印刷用紙:B4縦 1ページの行数:63 1行の文字数(半角で):102   −−以下 指導案本文−−                 2 学 年 社 会 科 学 習 指 導 案 日 時 平成8年11月7日(木) 5校時                         学 級 2学年(男子25名 女子15名 計40名) 場 所 2学年教室 授業者 岩間 栄造 1 単 元 名 東 北 地 方 2 単元について   今日の東北地方は高速交通網の発達により従来のイメ−ジが徐々に改善されてきており各方面での生産向上 が可能になってきている。四兆円産業と呼ばれるお米産業はブランド米のPRをおこない関東方面に東北自動 車道や東北新幹線を利用し、流通の円滑化が実現しており生産と消費の関係がより安定の状況にある。しかし 、この地域の自然条件は相変わらず厳しいため農業は、現在も何かと影響を受けている。歴史的に見ても冷害 が及ぼしたことが人々の生活に大変な影響をあたえ、克服するために国の援助を受け、かんがい設備や品種の 改良などの努力を払わなければならなかった。現在も、岩手では新しい品種の「ゆめさんさ」や「かけはし」 が生み出されている。   日本の農業、農政は今、大きな転換期にある。外にあってはウルグァイ・ラウンド農業合意で国際化時代を を迎え、内にあっては新食糧法の施行で米をめぐる世界も変わった。戦後の農業政策の成果が生産量の増加を 可能にし、逆に今日では東北地方全体として余剰米が増え、生産調整がなされている。   生徒は農家の生徒がほとんであるが、普段からの農業との関わりから見ると機械化が進み、昔のように親 子一緒に農作業を手伝う事から離れてきており、米づくりの努力や工夫について関心が薄れている様子が伺え るため、地域と密接に関係のある稲作農業については具体的に理解させる必要がある。   そこで、本単元では日本の穀倉地帯として努力して築き上げてきた東北地方の農業の現状をとらえ、岩手の 農業と生徒の身近な地域の岩手町の農業にも触れながら東北地方の稲作の現状について理解させたい。農業が かかえている問題については稲作農家に係わっての減反政策や米の輸入自由化など農家の経営に与える影響に ついて気付かせる。いっぽう全国有数の果物生産地として津軽平野のりんご栽培や山形盆地のさくらんぼ生産 がある。さらに、東北自動車道や横断道や新幹線の高速交通網の完成により東京までの時間が短縮され地場産 業の伝統工芸や企業誘致が発展してきていることを理解させたい。   地理の授業において、生徒は地図からの地名の読み取りなどは積極的におこなうが、いざ発表の場面になる と声が小さくなり、消極的な発表となり元気が見られなくなる傾向となることが多い。   本校の研究から社会科での表現力とは「生徒が社会的事象や学習課題に対して自分の気持ちや考え、判断し たことを表現し相手に伝えることができること。」とする。   そこで、本時においては生徒の各班を基本にし、意見交換を相互に行い課題学習を解決しながら各班ごとに 学習をまとめ、小黒板に話し合った内容を工夫しながら要点を簡潔に記述し全体に発表する表現活動をおこな い、学習の活発化を図らせたい。 3 単元目標   1 米づくりや果樹栽培などの農業の現状や課題について意欲的に取り組み、さらに交通機関の発達にと もなう東北地方の変化に関心をもつことができる。(社会的事象への関心、意欲、態度)   2 米づくりの問題点について多面的に考察したり、東北地方の工業や果樹栽培の変化やその動向をとら えることができる。 (社会的な思考、判断)   3 土地利用図、高速道路網図、米の単位面積当りの収量の資料などからさまざまな地理的事象や分布の 状況を読み取ることができる。 (資料活用の技能、表現)   4 東北地方各地で見られる米づくり、果樹栽培、交通網の発達による工業の変化などを理解することが できる。 (社会的事象についての知識、理解) 4 指導計画 1 おいしい米づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間 (本時) 2 多彩な果物づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間 3 仙台とその都市圈・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間 4 伝統工業と新しい工業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間 5、 本時の指導    1 目 標 ・ 東北地方は、日本の穀倉地帯といわれる稲作中心の農業地帯であることや問題点がわかる。 