印刷用紙:B4縦 1ページの行数: 58行 1行の文字数(半角で):116  数   学   科   学   習   指   導   案                                     日時    平成6年9月22日(木)5校時                                    指導学級  1年2組(男20名女18名計38名)                                    授業者   阿  部   浩 1 単元名  方程式 2 単元の目標 (1) 関心・意欲・態度について   てんびんなどにより,方程式の解き方が導き出せることに興味をもち,方程式が条件を表す式であることをとらえ,移項を  用いることで方程式を解くことができることや,形式的操作であることに関心を 示すことができるように,自発的な学習の  場として「問題づくり」を設定する。また,日常の事象から方程式を見つけ出し,方程式を作り解こうとしたり,問題解決場  面でも方程式を活用しようとする態度を養うことができる。 (2) 数学的な考え方  方程式の解き方の原理に等式の性質があり,方程式の解法に活用でき,等式の性質は固有の性質があることを考察でき,また 移項と等式の性質が同じであることも考察できる。かっこをはずす場合,分配法則を用いることや小数・分数を係数に含む場合 一定の手順で係数を整数にすることで解法が簡潔になることを,問題づくりを通して考察することができる。 (3) 表現,処理  等式で用いられる用語や移項の意味などの学習後,定着されていないこともあるため,移項が等式の 性質をもとにした形式 的操作であることや,かっこをはずしまとめることなどを,単なるアルゴリズム として定着させるのではなく,自発的に問題 を作る中から見つけ出し,課題で与えられている数量を図 や表に表し,文章から等しい関係を見つけ出し,方程式として表す ことができるようにする。 (4) 知識・理解  方程式が条件を表した式であり,方程式の文字は条件を満たすかわりをしていることがわかる。また,方程式の性質を利用  して,係数が小数・分数のときは10の累乗や分母の最小公倍数をかけることで,条件を満たす文字の値がわかる。問題づく  りにおいては,さらに発展して問題を方程式に表すことで,文章題の構造を理解できる。 3 単元設定の理由について (1) 単元について(基礎的・基本的事項)   小学校5年では,文字a,xを用いて数量の間に成り立つ関係を式に表すことを指導されてきている しかし,文字を含ん  だ等式についての学習は,中学1年に行なわれる。そのことを踏まえて方程式は,文字がある特別な値をとったときだけに成  り立つ等式で,この等式が文字をとる値に条件をつけている等式の解の意味を理解させるため代入によって確かめる必要を理  解させさらに等式の性質を用いることで方程式の解を求めることへ結びつけたい。また,等式の性質で「両辺に同数を加えて  も引いても等式が成り立つ」から,移項に結びつける。同様に逆算によらず,xの係数を1にするには,両辺をどうすればよ  いかという考え方で,「両辺に同じ 数をかけても,割っても等式が成り立つ」ことを定着させたい。   一元一次方程式の一般的な解法として,移項と同類項をまとめることでaχ=bの形に方程式をまとめられ,等式の性質か  ら,解を求めることができることを導き定着させたい。やや複雑な方程式でも分母をはらい,かっこをはずし,移項,同類項  をまとめてax=bの形になることに気づかせ,等式の性質で解決できることを導きたい。 (2) 生徒について   実態調査から,数学自体に対する抵抗感を示す生徒は少ないが,文章題で問題の意味が分からなくなるなど,文章題が不得  意であるという生徒が75.0%(22名)と多い。しかし,線分図や表を用いて問題を解決することが良いという生徒が88.9%  (32名)を占めている。日常事象や買い物などの計算を線分図・上皿てんびんのモデルや表を使って,文章を視覚に訴えるこ  とでイメージ化を図り,導くことが生徒にとって納得しやすいと思われる。「オープンエンドの問題づくり」によって,課題  を解決する授業を経験してきた生徒が,11.1%( 4名)と少ないが,この生徒の,「問題づくり」に対する感想に「問題をつ  くることで,どういう所が弱いかわかる」など,女子の中に主体的に取り組もうとする姿勢が感じられる。 (3) 学習にあたって  問題づくりに際して,課題把握が不十分なため,課題の解決でつまずく生徒が考えられる。単元前半で,課題を構造的に把  握させるため,図や表を活用する。さらに,机間指導において,一人一人の解の解決状況を把握し,支援する。次に,「問題  づくりの場面」において一人一人の自由な発想で主体的に問題を作ることが大切であるが,問題を考えられない生徒には,ヒ  ントカードにより,ある程度の条件や要素を示唆し問題を作ることができた成就感を味わわせたい。 4 教材の関連と発展について  てんびんの釣り合いを用いて,帰納的に等式の性質を導き出し,さらに導かれた等式の性質を使って方程式を解くという演繹 的方法により,基礎的・基本的事項の定着を図り,応用問題において課題を解決するとともに,類題を自ら主体的に作り,解決 し,比較することで課題の解決方法の一般化を図りたい。 5 単元の学習計画   (1) 等式の意味と方程式の解の意味                1時間 (2) 等式の性質の理解                       2時間   (3) 等式の性質を利用して,方程式の解を求める。          2時間   (4) 移項の意味を理解し,方程式の解を求める。           