印刷用紙   :B4 縦 1ページの行数:55 1行の文字数 :105                   社  会  科  指  導  案                                     指導者 岩手県立総合教育センター                                         研 究 員 佐 藤  博 1 日 時:平成4年11月4日(水)第3校時 : 11月6日(金)第4校時 2 学 級:3年1組(男21名, 女18名, 計39名) 3 主 題:流通のしくみと商品の価格 4 主題について  *教材観      わが国の資本主義経済のしくみと, その問題点を把握させ健全な経済の発達と, その中で個々の人間がどう   いう経済生活をしていったらよいかを考察させることは, 義務教育最終学年の社会科学習に欠くことのできないも   のであると考える。「経済」とは人間と物との関係ではなく, 物を媒介にした人間の関係であり, 人間が生きるた   めに必要な物資を手に入れるための社会のしくみであること, 現代におけるこのしくみ(資本主義経済)は, 意識   的な計画によってつくられたものではなく, 歴史の発展の中で自然発生的に生まれたものであり, 貨幣制度, 銀行   制度などの諸制度は, この自然発生的に生まれた資本主義経済の発展を助成するために制定されたものである。    特にこの小単元では, 生産と消費の間に立って流通面の仕事を受け持つ商業の重要性を理解させると共に, 価格   の決定, 貨幣の働き, 貨幣制度の変遷を明らかにし, 現在の管理通貨制度の意味をじゅうぶんに認識させたいと考   える。  *生徒観      一般的に本校の生徒の社会科の授業における実態は,1. 学年がすすむにつれて発言者が限られてくる。しか   も, わかっていても手を上げない。2,自ら疑問や課題を持って取り組む姿勢が弱い…ということが, しばしば社会   科部会での話題としてよくあがる。3年1組は, 諸テストでの平均点は6クラス中, 中位の位置にいる。しかし男   女格差が大きく, 特に女子が全体的に低いと聞いている。授業でも発言する生徒は限られており, 真面目で努力す   る姿勢はみられるが全体的に受け身的なクラスの雰囲気である。    したがって, できるだけ身近で具体的な事柄の学習を通じて経済生活に関する諸問題に着目させ, すすんで自ら   考えようとする態度を育てていきたいと考える。  *指導観      商品の流通と市場, 貨幣のはたらき, 価格の上下と生産の調整などの学習は, きわめて原理的なとらえ方を   教科書では通している。しかし, 現実の経済現象ではさまざまな修正作用が働いている。例えば, 需要と供給の原   則にしても, そのバランスを人為的に操作するしくみが作られていて複雑に動いている。こうした現実の修正作用   の理解も, その根底には原則についての基礎的な知識・理解があってこそ可能と考える。本時の「貨幣と通貨制度」   と「価格のはたらき」では, なにげなく日常, 使用したり, 見たりしている貨幣や価格をあらためて原理的にとら   えようとすると生徒にとっては, 難しい内容と考える。    そこで, 「1時間の指導過程のなかに, 適切な資料を準備し, 視点を明確にして考えさせ, 書かせ, 発表させる   場面と時間を意図的, 計画的, 継続的に設定し, それぞれの社会的事象を, 一定の考えや基準で互いに関連させ, 脈絡  をもたせ, 組織させることによって, 社会の全体像を構成することができる能力, つまり, 多様な社会的事象を総合す  る力を育てることができるであろう。」と考えている。 5 指導計画      流通のしくみと商品の価格(4時間)       (1)商品の流通と商業……… 1時間       (2)貨幣と通貨制度 ……… 1時間(本時)平成4年11月4日(水)3年1組 3校時       (3)価格のはたらき ……… 1時間(本時)平成4年11月6日(金)3年1組 4校時        (4)物価と国民のくらし…… 1時間 6 本時の達成目標  (1)通貨の定義と現在の通貨の種類と発行が理解できる。  (2)金本位制度とはどのような通貨制度だったのか理解できる。  (3)現在の管理通貨制度はどんなしくみなのか理解できる。 印刷用紙   :B4 縦 1ページの行数:55 1行の文字数 :118 7 本時の展開                                平成4年11月4日(水)3年1組 3校時  段 過  学習内容・学習活動            個人への配慮(評価の視点・方法・留意点)   資料・教具など  階 程    問 1 貨幣のはたらきを思い出す。     1 貨幣のはたらきがわかる。          1 紙板書   導 題 2 本時の学習課題が設定できる。       (簡単に復習させたい)            「貨幣の働き」    の                    入 把  日本の通貨制度のしくみは         握      どうなっているのだろうか。                                                        問 3 通貨とは何だろうかを考える。    3 通貨の定義がいえる。                        展              [分 析]          お金 銭 貨幣 お札 小銭 通貨                                                                            4 現在流通している貨幣には, どんな  4・現在流通している紙幣と硬貨に分類させたい。 4 紙幣と硬貨       ものがあるか, 発表できる。       ・紙幣の表と裏の文字に注目させたい。            (紙幣 と 硬貨)      ・(班    >個人)              千円札の             種類・名前・発行      ・出来るだけ下位の生徒に発表させたい。        拡大コピー    題                                                                        [比較・関連]                                                                        5 金本位制度の概要について理解する。            