岩手県立総合教育センター研究集録(2000)


追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方に関する研究

−学習過程における地域素材の活用をとおして−

久慈市立大川目小学校 教諭 今野 洋明


T 研究目的

 「総合的な学習の時間」では、身近な人物、自然、文化などから課題をみつけ、よりよく問題を解決しながら、自分の生き方や社会とのかかわりを考えることができるようにすることが求められている。そのためには、地域にかかわる学習活動を積極的に展開し、 児童が試行錯誤しながら自分の方法で追究する意欲を高めることが大切である。
 しかし、本校児童の実態をみると、課題をもって学習に臨んではいるものの最後まで意欲が持続せず、学習 した内容を十分に深めることができないという傾向がある。これは、社会や生活の現実にふれ、思いを広げ学 習することや学習の様子を多様な価値観をもつ人々に認め励ましてもらうこと、また、自分の方法で何度も対 象と直接かかわりながら新たな発見をすることが十分になされなかったためと考えられる。
 このような状況を改善していくためには、今までの経験から得た自分の考えや視野を広げ、自分では把握し難い学習における進歩を自覚し、次につながる新たな疑問や課題を発見するという視点で地域素材を学習過程に位置付け、 活用することが必要であると考える。
 そこで、この研究は学習過程に地域素材を位置付け、活用することをとおして、追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方を明らかにし、小学校の「総合的な学習の時間」の指導の向上に役立てようとするものである。

U 研究仮説

 小学校の「総合的な学習の時間」の展開において、地域素材を次のような視点で学習過程に位置付け、 活用 すれば、児童の追究する意欲が高まるであろう。
 (1) 自分の考えや視野を広げる
 (2) 学習における進歩を自覚する
 (3) 新たな疑問や課題を発見する

V 研究の内容と方法

1 研究の内容

 (1) 追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方に関する基本構想の立案
 (2) 追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方に関する実態調査及び調査結果の分析と考察
 (3) 学習過程における地域素材の活用を取り入れた「総合的な学習の時間」の指導試案の作成
 (4) 指導実践及び実践結果の分析と考察
 (5) 追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方に関する研究のまとめ

2 研究の方法

 (1) 文献法  (2) 質問紙法  (3) 指導実践

3 指導実践の対象

 久慈市立大川目小学校  第6学年 1学級(男子18名 女子19名 計37名)

W 研究結果の分析と考察

1 追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方に関する基本構想

(1) 追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方についての基本的な考え方

ア 「総合的な学習の時間」の展開についての基本的な考え方
 「総合的な学習の時間」では、よりよく問題を解決する資質や能力を身に付けることや自分の生き方、社会 とのかかわりを考えることができるようにすることが求められている。そのためには、児童が対象に直接はたらきかけ学びながら、意欲をもって課題解決を図り、自分自身の在り方を考えることができるような学習過程の展開を考えていくことが必要であると思われる。

イ 追究する意欲とその高まりについてのとらえ方
 本研究における追究する意欲とは、「課題をしっかりともち、解決にむけ自分の方法で粘り強く学習に取り組もうとする気持ちや態度」ととらえ、構成要素とそれにかかわる児童の姿を【表―1】のように考え、研究を進めるものとする。
 「興味・関心」にかかわる児童の姿である「課題を発見しようとする」は、対象との出会いによって生じた「おもしろい」「なぜだろう」というような意識がより高まったものと考える。「目的意識」は試行錯誤しながらも粘り強く課題を解決しようとする意識であり、「方法理解」は対象とのかかわり方や調査・体験の仕方など解決方法について理解することである。「向上心」は、主に課題解決をしたことに対する進歩感や成就感を感得したことで生まれるものであり、自分がよりよくなろうとする意識である。本研究においては、学習の成果を伝えようとすることやそれに対する評価を知ったうえで、自己の在り方を考えようとすることをその具体的な姿ととらえた。そこで、追究する意欲が高まった児童の姿を「進んで対象とかかわりながら自分の方法で課題解決に取り組み、さらに学習を発展させていこうとする児童」ととらえた。

