印刷用紙:A4縦 1ページの行数:48 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−    理科学習指導案                             1年C組(男19名 女17名)                             平成8年11月20日(水)                             指導者  金 野 戴 子 題材名  身の回りの科学  「熱と物質の世界」 1 題材と生徒  1 題材について     理科は、自然界における事物・現象を学習の対象とする教科である。その学習活動を進める    第一歩は、自然に対する興味・関心を高めることである。     生徒は日常、多くの物質を利用し、加熱・冷却による物質の状態変化にも接している。しか    し、多くの生徒は、日常これらの現象に接していても、物質に直接触れたり、その性質や変化    を調べたりする体験が少ないのが現状である。     この単元では、身の回りの物質を加熱・冷却したときの様子を観察し、物質と熱との関係を    考え、物質についての巨視的な見方・考え方や、微視的な見方の基礎を身につけることがねら    いである。学習の計画にあたっては、物質に直接触れる楽しさやおもしろさを体験させること    により、生徒一人ひとりの自然に対する興味・関心を高めるとともに、自然を調べるための実    験器具の操作、記録の仕方などの基礎技能を身につけさせることに配慮することも大切である     このような主体的な学習を通して、自然を意欲的に調べる能力や態度の育成を図ることがで    きると考える。  2 生徒について     物質の状態変化については、小学校での学習や生活経験などから温度と密接な関係にあるこ    とは感覚的に理解されている。     水を氷にしたり、水蒸気にしたりするには、温度を上げたり下げたりすればよいということ    はわかっているが、状態が変化するときの温度がその物質固有のものであるというところまで    はなかなか考えが及ばないのが現実である。     どのような物質も0℃になると固体になり、100℃になると気体になると考えている生徒    もいる。     全体として消極的な生徒が多く、自ら進んで手をだして、触れたり、実験したりすることが    なかなかできない。  3 学習活動について     状態変化では、物質そのものが別の物質に変化するのではなく、その物質の状態が変化する    ということ、体積は変化するがその重さは変化しないということを認識させることが大切であ    る。その上で、それぞれの物質と温度との関係について考察していくことがこの単元の指導の    ポイントになると思われる。     身の回りのさまざまな物質を直接手にとって実験・観察ができるよう配慮し、物質に対する    関心を高め、意欲的に状態変化を調べるようにさせたい。     予想されることなどはできるだけ多く発表させ、その予想したことが実験によって確かめら    れるようにさせたい。 2 主な学習活動と育てたいこと +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |時数| 主 な 学 習 活 動 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | どの物体も固体・液体・気体と姿をかえるか | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | |・物質は熱したり、冷やしたりすると、その姿をかえることを話し合う。 | | |・加熱・冷却にともなうさまざまな物質の状態変化の様子を観察し、いろいろな物質が状| | 4| 態変化することに気づく。 | | |・状態変化は可逆変化であり、物質の種類は変わっていないことに気づく。 | | |・状態変化にともなって、体積は変化するが、質量は変化しないことに気づく。 | | |・密度について説明をきき、状態変化と密度の関係について知る。 | | |・確かめ問題をおこなう。 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | 状態変化する温度は決まっているか | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | 5|・身近な物質のとける温度と沸騰する温度について話し合う。 | | |・パラジクロロベンゼンの融点を測定し、決まった融点があることに気づく。 | | |・エタノ−ルの沸点を測定し、決まった沸点があることに気づく。 | | |・水とエタノ−ルの混合物の沸点はどうなるか。一定の沸点にはならないことに気づく。| |本時|・ワインからエタノ−ルをとりだす方法について話し合い、実験により確かめる。 | | |・蒸留について説明を聞く。 | | 4|・純粋な物質と混合物について定義を聞く。 | | /| | | 5| | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | 熱と温度はどうちがうか | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | |・物質の状態変化につて、熱の移動と物体の温度変化との関係に気づく。 | | |・水の温度変化は加熱時間に比例し、水の質量に反比例することに気づく。 | | 4|・水の重さと温度上昇の積が熱量の単位となることを理解する。 | | |・確かめ問題をおこなう。 | | |・物質の種類によって、同じ質量に同じ熱量を与えても、温度上昇の仕方がちがうことを| | | 理解する。 