「金(金貨)と兌換紙幣」  5・出来るだけ具体的な例を出して考えさせたい。 5 「日本の                                         (考え書かせる)      兌換紙幣」    の            [分析・関連]   ・金貨                       教P111の図                              名目上の額と材料の価値が一致する貨幣。                                   ・兌換紙幣の意味。                                                             6 管理通貨制度のあらましを理解し,   6・通貨制度が金本位制度から管理通貨制度へ移  6 資料集      追  あわせてわが国の現在の通貨制度につ   行していった理由を考えさせたい。        「日銀券流通高」       いて考察する。                   (考え書かせる……机間巡視)                    [比較・分析]   ・管理通貨制度の意義は金本位制度がゆきづま                             った理由を元にして考えさせたい。       開                                            求                      ・不換紙幣の意味   名目上の額>材料の価値                                         終 総 7 まとめとして, おおまかに貨幣の   7・貨幣が今日の形態にまで発達してきた過程を  7 掛け図        括  歴史をつかむ。             まとめる。                    「貨幣の歴史」    ・            [総 合]                                発 8 次時の予告              ・あまり深入りしないで簡単におさえたい。     紙板書   結 展                      しかし興味・関心を持たせたい。          「貝と漢字」 8 評 価 印刷用紙   :B4 縦 1ページの行数:55 1行の文字数 :118 7 本時の展開                                平成4年11月6日(金)3年1組 4校時  段 過  学習内容・学習活動            個人への配慮(評価の視点・方法・留意点)   資料・教具など  階 程    問 1 学習課題の確認  導 題                     1、事前の学習をおさえながら確認させたい。   1、紙板書    の   価格はどのようにして決まり、  入 把  どのような働きがあるのだろうか。    握      2 需要 と 供給           2、                      2、    問     例1 きゅうりの入荷量と価格    ・きゅうりの入荷量と価格との間にはどのような ・きゅうりの入荷量  展                        関係があるか、グラフから読みとらせる。     と価格のグラフ                [比較・分析]          *自分の考えをノートに書かせる。  (TP・プリント)                                 *机間巡視(個別指導)                                 *発表(2〜3人)          例2 バナナの話(前中・離れ島)  ・バナナの話から需要と供給・価格との関係を考  ・バナナの話    題                      えさせる。                        (口頭)                [比較・関連]          *感想をノートに書かせる。                                 *発表(2〜3人)      3・価格の上下と需要・供給の調節    3、需要曲線、供給曲線のグラフから、価格との関 3、・需要曲線       ・市場価格               係を理論的に考えさせる。             ・供給曲線    の           [比較・分析]                                 *生徒にとっては難しいので、あま   (TP)                                  深入りしない。                                 *基礎的なことをおさえ、関心を高                                  める程度にする。                       4 需要・供給と価格の関係のまとめ   4、基礎的問題を通して、需要・供給と価格の関係 4、基礎的問題    追                      を整理させる。                     (TP)                [まとめる]           *基礎的なことなので、しっかりお                                  さえさせたい。                                 *机間巡視(個別指導)  開                              *個人……グループ    求                            *間違いをはっきりさせる。                                 *発表     終 総 5 本時のまとめ            5、応用問題を通して、本時のまとめをさせる。  5、応用的問題    括           [総  合]                             (TP・プリント)    ・ 6 次時の予告                    *応用問題から日常の生活の中での    発                             需要・供給と価格との関係を考え  結 展                             発展させる。 8 評 価