印刷用紙:A4縦 1ページの行数:45 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−   全校生徒集会指導案                                             日 時 1996年11月19日(火)1校時                       対 象 全校生徒(男子 136名女子 138名計 274名)                       場 所 体育館                       指導者 教諭 古川里美 田原倫夫 他全校教諭 1 集会名  「生徒会役員引き継ぎ式」(全校集会) 2 集会の設定理由  昨年12月、生徒会を引き継いだ96年度執行部は、第1回のリーダー研修会の席上「リーダーは 、常に全校の模範でいよう」とする、基本的な意識のあり方を確認した。その後「夢に向かって突き 進め!」といった理想の学校像を求めての新年度スローガンを提起し、生徒一人一人が母校宮野目中 学校に自信と誇りが持てるようにと、精力的な活動を展開してきた。合同トレーニングや円陣バレー 記録会の新規導入、予餞会・体育祭・文化祭の大幅な内容変更、生徒心得(校則)の改善、生徒会組 織の抜本的な改正に伴っての専門委員会の活動活性化と、最も基本となる学校生活の向上と生徒会行 事の充実を目指し、真剣な取り組みがなされてきたのである。  そして、こうした自立と自治意識の高揚は水泳・陸上の東北大会出場、吹奏楽部の県大会最優秀賞 、地区陸上での大規模校を押えての学年優勝など、対外的にも目覚ましい成果として、その結果を残 してきている。こうして一気に大改革を推し進められてきた最大の要因は、勿論のこと生徒達自らの 強烈なエネルギーがあったからこそと断言することができる。そしてその根底には、苦労(50号を 越える生徒会機関紙の発行・夜遅くまでの議案書づくり等)を惜しまず全校生徒の願いと、希望をか なえていくための使命感が、しっかりとリーダーたちの心の中に根付いていたことが、そのパワーを 全開に引き出してくれていたものと考える。全校生徒の喜びを創りだしていくことに、自分たちの仕 事の本当の楽しさが味わえる真のリーダーとしての資質を、彼等は自分たちの力で育み感じ取れるま でに成長してきていたのである。  したがってこの場では、先日の生徒総会「宮中生徒会宣言」の採択で、今年度の活動を締め括った 旧生徒会役員の功績を全校生徒で讃え合い、これまでのリーダーたちに心からの感謝の気持ちを伝え ていくことを目的としたい。加えて、旧役員全員からの退任の挨拶によって、今後この生徒会を引き 継いでいく1・2年生への激励と、責任の自覚を促していくことによって、母校を更に発展させてい こうとする決意を、新たに確認していくねらいを持って本集会を設定した。  3 ねらい (1) 1年間の生徒会活動の成果を振り返るとともに、今後あるべき理想の宮中(生)像を「生     徒会宣言」を持って確認しあう。 (2) 生徒会リーダーとしての本当の苦しみや辛さ、また喜びや満足感について、各役員からの     生の声に耳を傾けることによって理解し、リーダーが持つべき姿勢について考えを深める。  (3) 旧生徒会役員への感謝と、生徒会の更なる発展の決意を全校合唱の形で現し、宮中生であ     ることの喜びを共感しあう。 4 研究主題との関連  自主活動を活性化・活発化していくためには、何よりも自分たちが所属する集団内での自治意識を 高めていくことが重要な課題であった。ともすれば教師側が主導権を握りがちな学校生活において、 その主体が自分たち生徒であることの自覚を促されたとき、彼等は積極的にその向上を目指し、活動 を展開してくることができた。また、それに付随した形で母校宮中に対する誇りやプライドを持とう とする自律意識が呼び覚まされ、意識的に改善行動が起こせるようになってきたところにも、現在の 発展する宮野目中学校の姿はあるのだと思う。  体育祭・文化祭の革命的な大変革も、「より楽しく!より感動的な内容に!」という純粋な要求か ら、じっくりと原案を討議する過程の中に連帯意識を育みつつ、それぞれに中間発表会や総決起集会 を盛り込みながら、「感動の嵐」を巻き起こす準備を着々と整え、すべてを大成功のうちに納めてく ることができた。