ウ 本研究における学習過程
 本研究では、【表―2】のように「把握」「追究」「発信」「整理・発展」の四つの学習過程とそれを構成する八つのプログラムで学習を進めるものとする。

エ 学習過程における地域素材活用の意義
 本研究における地域素材とは、地域にかかわる「人」「もの」「こと」の全てであり、それを活用することの意義としては次のことが考えられる。

〇 自分で見て聞いて調べるなど、対象と何度でもかかわって学習することが可能で解決も比較的速い。
〇 生活にかかわりのある「おもしろそうだ」「やってみたい」と思えるような課題が多様に存在する。
〇 身近に存在するため、社会の現実にふれながら学習することができ、学習したことを生活のなかに生かしやすい。
〇 児童のことを理解している人から、個に応じた励ましの言葉をかけてもらうことができる。
〇 多様な価値観をもった人や異世代の人とかかわることができ、視野を広げながら学習することができる。

オ 学習過程における地域素材の活用
 児童の追究する意欲を高めるためには、社会や生活の現実にふれ、思いを広げながら学習することや、学習の様子を多様な価値観をもつ人々に認め励ましてもらうこと、また、自分の方法で何度も対象とかかわりながら学習して、新たな発見をすることが必要と考える。
 そこで、本研究では【図―1】のように、三つの視点で学習過程に位置付けた地域素材を活用する。
 これまで述べてきた基本構想についてまとめたものが【図―2】の基本構想図である。

2 追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方に関する実態調査及び調査結果の分析と考察
 学習過程における地域素材の活用を取り入れた「総合的な学習の時間」の指導試案作成に必要な資料を得ることを目的として実態調査を行った結果、以下の四つの課題が明らかになった。

 (1) 地域の特色や児童の関心を生かした学習を行う必要があること
 (2) 学習の成果を地域に効果的に伝える必要があること
 (3) 学習において、自分ががんばったかどうか判断 させる方法を工夫する必要があること
 (4) 学習したことと社会や生活とのかかわりを実感 させる必要があること

3 学習過程における地域素材の活用を取り入れた 「総合的な学習の時間」の指導試案

(1) 学習過程における地域素材の活用を取り入れた「総合的な学習の時間」の指導試案作成の観点
 基本構想及び実態調査の分析から明らかになった課題を解決していくために、以下の四つの観点から、指導試案を作成した。

 ア 地域の特色や児童の関心を生かした学習を行う工夫をすること
 イ 学習の成果を地域に効果的に伝える工夫をすること
 ウ 学習における進歩を自覚させるような地域の評価を得る工夫をすること
 エ 学習したことと社会や生活とのかかわりを実感させる工夫をすること

(2) 学習過程における地域素材の活用を取り入れた「総合的な学習の時間」の指導試案

ア 地域の特色や児童の関心を生かした学習を行う工夫

〇 地域の特色や児童の関心を生かした課題発見のための体験 ―「把握」の過程
 課題発見のための体験は、学習の対象との出会いの場であるため、以後の学習に与える影響が大きいと思われる。そこで、対象に対してより多くの興味や疑問をもたせるために、課題発見のための体験場所を以下のように提示し、児童一人一人が関心のある場所で行う。

・自然や生き物にかかわる場所 「久慈川」
・歴史や伝統にかかわる場所 「三船十段記念館」
・施設や人間にかかわる場所 「養寿荘」

イ 学習の成果を地域に効果的に伝える工夫

〇 地域にむけての情報発信―「発信」の過程
 以下のような方法で行う。

・地域の施設に掲示
・市内の小学校に掲示
・パソコンで発信
・地域に配布

ウ 学習における進歩を自覚させるような地域の評価を得る工夫

〇 父母の応援メッセージ ―「追究」の過程
 以下の手順で作成し、活用する。

@ 事前に趣旨を説明し、応援メッセージを書くことに協力できる父母を募る。
A 協力できる父母に調査・体験先へ出向いてもらい、記述例を参考に児童のがんばりを記録してもらう。
B 終了後、教師が学習の様子を父母から聞き、記述が不十分な場合は補足する。
C 児童に応援メッセージを読ませ、学習における進歩を自覚させる。