2 展 開  +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+  |段階| 学 習 過 程 | 学 習 活 動 | 支 援 |  +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+  | | |1 全国順位の米の生産量(10位までの県)から東北 ・米の生産量の全国順位を提示  | 導 | | 地方に集中していることをつかむ。 |する。(TP1) |  | | 課題把握 | | |  | 入 | |2 生徒の中で農家が半数以上しめる事から岩|・岩手町の農産物の内訳を提示|  | | | 手町の耕種別を見せ農産物の内訳から稲作が|する。(TP2) |  | | | さかんなことを気付かせる。 | |  | | |3 学習課題の確認 | |  | | | +−−− 学習課題 −−−−−−−−−+ | |  | 10 | | | 東北地方の農業が米の生産量を上げ| | |  | 分 | | |るためにどのような努力をして来たの| | |  | | | |か。 | | |  | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | | | | | | |4 学習課題について予想をまとめる |・班ごとに机を向かい合わせた| | | | |形で相互に意見交換をさせる。| | | | ・機械化 | | | | | ・品種改良 | | | | | ・ビニ−ルハウスでの育苗 | | | 展 | 課題追究 | ・化学肥料 | | | | | | | | | |5 資料の読み取り |・班ごとのグル−プへ机間指導| | | | |する。 | | | | ・冷涼な東北地方で米づくりをするために | | | | | どんな努力をしてきただろうか。 |・班ごとに意見交換をさせる。| | | | ・低温に耐える品種の開発 | | | | | ・ビニ−ルハウスの育苗室の活用 | | | | | | | | | |6 現在、稲作農家はどんな問題点をかかえ |・各班ごとに結果を小黒板へま| | | | ているだろうか。 |とめさせる。 | | | | ・食料管理制度について | | | | | ・余剰米はどうして出たのでしょう |・資料の活用をさせる。 | | | | ・減反政策 |(班での資料からの調べ活動を| | 開 | | ・自主流通米 |させる) | | | | | | | | |7 米ばなれ、輸入自由化に農家の人々はど | | | | | う対応しようとしているだろうか。 | | | | | ・請負耕作で経営規模の拡大するのはどう |・みんなで意見交換をしながら| | | | してなのか。 |分かり易く工夫しながら小黒板| | | | |へまとめさせ、各自に理解させ| | | | |る。 | | | |8 学習課題をまとめ発表する。 | | | 30 | 課題解決 |(例) |・各班で意見交換を行い内容が| | 分 | | 農政の政策とのかかわりと冷害の被害にも |いくらかでも左記の例のまとめ| | | | めげずに品種改良などさまざま工夫をして |に近付くように生徒の自由な表| | | | 生産活動をして、おいしい米づくりにはげん|現の方法で発表させる。 | | | | でる。 | | +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | 終 | | | | | | 課題発展 | | | | 結 | |9 まとめ〜感想・自己評価 | | | | | (ノ−トにまとめる) |・各班の代表からまとめの感想| | 10 | | |を発表させる。 | | 分 | | | | +−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ 3 評 価 ・ 日本の穀倉としての東北地方の地位と現状について理解することができたか。 ・ 今日、日本の稲作農業が直面している問題について考察することができたか。 2学年 社会(地理的分野) 目標分析表 単元名 東 北 地 方 4時間扱い +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | 学 習 目 標 | 学 習 内 容 |時数| 到 達 目 標 | 社会的事象への 関心・意欲・態度 社会的な 思考・判断 資料活用の 技能・表現 社会的事 象についての知識・理解 +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | |「日本の穀倉」 | |・日本の穀倉としての|・東北地方が穀倉地帯|・今日、日本の稲作|・東北地方各県の米|・稲作農家がさまざま| |[社会的事象への 関心・意欲・態度] 穀倉地帯 | 1 |東北地方の地位と現状|とよばれるわけを調べ|農業が直面している|の収穫量の推移を示|な工夫をして米づくり| |・米づくりや果樹栽培|庄内平野の米作 | |について理解できる。|ようとする。 |米の輸入自由化に対|す統計資料から、日|に取り組んでいること| |などの農業の現状や課|「米づくりの努力」 | | | |して、国の政策が稲|本の穀倉地帯である|を説明することができ| |題について意欲的に取|冷害対策 | |・今日、日本の稲作農|・米の生産量をあげる|作農家に大きな影響|ことや政府の生産調|る。 | |り組み、さらに交通機|耐寒品種 | |業が直面している問題|るためにしてきた問題|を与えていることを|整の影響などを読み|・食生活の多様化に伴| |関の発達にともなう東|田植えを早める方法 | |について考察できる。|について調べようとす|考察することができ|取ることができる。|う米の輸入自由化など| |北地方の変化に関心を|「国際問題化する米」 | | |る。 |る。 | |が稲作農家に与える影| |もつことができる。 |米ばなれ | | | | | |響を理解することがで| | |米の輸入自由化 | | | | | |きる。 | |[社会的な 思考・判断 ] 高い米価 | | | | | | | |・米づくりの問題点に|「おいしい米づくり」 | | | | | | | |ついて多面的に考察し| | | | | | | | |たり、東北地方の工業| | | | | | | | |や果樹栽培の変化やそ|「りんごとさくらんぼ」 | 1 |・各県で果樹栽培が盛|・東北地方を代表する|・各県の果樹栽培が|・りんごづくりの農|・果樹栽培は収入を考| |の動向をとらえること|全国有数の果物生産地 | |んに行われていること|果物を進んで調べよう|自然条件を生かし、|家の苦労を、年間の|えて稲作と合わせた経| |ができる。 |津軽平野のりんご | |を理解できる。 |とする。 |他産地、他の果物、|りんご栽培の主な作|営をおこなう農家が多| | |山形盆地のさくらんぼ | |・りんご栽培の様子と| |輸入果物との競争の|業時期を示した図か|いことに気づくことが| | |「りんごづくりの苦労」 | |問題点について把握で|・りんごやさくらんぼ|なかで、さまざまな|ら読み取ることがで|できる。 | | |「りんごの品種改良」 | |きる。 |を栽培している農家で|工夫をこらしながら|きる。 | | |[資料活用の 技能・表現] 輸入果物との競争・高級品種 | |は収穫までにどのよう|行われていることを| | | |・土地利用図、高速道|の生産 | |・仙台市の地方中枢都|な仕事をしているのか|考察することができ|・りんご・みかんの| | |路網図、米の単位面積| | |市の役割を理解するこ|を調べようとする。 |る。 |生産量とバナナの輸| | |当りの収量の資料など| | |とができる。 | | |入量の推移を示すグ| | |からさまざまな地理的|「東北地方の中枢都市」 | | | | |ラフからりんごの栽| | |事象や分布の状況を読|地方中枢都市・東北地方の行| 1 |・地方中枢都市と周辺|・市街地が急速に鉄道|・仙台市を例にして|培状況や他の果物と|・仙台市が伝統を受け| |み取ることができる。|政の中心 | |地域とどのような関係|の沿線上に拡大してい|地方中枢都市の役割|の競争の状況を読み|継ぎながら、計画的な| | |「仙台都市圏」 | |にあるかを調べること|ることを調べようとす|がどのようなものか|取ることができる。|都市づくりを進めてい| | |政令指定都市・地下鉄の開通| |ができる。 |る。 |考察することができ| |ることを指摘すること| | |「広瀬川の清流を守る」 | | | |る。 | |ができる。 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | |[社会的事象についての知識・理解] 「多彩な伝統工業」 1|・東北地方の伝統的な|・交通高速化により東|・東北地方への新し|・主な伝統工芸品の|・伝統的な産業が観光| |東北地方各地で見られ|伝統工業・伝統的工芸品 | |工業について理解する|京との結びつきについ|い工業の進出によっ|分布図から各地に伝|資源として見直されて| |る米づくり、果樹栽培|「新しい工業の進出」 | |ことができる。 |て調べようとする。 |て、進出地域の人々|統工業が残っている|いる一方、後継者不足| |、交通網の発達による|加工組立て型工業 | |・新しい工業の進出に| |の生活にはどのよう|ことを読み取ること|の問題をかかえている| |工業の変化などを理解|先端産業 | |よって地域にどのよう| |な変化が出てきたの|ができる。 |ことにも気づくことが| |することができる。 | | |な変化がでてきたかを| |かを考えることがで| |できる。 | | | | |考察できる。 | |きる。 | | | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+