印刷用紙:A4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):110   −−以下 指導案本文−−   2学年理科学習指導案 日 時 平成8年11月7日(木)6校時 学 級 2学年(男子25名 女子15名 計40名)      場 所 理科室 授業者 中 里  好 江         1 単元名 3. 電  流   第1章 回路を流れる電流 2 単元について (1) 教材観  現代生活は電気なしには成立しない。生徒は生まれたときから電気の恩恵に浴しており、特に意識もせずに利用して   いる。電流の学習は、小学校で、乾電池を電源として、閉回路で豆電球が点灯することや、乾電池のつなぎかたによっ   て豆電球の明るさが違うことを学習してきている。これは、事象を定性的に捉えさせて、学習への興味・関心を持続さ   せることが主な目的であった。    しかし中学校では、学習を定量的な扱いに移行させながら、電流回路の初歩的なきまりを理解させること、電流によ   る発熱のきまりと磁気作用について理解させること、電流の流れを電子の流れとして捉えさせることをねらいとしてい   る。    これらの学習の中で、生徒が最も難しさを感じるのは、電流の流れを直接観察できない点である。電流の流れは電流   計を介して確認していくことになるが、これにはかなり高度な思考力を要する。しかし、実験・観察を通して事実を記   録し、流れ方を知るためのグラフ化、説明のためのモデル化、考えやデータを伝える発表、これらを関連づけて整理し   するための話し合い活動など、一連の学習を通して生徒の電流に対する見方や考え方が養われるものと考える。    以上の点から本単元は、身の回りの現象に目を向けさせ、興味・関心を高めさせるために重要な単元であるとともに、   生徒の科学的に考え、表現する態度を育成するために重要な単元であると考える。 (2) 生徒の実態 身近な話題や新鮮な驚きのあることへの興味があり、自分の体を使っての作業(実験・観察)を好む。しかし、筋道 を立てて考えることは苦手で他を頼りがちな生徒が多い。協力しあい実験・観察を進めているが、話し合い活動は活発 とは言えない現状である。 この単元の学習の始めに、2学年生徒を対象に「電流」について調査した。電流が物質の流れであると考えている生 徒は一人もなく、振動のような現象が伝わって行くと答えた生徒が多い。流れる向きと大きさについての結果は次の通 りである。 +−−−−−−−−−−+ | 図1 | | | +−−−+−−+−−+−−+−−+ 問1,右図で電流はどちら向きに| +−++−+ ア | |選択肢| ア | イ | ウ | 計 | | | | | +−−−+−−+−−+−−+−−+ 流れているか。 | | ウ | | |男子 |12| 1 |11|24| | | | | +−−−+−−+−−+−−+−−+ イ | | | |女子 | 5| 0 |10|15| | | | | +−−−+−−+−−+−−+−−+ | +− ○ −+ | |合計 |17| 1 |21|39| | | +−−−+−−+−−+−−+−−+ +−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−+ +−−−+−−+−−+−−+−−+ |図2 | |選択肢| ア | イ | ウ | 計| | ++++ | +−−−+−−+−−+−−+−−+ 問2,右図でA点B点の電流の| | | | ア.A=B |男子 |14|10| 0 |24| | | | | +−−−+−−+−−+−−+−−+ 大きさの関係はどのように B | |A | イ.A>B |女子 | 6| 9| 0 |15| | | | | +−−−+−−+−−+−−+−−+ なっていると思うか。 | + ○ + | ウ.A<B |合計 |20|19| 0 |39| | | +−−−+−−+−−+−−+−−+ +−−−−−−−+ [単位:人] (3) 指導観   電流の学習に生徒が意欲的に取り組めるようにするために、生徒が実験に興味を持つことを手掛かりにとして、実験を  多くしていきたい。このときグループの小人数化と実験器具の準備を行い、生徒一人一人が自分の手で確かめられるよう  にする。実験器具の操作と回路の作成に十分慣れさせたうえで、電流や電圧の測定を行い、生徒自身が疑問をもち、考え、 話し合いながら規則性を発見できるようにすることが大切である。   学習課題は生徒の考えや疑問を生かしたものにしていく。また、話し合いや発表にはお互いの考えを出しやすいよう、  小黒板の活用を行う。 3 単元目標  (1) 自ら進んで電流回路について調べようとする。(関心・意欲・態度)  (2) 電流計、電圧計を回路中に正しく接続し、それぞれの値を正しく読み取ることができる。(技能・表現)  (3) 実験を通して、豆電球の明るさと、電流の強さとの関係を説明することができる。(思考)  (4) 実験の結果から、豆電球の明るさと回路の関係を説明できる。(知識・理解)  (5) 電圧と電流の関係に興味をもち、進んで調べようとする。(関心・意欲・態度)  (6) 電圧と電流の関係を調べる実験を行うことができる。(技能・表現)  (7) 実験を通して、電圧の変化による電流の変化が、比例関係にあることを導くことができる。(思考)  (8) 電気抵抗の意味を理解でき、単位をつけて大きさを表すことができる。(知識・理解)  (9) オームの法則について、式や言葉で説明できる。(知識・理解) (10) 抵抗は、物質によってその大きさが違うことを言える。(知識・理解)  (11) 直列、並列回路の各点を流れる電流や各部分の電圧の大きさについて予想できる。