〇 久慈からのメッセージ ―「整理・発展」の過程
 以下の手順で作成し、活用する。

@ 地域の施設に掲示するなどした児童の学習のまとめとともに久慈からのメッセージを用意し、地域の人に感想や要望を記入してもらう。
A 全員にメッセージが届くように、教師が掲示した施設などを巡回し、地域の人に協力を呼びかける。
B 一週間後にメッセージを回収し、感想欄に書かれた称賛を児童に読ませ、進歩を自覚させる。

〇 情報発信に対する地域の評価
 久慈からのメッセージなどの地域の評価を以下のように確認し、社会や生活とのかかわりを実感させる。

・自分が学習したことに対する地域の人の感想や要望を知る
・自分が学習でかかわった対象に対する地域の人の思いや願いを知る

 これまで述べてきたことをもとに、学習過程における地域素材の活用を取り入れた「総合的な学習の時間」の指導試案を【図―3】のように作成した。

4 指導実践及び実践結果の分析と考察

(1) 指導試案に基づく指導実践
 「ウォッチング久慈」をテーマに29時間の指導実践を行なった結果、地域とかかわりながら多様な学習活動が展開された。
 なお、【図―4】は、指導実践の概要をまとめたものである。

 【図―5】は、久慈川で課題発見した児童の追究の過程における学習活動の様子である。
 本指導実践では、課題発見のための体験を「久慈川」「三船十段記念館」「養寿荘」のなかから、児童が関心のある場所を選んで行った。久慈川で課題発見をした児童は、課題解決のために自分の考えた方法で学習に取り組んだ。「図書館に行って本や資料を調べれば,なんでも解決できるだろう」と安易に考えていた児童もいたが、久慈川に関するものはそれほど多くはなく、これだけでは解決に結びつかなかった。しかし、その児童も図書館の職員の人や父母の応援メッセージから解決の糸口となる助言をもらい、試行錯誤しながら何とか解決にたどりつくことができた。予想よりも多様で興味深い学習活動が展開された。
 なお、児童の学習活動の詳細は【図―6】を参照のこと。

(2) 実践結果の分析と考察

ア 各学習過程における児童の意欲の状況

(ア) 把握の過程における意欲の状況
 【表―3】は、把握の過程にお いて、児童が発見した課題例と人数を評価規準に基づき、分類したものである。具体的な課題を発見しようとする児童が26人、課題を発見しようとする児童が9人であり、課題例から、地域にかかわる多様な課題を自分の力で発見したことがわかる。これは、課題発見のための体験の内容が、一人一人異なり、興味深いものだったからと考えられる。
 【資料―1】は、その課題発見のための体験終了後の感想例である。対象も内容も幅広く、驚きや喜び、調べてみたいという気持ちが伝わってくることから、この体験が児童の課題発見を容易にしたものと推察される。また、「ずっと久慈川がきれいであってほしい」「きれいな水にすむ虫を発見した時はほっとした」という感想例からは、地域のよさを実感していることがわかる。これらは、自分が希望する場所で体験を行ったことが、自分だけの学習という意識をもたせ、ものの見方や感じ方を鋭いものにさせたためではないかと推察される。
 以上のことから、把握の過程において、考えや視野を広げる視点で活用した地域の特色や児童の関心を生かした体験は、課題を発見しようとする意欲を高めることに効果があると考えられる。

