印刷用紙:A4縦 1ページの行数:76 1行の文字数(半角で):106   −−以下 指導案本文−−   数 学 科 学 習 指 導 案 日 時 平成8年10月7日(月)5校時 学 級 1年1組(男子15名,女子18名)                           授 業 者 教諭 小 野 敏 宏 講師 藤 島 久仁江 1,単元名 方 程 式 2,単元について この章の内容は「正負の数」や「文字と式」の章と同様に生徒にとって中学校ではじめて系統的に学習する内 容である。小学校では第3学年で、数量を□などを用いて表したり、それにあてはまる数を調べたりすること、 第5学年では□,△などの代わりにaやxなどの文字を用いて数量関係を式に表すことを指導している。また、 方程式にあたる式については、□やxにあてはまる値を逆算によって求めることも指導している。しかしそれら は、求めた式を別の方法で表現することでその問題の構造を明確にしたり、逆算による求め方を整理してその仕 組みを理解させるためのものであり、文字の一般性や抽象性について扱っているものではなかった。 この章では、小学校との関連を十分にはかるとともに、中学校で学習した正負の数や文字と式との関連に配慮 して、新しい内容の「方程式」を扱うこととなる。そのため次の2つのことに留意する必要がある。第1に、方 程式を解くことを通して「等式の性質」を用いることを習熟させ、その有用性を理解させること。第2に、文章 題を通して方程式の有用性を知らせ、方程式を用いることができるようにすることである。 この章の内容は2年生の不等式と連立方程式、3年生の2次方程式へとつながるものである。従って、ここで 指導する方程式の内容は、単に解法技能としてだけとらえさせるのではなく数量間の相等関係を見つけ出してい く数学的な考え方と共に、日常生活の問題を解決する方法として方程式の考え方の有用性を知り、それを活用し ていこうとする態度を伸ばすための第1段階と考えている。そのため、ここで扱う文章題は基本的なものに重点 を置き、数量関係は問題の情景が視覚的にとらえられるものに限り、食塩水などの混合問題は理科での指導とも あわせて第2学年にまわしていきたい。 また、生徒の生活経験からあまりかけ離れているものや文章表現で数学特有の言い回しがあるもの、数学的解 釈の難解なものは避けて指導していきたい。 3,単元目標 1 数量の間の関係を等式に表し、等式の意味を理解する。 2 方程式の意味、その中の意味や解の意味について理解する。 3 等式の性質を理解する。 4 等式の性質や移項を用いての1次方程式の形式的な解法を理解し、その方法を習得する。 5 数量の間の関係を方程式に表す能力を養い、具体的な問題を解決できるようにする。 4,単元の指導計画 (13時間扱い) 1 方程式 −−−−−−−−−−−−3時間 2 1次方程式の解き方 −−−−−−−−−−−−4時間 3 1次方程式の応用 −−−−−−−−−−−−4時間(本時1/4) 4 基本問題・章の問題 −−−−−−−−−−−−2時間 5,生徒の実態 正負の数の内容では四則の1つ1つの計算はできるのだが、四則のいりまじった計算や累乗の計算になると、 理解できない生徒が数人いる。また文字と式の内容でも基礎的な計算はできるが、数量を文字を使って表現し たりすることを苦手とする生徒が数人いる。 特に、抽象的な内容の問題になると、かなりの生徒が難色を示すことがあり、ずば抜けた理解力を持つ生徒は 少なく中位の生徒が多いクラスである。 学級全体の雰囲気として、意思表示を明確にしないことが多く、一斉指導の授業での発言はごく少数の生徒に 限られている。 6,本時の指導の構想 方程式の良さを感じるのは、文章題で実際に問題にあった方程式を作り、それを解いて、答えが求められたと きである。もちろん方程式が万能ではなく問題によっては逆算の考え方や表を使ったほうが考えやすい場合もあ る。小学校で習った算数的な解き方を否定するものではなく、方程式を用いることで解法の仕方が1つ増えると いう見方を生徒に持たせるようにしていきたい。 また、方程式を用いる経験を積み重ねていくなかで、この方法は数量の間の関係をそのまま表せばよいので、 算数的に考えることよりも、考えやすいことにことに気づき、積極的に方程式を活用していこうとする態度を育 てていきたい。 方程式の利用の第1時間目として具体的な問題を通して方程式を利用することの良さを感じさせたいと思い、 生徒の身近に感じる「代金に関する問題」を導入課題とし、その発展として方程式を利用しないと解決困難な問 題を提示する。その解決方法を簡便さの視点で比較検討させることで、方程式を利用することの有用性に気づか せていきたい。本時の目標はあくまで文章問題を方程式を利用して解くことの良さに気づかせることにあるため 何をxにすればよいのか考えながら文章問題を読ませる等の細かな留意点については指導をしないことにする。 生徒自らが取り組む活動の場面は、後半の文章題を考える場面に設定した。班内で既習の方法を駆使して問題 解決に取り組む中で、互いの意見を比較検討し共感的人間関係を構築させ、自己決定させる段階に至らせたい。 7,本時の達成目標 1 いろいろな方法で文章題を解こうとする。 2 逆算による解き方と、方程式による解き方は、同じ計算をしていることに気がつく。 3 方程式を使った方法は逆算による方法よりも立式し易いことに気がつく。 8,本時の展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−+−−+−−−−−−−−−−−+ |段階 学 習 内 容 |目的|方法|形態 指導上の留意点 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−+−−+−−−−−−−−−−−+ |導|1,今日の学習内容を確認する。 | | |一斉 ・ 前時に予告した内容 | |入| | | | | | を想起させる。 | |5| | | | | | | |分|+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | +−++ 方程式を利用して文章題を解くことのよさを知ろう。+−+−−+−−+−−+−−−−−−−−−−−+ | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |・ 逆算による方法と方| | |2, みかんを15個買い、50円の箱につめてもらうと代金| | | | | 程式を利用する方法を| | | の合計が1250円でした。みかん1個の値段はいくらで| | | | | 考えさせる。 | | | しょうか。 | | | | |・ T1T2は机間指導を | | | 数式による解決 方程式による解決 | | | | |しながら生徒の考え方を| | | 1250−50=1200 | 15x+50=1250 | | | ↓ | 調べる。 | | | 1200÷15=80 | 15x=1250−50 | | |個人 ・ 生徒に発表させ、他 | | | より80円 | 15x=1200 | | | | | の生徒は説明を聞き自| | | | x=80 | | | | | 分の考えと比較する。| | | | より80円 | | | | | | | | | | | ↓ | | | |3, 解決の方法を比べて、気が付くことをまとめる。 | | |一斉 ・ 6の段階で確認する | | | ・ 1つは小学校で学習した方法で、もう1つは方程式を| | | | | ので深入りはしないよ| | | 利用した方法。 | | | | | うにする。 | | | ・ どちらも考え方は | | | | | | | | (みかんの代金)+(箱の代金)=1250 | | | | | | | | をもとにしている。 | | | | | | | | ・ どちらも同じ計算をしている。 | | | | | | | | | | | | | | | |4, どちらが便利で簡単な方法かを考えてみる。 | | | | |・ どちらの方法を考え| | | ・小学校で習ったやり方のほうが便利。 | | | | | やすいと感じているの| |展| ・どちらともいえない。 | | | | | かを挙手で確かめる。| | | ・方程式を使った方法が便利。 | | | | |・ T2はその結果を記録| | | | | | ↓ | する。 | | |5, 1個100円のりんごを何個か買い160円のかごにい|分析|読む|個人 ・ T1T2は机間指導をし| | | れてもらうと、その代金は1個120円のなしをりんごと|する| | | | ながら、考え方を調べ| | | 同じ数だけ買った代金に等しくなるという。りんごの買っ| | | | | る。 | |開| た個数を求めなさい。 | | | | |・ 早く解決できた生徒| | | | | | | | には別の方法がないか| | | @ 100x+160=120x |A 120-100=20 | | | | | を考えさせる。 | | | 100x−120x=−160 | 160÷20=8 | | | | |・ 解決の困難な生徒へ| | | −20x=−160 | より 8個 | | | | | は表を作って、具体的| | | x=8 | | | | | | に数値で調べていくよ| |40| より 8個 | | | | | | うに援助する。 | |分| | | | | |・ 状況に応じてT2 が| | | B 表を作って調べる | | | | | 解決困難な生徒を集め| | | +−−−−−−+−−+−−+−−+−−+−−−+ | | | ↓ | て支援する。 | | | |個数     | 1 | 2 | 3 | 4 ‥‥‥ | |比較|聞く|班 |・ ほぼ全員の生徒が各| | | +−−−−−−+−−+−−+−−+−−+−−−+ |する|話す| | | 自の考えを持ち、問題| | | |りんごとかご| 260| 360| 460| 560‥‥‥ | | | | | | 解決に向かうことがで| | | +−−−−−−+−−+−−+−−+−−+−−−+ | | | | | きるようになったとき| | | |なし    | 120| 240| 360| 480‥‥‥ | | | | | | 班ごとに机を合わせて| | | +−−−−−−+−−+−−+−−+−−+−−−+ | | | | | 互いの意見を交換させ| | | | | | | | る。 | | | | | | | | | | |6, それぞれの解決方法の説明を聞き、特徴やどの方法が簡|整理|討論| | |・ 班ごとに話し合い、| | | 単かを話し合う。 |する|する| | | 発表させる。 | | | | | | | | | | | ・@は方程式を利用した解き方で式が立てやすい。 | | | | |・ 他の班の発表を聞き| | | ・Aは考え方が難しい。 | | | | | 自分や自分たちの班の| | | ・Bはわかりやすいが時間がかかる。 | | | ↓ | 考えと比較させる。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−+−−+−−−−−−−−−−−+ |集|7,今日の学習のまとめをする。 | | |一斉 ・ 時間があれば方程式 |結| | | | | | と逆算の考え方ではど| | |8,次時の予告をする。 | | | | | ちらが考えやすいと思| |5| | | | ↓ | うのかを一斉に聞いて| |分|9,自己評価表の記入をする。 | | |個人 みる。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−+−−+−−−−−−−−−−−+ 9,評価の観点 1 いろいろな方法で文章題を解こうとしたか。 2 逆算による方法と方程式による方法とは同じ計算をしていることに気づいたか。 3 方程式を使った解き方は、逆算による解き方より立式し易いことに気づいたか。