印刷用紙:B4縦 1ページの行数:80 1行の文字数(半角で):100   −−以下 指導案本文−−   第3学年社会科学習指導案 日 時 平成8年10月11日(金)第1校時 対 象 3年A組 (男18人 女13人 計31人) 場 所 3年A組教室 指導者 教 諭 柿 沢 伸 彦 1 単元名 「日本経済の課題」 2 単元について 教材観 本単元は、国民生活の向上や福祉の増大を図る観点から、経済的、社会的な諸問題について基礎的な理解 を得させ、個人や企業のあり方について考えさせるとともに、政府の果たす役割について理解させることを ねらいとしている。 具体的には、雇用と労働条件の改善、社会保障の充実、社会資本の整備、公害の防止など環境の保全、資 源やエネルギーの有効な開発・利用などについて取り上げ、それらの諸問題に関して基礎的な理解を得させ るとともに、課題を解決し生活の向上を図るためにはどのようなことが必要であるかについて、個人や企業 などの社会的責任をも含めて考えさせること。さらに、国民の経済生活の向上を実現するために国や地方公 共団体が果たしている役割を理解させることがねらいである。 また、本単元の学習は、身近で具体的な事柄の学習を通して経済生活に関する諸問題に着目させ、自ら考 えようとする態度を育てるものである。 生徒の実態 生徒たちは、落ちついた態度で授業に臨んでいる。しかし、公民的分野では、憲法や政治、経済学習など で専門用語や程度の高い事柄が出てくるため、理解が難しく苦手意識があり発言などはやや消極的である。 昨年度から、主体的な学習をさせるため、「適切な課題を設けて行う学習」として、調査発表学習を行っ ている。また、お互いの意見を討論し合えるディベートを取り入れた授業を実践することなど、学習形態や 指導過程の工夫により意欲的に授業に取り組むようになった。 指導観 経済的、社会的な諸問題に関しては、わが国における高齢化や都市化、産業構造の変化などの社会の変化 と関連させて扱うようにする必要がある。また、「公害の防止など環境の保全」については、人間の活動と 自然との調和を図るという観点から、環境の保全と改善を図ることの重要性について地球規模の視点からも 考えさせ、着実に行動する態度を培うことが大切である。 指導の工夫としては、資源やエネルギーの有効な開発・利用において、できるだけ生徒に主体的に授業に 臨ませるため、ディベートを取り上げることにした。ディベートは、論題にそって二つの対立する立場に分 かれ、調査活動をし自分なりにまとめて討論し勝敗を決めるというものである。この学習形態は、身近な問 題から論題を設定して調査し、討論し合うことによって自ら解決を図っていく方法を取っており、探求的な 学習を進める上で大切な手法の一つといえる。 3 環境教育との関連 公民的分野における環境教育にかかわる指導内容には、産業の発展に伴う公害や環境汚染、自然破壊など 地球的規模で発生している環境問題、限りある資源やエネルギーの有効な開発や利用、地球全体の生態系を 守るための国際協力などがある。これらの学習は、わが国の産業構造の変化や都市化の影響などと結び付け て指導するとともに、住み良い環境を維持・形成していくことに関心を持ち、身近で具体的な事例や確実な 資料に基づいて事実を正確にとらえ、公正に判断する能力や態度を育てることが大切である。 本単元では、資源やエネルギーの有効な開発や利用において、”原子力発電所の開発の是非”という具体 的な事例の論題でディベートを行うことにより、事象を正確にしかも多面的にとらえ、公正に判断する能力 と態度を育てたいと考えている。 4 指導目標 国民生活の向上や福祉の増大を図るためには、雇用と労働条件の改善、社会保障の充実、社会資本の整備 公害の防止など環境の保全、資源やエネルギーの有効な開発・利用などが必要であることを理解させる。 わが国の経済の基本的な課題に関する個人や企業の社会的責任や、国や地方公共団体が果たしている役割 について考えさせる。 経済生活が国際的なかかわりの中で営まれていることについて考えさせ、貿易の意義と役割を理解させる 世界経済の発展にとって国際的な協力が大切であることを理解させる。 5 指導計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18時間 国民生活と福祉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3時間 生活の豊かさを求めて・・・・・・・・・・・・1時間 せまる高齢化社会・・・・・・・・・・・・・・1時間 安心して働くために・・・・・・・・・・・・・1時間 環境の保全と資源・エネルギー・・・・・・・・・・・・・10時間 経済成長のもたらしたもの・・・・・・・・・・2時間 環境問題・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間 限りある資源を有効に・・・・・・・・・・・・6時間(本時6/6) 今農業は・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間 世界のなかの日本経済・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5時間 ヒト、モノ、カネが国境をこえる・・・・・・・1時間 円高、円安がひきおこすもの・・・・・・・・・1時間 強まる利害の対立・・・・・・・・・・・・・・1時間 新たな道を求めて・・・・・・・・・・・・・・1時間 発展と停滞のはざまで・・・・・・・・・・・・1時間 「限りある資源を有効に」の指導計画(6時間) +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |時 | 学 習 内 容      | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |・資源、エネルギーの問題について資料などを使って把握させる。 | | |・調査課題、論題を設定する。 | | | 調査課題「日本の資源・エネルギーの状況について」 | |1時| 「原子力発電の開発の様子、しくみ、安全性について」 | | | 「新しいエネルギーの開発について」 | | | 「省エネルギーについて」 | | | 論 題 「日本は新たな原子力発電所を必要としている。」 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |・調査課題、論題を選択する。 | |2時|・調査方法や内容、役割分担などの調査活動計画を立て、調査活動を行う。 | | |・立論するための準備をし、調査活動を行う。 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |3時| | | ∫ |・発表、ディベートをするための調査活動と資料作成。 | |4時| | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |5時|・調査内容を発表しあい、資源・エネルギー問題について考察する。 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |6時| 学習課題「ディベートを通して、資源・エネルギーの有効利用について考えよう」| | 本 |・ディベートを行い、それを通して、エネルギーの有効利用について自分なりの考え| | | を持たせる。 | | 時 | 論 題 「日本は新たに原子力発電所を必要としている。」 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 6 本時の指導 題材名 「限りある資源を有効に」 指導目標 ディベートを通して、資源・エネルギーの有効利用について自分なりの考えをまとめることができる。 話し合うことの大切さを知り、話し合いに進んで参加しようとする態度を養う。 展開 ◎ 留意点 ○ 教材、教具 +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | 学 習 内 容 | 予 想 さ れ る 生 徒 の 活 動 | 指導上の留意点 | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |導|1、前時までの学習を想|1、資源・エネルギー問題について問題点を確認|○資料 | | | 起する。 | する。 | | | | | ・資源、エネルギーの海外依存度が高い。 | | |入| | ・エネルギー使用が増加している。 | | | | | ・現状では発電量が足りなくなる。 | | | | | | | |5|2、本時の学習課題をつ|2、本時の学習課題を把握する。 | | |分| かむ。 |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | +−+−−−−−−−−−−−++ディベートを通して、資源・エネルギーの有++−−−−−−−−−−+ | | ||効利用について考えよう。 || | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |3、ディベートの論題を|3、本時の論題が「日本は、新たな原子力発電所|◎ディベートの仕方に| | | 確認する。 | を必要としている。」であることを確認する。| ついて簡単に説明し| | | 論 題 | ・事前に立論をするための資料を用意する。 | 発表の態度や聞く態| | |「日本は、新たな原子力| ・事前に決まっていた対戦相手とのディベート| 度について指導する| | | 発電所を必要としてい| の準備をする。 |◎司会は教師が行う。| |展| る。」 | |◎できるだけ事前に資| | | | | 料を準備するように| | | | | 指導しておく。 | | |4、ディベートを行う。|4、ディベートを行う。 | | | | | | | | | 立論 | ディベーター側 判定側 |○立論構成用紙、質問| | | | 肯定側と否定側とも 両方の主張を聞いて| 予想用紙、フローシ| | | | 根拠をはっきりさせ それぞれの根拠をフ| ート | | | | ながら主張を行う。 ロ−シートにまとめ| (ディベーター側)| | | | る。 |○採点用紙、フローシ| | | | | ート(判定側) | | | 質問 | それぞれの主張に対 質疑・応答を聞きな|◎班員全員が発言でき| | | | し、疑問点や矛盾点 がら、どちらの主張| るように役割分担す| | | | をつきながら、質疑 がより良い考えかフ| る。 | | | | ・応答を行う。 ローシートにまとめ| | | | | る。 | | | | | | | | | 作戦タイム | 質問に答えれなかっ 立論・質問内容を整| | | | | た点や再度強調した 理する。 | | | | | い点をまとめる | | | | | | | | | 最終弁論 | 自分たちの考えを最 最終弁論を聞いて、| | |開| | 終的にまとめ、主張 今までの内容をまと| | | | | を行う。 め、どちらの考えが| | | | | 良いか判定する。 | | |25| | | | |分| 判定 | ディベートの判定を下す。 |◎説得力と話し方の点| | | | | から審査をするよう| | | | | 指導する。 | | |5、ディベートを受けて|5、ディベートを受けて原子力発電について自分|○学習シート | | | 原子力発電について自| なりの考えをまとめ、発表する。 | | | | 分なりの考えを持つ。| | | | | | | | | |6、資源・エネルギーの|6、資源・エネルギーの有効利用について考えを|○学習シート | | | 有効利用について考え| まとめて発表する。 | | | | る。 | | | | | | | | | | 原子力発電の必要性| 原子力発電の必要性について考え、発表する|◎事故の危険性につい| | | | | ても考えさせる。 | | | エネルギー資源の有| エネルギー資源の有限性について考え、発表| | | | 限性 | する。 | | | | | | | |15| 資源・エネルギーの| 資源・エネルギーの有効利用ついて考え、発|◎実践できるような自| |分| 有効利用 | 表する。 | 分なりの考えを持た| | | | | せる。 | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |終|7、本時を振り返る。 |7、本時を振り返る。 |○学習シート | | | | 学習シートに授業の感想を書いて発表する。| | |末| | 学習シートに自己評価を記入する。 | | |5| | | | |分|8、次時の予告をする。|8、次時の学習内容について知る。 | | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ 評価 ディベートを通して、資源・エネルギーの有効利用について自分なりの考えをまとめることができたか 積極的に授業に参加できたか。