(イ) 追究の過程における意欲の状況
 【表―4】は、追究の過程における調査・体験の様子を父母が記録した応援メッセージの記述例と人数を評価規準に基づき、分類したものである。対象と積極的にかかわりながら課題を解決しようとする児童は27人であり、記述例から、どの場所でも生き生きと対象とかかわりながら学習していることがわかる。これは、今まで出会ったことがない対象にかかわること、多様な調査・体験方法を経験することへの喜びに加え、父母の励ましによるところが大きいと考えられる。
 【資料―2】は、父母が書いた応援メッセージに対する児童の感想例である。「がんばりたい」「嬉しかった」という感想例から、自分の学習を認めてもらえたことに対する喜びや、以後の学習への意気込みが感じられる。この喜びや意気込みが、再調査・再体験に生かされ、課題を解決しようとする意欲を高めたと理解できる。これは、父母が、児童の学習の様子を個に即した形で認め励ますことができたからではないかと推察される。
 【表―5】は、解決方法にかかわる感想例と人数を評価規準に基づき、分類したものである。感想例から明らかなように、多くの児童が多様な方法を用いて対象とかかわりながら学習することができた。これは、地域の人が学習に協力してくれたことにより、自分が望む方法での学習が可能になったことによるものと考えられる。また、【資料―2】のなかに父母が書いた解決方法を「参考にしたい」という感想例があることから、児童は、方法理解するうえでも応援メッセージを活用していたことがわかる。これは、調査・体験で解決が図られなかった児童にとって、学習のプロセスを見ていた父母の助言は、説得力があり、課題解決に即していたからと推察される。
 以上のことから、追究の過程において、進歩を自覚する視点で活用した応援メッセージは、課題を解決しようとする意欲や解決方法を理解することに効果があると考えられる。
(ウ) 発信の過程における意欲の状況
 【表―6】は、発信の過程における感想例と人数を評価規準に基づき、分類したものである。学習したことを自分の考えを交えて正確に伝えようとする児童が17人、自分の考えを交えて伝えようとする児童が16人であることから、児童は、学習したことに対して、自分なりの考えをもったことがわかる。感想例からは、地域の一員としての自覚や情報発信に対する前向きな姿勢がうかがえる。これは、学習を進めていくなかで、社会や生活とのかかわりを実感したことや今までに経験のない情報発信に対する期待感、「多くの人に見られるのでがんばらなければいけない」という意識によるところが大きいと推察される。
 以上のことから、発信の過程において、考えや視野を広げる視点で活用した地域への情報発信は、自分の考えを伝えようとする意欲を高めるのに効果があると考えられる。

(エ) 整理・発展の過程における児童の意欲の状況
 整理・発展の過程において児童が書いた感想は、学んだことを他の人にも呼びかけたり違った観点で調べたいといった発展性の感じられるものが多かった。
 分析の結果、整理・発展の過程において、進歩を自覚し新たな疑問や課題を発見する視点で活用した情報発信に対する地域の評価は、自己の在り方を考えようとする意欲を高めるのに効果があると考えられる。

イ 追究する意欲の変容の状況
 【表―7】は、追究する意欲の事前と事後における変容をまとめたものである。χ2検定の結果、全ての設問で有意差がみられた。
 分析の結果、本研究の指導実践は追究する意欲の構成要素の「興味・関心」「目的意識」「方法理解」「向上心」を高めるうえで効果があると考えられる。

ウ 抽出児の意欲の変容状況
 【図―6】は、抽出児Aの学習活動の状況及び意欲の変容についての考察をAの感想や自己評価、メッセージの記述、課題解決の様子の記録からまとめたものである。Aは本指導実践において、進んで対象とかかわりながら学習に取り組むことができた児童の一人である。ここでは、Aの意欲の高まりとそれにかかわったものを考えていくこととする。
 把握の過程においては、意欲の高まりは十分にはみられなかった。これは、課題発見のための体験の場所や内容を見直すことや、視点の与え方を工夫することで改善されるのではないかと思われる。
 追究の過程においては、解決方法をたくさん考えたことや試行錯誤しながらも調査を行ったこと、放課後に実験をしたことなど積極的な姿勢がみられた。これらは、自分のことを理解している母親からの認め励ましや地域の対象と何度でもかかわって学習する十分な時間があったことによるものと考えられる。
 発信の過程においては、表や図を使って丁寧に学習の成果をまとめ、調べたことに対する自分の考えを述べることができた。これは、今まで経験のない発信方法への期待感に加え、取り組んできた学習に対する自信によるものと推察される。また、「あなたは、調べてわかったことを他の人に伝えようと思いますか」という設問内容の事前・事後調査で変化がみられなかったのは、学習や情報発信に対する意識が次第に高まり、自分をみつめる目も厳しくなったためではないかと考えられる。それは、公民館に加え、市内の小学校に自分の学習のまとめを掲示できないかと話しかけてきたこと、メッセージを読んだ後、次は別の方法で発信したいと話しかけてきたことからもうかがい知ることができる。
 整理・発展の過程においては、心がけていきたいことを市内の小学校あてに迷うことなく書いた。また、掃除で使った水を学校の浄化装置をとおして捨てることの意味を友だちに話していた。Aは、今までそれを活用することが少なかったが、この学習をとおして「川をきれいにするのは一人一人の努力が必要だ」ということを学び、実践への第一歩を踏み出したことになる。これは、学習の成果を認めてくれた地域の人に今の自分の考えをしっかりと伝えたいという意識や、久慈からのメッセージの「学習したことを生活に役立ててほしい」という記述に答えたものと考えられる。
 以上のように、次第に意欲の高まりがみられたAではあるが、学習のプロセスで意欲が停滞したこともあった。しかし、その都度、自分のことを理解している人や専門的な立場にある人からの助言などで解消され、前向きに学習することができた。このことから、Aの意欲の高まりには、視野を広げさせたり進歩を自覚させたりするような周囲からのはたらきかけが寄与したものと考えられる。

