中学校2年 特別活動/道徳(学習と部活動の両立を求めて)指導案 黄海中学校 用紙は A4 縦  1行 90字(半角) 1ページ 36行に設定してください。  ・学・級・活・動  ・道・徳  教科以外の「学級活動」とか「道徳」の授業の場合の「三層指導」をどのように展開していったら よいか非常に問題になった。これらの教科は、この1時間の授業の中で何ができればよいのかという 目標を個人個人で考えていくと、はっきりした言葉で表わすのは大変難しい。  これらの授業の目的がどちらかというと、「自分の考えを深めること」に重点がおかれているので、 これができればよいというかたちに明確に表現することができるのかどうかの点から問題が出てくる ことになる。したがって、いくつかの問題点をかかえながらも、この課題については上位の生徒はこ こまで考えてほしいし、中位の生徒にはここまでは考えてほしいし、下位の生徒にも是非ここまでは 考えてほしいという形で目標を表わしてみることにした。  しかし、やってみて、生徒の発言を求めてみると、どうしても生徒の頭の中で考えていることを深 めるというよりは、発表などの「表現の力」を求めているような形式になってしまいがちである。し たがって、「三層」に求める「到達レベル」の設定の中身については今後の大きな課題といってよい だろう。           ・学・級・活・動・指・導・案                            平成2年6月14日(木) 5校時                            第 2 学 年 A 組                            生徒数 男子8名 女子14名 計22名                            指導者  三  浦  敏  子 1.主題名  「学習と部活動の両立を求めて」 2.主題設定の理由   1年の学業指導では、「学習の仕方」から始まり「学業生活の充実」まで    扱ってきた。2年では、1年のときよりも踏み込んだ形での指導をしていきたい。     入学してから1年経過した2年生は、中学校の4〜3月までの生活の仕方がわかったところ    である。そのような慣れから生じる惰性に陥りがちな今の時期に、学習と部活動の両立を図っ    て健全な学業生活づくりを進めていきたいものである。     1・2年生は4月合同宿泊学習を経験し、集団の中で自己の果たす役割について学び、メン    バーはメンバーなりに育ち、特にも、リーダーが成長して帰ってきた。そして、協力し合う、    活動する学級を目指して取り組んできた。しかし、個々を見ると、自分の意思で選択した部活    動にも消極的な参加であったり、1年で定着しかけた家庭学習の習慣が中断している者のもあ    る。ここでは、部活動と学習を両立させるために、特に学習をどのように効率的に進めていっ    たらよいか、学習時間をどのように確保していったらよいかを考えさせ、実践させていきたい。 3.ねらい   自己の学習についての課題を把握し、話し合い活動の中で、効率的な学習や学習時    間の確保の方法を見付け、実践への意欲化に結び付けることができる。                      44 4.事前指導と準備    (1).研究授業についての内容の予告    (2).「学習」についての調査(家庭学習の時間、環境、方法、授業における留意点)    (3).自己の学習について課題を書かせる。(気付いているか。)    (4).先輩(昨年の卒業生)2名から「学習と部活動の両立」について手紙を書いてもらう。 5.本時の展開  過程     学習活動       指導上の留意点     資 料     評 価  意  1.学習と部活動の両立を 自分の課題と関わらせなが 「学習と部活 自分との比較で  識  させるための工夫を調査結 ら発表させ、同じ課題を持 動の両立の工 発表できる。  化共 果の提示から感想を発表す つ者に共感させたい。   夫」 紙板書   通 る。   化    学習と部活動を両立させる方法を考えよう。  原  2.家庭学習の時間と時間 時間の少なさ、TVに左右 「家庭学習の 原因について発  因  帯について、問題と原因に されることに気付かせたい。時間と時間帯」表できる。  ・  ついて考え、発表しあう。                紙板書  理  3.授業への取り組みにつ 授業へ取り組む姿勢につい        原因について発  由追 いて、問題と原因について て気付かせたい。            表できる。  の求 考え、発表しあう。  解  4.家庭学習の時間と時間 TVの適度な視聴と学習時 記録用紙   発表を聞くこと  決  帯をどのようにしていけば 間との関係が明らかになる        ができる。  の  問題が解決するか話し合う。ように発表させたい。  手  5.先輩からの手紙を読ん              先輩からの  自分と比較して  立  で自分の問題解決に役立て 参考になる部分はないか。   手紙   聞くことができ  の  る。                               る。   追 6.授業の取り組みで明日 自分たちの実行可能なこと        自分なりの発表    求 からでも実行できることは にも目を向けさせたい。          ができる     ないか話し合う。  実  7.今日の話し合いで参考 自分たちの生活向上意欲に 記録用紙   自分の課題の解  践意 になったことをまとめる。 つながらせたい。            決をまとめるこ  の欲 8.自分の課題解決策を発                     とができる。   化 表しあう。                    45 6.事後指導    個々の課題が解決されたかどうか確認し、解決されていない時には、個人指導にあたりたい。 7.評価    ・自分の課題を把握できたか。    ・発表がとどこおることなくできたか。    ・課題解決の方策をまとめることができたか。 目標分析  最終到達目標(G) 自分の学習と部活動を両立させる方法を考えて発表することができる。  下位行動目標  ◎@.