印刷用紙:B4縦 1ページの行数:77 1行の文字数(半角で):126   −−以下 指導案本文−−   理 科 学 習 指 導 案                                     日 時:平成8年10月23日(水) 1校時 場 所:第一理科室 学 級:2年B組(男子14名、女子15名、計29名) 授業者:教 諭   大 森 厚 志 1 単元名  電流のはたらき 2 単元について   小学校では、乾電池を電源としての豆電球の点灯や、つなぎ方による豆電球の明るさ・モーターの回り方の違い、電磁石などによって 電流が流れている事象を定性的にとらえさせて、興味・関心を持たせながら学習を進めてきている。さらに、中学校では、知的好奇心を 高めることによって一層の興味・関心を引き出したい。そこで、中学校の学習においては、定性的な扱いから定量的な扱いに移行させな がら、電流回路、回路におけるオームの法則、回路における電流・電圧の規則性、電流の発熱作用、磁気作用、さらに電流と電子の流れ と、授業を展開していきたい。  授業を行う2年B組は、全体的に静かで、観察・実験にしっとりと取り組むことができる。男女ともに発言はあまり多くはないが、し っかりした考えを持っている生徒が多い。反面、静かすぎて積極性に欠けるという点もあるが、人の話をよく聞き、理解も良い。  本単元について生徒の多くは、実験が多く楽しいと興味・関心を示す反面、学習内容については難しい、わからないという反応が多く 見られる。そこで、電流の学習に意欲的に取り組み、学習内容を定着させるために、生徒が実験に興味を持つことを手がかりとして、生 徒が主体的に学習に取り組めるようにしたい。特に、実験においては、回路の組み立てや電流計・電圧計の取り扱いに充分時間を割き、 生徒が器具の取り扱いに自信を持てるようにした上で、思考力・判断力を重視して実験計画を立てさせ、探求的に学習を進めることがで きるようにすることによって選択能力を育てていきたい。 3 単元の目標  <関心・意欲・態度>    電流や磁界のはたらきに対して興味・関心を持ち、自ら進んで観察・実験を行い、その基礎的概念や規則性を調べようとするととも   に、電流や磁界に関する事象を、日常生活と関連づけて調べようとする。 <科学的な思考>    観察や実験などから得た結果から、電流や磁界に関する事象について科学的に考え、その基礎的概念や規則性を見いだすことができ   る。  <観察・実験の技能・表現>    回路の作り方や電流計・電圧計の使い方などの基礎的な操作を習得するとともに、実験の計画・実験の実施・結果の記録・グラフ化   ・処理など、事象を科学的に調べる方法を学び、それらを通して事象の基礎的概念や規則性を見いだすことができる。また、観察・実   験から得られた事実や測定したデータをもとに、思考力・判断力に富んだ創意ある観察・実験報告書を作成したり、それらをまとめて   発表することができる。 <知識・理解>    観察・実験を通して、電流や磁界に関するさまざまな事象の基礎的概念や規則性を説明でき、その量的関係を式などを用いて説明で   きる。 4 指導計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25時間  (1) 電流はどうして流れるか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4時間  (2) 電流と電圧にはどんな関係があるか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3時間  (3) 回路によって電流や電圧はどのように違うか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4時間  (4) 電流による発熱量は何に関係するか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3時間(本時2時間目)  (5) モーターはなぜ回るか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5時間 (6) 交流と直流はどのように違うか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間  (7) 電流は空間を流れるか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間  (8) 金属中を流れる電流の正体は何か ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間  (9) 発展研究・問 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間   5 本時の指導  (1) 観点別目標  <関心・意欲・態度>    電流と発熱量の関係に関心を持ち、進んで調べようとする。  <科学的な思考>    実験から、発熱量は電流の強さ、電圧の大きさによって比例することを見いだすことができる。  <観察・実験の技能・表現>    電流による発熱量を調べる実験を行い、結果をまとめることができる。  <知識・理解>    発熱量は電流の強さ、電圧に比例することを説明できる。  (2) 思考力・判断力・表現力を高めるために    思考力・判断力・表現力を高めるために、理科においては実験に焦点を当てて取り組んでいる。具体的には、可能な限り実験の前に   各班ごとに必ず実験計画書を書かせ、実験を行わせている。実験によっては、今までの学習の応用から、自分たちで計画できるもの、   教師主導で説明しなければならないもの、それらが混じり合ったものがあるが、本時の場合は複合型に属している。