2時間   (5) かっこを含む方程式の解を求める。               1時間   (6) 小数係数の方程式について特徴をとらえる。           1時間   (7) 分数係数の方程式について特徴をとらえる。           1時間   (8) 方程式を使って,文章題の問題を解くと共に,      問題づくりを実践し,課題と類題から一般化を図る。      3時間(本時3/3) (9) 練習問題とまとめ。                     1時間 6 本時の目標  関心・意欲・態度   問題解決に必要な方程式を作る手順や表の作成に関心をもつ。   数学的な考え方   速さ・時間・距離に関する問題で数量関係を把握し,同構造の問題を見いだし一般化できる。 表現,処理   問題の意味に従った方程式を作ることができる。   知識,理解   距離に関して方程式を用いて問題解決する手順がわかる。 7 本時の指導過程(第13時間) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+  |学習| 学習活動と主発問 |  予想される生徒の反応   |時|支援および手立て|培いたい| |過程|         |               |間|        |力   | +−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−+−−−−| |  |前時の復習本時の予告|新幹線と在来線で,新幹線が在来| |        |    | |導 |課課題を読み,求答事|線の列車を追い抜く話しからイメ|3|        |    | | 課|項を見つけさせる。 |ージする。          | |指名し板書する。|イメージ| |  +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+|        |する力 | |  |弟が家を出てから4分後に,兄は家を出て弟を追いかけまし||速度を苦手として|    | |  |た,弟は毎分50m,兄は毎分70mの早さで歩くとすると|−いる生徒のため具+−−−−| |入 |兄は家を出て何分後に弟に追いつきますか。       ||体的な事象から導|    | |  +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+|入する。    |    | | 題|求答事項を把握する。|兄が弟に追いつくのは何分後です|3|兄が弟より歩く速|イメージ|  |  |          |か。             | |さが速いことから|する力 | |  |○求めるものは何です|x分後に兄が弟に追いつくとする| |追いつくことを,|    |  |  | か。       |               | |図を使って説明す|    |  |  |課題を読み構成要素を|弟が先に家を出た。      | |る。      |    |  |  |抽出する。     |4分後に兄が弟を追いかけた  | |        |    |  |  |○分っていることは何|兄は毎分70mで弟は毎分50m| |線分図でも解ける|    |  | 把|ですか。      |兄は毎分70mで弟は毎分50m| |が,両者とも動い|    |  |  |○どちらが速いのです|の速さで歩いているから,兄が追| |ているため表を用|イメージ|  |  |か。        |いつくことに気づく。     | |た解き方が良いこ|する力 |  |  |関係を予想する。  |+−−−−−−−−−−−−−+| |とを説明する。 |    |  |  |○表にあらわそう。 || |速さ|時 間|道のり |15|        |    |  |  |          ||−|−−|−−−|−−−−|| |        |見通す力|  |  |          ||弟|50|x+4|50(x+4)|| |        |    |  |  |          ||−|−−|−−−|−−−−|| |        |    |  | 握|          ||兄|70| x |70x || |        |    |  |  |          |+−−−−−−−−−−−−−+| |        |    |  +−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |  |方程式を立てる。  |               | |歩く道のりが同じ|見抜く力| | 課|○表から方程式を立て|70x=50(x+4)    | |であることを見抜|    | | 題|よう。       |               | |く。      |    | |  |方程式を解こう。  |70x=50x+200    | | | | | | | |3|かっこをはずして|    | | 把|○かっこをはずし方程|  20x=200      | |解く問題であるこ|    | | 握|式を解こう。    |    x=10       | |とに気づく。  |    | |  |          |x=10より10分後に追いつく| |        |    | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+  +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+  |学習| 学習活動と主発問 |  予想される生徒の反応   |時|支援および手立て|培いたい|  |過程|          |               |間|        |力   |  |−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−+−−−−|  |中ま|解の検討をする。  |70×10=50×(10+4)| |必ず解の検討を行|演繹化す|  |間と|          |     =700      |3|う。      |る力  |  | め|          |10分は正解と言える。    | |        |    |  |−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−+−−−−|  | 問|表された表から問題を|1,速さが異なり,追い抜く問題 | |速さの問題では,|    |  |  |作る。       |+−−−−−−−−−−−−−+| |旅人算的な問題も|    |  |  |○表された表で速さ・||速 さ|時 間| 道のり || |あることを紹介し|    |  | 題| 時間から道のりを求||−−−+−−−+−−−−−|| |ながら,あまり複|見通す力|  |  | める問題を作ろう。||50m|x+5| 50(x+5) ||7|雑な問題にしない|    |  |  |          ||−−−+−−−+−−−−−|| |        |    |  |  |          ||40m| x | 40x || |        |    |  |展 |○表された表で速さと|+−−−−−−−−−−−−−+| |よう留意する。 |    |  |  |道のりから時間を求め|2,池を1周した問題      |−|速さ・時間,速さ+−−−−|  |  |る問題を作ろう。  |+−−−−−−−−−−−−−+| |・道のり,時間・|    |  | づ|          || 速 さ |時 間|道のり|| |道のりと組み合わ|    |  |  |          ||−−−−−+−−−+−−−|| |せが3種類考えら|    |  |  |          ||     | χ |   || |れるが,本時にお|見通す力|  | く|          ||1周70m| − | χ || |いては,2種類の|    |  |  |          ||     | 70 |   || |組み合わせについ|    |  |  |          ||−−−−−+−−−+−−−|| |て考え,支援する|    |  | り|          ||     |χ  |   || |        |    |  |  |          ||1周50m|−−10| χ || |        |    |  |  |          ||     |50  |   ||9|問題づくりを行う|    |  |  |          |+−−−−−−−−−−−−−+| |道のりをχとした|    |  |  |          |1,毎分40mの速さで姉が家を出| |        |    |  |  |          | 発し5分後に妹が追い掛け姉が| |        |    |  |  |          | χ分歩いたところで追いついた| |        |    |  | 問|          |               | |生徒について,本|    |  | 題|          |2,ある池をA君は毎分70mの速| |時の課題と比較し|    |  | づ|          |さでχ分で周りB君は毎分50m| |て式の形が違うこ|    |  |開く|          |で周りA君より10分遅れた。 | |とに気づく。  |    |  | り|          |               | |        |    |  |  +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−+−−−−|  |  |          |               | |        |    |  | 分| 問題を解決する。 |1や2の問題について一人一人が | |1,2 の問題を作 |演繹化す|  | 類|          |作った問題を解き,解の検討をお| |った生徒を机間指|る力  |  | ・|          |こなう。           |7|導でチェックし,|    |  | 整+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+カーボンシートと+−−−−|  | 理|○各自の作った問題を|               | |TPシートを配布|    |  |終 |解決し,解の検討もし|               | |する。     |    |  |  |よう。       |               | |        |    |  |  +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−+−−−−|  |末発|○問題の式や解法の仕|時間を求め,道のりで立式する場|5|指名して,共通し|演繹化す|  |  |方で共通している点を|合,積の形に,道のりを求め時間| |ている点と,相違|る力  |  | 表|見つけよう。    |で立式する場合,商の形となる。| |点を発表する。 |    |  +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+