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+      +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 育てたいこと (主体的に身の回りの自然を調べる能力) | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 価値あることに気づき、それを探求する | 自分の考えを豊かに表現できる | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |・いろいろな物質が状態変化することに気づく| | |・いろいろな物質を温めたたり、冷やしたりす| | | る実験から、状態変化のときの体積と質量が| | | どうなるか見いだすことができる。 |・物質が状態変化するときは、体積は変化する| | | が質量はかわらないといえる。 | | | | | |・密度の定義がわかり、物質固有のものである| | | ことが言える。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |・パラジクロロベンゼンの温度変化を測定し、| | | 融点を見つけだすことができる。 | | |・水の温度変化を測定し、沸点を見つけだすこ| | | とができる。 |・固体が溶けて液体になるときの温度を融点、| |・エタノ−ルの温度変化を測定し、沸点を見つ| 液体が沸騰するときの温度を沸点といえる。| | けだすことができる。 | | |・エタノ−ルと水の混合物の温度変化を測定し|・純粋な物質には一定の融点・沸点があること| | 一定の沸点にはならないことを見つけだすこ| を説明できる。 | | とができる。 |・混合物では一定の沸点にならないことを説明| |・沸点の違いを利用して、混合物をそれぞれの| できる。 | | 成分に分けることができる。 |・蒸留の定義がいえ、具体例をあげて説明でき| | | る。 | | |・純粋な物質と混合物の定義がいえ、具体例を| | | 上げて説明できる。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |・温度変化を熱の移動と考えられる。 | | |・熱と温度の違いを理解する。 |・熱と温度の違いがいえる。 | |・質量の違う水を加熱したときの実験結果から| | | 水が一定量の場合には、水の加熱時間と上昇|・水がもらったり、受け取ったりする熱量は水| | 温度には比例関係があることに気づく。 | の質量と温度変化の積であらわされることが| | | いえる。 | |・異なった質量の水を同じ時間加熱したとき | | | (水の質量)×(水の上昇温度)の値は一定|・同じ加熱時間で比べてみると、水の質量が | | であることに気づく。 | 2倍になれば、上昇温度が1/2になり、3| | | 倍のなれば、上昇温度が1/3になることが| | | いえる。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 3 本時の指導  1 題材名 エタノ−ルと水の混合物を加熱したときの温度変化を調べよう。  2 目 標 ・物質を加熱したときの時間ごとの温度変化を正しく記録し、グラフ化することがで         きるようにする。        ・沸騰している状態が指摘でき、水の沸騰との違い、エタノ−ルの沸騰との違いがわ         かるようにする。        ・実験結果から、混合物の沸騰する温度は、一定の温度を保たないことにきづか    3 授業の構想     水の沸点、エタノ−ルの沸点については前時までに終わっているので、そのことから、2つ    の物質の混合物の場合にはどうなるかの予想をたてさせる。     水とエタノールの混合物の割合を3種類準備し、その中から2種類を選び、割合が違った    場合についても考えさせる。     混合物の沸点は、沸騰しはじめてから全部の液体が気体になるまでの経過が一定ではなく決    まった沸点をもたない。このことから、純粋な物質と区別することができるということをつか    ませたい。  4 展開案 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 生 徒 の 活 動 |時間| 留 意 点 (※評価) | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |1 復習 | | | | 水の沸点、エタノ−ルの沸点について確| 5|一斉指導で確認する。 | | 認する。 | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | エタノ−ルと水の混合物を加熱したときの温度変化を調べよう | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |2 学習課題について、自分の予想をたて発表 | | する。理由についても発表できるようであ|10|全体で挙手させてみる。理由については| | ればあわせて発表する。 | |数人に発表させる。(※) | | | | | |3 実験に取り組む。 | |班毎に取り組む。 | | ・実験装置を組み立てる。 |25|係分担をきちんとさせるようにする。 | | ・混合物を加熱する。 | | | | ・30秒ごとに温度計の示度を読み記録す| |2種類の混合物について同じように測定| | る。 | |する。 | | ・測定値をグラフ化する。 | | | | ・グラフ化から混合物の沸騰する温度は、| |交代しながら取り組むようにさせる。 | | 一定温度を保たないことに気づかせる。| |結果の記入・グラフ化をしっかりさせる| | | | (※)| | ・予想と比較させる。 | |最初の予想に対してどうであったかを考| | | |える。(※) | |4 まとめと評価 |10| | | | |まとめと自己評価を記入させる。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+