印刷用紙:B4縦 1ページの行数:55 1行の文字数(半角で):100   −−以下 指導案本文−−   第 1 学 年 理 科 学 習 指 導 案     日 時  平成8年10月11日(金)     対 象  1年A組                                  (男12名 女16名 計28名)     場 所  理 科 室     指導者  教 諭  高 橋 悦 郎 1 単元名 「身のまわりの科学」 −身のまわりの物質− 2 単元について  ・ 教材観   理科は、自然界における事物・現象を学習の対象とする教科である。その学習活動を進める第一歩は、自然  に対する興味・関心を高めることである。   本単元には、中学校で最初に学習する物理・化学の内容であり、中学校理科への興味・関心・態度を左右す  る重要な役割がある。   この単元で取り扱う内容は、生徒にとって日常生活と関わりの深いものばかりである。生徒が何気なく見過  ごしている物質や現象に目を向けさせ、理科の学習への興味・関心を高める足掛かりとする一方、科学的なも  のの見方や考え方を養う基礎づくりになる教材といえる。  ・ 生徒の実態   明るく、協力的な態度が見られる生徒である。   環境問題への取り組みを通して、自然及び生活環境への関心は高まりつつあると感じられる。教科で扱って  いる学習内容が、文化祭の学級テーマ「水」と深く関わっていることもあり、一人ひとりの授業への関心も高  い。観察や実験の時には、班ごとに協力して作業する姿が見られる。   授業ではリーダー的な生徒が発言し、学習をリードしている。積極的に発言しない生徒でも自分の考えを持  ち、指名されれば答えることができる。  ・ 指導観   この単元で学習する「身のまわりの科学」では、生徒が日常利用している水溶液や気体の変化をはじめに扱  う。しかし、これまで生徒は、いろいろな物質にじかに触れたり、その性質や変化を調べる体験も比較的少な  い。更に、その後に学習する光や熱については、学習の体験がほとんどなく、その性質やはたらきについての  知識も少ない。   一方、定性的な観察や実験には意欲的に取り組むが、定量的な観察や実験になると観察や実験の技術も未熟  なため、正確なデータが得られず、学年が上がるにつれ観察や実験を面倒に感じる傾向がある。   そこで、はじめに身のまわりの物質を取り上げ、興味・関心を高めるように教材を工夫し、定性的な観察や  実験から定量的な観察や実験へと学習を進め、観察や実験の技能やデータ処理の方法を身につけるように指導  していく。   本校では、探求的な学習を進め、問題解決能力の育成をめざした活動を行っている。この単元の指導にあた  っても、身近な素材を教材として取り上げ、探求的に学習を進めたい。 3 環境教育との関連  身近にある物質が環境に大きな影響を及ぼしていることに気づいている生徒は少ない。酸性雨や地球温暖化の ような環境問題の原因となる排気ガスには、二酸化炭素や二酸化硫黄、窒素酸化物が含まれ、水にとけると酸性 の性質を示すこと。また、二酸化硫黄は水にとけると亜硫酸となり漂白作用を持つことを実験によって確かめる。 更に、実験で確かめたことをもとに、環境問題を見直し、環境保全に向けて小さな一歩から実行しようとする気 持ちを育てたい。 4 指導目標  ・ 観察や実験を通して、自然に対する興味・関心を持たせる。  ・ 観察や実験で得られた結果をもとに、自然現象についての法則を見いだしながら、科学的なものの見方や   考え方を養う。  ・ 観察や実験についての基礎的な技能を高めるとともに、観察や実験の結果を正確にまとめ、その内容をわ   かりやすく発表することができる。  ・ 自然現象の原理・法則をわかりやすく説明できる。 5 指導計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43時間  ・ 身のまわりの物質・・・・・・・・・・・・・・・・16時間   @ 水溶液を見分けるにはどうするか・・・・・・・・4時間   A 水にとけるとはどんなことか・・・・・・・・・・・・2時間   B 物質はどれだけ水にとけるか・・・・・・・・・・・・3時間   C 気体にはどんな性質があるか・・・・・・・・・・・・7時間(本時7/7)  ・ 光と音の世界・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8時間  ・ いろいろな力の世界・・・・・・・・・・・・・・・・7時間  ・ 熱と物質の世界・・・・・・・・・・・・・・・・・12時間  ・のC「気体にはどんな性質があるか」の指導計画(7時間扱い) 時間 授 業 の 展 開     生   徒   の   学   習   活   動     1 探求課題の設定 ○酸性雨や地球温暖化を説明しているビデオを視聴し、環境問題と気体の  関わりについてのイメージをつかむ。   ○予備実験を行ってこれから探求する課題をまとめる。 2 探求課題の決定 ○身のまわりの物質を使って気体を発生させる実験方法を決定し、発生す る気体を予想する。 3 課題順序選択学習 ○気体の発生法や捕集法を調べる。 4 ○4つの気体をそれぞれ発生させて捕集し、気体の性質を調べる。水にと 酸素、アンモニア  けて酸性の水溶液になる気体を確認する。 