こうしてこれまで蓄えてきた力は、冒頭で述べた外にも県新人大会での相撲準優勝 、「心の輪を広げる体験作文」県最優秀賞、地区独唱大会優秀賞と輝かしい成果を目白押しで打ち立 ててきている。まさに生徒と教師が一体となって、双方が持ちえる能力すべてを出し切れる雰囲気が 整ってきていることに、大きな喜びを感じられてきているのである。   したがって本集会は、これら活発な生徒会活動を常にリードしてきた本年度役員の情熱と、その努 力の道筋を、退任の挨拶の中か +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | 集会の次第 | 生徒の活動 | 活動への援助と留意点 | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |活|1.生徒入場 |・先に2年生、1年生が入場。新生徒会役|・入場の順番および整列の| |動| |員の指示のもと、「キャプテン」を歌いな|隊形確認。所属学年の中で| |の| |がら3年生を迎える。 |生徒たちと一緒に歌いなが| |開| | |ら整列を完了させたい。 | |始|2.開会の言葉 |・新書記長の進行のもと、副会長が通告す|・大きな声で、元気よく通| |5'|   |る。 |告させたい。 | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |3.旧執行部 |・旧執行部役員が登壇する。 |・旧生徒会担当が、一人一| | | 役員紹介 | |人の活躍ぶりに簡単に触れ| | | | |て紹介する。挨拶を行なう| | |4.旧執行部役員|・これまでの活動の成果や反省・課題点、|生徒が、話を進めやすい雰| | | 退任の挨拶 |それにまつわるエピソードなどの思い出を|囲気をつくりたい。 | | | |自分の言葉として語る。 |・挨拶後の拍手を忘れない| | |5.記念品授与 |・新生徒会から旧生徒会役員へ、手作りの|速やかに贈呈が終えられる| |活| |記念品を贈る。 |よう事前の打ち合わせと、| | | | |そのタイミングの指示を行| | | | |なう。 | |動|6.生徒会旗伝達|・旧生徒会長から新生徒会長へ生徒会旗を|・万感の思いを生徒会旗に| | | |引き継ぐ。 |託して引き継がせる。手渡| | | | |した後の握手を大切にさせ| |の| | |たい。 | | |7.新生徒会長 |・生徒会を引き継ぎ、更に発展させていこ|・原稿は用意させるが、集| | | 決意の言葉 |うとする強い決意を発表する。 |会の流れの中から自分の気| |展| | |持ちを折り込んで決意が述| | |8.旧生徒会長 |・新生徒会長の決意に対する励ましの言葉|べられる様にしたい。 | | | 激励の言葉 |と、この会を開催してくれた下級生への感|・退任の挨拶と混同せぬ様| |開| |謝の言葉を贈る。最後に、宮中生徒会宣言|晴やかな気持ちで最後を締| | | |の朗読をもって、今後の生徒会活動に対す|め括りたい。 | | | |る意志を確認し終了する。 | | | |9.合唱 |・3年生と、1・2年生が向かい合い合唱|・担当学年が速やかに行動| | | |隊形をつくる。 |できるよう、必要があれば| | | 3学年合唱 |・新たなフェニックスの登場を願う気持ち|指示を行なう。 | | |「フェニックス」|を3学年指揮者が伝え、始めに3年生から|・指揮者の合唱意図を、生| | | 全体合唱 |下級生にむけ「フェニックス」の歌を贈る|徒と共に心から聞き入れ、| | |「青葉」 |・次に2学年指揮者が、清々しくきらめく|一緒に歌うなどの支援がで| | | |青葉のような生徒会を目指す下級生の気持|きると良い。 | |40'| |ちを説明し、全校で「青葉」を合唱する。| | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |活|10.生徒退場 |・全校で、「キャプテン」を歌いながら、|・笑顔と拍手を持って3年| |動| |3年生だけが退場する。 |生を送りたい。 | |の|11.