5 追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方に関するまとめ
 学習過程における地域素材の活用をとおして、追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方について、仮説に基づく指導実践において明らかになったことは、以下のとおりである。

(1) 把握の過程において、考えや視野を広げる視点で活用した地域の特色や児童の関心を生かした体験は、ものの見方や感じ方を鋭くさせ、課題を発見しようとする意欲を高めるのに効果がある。
(2) 追究の過程において、進歩を自覚する視点で活用した応援メッセージは、個の児童に即した形での認め励ましや解決方法の助言が可能となり、方法を理解することや課題を解決しようとする意欲を高めるのに 効果がある。
(3) 発信の過程において、考えや視野を広げる視点で活用した地域にむけての情報発信は、社会や生活とのかかわりを実感させるとともに学習に対する期待感を喚起し、自分の考えを伝えようとする意欲を高めるのに効果がある。
(4) 整理・発展の過程において、進歩を自覚し新たな疑問や課題を発見する視点で活用した地域の評価は、学習の成果を認めてもらうことや新たな視点を投げかけてもらうことができ、自己の在り方を考えようとする意欲を高めるのに効果がある。
(5) 把握の過程において、自分が望む方法で情報発信ができず意欲が停滞した児童も見受けられた。そこで、より多くの多様な価値観をもつ人々から評価を得ることができるように、情報発信のネットワークを広げていく必要がある。

X 研究のまとめと今後の課題

1 研究のまとめ
 この研究は、学習過程に地域素材を位置付け、活用することをとおして、追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方を明らかにし、指導の向上に役立てようとするものである。そのため、追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方に関する基本構想を立案した後、指導試案に基づく指導実践を行い、追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方についてまとめることができた。
 この研究をとおして、地域素材は単なる学習の材料というばかりではなく、学習に対する評価などをとおして、児童の追究する意欲を高めるうえで重要な役割を果たすということを確認できた。

2 今後の課題
 この研究においては、追究する意欲を高める「総合的な学習の時間」の展開の在り方について、地域素材を活用して実践的に明らかにすることができた。
 地域への情報発信のネットワークを広げ、より多くの地域の評価を集めるなど、今後も指導実践をとおして、地域素材のもつ可能性を探りながら活用の仕方を工夫し、児童の追究する意欲がさらに向上するよう努めていきたい。


【主な参考文献】
文部省 「小学校学習指導要領解説 総則編」 東京書籍 1999年
村川雅弘・小林毅夫編著 「小学校学習指導要の展開 総合的学習編」 明治図書 1999年
有園 格・小島 宏編著 「小学校の総合的学習」 ぎょうせい 1999年
今谷 順重編集 「『総合的な学習』のための地域教材をつくる」 教育開発研究所 1999年
児島 邦弘・羽豆 成二編集、「『総合的な学習』研究の手引き」、明治図書、1997年



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