中学校 第2学年 理科学習活動案

授業者 宮古市立第一中学校 教諭 佐久山 明彦

日時 平成9年9月30日から10月16日      場所 2年A組教室、生物室、図書室 

1 単元名

  2分野下 「天気とその変化」 

2 単元設定の位置づけ

(1) 教材観

   この単元は、私たちに身近な天気や気象現象について、小学校での学習をさらに発展させ、天気の変化の規則性、霧や雲の発生、前線による天気変化、天気の予測、日本の天気の特徴について学習する。

   普段の天気への関心に加え、「地球温暖化防止京都会議」の開催によって、気象に対する関心はますます高まって来た。しかし気象現象は、その要因となる現象が物理法則に忠実にしたがっていても、複雑に関連し合っているため理解が難しい。

   そこで、観察やモデル実験をとおして主たる気象要素の理解を深め、人間を含めた生物の生存を支える自然のとらえ方や事物・現象を大きな時間的・空間的場でとらえる見方・考え方を養う。

(2) 生徒観

   生徒は日常の天気や地球温暖化には興味をもっているが、気象現象を科学的に考えたり観察したりする経験は少ない。特に飽和水蒸気量や湿度の計算には興味・関心を示さず、苦手意識をもっている。

   生徒の興味・関心を高めるには、理論ではなく実際の気象現象にふれたり、身近な現象をあつかうことが必要であり、「なぜ」という問題(疑問)を自分自身で解決するなかで、学習することの喜びや充実感を得ることができると思われる。

(3) 学習観

   この単元は、観察の対象や実験教材に苦労することが多く、知識・理解に重点が置かれ観察・実験が省略される傾向にある。しかし、大切なことは、自然の事物・現象に直接ふれる体験なのであるから、教師が工夫することによって観察・実験を省略せず、むしろ増やしていくくらいの気持ちで臨みたい。また、自分で見つけた問題を自力解決する活動を取り入れ、それに取り組ませる中で一人一人の生徒に対応し、理解の個人差を少しでも少なくするよう努力したい。

 

3 単元の目標

(1) 自然に対する関心・意欲・態度の目標

   気象と日常の生活、環境、防災との関連に関心をもち、観察・実験を通して探求する意欲を高めながら、天気の変化や気象現象を科学的に考える態度を養う。

(2) 科学的思考の目標

   観察・実験をとおして、天気の変化の規則性や大気中の水蒸気の様子、雲の発生のしくみなどについて、その原因や条件を考察することができる。また、日本の四季の天気の特徴を気団と関連づけて説明することができる。

(3) 観察・実験の技能・表現の目標

   観測の方法や機器のとり扱い方を習得し、気象現象を科学的に調べる方法を身につける。また、モデル実験や天気図と気象衛星画像の分析などをとおして、観察・実験の企画や観察・実験を行う能力を高め、それらの結果を記録してまとめ、発表することができる。

(4) 自然現象についての知識・理解の目標

   観察・実験の結果をもとに、大気の流れ、大気中の水蒸気の変化、大気圧、霧や雲の様子や発生のしくみなどを理解する。また、天気、気温、風、気圧、湿度に関する知識をもとに天気図の記入や読みとりを行い、日本の天気の特徴を気団と関連づけて説明できる。

 

4 指導計画(21時間)

1章 天気の変化 10時間
2章 日本の天気 1 天気の予測はなぜ必要か 0.5時間
    2 天気図からなにがわかるか 1.5時間
    3 日本の天気にはどんな特徴があるか 2時間
    補充・発展 1 課題解決学習 1.5時間 本時
            2 問題解決活動  3.5時間 本時
            3 活動の発表 1時間 本時
    まとめ、問題練習 1時間
合計  21時間

                                     

5 本時の学習

(1) 本時の目標

   気象現象に興味をもち、自ら既習内容や発展内容に関する問題を発見して、その問題を科学的な手法を用いて解決することができる。

(2) 本時の学習活動と教師の支援活動

    第1時(活動の説明と課題の提示)

  学 習 内 容     生 徒 の 活 動 支援内容等の留意点

1 気象現象への関心を高める。(ドライアイスを使った班ごとのモデル実験)
2 問題を考える



3 課題の設定

1 ドライアイスを使った演示実験を見て、気象現象に近いことがモデル実験でも可能であることを知る

2 この章で疑問に思ったこと、もっと調べてみたいことがないか考え、問題解決のてびきに記入する

3 6時間の学習の目標を確認する

1.1 演示実験は、生徒の関心をひくため、はでなものにする

2.1この段階では書けなくても構わない
2.2 てびきの下にある評価欄に自己評価を記入
 
  自分で問題を見つけ、それを解決し、級友に教えることができるようになろう。

4 問題の見つけ方
5 課題
   宮古では冬期間に二三度大雪が降るがその時盛岡ではそれほど降っていない。
 どんな時に宮古が大雪になるのだろうか
6 次時の予告

 

