岩手県立総合教育センター研究集録(2000)


新教科「情報」における実習教材の開発に関する研究

−「情報活用の実践力」を育成する指導を中心に−

岩手県立大船渡工業高等学校 教諭 藤 原  修


T 研究目的

 今日の情報化社会においては、情報や情報技術を効果的に活用したり、活用する際には適切な判断をする能力が必要とされている。このような状況の下、学習指導要領の改訂により教科「情報」が新設・必修化された。教科「情報」は生徒が主体的にコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用し、目的意識や課題をもって、自らの情報を創造し発信していく能力の育成をねらいとしている。
 しかし、各科目や実習で扱うべき資料や具体的な教材が不足しているため、「情報活用の実践力」の育成に必要とされる情報収集における情報機器の適切な活用、収集した情報を整理・分析しまとめるための統合的な処理及び情報手段を用いたコミュニケーションの方法について、生徒は十分に理解できず、コンピュータの基本操作の習得が中心になってしまうことが考えられる。
 このような状況を改善するために、情報モラルの育成を考慮に入れながら、課題解決のためのインターネットを利用した情報の収集・選択、情報の整理・分析のための複数のアプリケーションソフトを活用した様々な情報に対する統合的な処理及びコミュニケーション能力を高めるためのホームぺージや電子メールを用いた情報の発信・伝達について理解を深めることができる教材が必要である。このような教材を用いることにより、生徒は情報を主体的に活用できる能力と態度を身に付けることができると考える。
 そこでこの研究は、「情報活用の実践力」を育成する教材を開発し、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用することにより、新教科「情報」の目的である情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てるための指導に役立てようとするものである。

U 研究仮説

 新教科「情報」において、「情報活用の実践力」を育成する教材を開発し、この教材を用いて指導することにより、生徒はインターネットを利用した情報の収集・選択、アプリケーションソフトを用いた情報の統合的な処理、ホームぺージや電子メールを用いた情報の発信・伝達について理解を深め、「情報活用の実践力」を高めることができ、情報を主体的に活用できる能力と態度を身に付けることができるであろう。

V 研究の内容と方法

1 研究の内容
 (1) 新教科「情報」の実習教材の開発に関する基本構想の立案
 (2) 基本構想に基づく指導試案の作成
 (3) 「情報活用の実践力」を育成する教材の開発
 (4) 授業実践及び実践結果の分析と考察
 (5) 新教科「情報」の実習教材の開発に関するまとめ

2 研究の方法
 (1) 文献法  (2) 質問紙法  (3) 観察法   (4) 授業実践

3 授業実践の対象
 岩手県立大船渡工業高等学校 機械科1年 39名(男子39名 女子0名 計39名)

W 研究結果の分析と考察

1  新教科「情報」の実習教材の開発に関する基本構想

(1) 教科「情報」についての基本的な考え
 今日の情報化社会の進展に伴い、学校教育においても情報化に対応した教育が求められるようになった。これからの社会に生きる生徒には大量の情報に対して的確な選択を行うとともに、日常生活や職業生活においてコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切に活用し、主体的に情報を選択・処理・発信できる能力が必要とされる。また、情報活用の基礎となる情報手段の特性を理解し、自らの情報活用を評価し改善するための基礎的な理論や方法を理解し、さらに、社会を構成する一員として情報社会に参画する上での望ましい態度を身に付け、健全な社会の発展に寄与することが求められている。
 普通教科「情報」は、「情報A」、「情報B」、「情報C」の3科目で組織され、その教科目標は、情報教育の目標の3つの観点である「情報活用の実践力」、「情報の科学的理解」、「情報社会に参画する態度」をバランスよく育て、相互に関連しながら総合的に情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てていくことである。また、内容の全体をとおして情報モラルの育成を図ることも目標となっている。
 「情報A」は、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報機器を活用する実習を多く取り入れ、それらの活動をとおして「情報活用の実践力」を高めることを重視している。「情報B」は、コンピュータの仕組みやコンピュータを活用した問題解決の学習をとおして「情報の科学的理解」を深めていくことを重視している。「情報C」は、情報の表現方法やコミュニケーションについての学習や情報社会の理解をとおして「情報社会に参画する態度」の育成を重視している。3科目のいずれも、「情報活用の実践力」、「情報の科学的理解」、「情報社会に参画する態度」を育成できるように構成されている。
 本研究は各教科、科目の学習活動を効果的に行うために必要な「情報活用の実践力」に焦点を当て、コンピュータやインターネットなどの活用をとおして情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識と技能を習得させるとともに、情報を主体的に活用しようとする態度を育てるものである。