集会のまとめ| |・新生徒会担当者から、集| |ま| と呼び掛け | |会のまとめとこれからの決| |と|12.閉会の言葉 |・感激の言葉を含めて副会長が通告する。|意の呼び掛けを行なう。 | |め| | | | |5'|   | | | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+  (3)事後活動  @ 本集会の感想を、翌日のまとめの時間を使って各クラスごとに発表しあい、感想文として    まとめる。   A 学級ごとに寄せられた感想と、新旧役員の感想を織り混ぜる形で、「雄飛の翼」最終号を    発行する。     B 3年生全体で、新生徒会を支援する活動を組織する。   ex.合トレの模範演技参加や、新規リーダー研修会への参加など。 7 評価  (1)本集会活動に対して、主体的に関わる事ができたか。  (2)生徒会リーダーの苦心の活動成果が理解できたか。 (3)生徒会活動が持つ本来的な自治活動機能と、その可能性について理解が深められたか。 (4)本集会を通して、宮中生でいられることへの喜びが感じられたか。 4 研究主題との関わり  自主活動を活性化・活発化していくためには、何よりも自分たちが所属する集団内での自治意識 を高めていくことが重要な課題であった。ともすれば教師側が主導権を握りがちな学校生活におい て、その主体が自分たち生徒であることの自覚を促されたとき、彼等は積極的に学校生活すべてに 対してその向上を目指し、活動を展開してくることができた。また、それに付随した形で自分の学 校に対する誇りや、プライドを持とうとする自律意識が呼び覚まされ、意識的に改善行動が起こせ るようになってきたところにも、現在の発展する宮野目中学校の姿はあるのだと思う自分たちが 求める理想の学校生活、生徒会行事を更に発展させていこうといった真摯な姿勢の中から、生徒会 組織の再編・心得(校則)の改善行動は実現し、全クラブ参加での合同トレーニングや、円陣バレ ー記録会などの新企画導入がなされていった。体育祭・文化祭の革命的な大変革も、「より楽しく !より感動的な内容に!」という純粋な要求から、じっくりと原案を討議する過程の中に連帯意識 を育みつつ、それぞれ中間発表会や総決起集会を盛り込む中から、「感動の嵐」を巻き起こす準備 は整えられ、すべてを大成功のうちに終らせてくることができた。   この外にも、県新人大会 での相撲準優勝、「心の輪を広げる」作文県最優秀賞、地区独唱大会優秀賞と輝かしい成果は目白 押しで続き、まさに生徒と教師が一体となって、双方が持ちえる能力すべてを出し切れる雰囲気が 整ってきていることに、大きな喜びを感じることができている。 したがって本集会は、これら活 発な生徒会活動を常にリードしてきた本年度役員の情熱と、その努力の道筋を、退任の挨拶の中か ら全校生徒で学びあい、お互いの良さを認めあう中から、更なる宮中生徒会の発展を誓い合うもの である。また、後半部分では、全校唱合をもって宮中生としての喜びを共感しつつ、自分たち一人 一人の可能性を信じ、一層の自治意識高揚に結び付けていこうとするねらいをもつものである。 3.場所 宮野目中学校体育館 | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−ステージ−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | <式場の体形> [ 旧 生 徒 会 役 員 ] | | [ 新 生 徒 会 役 員 ] | | +−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−+ | | | | | A組 B組 C組 | |来| | | | | | | |賓| | | |来| | 3 年 生 | |席| | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−+入 | |賓| 口 | | | +−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ +−+ | | |席| | A組 B組 C組 | | A組 B組 C組 | |来| | | | | | | | | |賓| | | | | | 1年生  | | 2年生  | |席| | | +−+ +−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ +−+ | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 来 賓 席 | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+  | [いじめ問題発生防止のための指導事例]花巻市立宮野目中学校  教諭 古川里美  1.基本方針  いじめ・不登校の増加と、家庭崩壊・養育放棄、潜在的な性情報の蔓延など、学校現場を取り巻 く状況は、年々その困難性の度合いを高めてきている。したがって、これらの要因が複雑に絡み合 って不適応症状を見せる生徒への対応は、一度限りの場当り的な指導ではおよそ解決が不可能な場 合が多く、学校カウンセラーなどの導入が図られているのだと考えられる。しかしながら、いじめ ・不登校を招いてしまう根本原因は何なのかと問うてみた場合、これは明らかに生徒たちにとって 、学校生活が楽しめる場ではなくなってきている事実に、われわれ現場教師は気付けてこなかった ことを、私は指摘したい。かみ砕いて言えば、自分の存在感が認められない、いだけない学校生活 に子供達は、持ち得ているそれぞれの能力や、その意欲を喚起されることがないまま、ただ漫然と 日々を過ごす状態に追い込められてはいなかったかということである。そして、ここで加えておき たいことは、やりたいことができていかない、自己実現できないストレスをより多く抱えているの が、意外に成績優秀と目されている生徒に多いことなのである。こうした点に鑑み、昨年本校に赴 任して以来、私が基本理念に据えてきたことは、学校生活を主人公である子供達の手に返していく ことであった。具体的には、以下の実践例に列挙された内容があげられるが、特に力を加えた部分 は真のリーダー育成と、自治意識の高揚を狙ったお互いを磨きあい、高めあえる集団づくりである 。 2.取り組みの内容  昨年12月、生徒会を引き継いだ96年度執行部は、第1回のリーダー研修会の席上「リーダー は、常に全校の模範でいよう」とする、基本的な意識のあり方を確認した。その後「夢に向かって 突き進め!」といった理想の学校像を求めての新年度スローガンを提起し、生徒一人一人が母校宮 野目中学校に自信と誇りが持てるようにと、精力的な活動を展開してきた。合同トレーニングや円 陣バレー記録会の新規導入、予餞会・体育祭・文化祭の大幅な内容変更、生徒心得(校則)の改善 、生徒会組織の抜本的な改正に伴っての専門委員会の活動活性化と、最も基本となる学校生活の向 上と生徒会行事の充実を目指し、真剣な取り組みがなされてきたのである。  そして、こうした 自立と自治意識の高揚は水泳・陸上の東北大会出場、吹奏楽部の県大会最優秀賞、地区陸上での大 規模校を押えての学年優勝など、対外的にも目覚ましい成果として、その結果を残してきている。 こうして一気に大改革を推し進められてきた最大の要因は、勿論のこと生徒達自らの強烈なエネル ギーがあったからこそと断言できるが、その根底には、苦労(50号を越える生徒会機関紙の発行 ・夜遅くまでの議案書づくり等)を惜しまず全校生徒の願いと、希望をかなえていくための使命感 が、しっかりとリーダーたちの心の中に根付いていたことが、そのパワーを全開に引き出してくれ ていたものと考える。全校生徒の喜びを創りだしていくことに、自分たちの仕事の本当の楽しさが 味わえる真のリーダーとしての資質を、彼等は自分たちの力で育み感じ取れるまでに成長してきて いたのである。                         3.成果と課題  自主活動を活性化・活発化していくためには、何よりも自分たちが所属する集団内での自治意識を 高めていくことが重要な課題であった。ともすれば教師側が主導権を握りがちな学校生活において 、その主体が自分たち生徒であることの自覚を促されたとき、彼等は積極的に学校生活すべてに対 してその向上を目指し、活動を展開してくることができた。