印刷用紙:B4縦 1ページの行数:68 1行の文字数(半角で):110 選択社会学習指導案 日 時 平成6年11月16日(水) 2校時 生 徒 3年 男子9名 女子6名 計15名 指導者 教 諭  古 里 康 彦 1 講座名  「甦れ! 古川沼」 2 題材名  ヘドロをきれいにするために 3 指導にあたって (1) 教材観 高田松原地内にある県内最大の天然湖沼、古川沼は、かつては魚類やシジミ貝の宝庫であったが、諸和38年に防    潮水門が建設されて以来、閉鎖性水域となり、生活雑排水等の流入で、ヘドロの堆積・水質の汚濁が進んでいる。こ    れに対し、現在市や市民団体は浄化対策や運動を進めている。これまではさまざまな問題が障害となって、浄化に向    けての取り組みが進展せずにいたが、県によるヘドロの浚渫工事が平成4年度よりスタートし、また日本トテラポッ    ト株式会社によるヘドロ浄化の大規模な実証実験も平成6年の8月にスタートした。さらに平成5年度には建設省の    「清流ルネッサンス21」の対象にも選定され、今年度から環境改善に向けての動きが本格的に始まっている。 前期選択社会では「クローズアップKESEN〜わが故郷“気仙”の再発見〜」という講座を開設し、郷土の学習    を自由研究的な進め方で行ってきたが、個人のテーマが広がりすぎて全体的に学習のまとまりがなくなり、学習を進    めにくかったという反省点があった。それをふまえ後期選択社会では、生徒の興味・関心の高い大テーマを教師側で    設定し、それに対して個人には小テーマを設定してもらい、それをもとにして様々な角度から大テーマに迫っていく    ような総合的な学習を実施したいと考えた。その大テーマには、事前調査で希望の多かった「郷土に関する学習」、    「見学や調査活動」ができるような内容で、前期の学習の発展的な内容のものを設定したいと考えた。そこで、後期    は、前期でも取り上げた題材で、生徒が高い興味・関心を示した上記の「古川沼の問題」を大きく取り上げることと    し、この講座を開設することとした。 (2) 生徒の実態 生徒の社会科に対する興味・関心は高く、学習に対する動きは意欲的である。けれども、自らの力で課題を見つけ、    それを追求・解決していく力や、社会事象を多角的に考察する力、自分の考えをしっかりと持ち、それを表現する力    が不足している。また、地域の学習にじっくりと取り組む機会が少ないので、地域の問題に目を向けることができな    い生徒が多い。 古川沼のヘドロの問題については、生徒は1年時の文化祭などで取り組んだことがあるので多少の知識はあるもの    の、現在どのような新しい動きが起こっているかはわからない生徒が多かった。けれども、「ヘドロをみてみたい」、    「どんな実験が行われていて、どうやってきれいになるのか知りたい」などという理由で集まってきた生徒が多かっ    たので、それらの興味・関心をさらに高めさせる方向で進めていきたい。 (3) 指導観 この講座におけるねらいは、生徒一人一人の興味・関心の伸長と自己学習力の育成である。 生徒一人補地理の興味・関心を伸長させるためには、急速の動き始めている古川沼の“今”の動きや取り組みを取    り上げ、実際にその動きにふれさせたり、取り組みに参加させたりしたい。具体的には、ヘドロ浄化のために行われ    ている浚渫や浄化実験を実際に見学させたり、ヘドロのバイオ処理に仕組みを実際に実験させることによって学ばせ    たりといった体験的な学習を多く行わせたい。 また、自己学習力を育成させるために、興味を持ったこと、疑問に思ったこと、もっと調べてみたいことから個人    のテーマを設定させ、それらを自力で解決していくような学習を行わせたい。したがって、見学だけでなく、個人の    テーマにもとづいた調査活動を行わせたい。調査活動の中では、ヘドロの浄化に携わっている地域の人たちにできる    だけ多く触れ合わせ、その人たちの努力に目を向けさせた。そして、地域が直面している環境問題を一市民の立場か    ら考えさせ、自分なりの考えを持たせたい。 調査活動における留意点については、経験不足などから短絡的な課題設定をしたり、資料の収集で戸惑ったり、調    査のまとめかたができないなどというつまづきが予想されるので、その場合いろいろな方法を例示したりして気づか    せといくような支援・援助を行っていきたい。また、評価については、単位時間ごとの自分の活動を振り返らせ、成    就感を得させることができるような評価を行っていき、興味・関心の伸長につなげていきたい。 4 指導目標 (1) 身近な地域の社会事象に関心を持つことができる。 (2) 調査活動や発表会などの活動に、意欲的に取り組むことができる。 (3) 課題解決に必要な資料を収集し、自分なりに工夫し、活用することができる。 (4) 身近な地域の社会事象を様々な角度から考察し、自分なりに判断することができる。 (5) 自らの力で課題を設定・追求し、それらをまとめ、発表することができる。 