第2学年 数学科学習指導案

期 間   平成10年9月7日(月)〜9月29日(火)
場 所   一戸町立一戸中学校
生 徒   第2学年(1学級)男18名、女15名、計33名
授業者   藤 澤  崇 (長期研修生)

1 単元名 1次関数(小単元−1次関数−)[東京書籍「新しい数学2」]

2 単元について

1 教材観

 本単元について、学習指導要領では、次のように述べられている。

1 目標 (3) 変化や対応についての見方や考え方を一層深め、一次関数の特徴を理解し、それを用いる能力を養う。
2 内容  C 数量関係
 (2) 関数関係についての理解を一層深めるとともに、一次関数の特徴について理解しそれを用いる能力を伸ばす。
   ア 事象の中には一次関数を用いてとらえられるものがあること。
   イ 一次関数のとる値の変化の割合とグラフの特徴
   ウ 二元一次方程式を二つの変数の関数関係を表すものとみること。
 これまでに、生徒は、文字を使って様々な量を表し、1次方程式、不等式、連立方程式などを用いて問題を解決する方法を学んできた。1次関数は、変域やグラフを用いて、それぞれの解の意味を扱う総合した内容になっている。また、関数指導でみれば、変数としての文字の役割、比例y=axの利用について、第1学年の「関数と比例」において学んでいる。第3学年からは、展開や因数分解、平方根、2次方程式、関数y=ax2、三平方の定理などの2次式を扱う内容が主であるので、1次関数は1次式の範囲で頂点に立つ内容として位置づけられるものである。
 しかし、生徒の多くは、関数概念を把握することのないまま、式、表、グラフの知識が断片的な状態になっている。結果として、事象を数理的にとらえることができず、多種多様な関数の問題を解くことができなかったり、何を学習しているのかがわからなかったりすることになり、関数に対して抵抗感をもつ場合が多い。
 そこで、本単元の各段階の学習指導をついては、次のように行っていくこととする。
[概念形成及び原理把握の段階]
 1次関数の定義、式、表、グラフについて学習する。段階の最後では、様々な1次関数の式、表、グラフを、基本的な特徴も含めて「表現変換シート」にまとめ、比較・整理することで、それらの表現を関連づけてとらえられるようにしたい。
[概念及び原理を適用する段階]
 1次関数の変化の割合、分数の入った1次関数の表やグラフを学習する。段階の最後では、式、表、グラフの特徴をまとめた「表現変換シート」を参考にしながら、式、表、グラフ等でかかれたカードを用いたゲームによって、異なる1次関数を見分けることで、直観的に1次関数をとらえられるようにしたい。
[概念及び原理を活用する段階]
 変域の対応、1次関数の式の求め方、また1次関数によって事象のなかにある問題を解決していくことを学習する。段階全体をとおして、「表現変換シート」によって、問題で示されている条件の表現の表し変えをしていくことで、問題を多面的にとらえ、1次関数の特徴を利用しながら、見通しをもって解決できるようにしたい。

3 単元の目標

〔関心・意欲・態度〕
・具体的な事象に対して、二つの変量の関係から1次関数をみいだすことに興味をもち、1次関数の特徴を生かして問題を解決しようとする。
〔数学的な考え方〕
・1次関数による変域の対応関係を調べることができる。
・いろいろな条件を満たす1次関数を求めることができる。
・1次関数を使って、具体的な事象の問題を解決することができる。
〔表 現・処 理〕
・1次関数を式や表、グラフで表すことができる。
・1次関数の式や表から、様々な値を求めることができる。
・1次関数の表やグラフから式を求めることができる。
〔知 識・理 解〕
・1次関数の定義(式)や1次関数の表、グラフの特徴がわかる。
・1次関数の変化の割合、グラフ(直線)の傾きや切片がわかる。

4 指導計画(11時間扱い、[ ]内は指導試案に基づいた授業実践である。)

@ 1次関数・・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間
A 1次関数のグラフ・・・・・・・・・・・・・・2時間
[「関数の式、表、グラフを比較・整理する活動」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間目]
B 1次関数の値の変化とグラフ・・・・・・・・・4時間
[「異なる関数を見分ける活動」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4時間目]
C 1次関数と変域・・・・・・・・・・・・・・・1時間
[「示された条件の表現の表し変えをする活動」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間目]
D 1次関数を求めること・・・・・・・・・・・・2時間
[「示された条件の表現の表し変えをする活動」・・・・・・・・・・・・・1時間目、2時間目]