また、それに付随した形で自分の学校 に対する誇りや、プライドを持とうとする自律意識が呼び覚まされ、意識的に改善行動が起こせる ようになってきたところにも、現在の発展する宮野目中学校の姿はあるのだと思う 自分たちが求 める理想の学校生活、生徒会行事を更に発展させていこうといった真摯な姿勢の中から、生徒会組 織の再編・心得(校則)の改善行動は実現し、全クラブ参加での合同トレーニングや、円陣バレー 記録会などの新企画導入はなされていった。体育祭・文化祭の革命的な大変革も、「より楽しく! より感動的な内容に!」という純粋な要求から、じっくりと原案を討議する過程の中に連帯意識を 育みつつ、それぞれ中間発表会や総決起集会を盛り込む中から、「感動の嵐」を巻き起こす準備は 整えられ、すべてを大成功のうちに終らせてくることができたのだ。 先の外にも、県新人大会で の相撲準優勝、「心の輪を広げる」作文県最優秀賞 自治意識を育み、集団生活に楽しみと喜びが見い出せる生徒会指導のあり方 学校本来への原点回帰は、いじめ・不登校の積極的解消策                                    花巻市立宮野目中学校                                     教諭 古川里美  1.基本的な姿勢   いじめ・不登校の増加と、家庭崩壊・養育放棄、潜在的な性情報の蔓延など、学校現場を取り巻く状 況は、年々その困難性の度合いを高めてきている。したがって、これらの要因が複雑に絡み合って不適 応症状を見せる生徒への対応は、一度限りの場当り的な指導ではおよそ解決が不可能な場合が多く、学 校カウンセラー等の導入が図られてきているのだと考える。しかしながら、いじめ・不登校を招いてし まう根本原因は何なのかと問うてみた場合、これは明らかに生徒たちにとって、学校生活が楽しめる場 ではなくなってきている事実を、われわれ現場教師は見逃してきていたのではないか。端的に言えば、 自分の存在感が認められない、いだけない学校生活に子供達は、持ち得ているそれぞれの能力や、その 意欲を喚起されることがないまま、ただ漫然と日々を過ごす状態に追い込められてはいなかったかとい うことである。そして、ここで注目しておきたいことは、やりたいことができていかない、自己実現で きないストレスをより多く抱えているのが、意外にも成績優秀と目されている生徒に多いことなのであ る。こうした点に鑑み、昨年本校に赴任して以来、私が基本理念に据えてきたことは、学校生活を主人 公である子供達の手に返していくことであった。具体的には、以下の実践例があげられるが、特に力を 加えた部分は真のリーダー育成と、自治意識の高揚を狙った民主的な学校・生徒会行事の企画・運営と 、お互いを磨きあい、高めあえる人間集団本来への回向を目指した生徒会づくりであった。2.実践の 概要 昨年12月、生徒会を引き継いだ96年度生徒会執行部は、冬季休業中に行なわれた第1回リー ダー研修会の席上「リーダーは、常に全校の模範でいよう」とする、基本的な意識と姿勢のあり方を確 認した。その後「夢に向かって突き進め!」とする理想の学校像を求めての新年度スローガンを提起し 、生徒一人一人が母校宮野目中学校に自信と誇りが持てるようにと、精力的な活動を展開してきた。  全クラブ合同でのサーキットトレーニングや、学級の連帯感を高めようと導入された円陣バレー記録 会、予餞会・体育祭・文化祭の大幅な内容変更、生徒心得(校則)の改善、生徒会機構の抜本的な改正 に伴っての専門委員会活動の活性化と、最も基本となる学校生活全般にわたっての向上と、生徒会行事 の充実を目指し、真剣な討論と、改革への取り組みがなされてきたのである。そして、こうした自立と 自治意識の高揚は水泳・陸上の東北大会出場、吹奏楽部の県大会最優秀賞、地区陸上での大規模校を押 えての学年優勝など、対外的にも目覚ましい躍進として、その成果を裏付けてきた。          こうして一気に大改革を推し進められた最大の要因は、勿論のこと生徒達自らの「もっと楽しく、感 動的に!」