(2) 「情報活用の実践力」のとらえ方
 情報教育の3つの観点の1つである「情報活用の実践力」とは高等学校学習指導要領によると「課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて、必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力」とある。
 そこで本研究では、「情報活用の実践力」をコンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を通して、【表−1】に示す@情報の収集・選択、A情報の統合的処理、B情報の発信・伝達という3つの能力としてとらえ、それらを段階的に活用できることにより、「情報活用の実践力」が高まり、情報を主体的に活用できる能力と態度が身に付けられると考える。

(3) 「情報活用の実践力」を育てる実習教材を用いる意義
 教科「情報」の学習で大事なことは、身近な問題を解決する際に、試行錯誤的ではなく論理的に分析し、解決することの大切さを学ぶことである。その際に必要なことは、問題解決における情報や情報技術の活用という観点から解決の工夫を現実的・実際的な場面をとおして学び、さらに学習の必要性を認識させ、実感させることである。それには「情報活用の実践力」である情報手段を適切に活用し、大量の情報の中から的確に情報を収集・選択し、主体的に整理・分析し、情報を相手に適切に発信・伝達することができるようになることをねらいとした体験できる実習教材が有効である。そしてその教材を用いることにより、生徒は情報を主体的に活用できる能力と態度を身に付けることができると考える。

(4) 「情報活用の実践力」を育成する実習教材の在り方
 「情報活用の実践力」を育成するには、生徒にとって身近な学習課題を題材として情報の収集・処理・発信などの実践的活動をとおして体験できる教材が必要であると考える。
 情報の収集・選択については、大量の情報の中から真に必要な情報を選択できる力を身に付けるためインターネットを活用した検索の方法を理解できる内容とし、次にそれを踏まえて課題の解決に必要となる情報を効果的に収集することができる内容とする。
 情報の統合的処理については、コンピュータの機能とソフトウェアとを組み合わせて活用することをとおして、コンピュータは多様な形態の情報を統合できることを理解させる。そのために文書処理、表計算、図形・画像処理などのさまざまなソフトウェアの活用方法を目的に応じて使い分けたり組み合わせたりして活用できる実習をとおして多様な形態の情報のまとめ方を理解させる内容とする。
 情報の発信・伝達については、限られた画面の中で効果的に情報を伝えるために利用する場面や状況を考えながら適切な方法を選択でき、情報の発信には取り決めがあることを理解させる。その上で、相手とのコミュニケーションを意識した情報の発信の方法を考え、自分でまとめた情報を実際に発表し、お互いに評価し合う内容とする。また、教材の活用を通じて情報モラルについての知識や態度を育成していくものである。
 教材は各学校の施設・設備においてコンピュータの設置台数や機能に環境の差があることを考え、比較的簡単にテキスト文書や画像、表、リンクなどを作り出すことができるHTML形式とする。
 以上のことから、「情報活用の実践力」を育成する教材を【表−2】のような8つのメニュー構成とした。

(5) 「情報活用の実践力」を育成するための基本構想図
 これまで述べてきたことをもとに、開発した実習教材を用いた「情報活用の実践力」を育成するための基本構想図を【図−1】に示す。

2 基本構想図に基づく指導試案
 基本構想をもとに、「情報活用の実践力」を育成する実習教材に関する指導試案を【図−2】に示す。

3 「情報活用の実践力」を育成する実習教材の開発

(1) 開発した実習教材の構成図
 基本構想にもとづき、作成した実習教材のメニューツリーを【図−3】に示す。

(2) 実習教材の内容

ア メインメニュー画面

 本研究で開発した教材のメニュー画面を【図−4】に示す。基本 構想をもとに情報活用の実践力を育成する教材は8つのメニュー構 成とした。各項目をクリックすることで関連する次の画面が表示さ れる。教材全体のイメージが見通せるような画面構成にし、各項目 の言葉も難しい言葉は使わず生徒にとって親しみやすくわかりやす い言葉にした。各画面からはすぐにメインメニュー画面に戻れるようにしてあり、操作しやすいようにした。
イ 1 情報の活用ってどんなこと