4 問題の見つけ方の説明を聞く
5 課題の内容を知る






6次の時間はやり方を学ぶことを確認する
 

4.1 てびきを使用
5.1 TP「沿岸地方の雪害」を使用し、問題意識を持たせる
5.2 TP「宮古・盛岡降雪の深さ95」を使用する
.3 過去の大雪の記憶を聞く


 

























 

    第2時(課題解決学習と問題の発見)

  学 習 内 容     生 徒 の 活 動  支援内容等の留意点

1 前時の確認
2 予想



3 検証方法の検討

4 予想の検証









5 発表
6 課題のまとめ
  南岸低気圧について
7 自分の問題の発見







 

1 課題の内容を思い出す
2 班ごとに予想を考え、てびきに記入し、班ごとに発表する


3 班ごとに予想を確かめるためにどんな資料が必要か話し合う
4必要な資料を先生からもらい、予想が当たっているか班で話し合う
  予想がはずれていそうな時は、修する






5 班ごとに話し合ったことを発表す
6 南岸低気圧についての説明を聞く

7 自分自身で解らないことや調べて見たいことを考え、てびきに記入する






 


2.1 生活班を使用する
2.2 自己評価を記入
2.3 予想を書けない生徒のために考え方を話す
3.1 自己評価を記入

4.1 資料として次のものを班の数だけ準備する
   天気図、 ひまわりの画像、降雪分布図、高層天気図、宮古・盛岡、平均気温、最高最低温度、宮古・盛岡最多風向、宮古・盛岡気圧変化、平均相対湿度


4.2 自己評価を記入
5.1受容的態度で接する
6.1  TP、プリントを準備する
7.1てびきを参考にさせる
7.2 時間内に終わらない者については次時の前日までの課題とし、いつでも相談にのることを付け加える
7.3 自己評価を記入

 































 

    第3時(問題解活動 問題に対する予想と検証計画)  

  学 習 内 容     生 徒 の 活 動  支援内容等の留意点

1活動グループの発表





2 活動手順の説明
3 予想
(可能なら図書室に移
 動)

4 検証方法の検討



5 予備調査
 (時間がある場合)

6 次時の予告


 

1 自分のグループのメンバーを知る





2 活動手順を確認する
3 グループ又は個人で自分の問題に対 する予想を考え、てびきに記入する


4 ガイドを参考にしながら、予想の検証方法を考え、てびきに記入する
  準備して欲しい物品に関しては別に記入して先生に提出する
5 教科書や図書を使って自分が取り組む問題に関する自分の知識を確認する

6 次時は、グループ又は個人で活動することを確認する

 

1.1 当日までに問題別のグループ分けを完了しておく
1.2 個人で活動する生徒には不安を与えないよう声をかける
2.1 ガイドを配布
3.1 机間巡視(TT)
.2 予想を見て歩きながらアドバイスを与える
3.3 自己評価を記入
4.1 机間巡視(TT)
4.2 終わらない者については、次時の前日までの課題とする
4.3 解らない場合は相談に来ることを勧める
4.4 自己評価を記入
6.1 実験・観察は、物理室、調査活動は、図書室と指定する
 
























 

    第4時(問題解決活動 検証活動 調査または実験)

  学 習 内 容      生 徒 の 活 動  支援内容等の留意点

1今日の活動内容の確認



2 予想の検証









3 まとめ




 

1 今日の活動内容をグループ又は個人で確認する



2 予想の検証を前時に確認した方法で行う
  (物理室)    (図書室)
・実験・観察準備  ・資料を探す
・実験・観察    ・読んでまとめる
・妥当性の検討   ・新たな疑問点の
・修正、再実験    認と再調査
・次時の計画    ・次時の計画


3 解ったことを発表できるようにまとめる
  解りやすい発表にするための工夫を行う

 

.1 TTを行う。T1は 物理室、T2は図書室で生徒の支援にあたる
.2 教師間の打ち合わせをしっかり行っておく
2.1 支援は行うが「こうしなさい」とは言わない
2.2 早く終わった者については次の順序で活動を続けさせる
@発表の工夫
A新たな問題の発見と解決
2.3 自己評価を記入
3.1 グループの場合は
 割分担を行わせる
3.2 グループごとの発
 時間を伝えておく
3.3 自己評価を記入


 























 

    第5時 第4時に同じ。

     第6時(終末)

  学 習 内 容      生 徒 の 活 動  支援内容等の留意点

1 発表会





2 活動のまとめ
  各発表の関連の説明


3 評価
 

1 自分たちが調べたことを発表する
  他の発表を聞く




2 説明を聞く
  解らないことを質問する


3 新たな問題と解決方法、感想を書く
 

.1 順番はだいたい教科
 書の内容順とする
.2 てびきを使い、他の
 発表を評価させる
.3 教師は受容的態度に
 徹すること
.1 説明のための紙板書
 を準備しておく
.2 質問に対しては、極
 力生徒に答えさせる
.1 生徒の活動を誉める
 














(3)

評価

  @ 科学的な手法を用いて問題を解決することができるようになったか。

  A 活動をとおして新たな問題を見つけだすことができるようになったか