5 指導計画(13時間扱い) ・ オリエンテーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1時 ・ 事前学習1「ビデオ視聴ーヘドロの浄化実験と浚渫工事ー」・・・・・・第2時 ・ 事前学習2「資料を読むー「澄んだ湖がかえってくる 岸博著」ー」・・第3時 ・ 見学及び調査活動準備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第4時 ・ 見学「日本テトラポット株式会社のヘドロの浄化実験」・・・・・・・・第5・6時 ・ 見学のまとめ「浄化実験にチャレンジ」・・・・・・・・・・・・・・・第7時(本時) ・ テーマ別調査活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第8・9時 ・ 中間のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第10時 ・ 見学と追跡調査活動「天日乾燥したヘドロ」・・・・・・・・・・・・・第11・12時 ・ まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第13時 6 本時の指導目標 身近な地域の社会事象をさまざまな角度から考察し、自分なりに判断することができる。 ・ 見学のまとめから、浄化実験のねらいや内容を理解することができる。  ・ 自分なりの考えや感想を発表することができる。 ・ 興味を持って、意欲的に最後まで活動することができる。 7 本時の展開 +ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー+ |過程| 教 師 の 働 き か け | 生 徒 の 活 動 |   支援・援助と評価 | +ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー+ |み |1 本時の学習課題を把握させる。|1 前時までの活動を振り返り、本時|・ビデオを店、活動をふりかえ| | | | の学習課題を確認する。 | させたい。 | |つ | | ・日本テトラポット(株)の実験 | | | | | ・自分たちがチャレンジした実権 | | |け | | | | | | | | |る | ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー | | | | |自分たちがチャレンジした浄化実験の結果を確認し、日本| | | |(5) | |テトラポット株式会社の浄化実験の見学のまとめをしよう| | | +ーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー+ |し |2 司会者を決め、見学のまとめの|2 司会者の、会の進め方、注意点、|・司会者とは、事前に打ちあわ|   ら  会の進行をさせる、。 等を聞く。 せをしておくが、脇に座って |べ | | | いて、つまずいた場合は支援| |る | | | したい。 | | |3 司会者を通じて自分たちがチャ|3 結果を確認し、感想を発表する。|・生徒にはプリントを用意し、| |た | レンジした実験の結果を確認さ| ・ヘドロの色、においの変化 | それに記入させながら、会に| |し | せる。 | ・実験を終えての感想 | 参加させたい。 | |か |4 司会者を通じて見学してきたこ|4 見学のまとめを発表する。 | | |め | と、質問してきたことのまとめ| ・質問事項のまとめ | | |る | を発表させる。 | ・疑問点、学んだこと、感じたこと|・発表に仕方について事前指導| | | | | を行っておき、わかりやすく| |ふ | | | 工夫のある発表に導きたい。| |か |5 司会者を通して見学してきたこ|5 見学のまとめをもとに、今後の調|・会全体を通して、自分の考え| |め | とをもとに、古川沼の問題につ| 査に向けて話し合いを行う。 | をしっかり持ち、堂々と発表| |る | いて考えさせる。 | ・もっと調べてみたいこと | しているかを評価したい。 | | | | ・今後に向けての願い | | |(35)| | | | |ーー|ー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー |ま |6 まとめの会を終了させる。  |6 教師の感想、アドバイスを聞く。|・次時の活動の意欲づけを図り| |と | | | たい。 | |め |7 本時の活動についてまとめをさ|7 自己評価シートを用いて、本時の| | |る | せる。 | 活動のまとめをし、発表する。 | | |(10)|8 次時の学習内容を確認させる。|8 次時の学習について確認する。 | | | | | | | +ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー+ 8 評 価 身近な地域の社会的事象をさまざまな角度から考察し、自分なりに判断することができたか。 ・見学のまとめから、浄化実験のねらいや内容を理解することができたか。 ・自分なりの考えや感想を発表することができたか。 ・興味を持って、意欲的に最後まで活動することができたか。