特に、電流一定の   直列回路・電圧一定の並列回路を用いて計画・実験ができるので、生徒たちが自分で持った、または、確かめたかった疑問を、自分自   身の手で解決できる場を設定することができる。また、考えた予想と違った場合、その理由を考えさせることにより、思考力・判断力   を高めさせていきたい。 (3) 展開について    本校では授業1時間の展開を、導入(課題把握)→展開(課題追求・課題解決)→終結(まとめ)ととらえている。本時においても   下記のように一応はその形式で展開案を作成してあるが、この項は一連の学習活動(導入→展開→終結)を3時間で扱い、展開するこ   とによって、生徒に思考力・判断力・表現力を育成できると考えて、計画している。その計画の中で、本時は展開の課題解決の場にあ   たっている。  3時間の展開は次の通りである。      1時間目・・・・・・鉛筆の芯の発熱の演示実験の後、ドライヤーの温風調節により学習課題を設定し、その課題追求のため実験を各班           ごとに計画する。<導入(課題把握) → 展開(課題追求)>     2時間目・・・・・・本 時  <展開(課題解決)>     3時間目・・・・・・実験結果のまとめから、発熱量と電力との関係を明らかにし、それに伴う公式を理解させ、計算練習を行う。   <終結(まとめ)>  (4) 展 開 ★・・・思考力  ●・・・判断力  ■・・・表現力 を主として育成したい場面 +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |段 階| 学 習 内 容 と 生 徒 の 活 動 | 教 師 の 働 き か け 備 考 +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | | |1 学習内容を把握する | |導| | +−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | |課| 学習課題 | |入|題| | 発熱量は何に関係するか | | 把 +−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |5|握|2 実験計画を発表し合う。 ・ 全部の班には行わず、前時に立てた計画書 ・実験計画書の拡大コピーを用 |分| | 班ごとに発表者を決めておき、発表する。 | から、いくつかのグループに分け、発表会を 意する。 | | | | 行う。 +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | | |3 実験を行う。 ■ 電熱線A | | | (1) 班ごとに電熱線の長さか太さの一方を選|・ 電流・電圧の一定値は、教師が提示する。 Aと太さが同じで長い電熱線 | 課 | び、それを電圧が一定と電流が一定のそれ ・ 各班ごとに係分担を決めて行う。 Bと、Aと長さが同じで太い | | | ぞれの回路で測定を行う。 |・ 回路の配線は班員で協力してすみやかに行 電熱線Cを用意する。 | 題 | 実験と並行して結果をグラフ化させる。 | えるよう援助する。 実験用具は自分たちで用意す | | | |・ グラフ化の際には充分考える。 る。 | 追 | | | | | | | 求 | (2) 班ごとに予想と合わせて、実験結果を発 ■  |展| | 表しあう。 |・ グラフを用いて説明を行う。 オーバーヘッドを用意する。 | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | | |4 実験の考察を行う。 ★ ● ■ |開|課| (1) 予想と合わなかった理由を考える。 ・ 電流計、電圧計の数値から理由を考える。 | | | ・ 電流一定の時の細い電熱線の発熱量が | 時間があれば、具体的数字をオームの法則に | 題 | 多い→細い電熱線の方が電圧が大きい。 | 代入しての数値から理由を考える。  | | | ・ 電圧一定の時の短い電熱線の発熱量が | | 解 | 多い→短い電熱線の方が電流が強い。 |・ 電流、電圧と発熱量の関係を紙板書でまと 紙板書を用意する。 |40| | | める。 |分|決| (2) 電流・電圧と発熱量の関係を考える。 | | | | ・ (1)の結果から、電流・電圧と発熱量は | | | | 比例することをつきとめる。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | | |5 まとめ | | ま | (1) 実験結果についてまとめを行う。 |・ できれば生徒の発表でまとめを行う。 |終| | ・ 発熱量は、電圧が一定の時、電流の強| | |と| さに比例する。 | |結| | ・ 発熱量は、電流の強さが一定の時、電| | め | 圧に比例する。 | |5| | | |分| | (2) 次時の予告を聞く。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 6 単元の指導計画と目標分析表 +−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−− |節| 項 時間 関 心・意 欲・態 度 科 学 的 な 思 考 実験・観察の技能・表現 知 識・理 解 +−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−− | 1 電流はどうして | |・ 自ら進んで電流回路|・ 実験を通して、豆電|・ 電流計・電圧計を回 ・ 実験の結果から、豆 | | 流れるか。 |4| について調べようとす| 球の明るさと、電流の| 路中に正しく接続し、 電球の明るさと回路の |回| | | る。 | 強さとの関係を説明す | それぞれの値を正しく 関係を説明できる。 | | | | | ることができる。 | 読みとることができる | +−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−− |路| | |・ 電流と電圧の関係に|・ 実験を通して、電圧|・ 電流と電圧の関係を ・ 電気抵抗の意味を理 | | | | 興味を持ち、進んで調 | の変化による電流の変 | 調べる実験を行うこと 解でき、単位を付けて | | | | べようとする。 | 化が、比例関係にある| ができる。 大きさを表すことがで |を| | | | ことを導くことができ | きる。 | 2 電圧と電流には | | | る。 | | | どんな関係がある 3 | | | ・ オームの法則につい |流| か。 | | | | て、式や言葉で説明で | | | | | | きる。 | | | | | | |れ| | | | | ・ 抵抗は、物質によっ | | | | | | てその大きさが違うこ | | | | | | とをいえる。 |る+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−− | | | ・ 直列・並列回路の各 ・ 直列・並列回路の各 ・ 直列・並列回路の各 ・ 実験の結果から、直 | | | | 点の電流の強さや、各 | 点の電流の強さや電圧 | 点の電流の強さや各部 列・並列回路の各点の |電| | | 部分の電圧の大きさに| の大きさについて予想| 分の電圧の大きさにつ 電流の強さや、各部分 | 3 回路によって、 | | ついて関心を持ち、調| できる。 | いての実験を行い、結 の電圧についてまとめ | | 電流や電圧はどの 4 | べようとする。 | | 果を表にまとめること ることができる。 |流| ように違うか。 | | | | ができる。 | | | | | | ・ 電流・電圧・抵抗に | | | | | | ついて説明を聞き、理 | | | | | | 解できる。 +−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−− | | | ・ 電流と発熱量の関係 ・ 実験から電流による ・ 電流による発熱量を ・ 発熱量が時間・電流 | 1 電流による発熱 | | に関心を持ち、進んで| 発熱量は、電流を流す| 調べる実験を行い、結 電圧の積に比例するこ | | 量は、何に関係す 3 | 調べようとする。 | 時間・電流の強さ・電| 果をまとめることがで とを説明でき、式に表 | | るか。 | | | 圧の大きさに比例する| きる。 すことができる。 | | | | | ことを見いだすことが| |電| | | | できる。 | | +−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−− | | | ・ 電流と磁界について ・ 実験から、磁界の中 ・ 電流と磁界に関する ・ 磁界とその強さ、向 |流| | | 関心を持ち、進んで調| にあるコイルに電流を| 実験を行い、結果をま きについて説明でき、 | | | | べようとする。 | 流すと、コイルに力が| とめることができる。 磁界の様子を磁力線で | | | | | 働くことを見いだすこ| 表すことができる。 |の| | | | とができる。 | | | | | | | ・ 電流の流れる導線の | | | | |・ 磁界の向き、電流の| 回りやコイルの回りに |は|2 モーターはなぜ|5| | 流れる向き、コイルに | 磁界が生じることを知 | | 回るか。 | | | 働く力の向きの間に規| り、そのときにできる | | | | | 則性があることを見い| 磁界の向きとの関係を |た| | | | だすことができる。 | 説明できる。 | | | | | | | | | | |・ 実験から、コイルに| ・ モーターの回る仕組 |ら| | | | 磁石を出入りすること| みを説明できる。 | | | | | で、コイルに電流が流| | | | | | れることを見いだすこ| ・ 発電器の原理を説明 |き| | | | とができる。 | できる。 | +−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−− | | | ・ 交流と直流について ・ 実験から、交流と直 ・ 交流と直流について ・ 交流と直流について | 3 交流と直流はど | | 関心を持ち、進んで調| 流の違いを説明できる| の実験を行うことがで 説明できる。 | | のように違うか。 2 | べようとする。 | | きる。 | | | | | | | | | | | | +−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−− |電| | |・ 電流が空間を流れる|・ 実験から、陰極線が| ・ 放電現象を説明でき |流|1 電流は空間を流| | ことに関心を持つ 。 | 負の電荷を持っている| 陰極線が電子の流れで |は| れるか。 1 | | ことを見いだすことが| あるといえる。 |空| | | | できる。 | |間| | | | | |を+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−− |流| | |・ 電流と電子について| | ・ 電流が電子の流れで |れ|2 金属中を流れる| | 興味を持ち、進んで調 | | あること、電流の流れ |る| 電流の正体は何か|1| べようとする。 | | る向きは電子の流れる |か| | | | | 向きと逆であることが | | | | | | 説明できる。 +−+−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−− | 反 転 研 究 ・ 問 題 2 | | | +−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−