な物質を通して、「どのように状態変化がおきるのか」といったことを自ら追求していく   ことで、科学的な見方・考え方の基礎を培うことができる。熱とそれにかかわる実験を通して、目に見えな   い熱の概念を体得させ実験技能を高めることができ、さらに、生徒一人一人の自然に対する興味・関心も高   め、意欲的に自然を調べる能力や態度の育成が図れるものである。 また、物質の状態変化で、生徒たちは、目に見えない小さな粒(粒子)に熱が加わることで固体が液体や   気体になることを理解する。この熱の移動が熱エネルギーであり、やがては、エネルギー概念へとつながっ   ていく。そして、粒子の動きは2学年で学ぶ「原子・分子」へとつながっていくのである。そのためにここ   では学習する意欲や課題を見つけさせることが大切であると考える。 (2)生徒観 本校の生徒たちは、小学校で複式学級を経て、中学校に入学してくる。複式学級での学習課程において実   際の学年の学習課程をその学年で学習できないことがある。この生徒たちは、まさに、それに該当する学年   であった。つまり、4学年の学習を3学年の時に学び、6学年の学習を5学年で学んできた。中学校に入学   し、生徒たちは、意欲的に学習に取り組んできている。特に実験をすることにどの生徒も関心が高く、積極   的である。身近な水溶液からどのような気体が発生てくるのか。炎色実験をおこなってさらに他の水溶液で   はどうなるか等、物質の変化の様子を観察したり、実際に実験することに強く関心を示す。 しかし、その実験から考察し結論を導くことや、自ら予想を立て、実験・考察・結論といった学習活動へ   の不慣れさがみられる。 (3)指導観 本単元を通して、生徒たちが自ら課題を作り、意欲的に課題を解決していく態度を育て、科学的な見方、   考え方を身につけさせたい。 はじめに、自然界における水の状態の変化から小学校での既習事項を想起させ、本単元を「新しく学習す   る」のではなく、「さらに深めていく学習」であるといった意識を持たせたい。そして、物質を加熱したり   冷却したりしたときの状態変化の様子を予想立て・実験・観察・考察・結論といった学習活動を通し、課題   を見つけ、解決する面白さ・楽しさを体験させたい。また、液体が気体に変化すると体積が大きくなること   や固体になると体積が変化しても質量は変化しないといった定性的な実験を通して、科学的な見方・考え方 を身につけさせたい。    さらに、物質の状態変化と温度の関わりで、熱に関わる実験を通して実験技能を高めることで科学的な考   え方を立証するちからを育てることができると考える。 そして、「熱量」・「身近な物質の温度変化」で、物質1gの温度を1゜C 上げるための熱量が異なるこ   とを学ぶことから、エネルギーについて考える契機としたい。 (4)環境教育に関わって    本単元を学習する時、はじめに自然界の水の姿(状態)の図が生徒たちの目にとまる。その図から状態変   化について視覚的に感じとることができる。それは、本単元の導入として取り扱われている図であるのだが 、生徒たちにとっては身近な事象の仕組みを科学的な視点で捕らえることで、自然の偉大さに触れることが できる。そして、生徒たちがその仕組みを学習を通して理解することにより、自然に対してさらに畏敬の念 や興味・関心を高めることができる。そして、この自然の仕組みが崩れるとどうなるか考えていくと「地球 の温暖化」につながっていく。しかし、ここでは生徒たちに考える機会の場とし、3学年での「地球と人間 」につなげたい。 また、物質の状態変化と温度変化の関わりを通して、物質が状態を変化させる動力は熱の移動から生み出   されるているのであることや物質ごとに必要な熱量の値の違いなどについて学ぶ。これらが熱エネルギーの   概念につながっていく。これを契機にエネルギー資源問題について触れることもできる。 本単元は環境教育との関わりが深く、生徒たちにとって環境への新たな面での視野を広げる場となるので   はないかと考える。 3,指導目標 <自然現象への関心>  熱よにる物質の状態変化、及び規則性に関心を持ち、自ら進んで観察や実験によって事実を調べる活動を行   うとともに、日常生活に関連づけて説明しようとすることができる。 <科学的な思考> 観察・実験を通して、熱や熱に関わる物質の変化に関する事象や現象が生じる要因や仕組みから、身の回り   の物質の状態変化や熱の現象について筋道を立てて説明することが出来る。 <観察・実験の技能・表現> 観察・実験を通して得た物質の状態変化や熱量に関するデータを処理し、それをもとに熱の概念やはたらき   についてまとめることができる。 <自然現象についての知識・理解> 観察や実験などからのデータをもとに、物質の状態変化の規則性を説明するとともに、身の回りの物質の状   態変化や熱に関する課題を解決しようとすることができる。 4,単元の指導計画 (12時間扱い) +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ |時| 学 習 内 容 | 目 標(※は環境教育に関わるもの)| 評 価 | |間| | | | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | 第1次 どの物質も固体、液体、気体と姿を変えるか 4時間 | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | |オリエンテーション |※自然界の水の姿(状態)から状態が変|○自然界の水は、状態が変化 | |1| |化しても、暖めたり、冷やしたりすると|しても、暖めたり、冷やした | | | |元の状態にもどることを説明することが|りすると元の状態にもどるこ | | | |できる。 |とを説明することができたか | | | | | <知識・理解> | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ |2|物質の状態変化と体積と|※物質の状態変化では物質の体積は変化|○物質の状態変化では物質の | | |質量の関わり |するが質量は変化しないことを意欲的に|体積は変化するが質量は変化 | | | |調べ、発表することが出来る。 |しないことを理解し、意欲的 | | | | 状態変化を定義することができる。 |に調べ、発表することができ | | | | |たか。 | |本| | |<知識・理解・技能・表現> | |時| | | | |1| | |○状態変化を定義することが | |/| | |できたか。 | |2| | | <知識・理解> | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | |密度 | 密度を定義する事ができ、物質の質量|○密度を定義する事ができた | | | |と体積から密度を求めるとともに、状態|か。 | | | |変化と密度の関係を説明できる。 | <知識・理解> | |1| | |○物質の質量と体積から密度 | | | | |を求めるとともに、状態変化 | | | | |と密度の関係を説明する事が | | | | |できたか。 | | | | | <科学的な思考> | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | 第2次 状態変化する温度は決まっているか 4時間 | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | |溶ける温度と沸騰する温| 純粋な物質が状態変化するときの温度|○純粋な物質が状態変化する | |1|度 |を意欲的に測定しようとすることができ|ときの温度を意欲的に測定し | | | |る。 |ようとすることができたか。 | | | | | <関心・意欲・態度> | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ |1|物質の融点・沸騰点 | 融点や沸点を定義することができる。|○融点や沸点を定義すること | | | | |ができたか。 | | | | | <知識・理解> | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | |蒸留 | 融点や沸騰点を利用して、液体の混合|○融点や沸騰点を利用して、 | |1| |物をそれぞれの物質に分離することがで|液体の混合物をそれぞれの物 | | | |きる。 |質に分離することができたか | | | | | <技能・表現> | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ |1|純粋な物質と混合物 | 純粋な物質、混合物を例をあげて説明|○純粋な物質、混合物を例を | | | |することができる。 |あげて説明する事ができたか | | | | | <科学的な思考> | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | |水の温度変化 |※物質の状態変化には熱が関係している|○物質の状態変化には熱が関 | | | |ことを説明することができる。 |係していることを説明するこ | | | | |とができたか。 | | | | | <科学的な思考> | |2| | 一定の水を熱した時間と水の温度変化|○一定の水を熱した時間と水 | | | |との関係を、意欲的に調べようとするこ|の温度変化との関係を、意欲 | | | |とがてきる。 |的に調べようとすることがで | | | | |きたか。 | | | | | <関心・意欲・態度> | | | | | | | | | 熱した時間が同じとき、水の質量と温|○熱した時間が同じとき、水 | | | |度変化との関係を調べ、グラフに表すこ|の質量と温度変化との関係を | | | |とができる。 |調べ、グラフに表すことがで | | | | |きたか。 | | | | | <技能・表現> | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | |熱量 | 水の質量と温度変化から熱量を求める|○水の質量と温度変化から熱 | |1| |ことができる。 |量を求めることができたか。 | | | | | <科学的な思考> | | | | 熱量の単位を説明することができる。|○熱量の単位を説明すること | | | | |ができたか。 | | | | | <知識・理解> | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | |身近に物質の温度変化 | 種類の異なる物質を加熱したときの温|○種類の異なる物質を加熱し | | | |度変化を方法を工夫して測定することが|たときの温度変化を方法を工 | | | |できる。 |夫して測定することができた | |1| | |か。 | | | | | <技能・表現> | | | | それぞれの物質の温度変化のちがいを| それぞれの物質の温度変化 | | | |水と比べて説明することができる。 |のちがいを水と比べて説明す | | | | |ることができたか。 | | | | | <科学的な思考> | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ 5,本時の指導  (1)目 標    ・物質の状態変化では物質の体積は変化するが、質量は変化しないことについて理解することがでくる。    ・課題意識を持ち、意欲的に調べ、発表することができる。 (2)環境教育と関わって ・自然界にある事物を通して、自然のしくみを理解する事ができる。そのしくみを破壊することの恐ろ    しさについて気づかせ、自然保全を考える機会にしたい。  (3)展 開 +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | 学 習 内 容 | 学 習 活 動 | 教師の支援・評価 □ | 準 備 等 | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |1,事象提示 |○液体窒素の体積の変化を観| 体積や質量に興味を持てる |液体窒素 | |導| |察し、学習内容を把握する。|ようにする。 | | | | |・ものすごく膨らむことがわ| | | | | | かった。 | | | |入| |・他の物もそうなるのだろう| | | | | | か。 | | | | | | | | | |10|2,学習課題の確認 | 学習課題を把握する。 | | | |分|+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | | | | || 物質の状態が変化するとき、体積や質量は | | | | | || 変化するだろうか。 | | | | | |+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | | | | |3,実験の予想 |○水、ロウ、その他の物質が| できるかぎり、理由も発表 |液体窒素 | | | |固体に変化するときに体積と| させるようにする。 |熱して液体に | | | |質量はどうなるか話し合う。|+−−−−−−−−−−−+|なったロウ | |展| |・水もロウも体積・質量とも||自分の考えをもとに予想||大型ビーカー | | | | に大きくなる。 ||を立てることが出来る。||小型ビーカー | | | |・水は体積が増え、質量は変|| <発表> ||試験管 | | | | わらない。ロウは、体積が|+−−−−−−−−−−−+|上皿てんびん | | | | 小さくなるが、質量は変わ| |油性ペン | | | | らない。 | | | | | | | | | |開|4,実験計画 |○実験方法を考える。 |安全性について気をつけて実| | | | |・実験前後の質量をはかる。|験ができるようにする。 | | | | |・実験前に液体の水面に印を| | | | | | つけて、実験後のようすを| | | | | | みる。 | | | | | | |+−−−−−−−−−−−+| | | |5,実 験 |○体積や質量の変化を調べる||意欲的に調べることがで|| | |35| |実験をする。 ||きたか。 || | | | | || <態度> || | | | | |+−−−−−−−−−−−+| | | | | | 机間指導を行い実験をどの| | | | | |生徒もスムーズにできるよう| | | | | |支援する。 | | |分|6,実験結果の発表 |○自分が立てた予想をもとに|+−−−−−−−−−−−+| | | | |結果を発表しあう。 ||立てた予想と結果をもと|| 短冊 | | | |・水が氷になるとき体積は大||に、課題に迫ることが出|| | | | | きくなり質量も増えると思||来たか。 <発表> || | | | | ったが、体積は大きくなり|+−−−−−−−−−−−+| | | | | 質量は変わらなかった。 | | | | | |・液体のロウが固体になると| | | | | | 体積は大きくなると思った| | | | | | が小さくなることがわかっ| | | | | | た。 | | | | | | | | | | |7,まとめ |○実験結果をまとめる。 |+−−−−−−−−−−−+| | | | |・体積は変化する。その様子||体積は変化するが質量は|| | | | | は、水は大きくなり、その||変化はないことを理解す|| | | | | 他の物質は小さくなる。 ||ることができたか。 || | | | |・質量はどの物質も変化はな|| <発 表> || | | | | い。 |+−−−−−−−−−−−+| | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |終|7,水の状態変化と体|○図1の氷山を見ながら体積| 身近な自然現象と結びつけ| | |末| 積の関係の説明 | が凍ると大きくなることを|温暖化についてもふれるよう| | |5| | 理解する。 |にする。 | | |分| | | | | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ (4)評 価 @展開のねらい    ・物質の状態変化では物質の体積は変化するが、質量は変化しないことを理解することができたか。    ・課題意識を持ち、意欲的に調べ、発表することができたか。 A環境に関わって ・身近な自然現象と温暖化が結びついていることに気づき、自然保全についての意識を高めることができ     たか。 (5)板書計画