5 本時の学習

【Aの2時間目】・・・「関数の式、表、グラフを比較・整理する活動」
(1)目標
 〔関心・意欲・態度〕1次関数の式、表、グラフの特徴の関連をとらえようとする。
〔表 現 ・ 処 理〕式で表された1次関数を、表とグラフで表現することができる。
〔知 識 ・ 理 解〕1次関数の式、表、グラフの特徴を関連づけてとらえることができる。
(2)展開
段階 学 習 活 動 形態 指 導 上 の 留 意 点 ・ 支 援 等
導入
5分
1 前時までの内容を確認する
2 本時の学習課題をつかむ
1次関数の式、表、グラフの関係を考えよう
全体 ・学習シート配布










40分
3 例とする1次関数の式(y=3x−1)、表、グラフを表現変換シートAに整理する
全体 ・表現変換シートA(4枚)配布
・発問により、それぞれの特徴を生徒から導く
・整理する特徴は基本的な項目のみとする
・特徴として関連のある部分の色を統一する
4 @〜Bの1次関数の式、グラフを、表現変換シートAに整理する
@ y=2x+1
A y=−2x+3
B y=−x−2
個人
グループ
・机間指導
・グループ内で互いの作業を確認し合わせる
5 一般的な1次関数の式(y=ax+b)、表、グラフを整理する 全体 ・表現変換シートB(1枚)配布
・整理された四つの1次関数の表現変換シートAの比較と推論をとおして、整理していく
・発問により、それぞれの特徴を生徒から導く
6 演習問題を行う 個人
グループ
・机間指導
・後半は、グループ内での質問や指導を行わせる
終末
8分
7 本時のまとめをする
8 次時の学習内容を知る
全体
個人
全体
・演習問題の答え合わせを含む
【Bの4時間目】・・・「異なる関数を見分ける活動」
(1)目標
 〔関心・意欲・態度〕式、表、グラフで表現された1次関数の特徴をとらえようとする。
 〔表 現 ・ 処 理〕式、表、グラフで表現された1次関数の一致・相違を判別できる。
 〔知 識 ・ 理 解〕式、表、グラフで表現された1次関数の特徴をとらえることができる。
(2)展開
段階 学 習 活 動 形態 指 導 上 の 留 意 点 ・ 支 援 等
導入
8分
1 前時までの内容を確認する
2 本時の学習課題をつかむ
「1次関数合わせ」をしよう
全体
全体
・学習シート配布




37分
3 ゲームの内容をつかむ
全体 ・板書用のカードを利用して説明する
・動きのルールは一つのグループを取り上げ、具体的に説明する
・表現変換シートにまとめられた特徴を参考にすることを指示する
・各グループに基本特徴のカード配布
4 ゲームを行う グループ ・1〜2回は、動き等の確認として行う
・とまどっている生徒には表現変換シートをもとにして特徴の確認を行う
・分数が入った関数のカードや特徴が読みとりにくくかかれたカードの配布は、各グループでの状況に応じる
終末
5分
5 本時のまとめをする
6 次時の学習内容を知る
全体
全体
・各グループの上位得点者の紹介を行う
【Dの2時間目】・・・「示された条件の表現の表し変えをする活動」
(1)目標
 〔関心・意欲・態度〕具体的な事象の問題を、自分なりの解決方法で処理しようとする。
 〔表 現 ・ 処 理〕具体的な事象の問題を、多面的にとらえ、特徴を生かしながら、見通しをもって処理することができる。
 〔知 識 ・ 理 解〕具体的な事象の問題で与えられた条件の表現を、別な表現に表し変えることができる。
(2)展開
段階 学 習 活 動 形態 指 導 上 の 留 意 点 ・ 支 援 等
導入
5分
1 前時までの内容を確認する
2 本時の学習課題をつかむ
1次関数を使って、具体的な数量の関係を考えていこう
全体
全体
・学習シート配布
・表現変換シートB(1枚)配布








40分
3 例題の解決に取り組む 全体 ・発問により、具体的な条件の読みとり、表現変換を、生徒から導く
・表現変換シートと一致する板書の配置をする
個人
グループ
・各表現における特徴を明らかにした時点で個人作業に移行する
・グループ内で相互の質問や指導を重視する
・机間指導
全体 ・解説は、生徒の解法から、式、表、グラフそれぞれの表現を利用した3通りの解決方法を取り上げて行う
4 演習問題を行う 個人
グループ
・表現変換シートの使用の有無や使用種類については指示せず、個人の必要に応じて配布する
・机間指導
・時間の後半は、グループ内での質問や指導を行わせる
・解説は、生徒の解法から、1問につき2通り程度の解決方法(表現)を取り上げて行う
終末
5分
5 本時のまとめをする
6 次時の学習内容を知る
全体
個人
全体
・問題を、多方面から考察し、解決方法を探ることの有用性の確認をする