といった、学校に対しての強烈なエネルギー注入を目指そうとする意識があったからこそと 断言ができるが、その根底には、苦労(50号を越える生徒会機関紙の発行・夜遅くまでの議案書づく り等)を惜しまず、全校生徒の願いと希望をかなえていくための使命感がリーダーたちの心の中にしっ かりと根付いていたことが、そのパワーを全開に引き出してくれていたものと考えられる。全校生徒の 喜びを創りだしていくことに、自分たちの仕事の本当の楽しさが味わえる真のリーダーとしての満足感 を、彼等は自分たちの力で育み、感じ取れるまでに成長させてきていたのである。  1.具体的実践例:「感動の嵐」を巻き起こした文化祭大改革への試み 生徒会長の溢れる感涙の中 で締め括られた体育祭。学級ごとの連帯感を更に深めようと取り組 まれてきた円陣バレーボール記録 会(1497回の新記録はスゴイ!)。文化祭までの生徒会活 動や行事を振り返ると、昨年までは予 想もしなかった生き生きとした笑顔が、日常生活の中に飛び交い根付いてきた感じがあった。しかしな がら、それだけに迎える96年度「宮中祭」をどう創りあげていくのかといった発展的な問い掛けに対 しては、正直言ってこの生徒会担当である私ですら、手をこまねきたくなるような伝統が立ちはだかっ ており、その改革に腰を上げることが本当に的を得たものになるのだろうかといった不安を掻き立て、 足踏みさせていた。  参考までに昨年までの内容は、合唱コンクール・学級展示・教科展示 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 宮中生徒会宣言 | | | | 私たち宮野目中学校生徒会は、明るく楽しく、かつ活気あふれる学校生活を築いていく | | ため、会員相互の主張を最大限に尊重し、民主的な自治活動を推進していきます。 | | 私たちが求める理想の学校像とは、会員個々の権利がしっかりと守られ、意欲的に校内 | | 生活を充実させていこうといった意識に支えられ、礼儀と責任を重んじ、切瑳琢磨しなが | | ら恒に前向きな日頃の努力と行動・鍛錬を惜しまない、ひたむきな精神を大切にしていこ | | うといった校風を原点に置くものです。 | | 学級活動、クラブ活動、委員会活動、生徒会行事など、私たちが直接関わる集団・活動 | | 内容は多岐にわたりますが、果たすべき目的はどれを取ってみても、日常生活の向上を目 | | 指そうとするものです。すべての部面で、より民主的な運営が行なわれ、より高度な到達 | | 点を求めていこうとする願いと、強い意志を持った活動が展開できていけばこそ、校内生 | | 活は必ずしや充実し、活気あふれる学校生活が実現できていくことでしょう。 | | こうした私たちが目指す大きな夢を手にしていくためにも、会員相互の信頼関係のうえ | | に成り立つ団結力を、更に強固に発展させていくことが今後不可欠と考えます。そして、 | | それらを結び付け、感動的かつ創造的な活動を繰り広げていくための、連帯する意志と、 | | それができる喜びを共有していける場を造っていく事が、私たちの最大の目標です。 | | これまで人間は、様々な夢と理想を求めて、数々の進歩を成し遂げてきました。しかし | | 今日までの発展は、決して一人の人間のみによって創り出されてきたものではありません | | 人間の社会的な営みがあればこそ、そこにすべての進歩は生み出されてきたのだと言える | | でしょう。 | | 「世界が全体幸福にならなければ、個人の幸福はありえない」 =宮沢賢治= | | 私たちはこの言葉を強く胸に抱き、連帯する意識の中から、個々の夢が実現できていく | | 学校創りと、世界に向かって貢献的な態度と行動が取れる社会人への基盤を、この宮野目 | | 中学校生徒会の活動を通してしっかりと身につけ、全校生徒の願いを結集させ、輝く夢を | | 実現させていくことを誓い、力強く前進していくことをここに宣言します。 | | 『 夢に向かって 突き進め!』           | | 『 雄飛の翼 風を切れ!』             | | 団結・連帯・創造・感動・躍進 | | ’96.11.15 | | 宮野目中学校生徒会 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 5.おわりに    ある研究会の席上、今時こんなにもうまく行き過ぎる宮野目中学校の実践は、確かに素晴らしいが、 おいそれと真似のできるものではない。