(思考) (12) 直列、並列回路の各点を流れる電流の各部分の電圧の大きさについての実験を行い、結果をまとめることができる。                                           (技能・表現) (13) 実験の結果から直列、並列回路の電流と電圧のきまりについてまとめることができる。(知識・理解) (14) 電流・電圧・抵抗について説明を聞き、理解できる。(知識・理解)                          4 指導計画    第1章 回路を流れる電流  --------------------------------------- 13時間      1.電流はどうして流れるか         ---------------------- 5時間     2.電圧と電流にはどんな関係があるか    ---------------------- 3時間     3.回路によって電流や電圧はどのようにちがうか ----------------- 5時間(本時2/5)    第2章 電流のはたらき   --------------------------- 10時間    第3章 電流は空間を流れるか  --------------------------------- 2時間      5 本時の指導 (1) 目標                              ・ 並列回路の各点を流れる電流の大きさの関係に関心をもち、進んで調べようとする。   ・ 並列回路の各点を流れる電流の大きさについて予想できる。   ・ 並列回路の各点を流れる電流の大きさについての実験を行い、結果をまとめることができる。  (2) 展開 +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |段階| 学 習 過 程 | 学 習 活 動 | 支  援 | +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | 1、直列回路の場合の電流の流れる向きと −−++−−−+ (プリント配布) | | | | ++−−++−−+|| | | | | その大きさについて想起し発表する。|| A| ・小黒板に自分たちがモデ | | | | C+− −− −+| ル化したものを提示して、 | | 導 | 課 題 把 握 | +−−+ B | イメージ化しやすいように | | | 2、並列回路の場合はどうなる +−−+−−+ | する。 | | | | か考える。 +−++− − B| |・黒板に図示し、具体的な数 | | | | | D++ ++A | 値を上げ、答えやすいよう | | | | | +− − C | にする。 | | 入 | | +−−−−−−−− 図3−−−+| | | | |3、学習課題の設定 ・並列回路を図示し、電流 | | | |+− 学習課題 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ の流れを示しながら、具体 | | | || 並列回路をつくり、A点・B点・C点・D点を流れる | 的な数値を入れて考えさせ | | 10 | | 電流の大きさの関係はどうなっているか調べよう。 | る。 | | 分 | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | 課 題 追 究 4、各点の電流の大きさの関係について予想し、発表する。 | | | | | | | | | 5、実験の手順の説明を聞くと共に、留意事項を確認する。 ・電流計の扱う際の留意点 | | | | を生徒に発表させ、意識化 | | | | させる。 | | 展 | | ・実験は全員で行うよう指 | | | | 示する。 | | | 6、手順に従って班ごとに各点を流れる電流の大きさを測定 ・机間巡視して、回路の組み | | | | する。 立てや測定方法に不足の点 | | | 7、測定結果を各自記録する。 があれば支援する。 | | 開 | | | | | |課 題 解 決 8、各点の電流の関係を班ごとに話し合い、まとめる。 ・十分話し合いがなされる | | | 9、班の結果を黒板に記入する。 よう時間を取る。 | | | 10、班の測定結果を代表者が発表する。 ・発表の仕方に留意させる。 | | 30 | 11、各班の結果を、比較検討する。 ・B点C点の関係に注目さ | | 分 | | せる。 | | | 12、並列回路の各点を流れる電流のきまりを班ごとにまとめ ・全員で話し合よう指示す | | | | て小黒板に記入し、発表する。 る。 | +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | 13、本時のまとめを行う。 | | | 終 | | ・各自プリント記入 ・自分の言葉でまとめさせ | | 結 | | ・発表 る。 | | 10 | 課 題 発 展 14、本時の評価を行う。 | | | 分 | | ・各自プリント記入 | | | | | | | +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+  (3) 評価   ・並列回路の各点を流れる電流の大きさに関心をもち、進んで調べようとしたか。   ・並列回路の各点を流れる電流の大きさについて予想できたか。   ・並列回路の各点を流れる電流の大きさについての実験を行い、結果をまとめることができたか。                 