 【図−5】は導入問題としての旅行計画について考える画面であ る。この画面では身近な課題を題材として、実際情報を活用するこ とで情報活用の意味を考えさせ、問題解決の手順やコンピュータの適切な活用を理解させることをねらいとしている。さらに実習をとおして生徒が学校の実習環境に慣れ、今後の学習活動に興味・関心 をもたせるようにするものである。@の「時刻表(本)から」を選択すると時刻表の調べ方の画面が表示され、時刻表を使っての調べ方を理解させるものである。Aの「JR(時刻表・料金表)」を選択 するとJRの運賃検索の画面が表示され、インターネット上の検索ページを活用して時刻、料金の調べ方を理解させるものである。 Bの「表計算ソフトでまとめよう」を選択すると【図−6】時間・運賃まとめ表の画面が表示される。【図−6】は、自分で調べた時間や運賃、合計を表計算ソフトを用いて表にわかりやすくまとめさせるためのものである。検索ページや表計算ソフトなどのコンピュータを用いた処理と時刻表などを使った人間の手作業を比べて、それぞれの特徴を体験的に認識させることをねらいとしている。

ウ 2 情報の伝達ってどんなこと

 【図−7】は自己紹介を題材とした導入問題の画面である。伝達 する相手によく分かってもらうために表現の工夫や提示方法の工夫 などのコンピュータの適切な活用を理解させることをねらいとして いる。実習をとおして体験的に認識させ、コンピュータの基本操作 を確認させ、今後の学習活動が円滑に行えるようにするものである。またプライバシーの保護などを意識させるものである。

エ 3 情報を探してみよう

 【図−8】は検索サービスの利用方法を理解させる画面である。 この画面ではCをクリックすると検索エンジンの画面が表示され、 キーワードを換え検索させるものである。インターネットを活用し て必要な情報を効率的に探す場合には検索エンジンが有効であるこ と、検索する場合はキーワードが重要であることを理解させることをねらいとしている。

オ 4 情報を集めてみよう

 【図−9】は練習問題で実際に情報を収集する活動を行う画面で ある。身近な課題についてインターネットを活用して探す手順や方 法を考えながら調べ、表にまとめさせるものである。大量の情報の 中から必要な情報を収集し、選択できるようになることをねらいと している。さらにネットワークを利用する場合のルールを理解させ、 具体的な課題解決をとおして必要な情報を効果的に収集する方法を習得させる。

カ 5 ソフトウェアを使ってみよう

 【図−10】は様々なソフトウェアの活用例を示し、その活用の仕 方を理解させ、目的に応じて使い分けたり組み合わせたりして活用 する方法を習得させることをねらいとしている。
 問題解決やコミュニケーションのための手段として、適切な場面 でコンピュータを利用するときにはそれぞれの用途に応じてソフトウェアを選択して利用することが大切である。

キ 6 情報をまとめてみよう

【図−11】はコンピュータの機能とソフトウェアとを組み合わせ た活用の仕方を理解させる画面である。文書処理、表計算、図形、 画像などの収集した多様な形態の情報を組み合わせて活用できる実 習をとおして、まとめ方を理解させることをねらいとしている。

ク 7 情報活用のマナーを守ろう

【図−12】は情報の収集、発信には責任が伴い、著作 権の尊重など守らなければならない取り決め等を理解させることをねらいとしている。Dの「情報モラルについ てのクイズ」を選択すると【図−13】の画面が表示され る。この画面は情報モラルに関するクイズ形式の画面で、 生徒が興味をもって情報モラルについて理解できることをねらいとしている。解説をクリックすると説明文が表示される。また、Eをクリックすると情報モラルに関連するページが表示される。

ケ 8 発表しよう

 これまで、情報を選択し、効果的に活用する方法や考え方を学び 具体的な情報収集の方法や、集めた情報をどのように人に伝えるか について学んできました。【図−14】はこれまでのまとめ問題の画面 である。修学旅行班別研修計画という具体的な題材にもとづいて情 報を収集し、情報を統合的に扱う実習を行い、伝える相手を意識し た情報の表現を考え、まとめた情報を発表する力を身に付けさせる ことをねらいとしている。さらに発表後、自己評価や相互評価を行い改善を図ることにより情報を主体的に活用できる能力と態度を育成するものである。

