印刷用紙:B5縦 1ページの行数:62 1行の文字数(全角で):40 社 会 科 学 習 指 導 案  日時  平成6年10月25日(金)4校時             学級  1年1組 (男子14名 女子10名 計24名) 指導者 佐 藤  健 1 研究主題 一人一人を生かす授業をどう組み立てるか  −基礎基本の定着を中心に− 2 社会科の研究主題    一人一人を生かしながら、資料活用能力を育てる指導のあり方 3 社会科の研究主題への迫り方   社会科の学習は、一つ一つの事象の社会的な意義や背景が軽視され、知識の暗記中  心の学習になりがちであり、それが社会科嫌いを生む大きな要因となっている。今回  の授業では、VTRや新聞記事を利用してより身近な事象として地理的事象を具体的  に把握させ、それによって、学習意欲を喚起させたい。また、班ごとの話し合いや作 業学習を通して、よりいっそうの基礎基本の定着を図りたい。 4 単元名  ギニア湾岸の国々   5 単元の目標 (1)情意的領域   ・アフリカ諸国の飢餓などの現状に興味や関心を持つ。 (2)技能的領域   ・資料などから、アフリカ諸国の問題点とその原因を推測               することができる。 (3)知識・理解的領域・アフリカ諸国の飢餓の状況とその原因を理解できる。 6 本単元の指導の意図 (1)単元及び教材について   アフリカは、生徒たちにとって、なじみの薄い地域である。しかも、テレビなどの  マスコミが連日、アフリカの飢餓の状況を報道し、援助を訴えている。そのせいで、  アフリカは、貧しくて飢えている地域であるという単純な認識しかその中には存在し  ない。しかし、その原因は、モノカルチャー経済や、民族紛争などの内戦の頻発、人  種的偏見など、欧米の先進国による人為的側面が多く考えられる。純粋な自然現象と  考えられがちな異常気象や砂漠化にしても、人為的側面がないとは言い切れない。一  見、日本にあまり関係なさそうな事がらではあるが、アフリカ諸国の貿易相手が旧宗 主国から、日本などへその比重を移していることや最近のPKOの問題などを通して 身近な問題として考えさせたい。 (2)生徒について   社会の学習は好きですかという問いに対して、在籍24名中、嫌いであると答えた  生徒は1名のみであった。しかし、地理と歴史では、地理の方が好きだという生徒は  3名にとどまり、地理が比較的不人気であった。もっとも歴史との比較ではなしに、  地理自体の学習という面では、嫌いだと答えた生徒が7名となっている。地理が嫌い  な原因として、国名や都市名などを覚えるのが大変だというのと、統計などの資料を  見る(調べる)のが嫌いだというのが多い。しかし、その反面、世界各地を紹介した  テレビなどはよく見ているようであった。つまり、地理的事象の断片的知識はあるが  それが系統化されていないということなのだと考えらる。さらに、受け身的に知識を  得るのはよいが、自分から進んで知識を広めていこうという意欲に欠けているといえ  る。  アフリカについては『貧しい国々』というイメージしかなく、なぜそのようになっ たのかなどについての知識は皆無といってよい。そこで、できるだけビジュアル的な 資料を用意し生徒の興味関心を引き出しながら授業を進めていき、現代史の問題とし て生徒にとらえさせたい。 (3)社会科の研究主題に迫るための具体的方法   1. 個を生かすための手だて  ・アンケートによって生徒の実態を把握し、話し合いや、授業中の指名と  いった場面での活用を図る。  ・グループごとに社会科リーダーをおき、その生徒を中心に話し合い活動  を行い、小集団の中での意見交換を活発に行わせる。  ・新聞などのマスコミを通じて把握している断片的なアフリカに関する知  識を引き出し、それを発表する場面を設定する。 ・作業を行いながら、植民地の様子を具体的に把握させる。 2. 基礎基本の定着のための手だて  ・学習のまとめにおいて学習シート(ミニテスト)を活用し、個人の能力   に応じたレベルで解きながら学習事項の定着を図る。  ・飢餓の様子や難民の現状、植民地の様子などをVTRやOHPを利用し   て紹介し、生徒の興味関心を引き出すようにする。  ・授業の展開場面において、形成的評価を取り入れた指導を行う。 7 指導計画・・・・・・・・・・・・3時間 (1)古くて新しい国  1時間(本時) (2)農業と進行する砂漠化  1時間 (3)厳しい自立 1時間 8 本時の指導 (1)ねらい 1. アフリカ諸国が、現在、飢餓の状態に陥っていることが理解できる。 2. アフリカ諸国の飢餓の原因のひとつが、かつての植民地支配とそのための内      戦にあることが説明できる。 (2)基礎的・基本的事項 (情意) ・アフリカ各地の現在の様子に興味を持ち、みずから進んで調             べようとする。 (技能) ・資料から、アフリカ諸国がかつて植民地だったことや内戦が             起こっていることを指摘できる。 (知識・理解)・アフリカ諸国が貧しく、飢餓の状態になっているのはかつて             の植民地支配と、うち続く内戦によるものであることを説明             できる。 (3)本時の展開 +−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |段階|学習内容 |  学習活動 | 支援上の留意事項  | | | | |○個を生かす ◎評価 | +−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |導入|・課題を設|・アフリカの飢餓の様子を写した | | | | 定する |映像を見て、飢餓の状態を把握する| | | | |・課題を設定する。 |◎自分の疑問として、課題| | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+|を把握することができたか| +−−+−+アフリカはなぜ飢餓に陥ったのだろうか。++−−−−−−−−−−−−+ |展開| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |・予想 |・班ごとに予想を立て、根拠を示し|○班ごとに予想を話し合う| | | |ながら発表する。        |・机間巡視を行う | | | | ・植民地だったから | | | | | ・砂漠化になっているから |◎班ごとに話しあって予想 | | | | ・国が貧しいから | を立てることができたか | | | | ・戦争があったから |◎根拠を示すことができた | | | | | か | | | |・予想の中から、特に本時は戦争を| | | | |とりあげて学習することを確認する| | | |・検証 |・新聞記事によって、アフリカでは|◎新聞から読み取ることが| | | 内戦 |内戦が発生していることがわかる。| できたか。 | | | 部族対立 |・内戦の原因の一つが部族対立にあ|◎資料から読み取ることが| | | |ることを読み取る。 | | | | 植民地 |・部族対立の原因として、現在の国| できたか | | | |境線が部族を無視し たものである| | | | |ことをしてきする。 | | | | |・国境線を引いたのが、旧宗主国で| | | | |あることがわかる。 | | | | |・アフリカの植民地支配の様子を調|○作業をおこなう | | | |べる。 | | | | | ・どこが |・机間巡視を行う | | | | ・どこの国の植民地だったか | | | | | ・いつ独立したのか | | | |・まとめ |・アフリカ諸国では、植民地支配が|◎学習内容のまとめを発表| | | |残した部族対立のた めの内戦によ| できたか | | | |って食料がもらえずに難民となる人| | | | |が多く発生していることを確認する| | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | |・学習内容|・確認テスト(学習シート)を解く|○学習シートを自分の力で| |終結|  の確認| | 解く | | |   | |◎学習シートを解けたか | | |・次時の学|・予想の段階で出た他の予想につい| | | | 習内容の|ては、次の時間に学 習することを| | | | 確認 |確認する。 | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ 9 評価の観点 1. アフリカ諸国が飢餓の状況に陥っていることを理解できたか。 2. アフリカ諸国の飢餓の原因が、かつての植民地支配とそれが原因で発生してい     る内戦にあることを説明できたか。