学習、部活動両立のために、当面の自分の対策を考え発表できる。   A.授業の取り組みで、自分がすぐ実行できそうなことは何か発表できる。   B.自分の家庭学習において、内容面でどんな工夫ができるか発表できる。   C.自分の家庭学習の時間帯をどのように設定していけばよいか発表できる。  ◎D.先輩の手紙の内容と自分の現在の学習内容、方法を比較してその違いを発表できる。   E.授業に集中できない原因について考え発表できる。   F.TVの適度な視聴について方法を考え発表できる。   G.学習時間を少なくする原因の一つがTVであると発表できる。    H.家庭学習時間を少なくする原因について考え発表できる。  ◎I.学習と部活動を両立できない原因について考え発表できる。  R○.クラス全員の調査結果の中から、みんなが学習と部活動を両立させたいと願っている事実を     発表できる。  R○.自分が学習と部活動とを両立できない事実を把握し、発表できる。    (この目標のうち◎印がついているものが、この授業でのポイントで、        次のページに出てくる「到達レベル」の分析がなされているものである。)  形成関係図     R○       H          B          I   G   F   D       @  G     R○       E         C  B                        A  この他の「調査用紙」 「自己評価表」 「先輩からの手紙」などの資料は省略する。                      46 「三層」に求める到達レベル      下   位          中   位         上   位  I.学習と部活動を両立できない原因について考え、発表できる。  「部活で疲れたから」とか「T 「部活をやって帰ると、疲れ 「やらなくてはならないという  Vを見ているから」など、   ていて、自分の場合はすぐご 気持ちはあるのだが、どうして  ともかく、短い単語の形ででも ろっとなってしまう」 「毎 も体の方が疲れていてやる気が  発表できることをねらう。   週見ているTVがあって、そ おきない」 「自分には『どう                 を見ないと気がすまない」な にかなる』という甘い考え方が                 ど、自分が現実にやっている ある」など、自分の内面、精神                 事実を文の形で発表できる。 面まで含めた発表ができる。  D.先輩の手紙の内容と、自分の現在の学習方法を比較して、その違いを発表できる。  「○時間も勉強していてすごい」「今の自分は○○だけれど、 中位の内容に加えて、  とか、「2年生のうちから○○ 先輩は○○だった」と    「その時、先輩は○○と考えて  について考えていた」など、先 はっきり比較の形で発表でき ○○していたのではないか」な  輩の手紙の中から事実を抜き出 る。            ど、先輩の思考にまで話が及ぶ  して発表できる。                     ような発表ができる。  @.学習、部活動の両立のために、当面の自分の対策を考え、発表できる。  「授業中に無駄話をしない」  「部活が長いのだから、家に 「まず授業に集中し、授業の中  「ノートを必ずとるようにする」帰ったならTVを見る時間を でできるだけたくさん覚える。  など、内容が低いレベルではあ 少なくする」とか、「部活で 家に帰ってからの学習は内容を  っても、「なんとかしなくては 疲れていても毎日学習する時 精選する」とか、「TVと学習  ならない」という前向きの気持 間を決めていて、習慣づけを の重要性についてどちらが大事  が出ていればよい。      する」など、部活との関連で かをよく判断していく」など、                 方法を発表できる。     高いレベルの内容の発表を求め                               る。                      47 ◎.進め方のパターン   個々の生徒の思考内容、考えの深まりを発表させていく場合、はっきりしたこれという答えはな  いのであるから、あらかじめ教師側が意図したレベルの内容を含んだ発表ができればそれでよしと  しなければならない。そこで、前ページに記したような「三層に求める到達目標」を設定してみた  のだが、それを授業の場面ではどのように取り扱っていったらよいかの「進め方のパターン」を作  ってみた。    @  発 問            @.まず教師が発問する。                        (ゆっくり、わかりやすく、言葉を選んで)    A  指 名            A.上位・中位・下位の目的とする生徒に指名                        する。    B  発 表            B.生徒が発表する。                 G      (数人に発表を続けさせてもよい)                  助言  C.生徒がまったく違った方向の答えをした時    C  教師が   D          に判断をする。      求めている    教師     D.もう一度発問をしなおすとか、教師が求め       答えか No   判断       ていることを説明しなおすなど。         Yes            E.教師は求めている到達レベルに達している                F  Yes    かどうかを判断する。    E レベルに       時間が  F.時間に余裕があるかどうか判断する。      達して        あるか  G.時間に余裕がある時は、生徒の発表が深ま       いるか No       No    るように助言をあたえる。そして、もう一         Yes       H      度指名する。                  補足  H.時間がない時は、足りない部分を教師が補    I  まとめ              う。                      I.発表に着いて教師がまとめ、次へ進む。