二酸化炭素、水素 5 身のまわりの物質 ○自分達で選んだ実験によって発生する気体を予想し、実験データを収集 を使った気体の発  する。 生 6  気体発生法、捕集  ○他の班が行った実験結果の発表を聞く。   法、性質のまとめ ○気体の性質や捕集法をまとめる。 酸性雨の原因は何  ○酸性雨ができる仕組みを知る。 7 かを知り、自分達  ○環境問題を引き起こす排気ガスの発生をいくらかでも少なくするために にできることを話   生活の中で、自分達にできることは何かを話し合う。  し合う 6 本時の指導  ・ 題材名 「酸性雨」  ・ 指導目標   @ 排気ガスには有害な気体が含まれており、酸性雨の原因になっていることに気づく。   A 排気ガスが自然に与えている影響について知り、自分達にできることについて話し合う。  ・ 展開                              ◎留意点  ○教材・教具  学 習 内 容 予 想 さ れ る 生 徒 の 活 動   指導上の留意点  1 学習課題をつかむ。 1 学習課題を把握する。 ・酸性雨  ・酸性雨について知っていることを発表する◎酸性雨について知っている 導  ・気体が雨水にとけてできる。  ことを自由に発表させる。  ・酸性の性質を示す。 気体が雨水にとけているこ ・植物を枯らす。  と、水溶液は酸性を示すこ  とをつかませる。  ・本時の学習課題の把握 ・本時の学習課題を把握する。 ◎本時では、物が燃えたとき  に出る二酸化炭素が水にと 入  けた炭酸水と排気ガスが水  にとけた水溶液の違いやそ    の対策について学習する。 5分            酸性雨の原因は何かを知り、酸性雨を   少なくするために、自分達にできるこ  とは何か話し合う 2 学習課題を追求する。2 学習課題を追求する。 展 ・酸性雨の原因  ・酸性雨の原因を話し合う。 ◎酸性雨の原因を知っている ア 酸性雨はどのよう ア 酸性雨はどのようにしてできるか だけ発表させる。    にしてできるのか    ・工場から出る煙    ◎これまでの学習で水にとけ       ・物を燃やしたときに出る気体  て酸性の性質を示した気体   ・車の排気ガス  がなかったか想起させ、酸     性雨に含まれる気体を予想       しやすいように配慮する。 イ 酸性雨に含まれて イ 酸性雨にはどんな気体が含まれている◎二酸化硫黄や窒素酸化物が  いる気体は何か  か予想し、発表する。 出てきたときには、軽く扱  ・二酸化炭素  い、二酸化炭素に目を向け ・二酸化硫黄  させ、まとめで触れるよう ・窒素酸化物  にする。 ・炭酸水と排気ガスを水 ・物を燃やしてできるガスと排気ガスをとか◎物を燃やしたときに発生す にとかして作った水溶  して作った水溶液の性質を比較する実験を るガスと車の排気ガスを比  液の性質の違い   行う。 較しながら課題に迫ること   を確認する。    ア 二酸化炭素が含ま ア 燃焼物から出るガスと排気ガスを石灰水◎気体を捕集し石灰水との反    れているかどうかの  に通し、二酸化炭素が含まれていることを 応を観察する。       確認   確認する。 ○気体捕集装置  イ pHの比較  イ 燃焼物から出る二酸化炭素と排気ガスを◎パックテストで調べさせる       水にとかして作った水溶液のpHを比べ、○BCGパックテスト     二酸化炭素を水にとかして作った炭酸水の○資料水 方が、pHが低いことを確認する。 ◎排気ガスには二酸化炭素以  外の気体が含まれているこ とに気づかせる。 ・二酸化硫黄が環境に与 ・ 排気ガスが環境に与える影響を知る。 ◎排気ガスに含まれている二   える影響   ア 排気ガスには二酸化炭素以外の気体が 酸化炭素以外の気体が環境       含まれていることを実験からまとめる。 に大きな影響を与えること イ 二酸化硫黄に入れた花の変化を調べる に気づかせる。    演示実験から、排気ガスに含まれている○集気びんに入れた二酸化硫 二酸化硫黄の害を知る。 黄と花 3 学習課題を解決する。3 学習課題の解決に向けた話し合いをする。 ・金田一付近の酸性雨の ・生徒が調べた結果の発表を聞く。 ◎酸性雨の場所による分布状 状況  ・バイパス付近でpHが高い。  況の違いを調べた班に結果 開  ・バイパス付近でpHが高いのは車の出す を発表させ、次の話し合い      排気ガスが原因ではないか。  への意欲づけを図る。 ・排気ガスの影響を減ら ・排気ガスを少しでも減らすために自分達に◎排気ガスを減らすために、 40  すためにできること   できることは何かを発表する。  自分達にできることは何か 分         に焦点を絞って話し合わせ       る。   4 本時をふりかえる。 4 酸性雨の被害を伝える新聞記事を見ながら○新聞の切り抜き 終 本時の学習をふりかえる。 ◎簡単に触れる程度にとどめ 末5 次時の予告を聞く。 5 次時の予告を聞く。  後でよく読んでおくように 5分6 自己評価をする。 6 自己評価をする。  指示する。 ・ 評価 @ 排気ガスには有害な気体が含まれており、酸性雨の原因になっていることに気づいたか。 A 排気ガスが自然にどのような影響を与えているかを知り、自分達にできることを考えることができたか。