2学年   理科   目標分析表  単元名 電流  N0.1     13時間扱い +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | 学 習 目 標 | 学 習 内 容 時数 到 達 目 標 | 関心・意欲・態度 | 科学的な思考 観察・実験の技能・表現 |自然についての知識・理解 +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |[関心・意欲・態度] 1 電流はどうして 5 ・電流計や電圧計を用 ・自ら進んで電流回路 ・豆電球の明るさは、 ・豆電球と乾電池を用 ・豆電球と乾電池を用 | | 電流や磁界のはたらきにた | 流れるか | いて、回路の中の電流 について調べようとす 電流の大きさに関係す いて、直列回路、並列 いた回路で、直列回路、 | |いして興味・関心を持ち、自 | | や電圧を測定できる。 る。 ることを推論できる。 回路を作り、豆電球1 並列回路を指摘するこ | |ら進んで観察、実験を行い、 | | ・簡単な回路図を読み | | この明るさを比べる実 とができる。 | |その基礎的概念や規則性を調 | | 取ったり、書いたり、 | | 験がとができる。 | | |べようとするとともに、電流 | | 実態配線ができる。 ・電流計や電圧計を正 ・電流の流れる向きは ・電流計、電圧計、電 ・電流、電圧の意味を | |に関する事象を、日常生活と | | | しく扱おうとする。 +から−であることを 源装置を正しく扱い、 理解し、それぞれの単 | |関連づけて調べようとする。 | | | | 実験結果から考えるこ 回路の電流、電圧を測 位を正しく使用するこ | |[科学的な思考] | | | | とができる。 定できる。 とができる。 | | 観察や実験から得た結果か | | | | ・電流の大きさは仕事 ・電流の流れをモデル | | |ら、電流や磁界に関する事象 | | | | を行っても変化しない を用いて説明できる。 | | |について科学的に考え、その | | | | ことを実験結果から見 | | | |基礎的概念や規則性を見いだ | | | | いだすことができる。 ・実態配線図から回路 ・回路図を読み取るこ | |すことができる。また、それ | | | | | 図を作成することがで とができる。 | |らの事象の生じる要因や仕組 | | | | | きる。 | | |みを分析的、総合的に説明で | | | | | | | | |きる。 2 電圧と電流には | ・電圧と電流は、比例 ・電圧と電流の関係に ・実験から、電圧と電 ・電圧と電流の関係を ・電気抵抗の意味が分 | |[観察・実験の技能・表現] | どんな関係がある 3 関係にあることを実験 興味を持ち、進んで調 流の大きさは比例関係 調べる実験を行うこと かり、単位をつけて大 | | 回路の作り方や電流計、電 | か | 結果から見いだすとと べようとする。 にあることを見いだす ができる。 きさを表すことができ | |圧計の使い方などの基礎的な | | もに、抵抗の概念をつ | ことができる。 ・結果をグラフに表す る。 | |操作を習得するとともに、実 | | かみ、回路を流れる電 | ・回路を流れる電流の ことができる。 ・回路を流れる電流と | |験の計画、実施、記録、グラ | | 流と電圧、抵抗の関係 | 大きさは、抵抗に反比 | 電圧、抵抗の関係を理 | |フ化、処理など、事象を科学 | | を式や言葉で表すこと | 例することが推察でき | 解し、言葉や式で説明 | |的に調べる方法を学び、それ | | ができる。 | る。 | することができる。 | |らを通して事象の基礎的概念 | | | | | | ・抵抗の大きさは物質 | |や規則性を見いだすことがで | | | | | | によって決まった値が | |きる。また、観察・実験から | | | | | | 有ることを言える。 | |得たデータをもとに報告書を | | | | | | ・抵抗の大きさは、長 | |作成したり、発表することが | | | | | | さによってもちがうこ | |できる。 | | | | | ・直列、並列回路の各 とが言える。 | |[自然についての知識・理解] 3 回路によって電 | ・直列回路、並列回路 ・直列、並列回路の電 ・直列、並列回路の各 点を流れる電流や電圧 ・直列、並列回路の各 | | 観察・実験を通して、電流 | 流や電圧はどのよ 5 の各点を流れる電流や 流や電圧について興味 点を流れる電流や各部 の大きさを調べるため 点の電流の値や各部分 | |や磁界に関するさまざまなさ | うにちがうか | 各部分の電圧を測定す を持ち、進んで調べよ 分の電圧の大きさにつ の実験を行い、それぞ の電圧の値をまとめる | |事象の基礎的概念や規則性を | | る実験を行い、その結 うとする。 いて予想できる。 れの値を測定すること ことができる。 | |説明でき、その量的関係を式 | | 果から、それぞれの回 | ・測定値から回路の電 ができる。 ・直列、並列回路の各 | |を用いて説明できる。また、 | | 路の電流と電圧のきま | 流や電圧のきまりが発 ・直列、並列回路の各 点の電流の値や各部分 | |これらの知識を利用して、電 | | りを見いだすことがで | 見できる。 点の電流の大きさや各 の電圧の値をもとにし | |流や磁界に関して日常生活に | | きる。 | | 部分の電圧の関係を、 て、各抵抗と回路全体 | |関係ある基礎的な問題を解決 | | | | | 式で表すことができる。 の抵抗の関係をまとめ | |したり、事象を説明できる。 | | | | | | ることができる。 | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+