4 授業実践及び実践結果の分析と考察

(1) 授業の計画
 授業の計画は、【表−3】のとおりである。開発教材と自作テキストとを活用し、修学旅行班別研修計画からはグループ学習とした。

(2) 検証計画

ア 検証計画の概要
 授業実践をとおして指導試案の妥当性をみるために【表−4】のような検証計画を作成し、授業の事前、事後に実施した。

イ 生徒の「情報活用の実践力」をみるための評価規準
 「情報活用の実践力」の構成要素である「情報の収集・選択」「情報の統合的処理」「情報の発信・伝達」の育成状況をみるため、生徒の学習活動を評価規準に照らし分析する。各授業ごとに生徒の活動の様子を観察し、「情報活用の実践力」の構成要素をさらに情報の検索、情報の収集、ソフトウェアの活用、情報の統合、情報の発信と共有、情報の伝達の6つの活用過程に分け、それぞれAからDまでの4段階に分け評価した。

ウ 情報活用に関する意識の状況調査
 情報活用の重要性の認識や情報活用に対する意欲や態度、情報モラルについての理解度について質問紙を用い、学習の事前と事後に調査する。

エ 実習教材を用いた学習に関する意識の状況調査
 開発した教材が生徒にどのように受け止められたのか、質問紙を使って授業後に意識調査をする。

(3) 結果の分析と考察

ア 「情報活用の実践力」の状況
 【表−5】は生徒の「情報活用の実践力」の変容状況を見るために、各授業ごとに生徒の活動の様子を観察し、情報の検索、情報の収集、ソフトウェアの活用、情報の統合、情報の発信と共有、情報の伝達の6つの構成要素を評価規準に照らし、分析したものである。
 サイン検定の結果6つの要素すべてにおいてプラ ス反応を示した生徒が多く、開発した実習教材を活 用した学習活動は「情報活用の実践力」を高めること に効果があったと言える。
 情報の検索、収集については授業前はほとんどの生徒がやり方が分からない状態であったが、教材の[検索エンジンの利用方法](【図−8】)で検索方法を理解することができたため後半は自分たちに必要な情報をキーワード検索を用いながら積極的に収集活動をしていた。



 ソフトウェアの活用については、プレゼンテーションソフトウェアの基本操作とホームページ制作の基本操作を行い、操作 がある程度できるという段階からそれぞれのソフトウェアの特徴を理解し、自分で考えたスライドを作成できるようになった。ソフトウェアの組み合わせについては今後も時間をかけて指導する必要がある。
 情報の統合については、文字や画像などの形態の違う情報を一つの画面に配置できるようになり、画像や表を貼り付けた文書を作成することができる力が育成されたと言える。
 情報の発信と共有では情報モラルについての学習を行い、著 作権や情報活用のルールについて理解を深めた。その結果、まとめ問題において【図−15】のホームページや【図−16】のプ レゼンテーション作品の制作場面では情報モラルについて意識をし、写真の取り込みや説明文の引用などに注意した情報収集 活動の姿が目立っていた。情報の伝達では各班ともそれぞれの 班別研修計画をホームページやプレゼンテーションソフトウェアでまとめ、発表することができ、「情報活用の実践力」が高まったと考えられる。

イ 情報活用に関する意識の状況
 【表−6】は情報活用に関する意識の状況について、興味・関心及び意欲の事前、事後における変容状況を表したものである。
 χ2検定の結果、情報活用に関する意識では、4つの設問すべてにおいて有意差は認められなかった。これは、事前調査の段階から、+反応を示す生徒が多く、情報を活用することへの興味や関心が高かったことが分かる。
 しかし自由記述を見ると、設問@、Aについて事前では「便利だ」「コンピュータの時代だから」といった漠然とした興味・関心であったのが、事後では「いろいろな知識が身に付き生活の役に立つ」「世界の情報が見られ交流ができそうだ」といった具体的に自分の身近なものとして情報を活用することへの興味・関心へと変容した様子がうかがわれた。
 また、 設問B、Cについても事前では「難しそうだ」「面倒くさい」といった意識だったのが事後の記述では「自分の意見を言えるし、相手の意見も聞ける」「自分の力でできれば自信がつく」「自分の知らないことをもっと知りたい」といった自分自身で考えながら情報を活用しようとする方向に幾分変容したと思われる。
 これらのことから、開発した実習教材を用いた学習によって意識を大きく変容させるまでは至らなかったものの、生徒が自分自身の力で情報を活用していこうとする態度の育成に役立ったと考えられる。