と言ったふうな感想をだいぶ多く頂いた。確かに、それまでの 習慣や伝統(宮野目中学校の場合、応援団のエール方法にまでも変革は及んだ)・生徒会行事の内容変 更に取り組むことは、日々忙殺される職場の中にあってはよほどの覚悟と勇気が出せないかぎり、実行 に及べない事実を認めないではない。そのつど変更の要旨、予定・分担の細案を計画し了解を得ながら 、かたわらでは子供達との討論・進行の打ち合わせを含めて、のすべての準備活動に関わらなくてはい けない。そんな労苦を考えれば、やはり分かっちゃいるがいざ自分が手を染めることになれば、躊躇し てしまいたくなる現実の壁はどこにあっても同一条件であるからだ。   ただし、いつもいつもそういった逃げ、あるいは我関せずといった私達教員の態度が、全国に多く の悩みを抱える学校をつくりだしてきたのではなかったか。もちろん教員のすべてがそうだったとは言 い切らないが、例えば右に挙げた我が校の旧生徒会組織図を見ていただければお解りのとおり、それま での学校(生徒会:宮野目中学校に限らず)は、決して生徒たち自身のものにはなり得ていなかったこ とを露呈する、最たるものであったという認識には及ばないだろうか。  「何をいっても結局は、先生方の言いなりにならなくてはいけない。」「先生方の口車に乗せられて 結局は何一つ自分たちの要求が通っていかない(こうした気持ちは、私が中学時代自ら体験してきたこ とでもある)。」こんな力無さを、リーダーである立場の生徒たち本人が感じていたとするならば、こ れはもう一歩たりとて先へとの前進は、望もうにも望めなくなってきていた事実を認めざるをえないで ないか。要は、いかに子供達の視点、立場に立脚しながらその要求を実現させ得るかである。のびのび とした彼等の笑顔と、集団で味わえる震えるような感動体験を真剣に追い求め、それを日々の学校生活 の中に定着させていったとき、学校はその本来の機能を全うしていくはずなのである。是非ともに、子 供たちと一緒になった充実感、満足感を求めての題目主義に囚われない方法論の展開と、充実した取り 組みを心掛けていきたいものである。学校の主人公は、何を言われても眼前にいる子供達自身であるこ とに間違いはないのだから。   『日本に原爆が投下された事実について、私はこれをアメリカ人として恥に思います。と断言した外 国語実習助手の話に、震えが止まらぬほどの感動を覚えた記憶が昨日のことのように思い出される。そ れまで平和や人権を守っていくためにと、裁判劇や創作劇をつくってきた私は、母国の過去の歴史につ いて、その否を率直に認める発言ができる姿勢と態度が、あまりにもまぶしく感じられていたからであ る。                  賢治も既に願っていた世界平和は、戦争の回避のみならずその根底に、人間として生きる一人一人の 人権尊重が謳われていたものと私は読む。そして今様々に揺れる学校教育にもっとも期待が寄せられ ている部分とは、まさにこの人権教育であることを私は信じて疑わない。          人の心には、必ず他人の立場より優位にありたい願望がある。しかしそれが他の人権を侵害したり、 危害を加えることから成り立つものであっては絶対にならない。この根底的な条件が満たされていかな い限り、真の世界平和は希求されていかぬものだろう。                上記助手が語る日本と、アメリカの教育現場の根本的な相違は、主題に対する調査活動や、ディベー トを中心とする主体的な生徒の授業への関わり方だという。つねに受け身の立場に置かれがちであった 閉ざされた日本の教室変革には、これまでも幾多の試みが成されてきたであろうことを認めはする。が しかし、弱者とともに生きようとする人間のみに与えられた共存能力の姿勢開示に対しては、あまりに もその力が注ぎ 込まれてこなかったのではないかと私は分析する。   この人権尊重と共存平和への思想展開は、繰り返すが学校現場に委ねられる部面が圧倒的に多い。他 の存在を真に理解し、許容できる人間的な腰の深い思考力を養っていくためには、課題解決へ向けての 主体的な方法論、迫り方のプロセス構築が急務と考え今回の研究課題として提出するものである。