印刷用紙:B4縦 1ページの行数:86 1行の文字数(半角文字で):124 社会科学習指導案 指 導 者 菊 地 卓 哉 1.日 時 平成7年7月7日(金) 第1校時 2.学 級 3年3組 男子24名 女子15名 計39名 南校舎2階 3年3組教室 3 主 題 わたしたちと地方自治 4主題について これまで生徒たちは、戦後日本の政治の変化とその基本的な精神をそれまでの我が国の憲法であった大日本帝国憲法と戦後につく られた日本国憲法との違いを通して学習を進めてきた。本単元の学習内容である「地方自治」に関しては、日本国憲法第8章(第9 2条〜第95条)の中で、地方自治の基本原理・地方公共団体の機関、その直接選挙・地方公共団体の権能・特別法の住民投票など が書かれている。国民主権、基本的人権の尊重・平和主義(戦争放棄)という日本国憲法の三原則が、大日本帝国憲法とは大きく異 なる点でもあるように、この「地方自治」の章は、先の憲法の各章には見られないものの一つである。それゆえに、ここに本単元を 学習をする意義・その重要性が、見いだせると考える。また、本単元は、日本国憲法に保障されている権利学習を一通り終えた生徒 たちにとっては、その学習を踏まえて、主権者としての政治参加の仕方を学ぶ第一段階と位置付けることができる。現代社会の様々 な事象に主体的に係わり、自らの意思で考え、実践する主権者としての資質を備えるべき生徒たちにとっては、「民主々義の学校」 とも言われる身近な地方自治の学習において、それを担う地方公共団体の仕事が日常の住民生活と密接に関連があること、そして、 その基本的なしくみや主権者である住民としての権利、地方自治の課題などを学び、それによって身近なレベルから政治への参加の あり方を学ぶこととなる。そしてこのことが、その後に続く国の政治のしくみと主権を持つ国民としてのあり方の学習へとつながっ ていくものであると考える。 生徒は、国レベルの政治や経済問題については、テレビ・新聞などのメディアを通じて情報を得る機会が多く、中には、興味・関 心が高い生徒がいることがこれまでの授業の中から感じられる。そして、これまでの公民的分野の学習は、大きく見てみると、憲法 学習・平和問題など、グローバルな視野、国や国民としての権利・義務、あるいは国際的な問題を通してすすめられてきた。その一 方で、これから学習する身近な地方自治やそれを担う地方公共団体の仕事やそのしくみや住民の権利などについては、むしろ国のレ ベルのそれほどには理解していないように感じられる。 本時では、国よりは身近な都道府県や市町村を、地方公共団体(地方自治体)と呼び、そのそれぞれが、そこに住む住民のために どのような仕事をし、それをどのように進め、何故それが必要なのかを考えることにポイントを置いて学習を展開していきたい。そ して、単に知識の習得にならないように、身近な題材であるがゆえに、生徒個々の生活体験や知識をできるだけ引き出し、絡み合わ せて、それらを生かすように授業をすすめていきたい。 5指導計画 (1)地方公共団体が、地方自治の本旨にしたがって住民の生活に密接に係わる仕事をしている事を指摘で きる。 ・・・1時間(本時〓) (2)地方公共団体がそのしくみとして首長を長とする執行機関と議決機関からなり、その役割と相互関係 を指摘できる。 ・・・1時間 (3)地方自治における住民の直接請求権の内容やその手続き、 そして、それを生かしたまちづくりのあり 方を指摘できる。 ・・・1時間 (4)地方自治が抱える問題を、財政の面とその他の面から考えて指摘できる。 ・・・1時間 6.本時の達成目標 (1)住民の生活に密接に係わる地方公共団体の仕事を資料を通して見つけ、指摘しあってまとめていくことができる。 (2)地方公共団体の仕事の必要性を自分なりに考え、自分の言葉で表現して発表できる。 (3)都道府県や市町村を地方公共団体と呼び、その仕事が住民の手により、住民のために行われ、それを地方自治とよぶことを指摘 できる。 7.本時の下位行動目標 a ごみ処理にかかる費用と市の全体の予算の比較から本時の課題を設定することができる。 (意欲・関心)(思考・判断) b 課題に対する予想を、自分の生活経験を生かして発表することができる。 (意欲・関心)(知識・理解) c 資料を通して、班の中で地方公共団体の仕事をさがし、指摘し合いながら、まとめていくことができる。 (意欲・関心)(思考・判断)(知識・理解) d 地方公共団体が、その仕事の一部を業者に委託することによって進めていることを指摘できる。(知識・理解)(思考・判断) e 地方公共団体の仕事の必要性を自分なりに感じ、発表することができる。 (思考・判断) f 地方自治が、そこに住む住民の手により、住民のために行われるものであることが指摘できる。 (知識・理解) g 都道府県や市町村を地方公共団体と指摘できる。 (知識・理解) 8.本時の評価の観点 (1)班の学習活動で、意欲的に参加し、お互いに指摘し合い、自分たちで学びあったことをまとめることができたか。 (2)自分の日常の体験や知識を生かして発表することができたか。 (3)地方公共団体の仕事の内容に対する理解を深め、住民生活におけるその必要性を感じ、自分なりにまとめて発表できたか。 9.本時の展開 <個に配慮する観点> <A>達成度<B>学習速度<C>取り組み方(意欲・態度)<D>見方、考え方<E>興味、関心 <F>生活経験<S>学習形態 +−+−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ |段|過|時| | 個 人 差 に 対 す る 配 慮 | | | | | | 学 習 活 動 +−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+資料・教具等| |階|程|間| | 評価の観点・方法 | 配 慮 事 項 | | +−+−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | | |1.盛岡市のマークを指摘でき|1 ・わかる |1 <F>指摘することを重視するより|・盛岡市のマ| |導| | | る。 | ・見たことはある | は、実態を把握することに重点を置く|ーク | | | | | | ・見たこともない |。 | | | |経| | | それぞれの実態を把握する | | | | |験| | |。 | | | | |の| | | | | | | |再| |2.清掃車に盛岡市のマークが| | |・ビデオ | | |認|8| 入っていることから、市が清| | | | | |識| | 掃関係の仕事をしていること| | | | | | | | を指摘できる。 | | | | | | |分| | | | | | | | |3.ごみ処理にかかる費用と市|3 PレベルあるいはMレベ|3 <C><D><E>ごみ袋1個(約 |・TP | | | | | 全体の予算を比較して、本時| ルの生徒が予想を立てなが| 10キロ)を始末するのにかかる費用 | | | | | | 学習課題を設定できる。 | ら課題設定に係われたか。| 、市全体で1年間に出るごみの量など | | | | | | | | を予想させながら進める。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−+| | | | | | | || 地方公共団体である盛岡|| | | | | |課| ||市は、住民のためにどんな|| | | | |入|題| ||仕事をしているのだろうか|| | | | | |・| |+−−−−−−−−−−−−+| | | | +−+仮+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | |説| |4.課題に対する予想を発表で|4 P・M 1.〜4.が予想で|4 <F>各自の生活経験の中から発表 | | | |の| | きる。 | きたか。 | させる。 | | | |設| |1.市立病院がある。 | G 5.、6.その他を| | | | |定| |2.市立図書館がある。 | 予想できたか。 | | | |展| | |3.市立動物園がある。 | | | | | | | |4.学校を建てている。 | | | | | | | |5.市役所で住民に対して仕事を| | | | | | | |6.火事などの防止と対処・・など| | | | | | | | | | | | |開|事| |5.班の中で資料を参考にしな| +−−−−−−−−−−+|5 <C><D><F><S>班で話し|・資料プリン| | |実| | がら地方公共団体の仕事を見| | 地方公共団体の仕事|| 合い、各自の持つ資料から探し、指摘|ト | | |の| | つけ、指摘し合い、発表でき| |を指摘できたか。 || し合い、まとめて、発表させる。 |・資料集 | | |追| | る。 | +−−−−−−−−−−+| ・具体的に話せる生徒にはそれも発表|・「広報もり| | |求|32| |5 ・該当する資料を見つけ | させる。 |おか」 | | | | | ることができたか。 | |・予算特集号| | | | | | ・班内で話し合いに参加 | | | | | | | | できたか。 | | | | | | | | ・P・M・G自分の生活 | | | | | |分| | 体験や知識ももとにして | | | | | | | | 指摘できたか。 | | | | |検| |6.市のマーク入りのビデオを| | |・ビデオ | | | | | 見て予想を検証できる。 | | |・紙板書 | | | | | | | | | | | | |7.地方公共団体が清掃事業や|+−−−−−−−−−−+ |7 父親が委託業者に勤めている生徒に|・ビデオ | | |証| | 水道工事などを業者に委託し|| 資料から委託の事実| | 聞き取りをさせておき、それを発表さ|・廃棄物処分| | | | | ている事実を指摘できる。 ||をつかみ、発表するこ| | せる。 |承諾書のTP| | | | | ||とができたか。 | | |・資料プリン| | | | |8. 地方自治(団体自治)の必|+−−−−−−−−−−+ |8 <D> 自分なりに考え、自分の言|ト | | | | | 要性を本時の学習を踏まえて|+−−−−−−−−−−+ | 葉で表現して発表させる。 | | | | | | 自分なりに考え、発表できる|| 地方自治(団体自治| |・ 挙手がない場合には、M・Gレベル| | | | | |。 ||)の必要性を自分なり| | の生徒を中心に指名して発表させる。| | | | | | ||に考え、他の意見も聞| | | | | | | | ||いてとらえることがで| | | | | | | | ||きたか。 | | | | | | | | |+−−−−−−−−−−+ | | | +−+−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | | |9. 本時の学習事項を確認し、|9+−−−−−−−−−−+|9 <A>地方自治・地方公共団体の理|・学習シート| | |認| | 発表できる。 | | 地方自治の意味と都|| 解は、本時の達成目標の一つであるの| | | |識| | | |道府県、市町村を地方|| で、P・レベルの生徒を中心に発表さ| | |終|の|10| | |公共団体と呼ぶことが|| せながら進める。 | | |統| | | |指摘できたか。 || <D>「地方自治」の章は、日本国|・TP | | |合| | | +−−−−−−−−−−+| 憲法にのみ見られるものであることを| | | | | | | | 示し、以後の学習意欲につなげさせる| | | |課|分| | | 。 | | | |題| |10. 次時の学習内容を確認でき|10 盛岡市・岩手県・東京都|10 <E><F> ニュース・新聞等を|・TP | |末|の| | る。 | の各首長を指摘し、地方公| 通して知っていることがあれば発表さ| | | |把| | | 共団体のしくみへの関心を| せる。 | | | |握| | | 持てたか。 | | | +−+−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+