ウ 実習教材を用いた学習に関する意識の調査
 開発した実習教材が生徒にどのように受け止められたのか、質問紙を使って授業実践後に意識調査を行った。「情報活用の実践力」である情報の収集・選択、情報の統合的処理、情報の発信・伝達の3つの力を身に付けるための学習に役立ったかどうかというものである。その結果、どの項目においても約9割以上の生徒が「役だった」「理解できた」という回答を示した。記述した文章にも「具体的な内容でわかりやすかった」「操作しやすかった」「見ながらやったらできた」「図や表が入っていて見やすかった」「次はどんなことをするのか楽しみになった」といった好意的な感想が多かった。
 このことから、開発した実習教材は肯定的に受け止められており、実習教材を活用した学習活動は生徒の興味・関心を喚起し「情報活用の実践力」を育成する上で効果があったものと考えられる。

5 「情報活用の実践力」を育成する実習教材の開発に関するまとめ
 これまで、指導試案にもとづき情報活用の実践力を育成する授業実践を行い、実践結果の分析と考察をとおして、その妥当性を検討してきた。その結果、次のことがあげられる。

(1) 成果として考えられること

ア 実習教材を活用した学習活動により、生徒は大量の情報の中から課題解決に必要な情報を集め、文字や図・写真などの多様な形態の情報のまとめ、組み合わせ、効果的に情報を伝えるために相手を意識した情報の発信・伝達する活動ができるようになった。
イ 実習教材を活用した学習活動により、情報活用の大切さや楽しさを認識し、「情報活用の実践力」を育成する学習活動に進んで取り組めるようになった。
ウ 実習教材の活用は、情報活用の知識や技能について実感を伴って理解することにつながった。

(2) 課題として考えられること

ア コンピュータ周辺機器を利用して収集した情報とソフトウェアの組み合わせについて理解を深めることができる教材の開発。
イ 教材を活用する場合の各学習内容に対する適切な実習時間の配当を検討する。

       

X 研究のまとめと今後の課題

1 研究のまとめ
 この研究は、新教科「情報」において、「情報活用の実践力」を育成する教材を開発し、この教材を活用し、学習指導に役立てようとしたものである。そのため、課題解決のためのインターネットを利用した情報の収集・選択、情報の整理・分析のため複数のアプリケーションソフトを活用した様々な情報に対する統合的な処理及びコミュニケーション能力を高めるためのホームぺージや電子メールを用いた情報の発信・伝達について理解を深めることができる教材を開発した。さらに情報活用の実践力を育成するための指導試案を作成し、授業実践を試みた。その実践結果を分析し考察することによって、仮説の有効性を検討してきた。その結果、次の点について明らかにすることができた。

(1) 新教科「情報」の学習指導において、実習教材を活用した学習活動は、インターネットを利用した情報の収集・選択、ソフトウェアを用いた情報の統合的な処理、ホームぺージや電子メールを用いた情報の発信・伝達について理解を深められ、「情報活用の実践力」を高めることができた。
(2) 実習教材を活用した学習活動は、生徒が自分の身近なものとして情報活用を捉え、興味・関心をもち、自分自身で考えながら情報を主体的に活用できる能力と態度の育成に役立った。

2 今後の課題

(1) 情報機器の発達の歴史や情報化が社会生活に及ぼす影響を学習できる教材に発展させる。
(2) 生徒自身が調べたり、集めたり、考えたりして作成した情報の効果的な発表の在り方、情報機器の利用の仕方について検討する。


【主な参考文献】
文部省 「高等学校学習指導要領」 大蔵省印刷局 1999年
情報テキストブック委員会 「情報−デジタルコミュニケーション」 CG−ARTS協会 2000年
情報処理学会情報処理教育委員会初等中等情報教育委員会 「普通教科「情報」試作教科書」 情報処理学会情報処理教育委員会ワーキンググループ



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