第2学年社会科(地理的分野)学習指導案

指導期間 平成12年9月7日〜9月29日
場  所 花巻市立宮野目中学校
生徒数 男16人 女20人 計36人
指導者 岩手県立総合教育センター

1 単元名 「世界の結びつき」

2 単元について

  この単元は、地理的分野の最終段階に位置づけられ、これまでの日本や世界の諸地域の学習  成果を生かして広い視野から日本と世界の結びつきを見直し、現代社会を構成する一つの地域  としての日本の特色や役割などを考えさせることをねらいとしている。
 日本と世界の結びつきに関する事項については、交通や貿易、情報や文化の交流などがある。 この単元では、物資の交流について取り上げることにした。
 日本経済の著しい成長や情報、交通手段の発達により、世界的な人や物の交流が盛んになっている。特に貿易相手国の増加、貿易品目の多様化等我が国の貿易は拡大し、世界の輸出貿易  に占める割合は10%近くに及んでいる。その一方で問題点も多い。例えば、工業生産の原材料や食糧の多くは海外からの輸入にたよっている。そのため外国の鉱産資源の産出量や食糧の生産量と貿易量、さらに政策や値段の変動によってその影響を受けやすい。また、近年、工業製品を中心とする輸出額が急速に増え、輸入額を大きく上回るようになり、海外から輸入の増加をはじめ様々な要求が出され、貿易摩擦が生じた。
 そこで、この単元では、日本の貿易の特徴を理解させ、日本と世界の結びつきを見直し、国際社会において日本がおかれている状況と課題について、特に貿易摩擦を引き起こすようになった背景について考えさせる。国際化が急速に進むなかで、日本人の生活が世界との結びつきなしにはあり得ないことをつかませたい。
指導にあたっては、日本の貿易相手国と輸出品、輸入品の割合や外国からみた日本との貿易の割合を示し、日本と世界の物資の結びつきを数量的にとらえることができるようにする。そ して、このような国際的な交流が盛んになるなかで、外国が日本をどのように見ているかを知  らせ課題意識をもたせる。次に、その問題に対していくつかの情報をもとに個々に調べさせ、それらの情報を相互に関連づけながら自分の考えをまとめさせる。そのために、課題発見シートを用いて学習課題を多面的にとらえたり、グループごとに調べたり発表したりする場面において生徒同士が交流し、課題についての多角的な解釈が得られるようにする。

3 目 標

(1) 日本と世界の物資の交流に関心をもち、国際社会の中における外国とのかかわりについて進んで考えようとする。(社会的事象に対する 関心・意欲・態度)

(2) 物と物との国際交流が盛んになるなかで、日本として果たさなければならない役割について様々な情報を関連づけながら考えることができる。(社会的な思考・判断)

(3) 国際貿易が進む国際社会の中で、日本や日本人に求められているのは何かを様々な情報を 活用して調べることができる。(資料活用の技能・表現)

(4) 経済や情報、交通手段の発達によって、日本と世界の国や人々との交流が盛んに行われて いることや、日本と外国とが相互理解を深めながら交流していく必要があることを理解する。   (社会的事象についての知識・理解)

4 指導計画

段 
時 間 ね ら い 学習活動と内容 資 料 等
つ か む  世界と日本の結びつ きの多面性を理解し、 特に、物資の交流につ いて資料をもとに学習課題をつかむ 1 世界と日本の結びつきを人の交流の面からとらえる     グラフ「外国に行った日本人、 日本にきた外国人」、「国別出入 国者数」
2 世界と日本の結びつきを情報 交通の面からとらえる
3 世界と日本の結びつきを物資の交流の面からとらえる 様々な国とのかかわりのなかから資料を関連づけ学習課題を設定する
<学習課題>

貿易摩擦は解決できるだろうか

調べカード「身の回りの外国製 品」 統計地図「我が国の貿易相手国」 統計「我が国の貿易総額」 写真資料「日本製品打ちこわし」
4 「課題発見シート」を用いて学習課題を解決するためにはどのようなことを調べればよいかを考える 課題発見シート

 課題について、予想 をもとに解決するため 調べ方やまとめ方をグ ープごとに話し合い 習計画を立てる 5 グループごとに調べる課題を決め、予想をもとに何をどのように調べればよいか話し合う
・東アジアの国との貿易
・東南アジアの国との貿易
・ ヨーロッパの国との貿易
・アメリカ合衆国との貿易
・南アフリカ、オーストラリアとの貿易
・サウジアラビア(産油国)との貿易
学習計画表
6 グループごとの学習計画を発表し合い、予想や調べることについて、他からの意見も参考にする
調べ







 資料を活用し、それ ぞれの課題について調 べ、それを全体に知ら せることができるよう にまとめる 7 グループごとに役割を分担し資料を活用して調べる調べた内容を調査カ−ドに記録する
・各国の貿易の様子
・日本との貿易の様子
・日本の役割
8 調べたことを各グループの工夫やアイディアを生かし、発表できるようにまとめる 発表資料
9 調べたことの要点を発表の予告編として作成する 発表予告編



10 グル−プごとまとめた内容に基づいて、調べた内容を伝える
  他のグル−プの発表の要点を記録したり評価する     
学習シート@
11 発表をもとに質問や意見の交流を行う
12 学習課題に対する自分の考えを根拠を示しながらまとめる 学習シートA



 世界貿易に果たす日本の役割について考え る 13 貿易摩擦の解決に自分たちなりにできることを考える

5 本時の指導(第2時…つかむ )

(1) 目 標
 世界と日本の結びつきを生徒の身近な生活の場から実感させ、日本は世界の多くの国と貿易を行っており、その貿易総額は世界有数であることを読み取らさせる。さらに、輸出の増加と貿易摩擦について理解させる。その際、日本の黒字貿易が相手国に与える影響を考察させ学習課題を設定させる。

(2) 展 開

段階 学習活動 資料等 留意点(支援)


1 本時の学習について確認する
調


2 世界と日本の結びつきを物資の交流の面からとらえる ・調べカード「身 の回りの外国製品」
・統計地図「わが 国の貿易相手国」
・統計「我が国の 貿易総額」
・数名を指名し、発表させる
・聞く側には、自分の考えと比較して聞くように促す
・先進国、発展途上国、産油国などの資源保有国を比較させる
3 貿易摩擦の実態を理解する ・写真資料「日本 製品打ちこわし」」 ・何の様子か予想させる
・数名を指名し、発表させる   



4 資料を関連づけて学習課題を設定する
<学習課題>
貿易摩擦は解決できるだろうか
・数名を指名し、発表させる
・生徒の発表を評価し学習課題を設定する


げる
5 学習課題を解決するためにはどのようなことを調べればよいかを考える ・課題発見シート ・各自の発想を自由に広げ記入するように指示する